OM SYSTEM M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PROレビュー × 荻窪 圭|ネイチャー撮影に最適な高性能望遠マクロレンズ

目次
OM SYSTEM M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PROの特徴
テレコン対応を使えばここまで寄れる望遠マクロ
90mmマクロを持ってフィールドへ出よう
深度合成撮影
解像力が高い望遠レンズとしても有能
新世代の望遠マクロ誕生か
作例に使用したレンズ & テレコンバーター
OM SYSTEM M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PRO / M.ZUIKO DIGITAL 1.4x Teleconverter MC-14 / M.ZUIKO DIGITAL 2x Teleconverter MC-20
作例に使用したカメラ
OM SYSTEM OM-1
まとめ
OM SYSTEM M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PROの特徴

新しい望遠マクロレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PRO」が誕生した。M.ZUIKOでは、最初に出た60mm、続いてカジュアルマクロともいえる30mmに続く3本目のマクロレンズだ。30、60、90と30mm刻みだ。
一眼レフからミラーレス一眼に移行して以来驚いているのは、最近のレンズってどれもかなり寄れること。
昔、50mmの標準レンズって最短撮影距離が50cmくらいで、もうちょっと寄りたいことが多々あったのだけど、最近のレンズだと、たとえば画角的に50mm相当になるM.ZUIKOの25mm F1.8は25cmまで、F1.2でも30cmまで寄れる。
標準ズームといっていい12-40mm F2.8のPROレンズだとズーム全域で20cmまで寄れる。撮影倍率でいえば0.3倍。35mm判換算なら0.6倍である。もう日常的な撮影では困らないレベルなのだ。
そういう時代のマクロレンズは何を目指すのか。さっそく「M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PRO」を使いながら試してみたい。

テレコン対応を使えばここまで寄れる望遠マクロ
「M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PRO」は453gでやや細目の望遠レンズ。太くないのでOM-1に装着したときのバランスもいい。

鏡胴はほどよい太さでOM-1に装着したときのバランスもいい。
開放F値がF3.5なので、35mm判換算だと180mmでF3.5の望遠レンズという感じだ。
マクロレンズなので、当然フォーカスリミッタースイッチがあるが、よく見ると見慣れないポジションがある。「S MACRO」だ。

見慣れない「S MACRO」のポジションに注目。
このレンズは25cmまで寄って等倍マクロ撮影ができるレンズ。この場合の等倍はセンサーサイズ(つまりマイクロフォーサーズのセンサー)と同じ大きさのものをいっぱいに写せるという意味なので、35mm判で換算すると2倍のマクロということだ。
鏡筒の下部をよく見ると、「S MACRO 0.224-0.5m 2x」とある。「S MACRO」にすると、0.224mまで寄れて、撮影倍率は2xになるというのだ。35mm判で換算すると4倍である。

鏡胴の裏を見ると「S MACRO 0.224-0.5m」と「2x」の文字が。これが特徴のひとつだ。
このスイッチを「S MACRO」にすることで、さらに大きく撮れるのである。
となると試したくなるのが人情というもの。
三脚にマクロスライダーをつけ、どのくらい違いが出るかチェックしてみた。

マクロスライダーを使ってギリギリまで寄ってみた。
被写体はわかりやすいよう色鉛筆のさきっぽで、絞りはあえて開放で撮っている。
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通常のマクロで25cmまで寄ったとき。絞りは開放で。
では「S MACRO」にし、それでフォーカスが合うぎりぎりまでスライダーを動かして寄せてみる。

マニュアルフォーカスクラッチ機構を搭載しているので瞬時にMFとAFを切り替えられるのも便利。
なんと、ここまで寄れるのだ。確かに2倍である。
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「S MACRO」モードでフォーカスがあうギリギリまで寄ってみた。開放絞り値はF5.0になる。
開放F値がF5になるが、そもそもマクロ撮影時は被写界深度もおそろしく浅くなってフォーカスのコントロールも困難になるので実際にはある程度絞って使うことになるだろうから、それは問題じゃない。
この、等倍マクロが2xマクロになるという「S MACRO」モードを持っているのがこのレンズの強み「その1」。
さらにこのマクロレンズはテレコンに対応している。テレコンを介すとさらに大きく撮れる。
まずは1.4xのテレコンで「S MACRO」モード。

1.4xのテレコンバーター「MC-14」を装着。
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「S MACRO」モード+1.4倍のテレコンでさらに。
続いて、2xのテレコンで「S MACRO」モードだ。この場合、撮影倍率4倍である。

