年末恒例となりました「フジヤカメラのブログ的ベストレンズ」です。
2021年は新製品だけでも38本のレンズをテストしました(2020年発売だったがテスト機が確保できずテスト出来なかったものを2021年にテストしたものを含む)。その中から特に印象に残ったレンズを10本、ブログ担当の完全な主観で選んでみました。
解像度が高いといった性能的な観点だけでなく、使って楽しかった、味わい深かったといったあくまでフィーリングで選んでいますので、あまり本気にせずざっくばらんに読んでいただければ幸いです。
2021年にフジヤカメラのブログでテストした新製品レンズ38本
レンズを性能だけでなく個性で選ぶ時代に
2021年フジヤカメラのブログ的ベストレンズ10選
SONY(ソニー) FE 50mm F1.2 GM
Leica(ライカ) アポ・ズミクロンM f2/35mm ASPH. 11699
Nikon(ニコン) NIKKOR Z MC 50mm f/2.8
Voigtlander(フォクトレンダー) NOKTON 35mm F1.2 X-mount
Canon(キヤノン) RF100mm F2.8 L MACRO IS USM
SIGMA(シグマ) 24mm F2 DG DN | Contemporary
RICOH(リコー) GR IIIx
TAMRON(タムロン) 35-150mm F/2-2.8 Di III VXD (Model A058)
OM SYSTEM M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO
Panasonic(パナソニック) LUMIX S 35mm F1.8
2021年は新製品のカメラも熱い一年だった
2021年 自身で買ってしまったレンズ
TAMRON (タムロン) 70-180mm F/2.8 Di III VXD (Model A056)
SIGMA(シグマ) 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary
まとめ
2021年フジヤカメラでテストした新製品のレンズは以下の38本でした。
純正レンズは勿論、レンズメーカーが相変わらず元気です。
特にSIGMAとTAMRONの2社はそれぞれの個性を活かしつつ好敵手として相手を意識している感があり、オリジナリティ溢れる高性能レンズをリーズナブルな価格でラインナップしてくれるので、ユーザーとしては嬉しいところです。
多くのレンズをテストしてみて感じる事は、どんなレンズにもどこかに優れたポイントがあるという事です。又、レンズの良し悪しの評価は人によって変わるので、高性能=いいレンズとは言えないと思います。
インフレしていると言ってもいい多くのレンズが存在しますが、その中からお気に入りのレンズを見つけ出す、性能だけでは無くレンズを個性で選ぶ時代になったと言えるでしょう。
2021年にテストした38本の新製品レンズから、心に残った、自分でもちょっと欲しいなと思ったレンズを10本選びました。
あくまで担当の主観で選んでいますので、その点はどうかご了承下さい。又、出来るだけ多くのメーカーが入るよう1メーカー1本の縛りを儲けました。
※掲載した順番はテストした順番で、順位ではありません
新しいGマスターのレンズが発売される度に、その性能の高さに驚かされます。
標準の50mmはメーカーの顔となるレンズというだけでなく、F1.2といった大口径のレンズを設計できる技術力をアピールし易い焦点距離なので、各社F1.2のレンズをラインナップに加え、性能の高さを競っているように見えます。
FE 50mm F1.2 GMは画質的に高いレベルにある事は勿論、比較的コンパクトなデザインも特徴的なSONY Gマスターの良さを満喫出来る高性能レンズです。
私がフジヤカメラに入社した30年前は「ボケ味」などという事を言うのは一部のマニアだけだったように思います。
最近ではボケ味の美しさを意識して設計された、ボケ味を売りにしたレンズも多く販売されるようになって、レンズ性能の一部として市民権を得ている印象です。
大口径の単焦点レンズでは尚更で、勿論SONY Gマスターのシリーズはそういった意味でも超一流のレンズとなります。
フジヤカメラのブログでも、稀に高額なレンズをテストする仕事が舞い込んで来ます。Leica アポ・ズミクロンM f2/35mm ASPH. 11699 のテストもそんな案件のひとつでした。
通常ならSONYのカメラにマウントアダプターで装着してテストするMマウントのレンズですが、それではLeica様に申し訳ないと、慌てて同社のミラーレス一眼カメラを準備しました。
写りは勿論、カメラの作り出す空気感までトータルで写真に対する頑固なまでの哲学があるメーカーなので、そんな思想を崩したくなかったのです。
撮影中は少し緊張しました。
テスト撮影を終えて、パソコンの画面で画像を確認しながら、これがLeicaの写りかとしみじみと感動した事を覚えています。高性能という言葉が陳腐に感じる何かを感じる写りで、デジタル信号の塊の中に何か絵画的な、有機的なものが感じられます。
Leicaで撮ったというプラシーボもあったと思いますが、そう思わせてくれるところもLeicaがLeicaたる所以なのでしょう。
