写真を趣味としている方なら、マクロレンズという名前を一度は聞いた事があると思います。
最近はズームレンズの最短撮影距離が短くなり、近接撮影もズームで対応している方が多いと思いますが、近接専用に設計されたマクロレンズは、より被写体に接近して大きく写す事が出来るので、肉眼では捉えられない独特の世界観で写真を撮ることができます。
また、マクロレンズは単焦点レンズとしてのメリットもあり、用途が限定されるようで、持っていると意外と出番の多いレンズでもあります。
今回はそんなマクロレンズの選び方やマクロレンズならではのポイント、おすすめのレンズをメーカー毎にご紹介します。
マクロレンズとは
マクロ撮影
接写とは
接写できるレンズ
単焦点レンズのメリット
シャープで明るい写真が撮りやすい
ボケ味を活かせる
マクロレンズの選び方
マウントやセンサーサイズをチェック
最短撮影距離と撮影倍率を確認しよう
用途に合わせてマクロレンズの焦点距離をチェック
シャープな写真を撮るなら、レンズ内の手振れ補正をチェック
マクロ撮影ではレンズが暗くなる!?
Nikon(ニコン)のおすすめマクロレンズ
NIKKOR Z MC 50mm f/2.8(Zマウント/フルサイズ)
NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S(Zマウント/フルサイズ)
canon(キヤノン)のおすすめマクロレンズ
RF100mm F2.8 L MACRO IS USM(RFマウント/フルサイズ)
SONY(ソニー)のおすすめマクロレンズ
FE 90mm F2.8 Macro G OSS(Eマウント/フルサイズ)
オリンパスのおすすめマクロレンズ
M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm F3.5 Macro(マイクロフォーサーズ)
OMSYSTEM M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 MACRO IS PRO
M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro(マイクロフォーサーズ)
タムロンのおすすめマクロレンズ
SP 90mm F/2.8 Di MACRO VC USD(一眼レフ用)
SIGMA(シグマ)のおすすめマクロレンズ
70mm F2.8 DG MACRO | Art(一眼レフカメラ用)
105mm F2.8 DG DN MACRO | Art(フルサイズミラーレスカメラ用)
PENTAX(ペンタックス)のおすすめマクロレンズ
HD PENTAX-DA 35mmF2.8 Macro Limited(APS-Cカメラ用)
HD PENTAX-D FA MACRO 100mm F2.8 ED AW(フルサイズ対応)
FUJIFILM(富士フイルム)のおすすめマクロレンズ
フジノンレンズ XF30mmF2.8 R LM WR MACRO
フジノンレンズ XF60mmF2.4 Rマクロ
フジノンレンズ XF80mmF2.8 R LM OIS WR Macro
フジノンレンズ GF120mmF4 R LM OIS WR Macro(Gマウント)
まとめ
マクロ撮影とは被写体に近づいて撮影する、いわゆる接写のことで、マクロ撮影を行うためのレンズのことをマクロレンズといいます。
接写とは、被写体に近づいて撮影することをいいます。明確にここからが接写という基準はありませんが、花や昆虫、小物といった小さな被写体を撮影することを言う場合が多く、クローズアップ撮影とも呼ばれます。
マクロレンズは近接で描写性能が高くなるように設計されるのが普通ですが、レンズによっては全域で非常に高性能なものも存在するので、これもマクロレンズの定義としては曖昧と言えるかもしれません。
このように、マクロレンズの定義は難しいですが、一般的には撮影倍率が等倍(撮影倍率については後ほど解説)を超えるレンズをマクロレンズというようです。一部1/2倍のマクロレンズもありますが、これはハーフマクロといって撮影倍率が1/2であることがわかるように呼称されています。