続いて、2.0xのテレコンバーター「MC-20」を装着。
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「S MACRO」モード+2倍のテレコンで最大8倍。実体顕微鏡に近いレベルといえまいか。
これが強み「その2」だ。
等倍マクロを軽々と超えてきたのである。そこが一番の魅力だ。
90mmマクロを持ってフィールドへ出よう
望遠マクロのメリットはワーキングディスタンスを確保できること。
マイクロフォーサーズには初期から存在する60mm F2.8という中望遠マクロレンズがあり、細身の個性的なデザインも相まって好きなレンズのひとつなのであるが、同じ大きさで撮りたいとなると、90mmの方がカメラと被写体との距離、レンズ先端と被写体との距離を少し長くとれる分、より自由度が高まるし、光も入れやすい。

向かって左が60mm F2.8マクロ。オリンパスの最初のマイクロフォーサーズ用マクロレンズだ。右が今回の90mm F3.5 マクロ。
ワーキングディスタンスレベルでの差が1cmちょっととはいえ、マクロ撮影では大きい。
ワーキングディスタンスが効いてくるのはネイチャー系だよなということで、マクロレンズを持って外へ。
ネイチャーマクロの代表的被写体は花と虫。
となれば、真冬であっても虫は撮ってみたい。幸いなことに、多摩動物公園にある昆虫生態園は温室で、年中、蝶やバッタに出会うことができる。真冬のネイチャーマクロ作例といいつつ暖かい温室の中で汗かきつつ撮ってすみません、と思いつつ、枝に止まっているバッタの全身をF4.0で。
OM-1・1/1250秒
F4・ISO200・AWB・JPEG
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虫の名前には疎いので細かな種はもうしわけない。普通にバッタのマクロ写真だ。
じっとしていてくれたので「S MACRO」でさらに寄る。
手持ちの望遠マクロは微細な手ブレでフレーミングしづらいが、レンズとボディの協調補正のおかげで、半押しにすればある程度安定する。それはありがたい。
OM-1・1/640秒
F5.6・ISO200・AWB・JPEG
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「S MACRO」でぐっと寄る。よく見ると細かい複眼も描写されているし、ボケ方もキレイで素晴らしい。
さらに2xのテレコンを装着して180mmマクロにしてさらに寄ってみた。F7.1で。
OM-1・MC-20使用・180mm(35mm判換算360mm)・1/400秒
F7.1・ISO200・AWB・JPEG
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通常のマクロモードでぐぐっと顔に寄ってみた。不自然なシャープさもなく、すごく自然に撮れている。
使用したカメラはOM SYSTEM OM-1。AFはコンティニアスAF。手持ちだとちょっとしたことでピントの山がずれるため、コンティニアスAFの性能が上がっているOM-1は非常にありがたい。
被写体検出はオフ。AF枠は1点で。
シャッターは電子シャッター。露出はマニュアルで、露出のずれはISOオートで対処している。
ではバッタ以外の作例も。昆虫生態館といえば蝶の楽園として有名なので、蝶を撮らねば帰れない。
OM-1・1/2000秒
F5.0・ISO800・AWB・JPEG
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じゃれあいながら飛び交う2羽の黒い蝶を手持ちで追いかけてみた。たぶん、シロオビアゲハ。
OM-1・1/800秒
F8.0・ISO800・AWB・JPEG
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「S MACRO」で蜜をすう蝶。おそらくオオゴマダラ。
OM-1・1/800秒
F8.0・ISO1250・AWB・JPEG
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羽根の模様が鮮やかだったのでそちらにフォーカスを合わせて見た。
OM-1・1/800秒
F4.5・ISO200・AWB・JPEG
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真上から。昆虫のディテールの不思議さがよくわかる。
虫を撮ったら花も撮りたいよねということで、季節を感じる菜の花を。ピントの山はほどよいシャープさで、そこから離れるにつれ柔らかく自然にぼけていく。
OM-1・1/1250秒
F8.0・ISO400・AWB・JPEG
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少し離れて全体を。モニターを開いてローアングルで撮影。
OM-1・1/800秒
F8.0・ISO400・AWB・JPEG
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そしてマクロの良さを生かしてぐぐっと寄ってみた。
人工物も撮ってみたい。
個人的な趣味から行かせてもらうと、古い有刺鉄線の錆マクロ。良くないですか、鉄錆。ぐぐっと寄ってみると錆らしいざらつきから鉄らしいつややかさなどが複雑に混じり合っていてきれいなのである。
OM-1・1/125秒・F5.6・ISO250・AWB・JPEG
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古い有刺鉄線。ぐっと寄ってみると独特の魅力がある。
冬の風物詩となったイルミネーションのLEDライト。光らないときは目もくれてもらえないLEDだがマクロで寄ってみるとなかなかきれいなのである。
OM-1・1/125秒
F8.0・ISO500・AWB・JPEG
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ちょっとラムネの瓶っぽい形状なのがよくわかる。奥に見える金属がLED(発光ダイオード)のピン。発光部は横からだと見えない。
そして夜になると光るのだ。
深度合成撮影
OM-1・1/500秒
F5.6・ISO400・AWB・JPEG
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光るLEDにぐっと寄ってみた。
マクロでモノを撮るとなると被写界深度をある程度確保してシャープに捉えたいこともある。でも望遠マクロともなると、ちょっとやそっと絞り込んだくらいでは足りない。
そういうときは「深度合成撮影」の出番だ。フォーカス位置を微妙に変えながら10数枚撮影し、合成するのだ。