どこか職人堅気で、とんでもなく高性能だが面白味がない印象のNikonレンズの中にあって(褒めています)、NIKKOR Z MC 50mm f/2.8は庶民的な趣のとっつきやすいマクロレンズです。
標準レンズとしても使える汎用性の高い焦点距離は、むしろ近接撮影も出来る標準レンズと言った方がしっくりくると感じました。
性能を高める為にミラーレス一眼用でありながら大柄なレンズが多い昨今、アマチュアカメラマンでも気軽に持ち歩ける大きさ重さなのも好感をもった要因のひとつです。
Nikonのミラーレス用高性能シリーズSラインではありませんが、性能的にも非常に高いレベルにあります。
そんな処にリーズナブルな製品でも手を抜けないNikonの職人堅気気質がにじみ出ていて、面白味が無い中に親近感を覚えるレンズです。
一般的な100mm前後の中望遠マクロよりも被写界深度が深くなり、ピントという面で使い易いので、マクロレンズ入門としても最適と言えるでしょう。
Voigtlander(フォクトレンダー)がFUJIFILM Xマウントに参入すると聴いた時には心躍りました。
FUJIFILMのカメラが作り出すフィルムライクな写りと、個性的なフォクトレンダーの描写はベストマッチだと思ったからです。
実用としての写りだけでなく、見た目的にも古いレンジファインダーのようなデザインが引き立つと思い、テストカメラにはPro3を選びました。
描写の個性でベストマッチと感じるフォクトレンダーですが、Mマウントのレンズはマウントアダプターでミラーレス一眼に装着するとフリンジが発生する事が多く、モノクロ以外では使いづらい部分がありました。
電子接点付きのモデルの登場は、そういった意味でも大きくプラスに働きます。
魅力的なフィルムシミュレーションを使ったカラーでの撮影を安心して行えるようになった事で、フォクトレンダーの価値が大幅にプラスになったと感じました。
等倍を超える1.4倍の撮影倍率、ピント面をソフトにコントロール出来るSAコントロールリングなど、数十年あまり代り映えしなかった中望遠マクロに新たなエッセンスを詰め込んだレンズです。
かつては業界の先頭を素晴らしい速さで走っていたCanonですが、最近は周りの動向をみて、より良い製品を市場に投入して来る、落ち着いた横綱相撲を見せる事が多かっただけに、こういった最先端を行く製品を投入して来た事を嬉しく感じました。
テストする身としても、今までに無い機能があるとテンションが上がるものです。
性能的にも非常に高いレベルにあるレンズです。
マクロ撮影の際は勿論、無限遠側でも驚く程の解像感を見せてくれるレンズに「Canonがより高画素のセンサーを開発しているのでは?」と思ってしまうのは考えすぎでしょうか。
一眼レフ時代から定評のある、マクロレンズとは思えないフォーカススピードの速さも健在で、レンズの使い勝手を大幅に向上させています。
超広角でもボケは楽しめる、超広角こそボケを楽しもう、そんな気にさせてくれた24mm F2 DG DN | Contemporaryは、個人的に広角レンズが苦手という意識を少し拭ってくれた気がします。
個性的なボケ味とシャープ過ぎない描写はもしかしたら好みの分かれるレンズかもしれませんが、同社のIシリーズは個人的に大好きなレンズシリーズです。
明るい単焦点をテストする際は周辺光量補正をOFFにするのですが、それがバッチリハマったのもレンズの印象が良くなった要因のひとつです。
毎回の事ですが高い質感を持ったデザインも秀逸で、レンズを撮る為の道具以上に感じさせてくれます。
滑らかなフォーカスリングの動きなど、レンズ性能だけでなく撮る際のフィーリングでも質の高さを体験させてくれる、SIGMAのポリシーを感じる逸品です。
速ければいい車とは言えないように、高性能ならいいレンズとは言えません。24mm F2 DG DN | Contemporaryは、そんな、写真家と道具の関わり方を感じさせてくれるレンズなのではないでしょうか。
GR IIIxはカメラですが、GRレンズと呼称されるようにレンズにその個性の半分をゆだねているので、レンズ10選の中に加えました。
既に多くのクリエーターから評価の高いGR IIIの標準レンズ搭載モデルとなりますが、画角だけが変わった統一感のある描写で、フィルム時代から受け継がれるGRの歴史に新たな息吹を吹き込んだモデルです。
35mmでは無く、最近のトレンドとなる40mmを選択しているあたりも、GRらしい意志を感じます。
実は個人的に28mmという画角に苦手意識があります。
なんだか個性の無い普通の写真しか撮れないイメージがあって好んで28mmを使う事はありませんでした。
よってGRについてもテスト以外で使う機会はまず無かったのですが、好みの40mmのモデルがラインナップに加わった事で、使ってみようかなと思えるカメラになってくれたのもありがたいところです。
2021年にテストしたレンズの中で、使っていて最も楽しかったレンズのひとつです。
理由は被写体に選んだ猫の撮影にベストマッチだった事によると思います。それこそ思い通りに撮影する事が出来て、猫の撮影をする為に開発された、専用レンズなのでは?と思えるくらいでした。
勿論そんな事はありませんが、年に数回、本当にビックリするくらい被写体とレンズがマッチする事があって、35-150mm F/2-2.8 Di III VXDもそんなレンズの一本でした。
広角側のみとは言えF2.8を超える開放F2からのズームレンズは、使う前からワクワクしました。