マクロレンズのほとんどは単焦点レンズです。そこで、単焦点レンズのメリットを解説していきます。
マクロレンズの大半は単焦点レンズであるため、通常F2.8前後の明るいレンズであることがほとんどです。明るいレンズはシャッタースピードを速くできるので、暗い場所でもブレずにシャープな写真が撮れます。特に、50mm前後の標準マクロは、一般の撮影でも使いやすい汎用性の高い画角なので、マクロレンズとしてだけでなくシャープで明るい写真を撮りたいという方にもおすすめです。
ピントが合う範囲である被写界深度は、絞り値が小さいレンズほど浅くなります。絞り値が小さいレンズほど浅くなるので合わせたい被写体にしかピントが合いません。つまり、絞り値が小さくなるほどボケを活かした写真を撮りやすくなるというわけです。特に、マクロレンズで人気の高い90~105m前後の中望遠マクロはボケを大きくしやすいので、背景を大きくボカしたいポートレート撮影におおすすめです。
このように、マクロレンズは接写としてだけでなく、単焦点レンズとしての特徴も持ち合わせているので、使い方次第で思いのほか用途の広いレンズといえるでしょう。
一眼レフやミラーレスカメラは、カメラ本体に交換レンズを装着して使います。この装着する部分の規格のことを「マウント」といいます。マウントはメーカーごとに違うので、マクロレンズを購入する際はマウントが合っているかを必ず確認しましょう。
同じメーカーでも一眼レフとミラーレスでマウントが違ったり、センサーサイズによって装着出来ないケースもあるので注意が必要です。また、カメラとレンズの組み合わせによっては、マウントの種類を変換するマウントアダプターが発売されているケースもあるので、どうしても使いたいレンズがある場合は調べてみるといいでしょう。
マクロレンズがどのくらい被写体に近寄れて、どのくらい物を大きく撮れるかの指標となる値に最短撮影距離と撮影倍率があります。
最短撮影距離は被写体にどこまで近寄れるかを表す値で(通常は被写体からセンサー面までの距離)、最短撮影距離よりも近づくとピントが合いません。
撮影倍率は被写体がセンサー上にどのくらいの大きさで記録されるかを表す値で、1cmがセンサー上に1cmで記録される撮影倍率を等倍(1/1倍)といいます。
最短撮影距離が同じでもレンズの焦点距離が違うと撮れる被写体の大きさは変わるので、通常マクロレンズが被写体をどのくらいの大きさで写せるかは撮影倍率で表されます。
しかし、現在のデジタルカメラにはセンサーサイズが幾つかあり、撮影倍率が同じでもセンサーサイズにより撮れる大きさは変化するので、撮影倍率も絶対的な値とは言えないかもしれません。例えば、直径20mmの一円玉をフルサイズセンサー(約36.0mm×24.0mm)で撮るとタテ方向がほとんどいっぱいに撮れますが、マイクロフォーサーズ(約17.3mm×13.0mm)で撮ると画面からはみ出すほど大きく撮れる、というようにです。
マクロレンズには広角から望遠まで幾つかの焦点距離が用意されていますが、100mm前後の中望遠が最も人気があります。
望遠では被写体までの距離(ワーキングディスタンス)は遠く出来ますがピントが極端に薄くなり(被写界深度が浅くなり)扱いが難しくなります。標準はピントの合う範囲は広くなりますが、被写体にかなり近づかなければなりません。そういったワーキングディスタンスと被写界深度のバランスががいいのが100mm前後ということになるためです。
ちなみにマイクロフォーサーズなどの小さなセンサーサイズは、望遠レンズの焦点距離が短く、また、同じ撮影倍率なら画面上に物を大きく捉えられるので、マクロ撮影で使いやすいシステムといえるでしょう。
マクロ撮影ではレンズの手ぶれ補正の効きが弱くなってしまいます。特に等倍付近ではほとんど効かないので、シフトブレも補正出来るカメラ側の手ぶれ補正を使うか、三脚などのカメラを固定出来る機材を用意しましょう。
例外はCanon(キヤノン)のハイブリッドISで、完全ではないものの、他のレンズ内手ぶれ補正と比べて近接時の手ぶれ補正の効きも良好なようです。