深度合成撮影はステップと枚数を選べる。
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深度合成撮影時は左上に小さく深度合成を示すアイコンが出る。三脚とレリーズは必須だ。
すると、ある程度の被写界深度を保ったマクロ撮影ができるのだ。
撮ってみたのはパソコン用のハードディスクのヘッド部分。ディスク面が究極の滑らかさを持っているのでヘッド部分がきれいに反射している。
解像力が高い望遠レンズとしても有能
OM-1・1/4秒
F10・ISO200・AWB・JPEG・深度合成モード
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機能美としか言いようのない金属のシャープさを表現してくれた。円盤での反射もきれい。
マクロレンズはよりシビアな性能が求められるため、解像力が高い望遠レンズとしてもとても有能だ。90mmで開放F値がF3.5というのはポートレートレンズにはやや寂しいが、F3.5でおさえたためか重量もサイズ感も扱いやすいし、ボケもきれいだ。
OM-1・1/500秒
F3.5・ISO200・AWB・JPEG
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豪徳寺に奉納された招き猫群。ぼけていく感じをチェック。
OM-1・1/400秒
F3.5・ISO400・AWB・JPEG
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被写体検出AFを使い、うちの猫を。普通に望遠レンズとして使って見た。ディテールの描写がさすがマクロレンズ。解像感もすごくある。
OM-1・1/1000秒
F3.5・ISO200・AWB・JPEG
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ポートレートも1枚。本格的なポートレートレンズとして使うならもうちょっと背景をぼかしたいかなという感じはあるが写りはよい。
新世代の望遠マクロ誕生か
まとめてみると、90mm F3.5 MACROレンズは多くのレンズが昔より撮影最短距離が短くなっている時代にどんな姿を見せてきたか。
ひとつは等倍(35mm判換算だと2倍)どころか、2倍(35mm判換算だと4倍)というマクロ力を超強化してきたこと。
さらに、ただでさえ望遠なのにテレコンにも対応していること。1.4xと2xのテレコンを使えるのだ。そうするとさらに大きく撮れる。2倍のテレコンなら最大撮影倍率が4倍となり、S MACROモードにすると8倍である。そこまでいくともう実体顕微鏡の世界だ。
これと「深度合成撮影」を組み合わせればさらに強力だ。
みっつめは手ブレ補正機構を持っており、ボディ内手ブレ補正機構との協調で最大7段の補正能力を持つこと。絞って使うことも多いだろうから、これは素晴らしい。
さらに、レンズがコンパクトで軽量なこと。
ホールドしやすい重さと太さで手ブレ補正も強力でワーキングディスタンスもほどよく撮れるので、身体への余計な負担なく手持ちのマクロ撮影ができるのだ。もちろん防塵防滴もしっかりしているので、フィールドワークへ持ち出すのに良い望遠マクロである。

最大7段5軸のシンクロ手ぶれ補正に対応。

フローティングタイプのインナーフォーカス機構。

スーパーEDレンズ 2枚、EDレンズ 4枚、さらにスーパーHRレンズ、HRレンズを各1枚使用した13群18枚の贅沢な光学系。
作例に使用したレンズ & テレコンバーター
OM SYSTEM M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PRO / M.ZUIKO DIGITAL 1.4x Teleconverter MC-14 / M.ZUIKO DIGITAL 2x Teleconverter MC-20
作例に使用したカメラ
OM SYSTEM OM-1
まとめ
・「S MACRO」で25cmまで寄って等倍マクロ撮影が可能
・「S MACRO」の撮影倍率は35mm判で換算すると4倍
・解像力が高い望遠レンズとしても有能
・望遠なのにテレコンにも対応
・ボディ内手ブレ補正機構との協調で最大7段の補正能力
・コンパクトで軽量なレンズ
Photo & Text by 荻窪 圭 (おぎくぼ・けい)

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