SIGMA(シグマ) 105mm F2.8 DG DN MACRO | Art の実写レビューです。
SIGMA(シグマ)というと70mmのカミソリマクロが有名ですが、フルサイズミラーレス一眼カメラ用のDG DNレンズとして最初に登場したのは一般的な105mmのマクロレンズでした。
SIGMA(シグマ)105mm F2.8 DG DN MACRO | Artは、先に発売された、DG DNの85mmと同じくボディのレンズ補正機能を積極的に利用する事で、解像力を極限まで高めています。
フィルター径: | 62mm |
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最短撮影距離/最大撮影倍率: | 29.5cm/1:1 |
絞り: | 9枚(円形絞り) |
最小絞り: | F22 |
長さ: | 135.6mm(SONY E)/133.6mm(L) |
重量: | 710g(SONY E)/715g(L) |
その他: | 防塵防滴機構 |
付属品: | ケース、フード(LH653-01) |
非常に薄いピントとなるマクロ撮影では、精度や、ピント位置の厳密な調整を行う必要がある事から、マニュアルフォーカスでピント合わせをする事も多いと思います。
SIGMA(シグマ) 105mm F2.8 DG DN MACRO | Art のピントリングの動きは非常に滑らか、バイワイヤ方式の動作スピードもナチュラルで、MF時の操作感は良好です。
1/3クリックの絞りリングがある事も、通常撮影からマクロ撮影に、絞りを大きく動かさなければならないマクロレンズでは便利です。
又、絞りクリックのキャンセル機能は動画時に使うというイメージですが、写真でも、画面を見ながら背景のボケ感を確認しつつ微妙な絞り値を決める、といった使い方も出来ます。
高い品質で作られた鏡筒は、例えば良く使うAF/MF切り替えスイッチが左手の親指がかかりやすい場所に設置されていたりと、ユーザー目線に立った作りだと感じました。
先ずはマクロ域でのテストです。
特別な撮影地でなくても、工夫次第で楽しく撮影出来るマクロ撮影なので、近所の公園を散歩しながらテスト撮影を行いました。
草むらに咲く可愛らしい花を見つけてシャッターを切りました。
ピンクの色は、緑一色の草の中でとても目立ちますが、何の為なんでしょうか?目立つことに意味が無いような気がしますが・・・不思議です。
シグマらしい滑らかで美しいボケ味に、ファインダーを覗いた瞬間からワクワクして来ます。
マクロ撮影の難しさは、なんといってもピントだと思います。
厳密に合わせようと思ったら、三脚にカメラを載せてマクロスライダーを使うといった方法もありますが、フィールドでは風もあるので、手持ちの方が便利な事が多いです。
そんな時、キビキビ動くオートフォーカスは大きな助けになってくれます。
先の花を上から等倍ギリギリで撮影しました。
1cmに満たない小さな花ですが、等倍近くだとここまで大きく撮影する事が可能で、やはり1:1のマクロ撮影は楽しいと感じます。
マクロレンズとして、一番ポピュラーな105mmという焦点距離は、被写体までのワーキングディスタンスも十分に取れ、フィールドでは使い易い画角です。
素早く動き回る昆虫の撮影は困難を極めますが、食事に夢中だったところを狙ってカメラを構えたところ、こちらに気付き顔をあげた瞬間、シャッターが切れました。
カミソリの異名を持つ同社の70mmマクロレンズは、その名の通り非常にシャープで高性能なレンズですが、こういった写真では、被写体との距離を取れる105mmの方が使い易く感じます。
あと数センチ近づいたらイナゴは逃げてしまったかもしれません。
昆虫を撮るなら食事中が一番いいかもしれません。それでもシャッターチャンスはほんの数秒に過ぎません。
多くのマクロレンズが採用する90~105mm程度の中望遠レンズは、被写体との距離感と被写界深度とのギリギリのバランスで、使い易いです。
順光の恵まれた光線下で、このカットは非常に高い解像感で撮影出来ました。
105mm F2.8 の中望遠レンズは、マクロレンズとしてだけ使うのは少々勿体ないレンズです。
超高性能で柔らかいボケ味は通常の撮影でも十分以上にその真価を発揮します。
通常はラベルの裏側に示される事が多い、ワインのデータがラベルに印刷されたワインの瓶が珍しいです。
蔵元の限定醸造品という事でこのデザインになったと思いますが、洒落た色使いのラベルと緑色のガラスが逆光線に透かされて綺麗です。
ボケの美しさを意識しつつオーバー露出でシャッターを切りました。
ワイングラスで名高いリーデル社は、ブドウの産地や品種ごとに、適した形のワイングラスを多数取り揃える世界的メーカーです。
ガラスに反射した光が、SIGMA(シグマ) 105mm F2.8 DG DN MACRO | Artの美しいボケの中に踊って綺麗です。
ちなみにリーデル社のグラスには日本固有のブドウ品種である「甲州」のグラスもあるそうです。
ワインの蔵元では、試飲をさせてくれる蔵も多く、ワイン好きには大きな楽しみとなっています。
ワインが劣化しないよう特殊な容器からワインが注がれる一瞬にシャッターを切りました。
今回は運転手なので飲めないのが残念です。
ワイングラスを使った不思議なオブジェが。
ワイングラスを下から見る事も少ないと思いますが、光を透かして綺麗です。
105mmの中望遠レンズは、物の形を象徴的に捉えるのにも最適です。
ワインの蔵も日本らしく入り口にはのれんが掛かっていました。
藍の日本らしい色とは裏腹に、モダンなデザインでワイン蔵らしい雰囲気が出ています。
このカットは、SIGMA(シグマ) 105mm F2.8 DG DN MACRO | Artが通常撮影でも驚くべき性能を持っている事を証明する一枚となりました。
詳しくは次の「画質」をご覧ください。
カミソリマクロに引けを取らない、非常に高性能なレンズで、モニターでピントを確認する段階で、性能の高さがわかりました。
拡大して解像感を見てみます。
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細かな繊毛や蕾の丸みなどが細かく写し取られ非常にシャープです。
性能的にはカミソリの異名を持つ70mmのマクロレンズと同等以上と考えて良さそうです。
枠内を拡大
物凄くシャープです。
細かい部分まで詳細に再現されており、毎回の事ですがSIGMA(シグマ)の凄さに圧倒されました。
SIGMA(シグマ) 105mm F2.8 DG DN MACRO | Art は、カメラ内レンズ補正を積極的に利用するタイプのレンズです。
特に歪曲収差はカメラ側の補正のON/OFFで違いが出るのでどの程度の差があるのか、比較してみました。
歪曲収差補正OFFでは、僅かですが糸巻き型の収差が出ているのがわかります。
補正を使うと若干画角が狭くなりますが、この焦点距離では問題となる事は少ないと思いますので、個人的には補正ONで使うのがいいと思います。
SIGMA(シグマ)らしい非常に高性能でボケの綺麗なマクロレンズです。
DG DNらしいコンパクトさも魅力で、操作性も申し分無く、現時点でのSONY Eマウント用の決定版的レンズだと思います。
実は、テスト撮影は一日だけにするつもり(マクロ撮影だけ)にするつもりだったのですが、あまりの楽しさと写りの良さに、延長して2日間、マクロと通常撮影の2つのレビューとなりました。
SIGMA(シグマ) 105mm F2.8 DG DN MACRO | Artはそんな魅力溢れたレンズです。
Photo & Text by フジヤカメラ 北原
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