マクロ撮影時には、レンズの開放F値が暗くなってしまいますので注意が必要です。
レンズの明るさを表すF値は、大雑把に言えばレンズの大きさと焦点距離の比率ですが、近くを撮る際にレンズは伸びる=センサーからの距離が遠くなるので、焦点距離が長くなったのと同じ事が起り、実効F値が無限遠側よりも暗くなってしまうのです。
これにより特に等倍に近いマクロ撮影ではシャッタースピードが遅くなってしまいがちで、手ぶれに気を付けなければなりません。
マクロ撮影では特殊な露出補正が必要なの?と思われるかもしれませんが、現在広く使われているデジタル一眼カメラの露出計は、レンズが実際に通った光を計っているので(TTL方式)、F値が暗くなったことは織り込み済みとなります。ですので、マクロ撮影だからと特別な事は必要ありませんが、実効F値が暗くなっていることは、頭の片隅に入れておいてもいいと思います。
ちなみにカメラによってはマクロ撮影時に暗くなったF値(実効F値)を計算して表示できる機種があります(Nikonなど)。たまに「開放にならない」という質問を受けることがありますが、ピントを無限遠にすると開放F値が表示されるので、安心して下さい。
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35mm判換算180mmとなる望遠マクロレンズは、スーパーEDレンズ 2枚、EDレンズ 4枚とスーパーHRレンズ、HRレンズをそれぞれ1枚使用した贅沢な設計で非常に高性能なレンズとなっています。
マイクロフォーサーズマウントは非常にピントが薄くなるマクロレンズでも適度に被写界深度を稼げるので、望遠マクロとしては非常に使いやすいのも特徴です。
ハイレゾショットや深度合成などOMSYSTEMカメラとの相性が非常に良いのもM.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 MACRO IS PROの大きなメリットです。
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Xシリーズ用交換レンズ「XFレンズ」の標準マクロレンズです。高速・高精度かつ静音なAFやコンパクトな設計により、高い機動力を発揮します。
最大撮影倍率は等倍(35mm判換算:1.5倍相当)の本格的なマクロレンズとしてだけでなく、標準30mm(35mm判換算:46mm相当)の扱いやすい焦点距離を活かした、自然なポートレートやスナップ撮影にも幅広く活躍できるレンズです。
発売は2012年なのでXマウント創成期からあるベストセラーレンズです。
オートフォーカスが遅い、マニュアルフォーカスが扱いずらいなどの短所はあるものの、扱いやすい画角、コンパクトなサイズ、リーズナブルな価格でいまだに多くのファンを持ちます。
FUJIFILMのレンズらしい柔らかくフィルムライクな写りもポイントです。
高性能で使い勝手の良い中望遠マクロレンズです。
通常の中望遠マクロよりも僅かに画角が狭くワーキングディスタンスが稼ぎやすい上、リニアモーターを利用した高速なオートフォーカスを持っておりフィールドで使いやすいレンズとなっています。
フィルムシミュレーションとの相性も良く、鮮やかで深みのある美しいマクロ撮影はFUJIFILMならではの世界観と言えるでしょう。
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マクロレンズの選び方とおすすめのマクロレンズを13種紹介しました。マクロ撮影は通常の撮影とは違う幾つかのポイントがあるので、昔は少し難しい撮影でしたが、レンズを通った光を測るTTL露出計や、実写を確認しながら撮れるライブビューなどの普及で、昔に比べて格段に扱いやすくなったと思います。
高性能で使いやすいマクロレンズが多く開発されたこともその理由のひとつで、撮影のスタイルや被写体に応じて好みのレンズを選択出来るようになりました。焦点距離やF値はもちろん、ボケの美しさや対応するセンサーサイズなど、使い易い、相性のいい一本と出会えれば、マクロ撮影がより楽しくなるでしょう。
Photo & Text by フジヤカメラ 北原