今まで見たことが無いスペックの製品をテストするのは、性能だけをアップグレードした製品をテストする時とは違ったワクワク感があります。
一言で言えば、今まで出来なかった事や撮れなかった写真が撮れるんではないかという期待感だと思うのですが、上がった気持ちが撮影にも現れた楽しいテスト撮影となりました。
2021年、メーカー的に色々とごたごたのあったOM SYSTEMの新しい船出を飾るように発売されたレンズは、人気の35mm判換算40mmとなる単焦点レンズでした。
メーカーからの強い意向で撮影地を高尾山に選びましたが、なにも標準レンズのテストを高尾山でしなくても?と僅かな不満を抱えながらのテストです。
しかし、実際に使ってみると、コンパクトなデザインは歩くのの邪魔にならず、50mmより僅かに広い画角はレンズの汎用性を高めてくれて、思いのほかしっくりとくる撮影となりました。
思い返してみればOM SYSTEMの得意とするコンパクトさ、高い防塵防滴性能はいずれも登山に向いた特徴です。
高尾山のような低山だけでなく、もう少し本格的な山行にこそ真価を発揮するレンズと言えるかもしれません。
50mmより広い画角、35mmより大きなボケという、マイクロフォーサーズでは使い易いスペックなのも標準レンズとしての価値を高目ていると感じます。
素晴らしく高性能な製品をラインナップしながら、何となく宣伝下手で評価されない印象のPanasonicのレンズです。
動画での撮影を意識している為か画質の均質性が高く、開放では硬くなりすぎない写りで、尖った個性は無いもののかなり好感度の高いレンズでした。
Panasonicに家電メーカーというイメージを抱いているユーザーにこそ使って欲しい、写真らしい描写のレンズです。
S5が無ければ価値が低くなってしまったのではと感じるくらい、S5との相性の良いレンズだと思います。
デザイン的にも描写的にもこの組み合わせはベストマッチのひとつで、ストレスなく撮影する事が出来ました。
組み合わせるボディによってレンズの印象が変わる事がありますが、こんなベストな相棒があるのはシステムとしての魅力に花を添えているのではないでしょうか。
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2021年は、Canon EOS R3、Nikon Z9、SONY α1、7IV、PENTAX K-3 MarkIIIといった名だたる名機が発売され、カメラの新製品も熱い1年でした。
私自身も新たな被写体にチャレンジしたりして、所謂フラッグシップ機と中級機の違いを、ピントやコマ速といった事で定量的に見せられ、やはりフラッグシップは凄いと、強烈に実感出来た年だったと思います。α6400をα1に変えただけで成功率が軽く10倍以上になったのは、驚きを超えてあきれるレベルでした。被写体にもよりますが、やはりフラッグシップ機の性能には驚くべきものがあるのです。
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ミイラ取りがミイラになると言いますが、フジヤカメラのスタッフなどミイラがミイラ取りをやっているようなものなので、30年の長きにわたりスタッフをしていても、毎年のようにカメラやレンズを買ってしまうものなのです。
先にフジヤカメラ的ベストレンズと言いながら、自分で買ったレンズはかすってもいないので、良いと感じたものと、実際に購入するものは意外と一致しないのかもしれません。
カメラ店の店員がどんなレンズを購入して使っているのか、恥ずかしながら参考になればと載せてみた次第です。
2020年のベストレンズに選んでいるので、多少はかすっているかもしれません。
全域でF2.8の大口径ズームでありながら、望遠端を一般的な200mmでは無く180mmとする事で驚くほどのコンパクトさを実現している大口径望遠ズームです。
本体がコンパクトな事は勿論、フィルター径が67mmと比較的小さいので、ブラックミストやNDフィルターなど幾つかのフィルターを頻繁に使いながら撮る身としてはとてもありがたいレンズとなっています。フィルターのコストも大口径となってくると馬鹿にならないですからね。
非常にコンパクトな開放F2.8の大口径標準ズームです。
望遠はTAMRONを使いながら、標準ズームはSIGMAを使うのは、各メーカーに出来るだけ公平にお金を落としたいと願うカメラ店店員の性でしょうか。実はいずれのレンズもフィルター径が同じ67mmである事はさりげなくチェックしてあります。
写真用として高性能な事は勿論、ズームの動きが素晴らしく滑らかなので、動画撮影時のズーミングによる表現がし易いというのも、購入の動機のひとつです。
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・2021年も高画素に対応した高性能レンズが多数発売
・レンズメーカーが相変わらず元気
・レンズは個性で選ぶ時代に
・等倍を超えるマクロレンズや開放F2スタートのズームなど尖ったスペックを持ったレンズも発売
・40mmの標準レンズが流行
・2021年発売のレンズで自身で購入したのはSIGMA(シグマ) 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary