Panasonic(パナソニック) LUMIX S 35mm F1.8 の実写レビューです。
フルサイズセンサーカメラ用の軽量な広角レンズは、シンプルで高品位なデザインと、ボケ味や解像感といった高いレンズ性能が魅力のレンズとなっています。Panasonic L-mountでシリーズ化されている、F1.8単焦点シリーズの1本で、レンズ交換しても統一感のある映像が作れる、映像制作にもおすすめのレンズです。
今回は単焦点1本だけ持つならこのレンズと言われる、自然な描写が魅力の35mm広角レンズの画質、使用感、メリット、デメリットなどをご紹介します。
特徴/操作性
コンパクトなLマウントF1.8シリーズの第四弾
非球面レンズ3枚、EDレンズ3枚を使用した高い光学性能
シンプルで使い易いデザインと、滑らかな操作性
実写レビュー
自然な遠近感とF1.8の大きく美しいボケ味
柔らかく立体感に富んだ写真らしい描写
適度なサイズとシンプルで扱い易い操作性
軽量で普段から常に持ち歩きたいレンズ
画質
解像感
周辺部画質/フリンジ
フレア/ゴースト
比較
他社の同スペックレンズと比較して、約20%軽量
おすすめユーザー
LUMIX S 35mm F1.8 Sのメリット
LUMIX S 35mm F1.8 Sのデメリット
こんな方におすすめ
まとめ
Panasonic(パナソニック) LUMIX S 35mm F1.8 は、コンパクトなデザインと一貫性のある描写性能を持つF1.8単焦点シリーズの4本目となるレンズです。
シリーズ共通のシンプルなデザインは、アート指向のカメラマンに好まれる単焦点レンズの良さを存分に味わえる上質な造りとなっています。
今回のテスト撮影のように300gを切る重量を活かした気軽に持ち歩いて瞬間を切り取るスナップ写真は勿論、F1.8の明るさを活かしたポートレートなど幅広い場で活躍しそうです。
非球面レンズ3枚、EDレンズ3枚を使用した贅沢な設計で高性能なレンズです。
開放では極端なシャープさは示しませんが、写真らしい立体感のある写りで周辺光量も適度に低下するので(周辺光量補正OFF時)、単焦点レンズに表現の幅を求めるカメラマンにおすすめと言えるでしょう。
少し柔らかい描写はシネマチックな動画撮影にも向いていますし、F1.8単焦点シリーズは描写についても統一感のあるものとなっているので、複数本のレンズを併用する映像制作にも向いていると思います。
フォーカスリングとAF/MF切り替えスイッチだけのシンプルなデザインは、防塵防滴仕様で堅牢性にも優れています。
使ってみて特に感じたのはフォーカスリングの滑らかさで、大きく動かす時でも細かく調整する時でも引っかかりの無い非常に扱いやすいものでした。
フォーカスリングに変な抵抗があると、滑らかなピント移動が難しくなりますが、LUMIX S 35mm F1.8は動き出しから滑らかなので、ピントの移動を表現として使う映像制作でも使い易い仕様と言えるでしょう。
フィルター径 | 67mm |
---|---|
最短撮影距離/最大撮影倍率 | 0.24m/0.22倍 |
最小絞り | F22 |
絞り羽根 | 9枚羽根 円形虹彩絞り |
長さ | 約82.0mm |
重量 | 約295g (レンズフード、レンズキャップ、レンズリアキャップを含まず) |
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35mmは、単焦点レンズを一本だけ持つならこの焦点距離と言われるように、適度にワイドな画角と自然な遠近感で目で見た感覚に近い状態で被写体を写し取れるレンズです。
ワイドレンズは広い範囲が写るので、ともすると構図を決めるのに苦労する事がありますが、単焦点レンズの明るいF値を使って不要なものをピントの外に置く事で構図を工夫する事も出来ます。
作例はウィンドウのポスターにピントを合わせていますが、35mmの画角のおかげでガラスに写った風景が大きく写り込み、情報量の多い写真になりました。
極端にシャープなレンズでない事が幸いしてか、美しいボケ味と柔らかい諧調表現を得意とするレンズです。
作例はコントラストの低い光線下での撮影ですが、美しいボケ味と諧調の豊かさが際立つ少しシネマチックな写真になりました。
最短撮影距離:0.24m、最大撮影倍率:0.22倍と比較的近接にも強いので、美しいボケ味を活かすシーンも多くなるでしょう。
描写性能について一言で言うなら、硬すぎない写真らしい描写のレンズだと言えます。
高い解像感がありながら鋭さを感じる事は無く、物を物らしく写し取る写真らしい表現を得意とするレンズだと感じました。かなり贅沢なレンズ設計から、極端にシャープな描写を想像していたのですが、想像はいい意味で裏切られました。
ドイツの老舗カメラメーカーのような、写真に対する哲学を感じる描写です。
立体感に富んだ描写とボケの美しさのおかげか、ピントの合っていない部分でも写っているものがわかる中間的なボケを積極的に使いたくなるレンズでした。
35mm f1.8というスペックは、被写体との距離があると開放でもボケが少し中途半端になってしまい、F1.4やF1.2といった大口径が欲しくなる事があります。
しかし、LUMIX S 35mm F1.8の立体感に富んだ描写は、少し中途半端な中間的なボケでも写真が眠くなる事が無く、積極的に使いたいと思えたのです。
適度なサイズ感とシンプルで扱い易いデザインが、撮影のストレスを小さくしてくれました。
スナップは一瞬を切り取る写真である為、カメラを構えてシャッターを切るまでの手間と時間は、容易で短くあるべきだと思います。
今回、テストボディにはLUMIX S5を使いましたが、コンパクトなLUMIX S 35mm F1.8 とのマッチングは良好で、あまり考えずに感覚を優先してシャッターを切れる、スナップには最高の組み合わせだと感じました。
コンパクトなカメラ、レンズの組み合わせは、体制の苦しいアングルでの撮影にも威力を発揮します。
片手でカメラを持ち上げながら撮るような際でも、手ぶれなくシャープに撮りたいなら、軽量である事は大きな武器となるのです。
作例は近接開放のピントが難しい条件ですが、軽量な組み合わせのおかげでカメラをしっかりと固定する事が出来ました。
自然で扱い易い描写と、明るいF値、軽量でコンパクトなデザインは、普段から常に持ち歩く常用レンズとして最適でしょう。
標準域はズームが無くても自分が前後する事で画角の調整がやり易いので、ズーム出来る事よりF値が明るい事によるボケの大きさの方が、写真を表現するメリットとして大きいのではないでしょうか。
そういった意味で、ズームレンズから単焦点レンズにステップアップする初めてのレンズとしてもおすすめです。
普段から持ち歩けるという事は、それだけシャッターチャンスに巡り合える可能性も多くなるという事です。
見慣れた街並みがカメラを持っているだけで違ったものに見えてくる。写真にはそんな不思議な力がある気がします。
散歩や街歩きなど、LUMIX S 35mm F1.8はそんなちょっとした時間も持ち歩きたくなるレンズです。
有機的な柔らかさを持ったレンズですが、高い解像力を併せ持っています。
硬い→柔らかいを画像処理で行うのは少し難しいですが、柔らかい→硬いは比較的簡単なので、画像処理向きの画質と言えるかもしれません。
作例を拡大して解像感を見てみます。
高解像で立体感に富んだ質感の高い描写です。
開放から十分以上に高性能なので、S1Rなどの高画素機でも安心して使えそうです。
LUMIX S 35mm F1.8は、画質の均質性という意味でも優秀です。
解像感の作例と同じ画像の周辺部分を拡大して画質を見てみましょう。
中心付近と比べてわずかに眠さを感じますが、開放での画像である事を考えるとかなり良好な部類に入ると思います。画像ではわかりずらいですが、周辺部ではごくわずかにフリンジの発生も見られました。
動画では問題となる事が多い画質の均質性という意味でもLUMIX S 35mm F1.8は優秀な部類に入ると言えるでしょう。
今回、120枚ほど作例を撮影しましたが、はっきりとゴースト、フレアの発生したカットは数枚だけでした。
それもゴーストを発生させる為にわざと強烈な逆光線を選んで撮ったカットのみだったので、逆光耐性はかなり高いレベルにあると考えて良さそうです。
緑の丸の中にある小さな点がゴーストです。言われなければわからないレベルだと思います。
実は同じアングルで開放F1.8にするとゴーストが出なくなったので、気になる時は絞りを変えてみるのもおすすめです。
Panasonic(パナソニック) LUMIX S 35mm F1.8 はコンパクトなレンズではありますが、他社製品と比較して圧倒的に小さいというわけではありません。
ライバル製品と比較して勝っているのは大きさよりも重さで例えば、Nikonの同スペックのレンズは約370g、Canonのものは305gなので、ライバルメーカーと比較して軽量なレンズとなります。特にNikonの製品と比べると20%ほど軽量になります。
LUMIX S 35mm F1.8 はの第一の長所として挙げたいのはその描写性能です。
高い解像感を持ちながら硬くなり過ぎない諧調や立体感に富んだ描写は、明るい単焦点レンズというスペックとも相性が良く、表現を楽しみたくなるレンズだと感じました。
勿論、Panasonic がユーザーとして多分に意識しているであろう動画カメラマンにもおすすめで、カラーグレーディングを前提としたシネマチックな映像にはピッタリな描写と言えるでしょう。
レンズとしての短所は無いように感じられるLUMIX S 35mm F1.8ですが、敢えて言うならボディの選択肢が少ない部分が少し不満です。
味わいのある描写とコンパクトさの両方を活かせるボディは、いまのところPanasonic S5とSIGMA fpとなるでしょうが、2機種ではやはり少し寂しい感じがします。
とは言えコンパクトなS5との相性は抜群なので、ユーザーなら是非手にしたいベストマッチなレンズの1本だと思います。
先に書いたとおりS5ユーザーには手放しでおすすめのレンズです。
Panasonicのフルサイズミラーレス一眼の中でもコンパクトなS5はスナップ撮影にも向いたカメラなので、ベストマッチと言っていい組み合わせと言えるでしょう。
又、同じ単焦点F1.8シリーズのレンズと組み合わせて、統一感のあるシネマチックな映像制作をしたいユーザーにもおすすめです。
Panasonic(パナソニック) LUMIX S 35mm F1.8 は、高い描写性能と美しいボケ味を持った、単焦点レンズの良さを満喫出来るレンズです。
性能的に高いレベルにあるのは勿論、ボケの美しさや立体感など写真を表現する為の要素が高い次元でバランスされていると思います。
Panasonic S5など、コンパクトなボディと組み合わせてのスナップ撮影は勿論、美しいボケ味を活かしたポートレート、シネマチックな動画撮影にもおすすめです。
フジヤカメラでは、Panasonic(パナソニック) L-mount レンズの中古商品を多数取り揃えております。在庫は日々更新されますのでどうぞこちらからご確認下さい。
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