TAMRON 90mm F/2.8 Di III MACRO VXD レビュー × 曽根原 昇|解像力とボケ味を両立した最新タムキュー

目次
はじめに
90mm F/2.8 Di III MACRO VXDの特徴
等倍のマクロレンズ
ポートレートにも最適なマクロレンズ
画面全体の描写性能
VXD採用による速く静かなAF
まとめ
作例に使用したカメラ
作例に使用したレンズ
はじめに
タムロンの「90mm F/2.8 Di III MACRO VXD(Model F072)」は、2024年10月24日に発売されたミラーレスカメラ用の中望遠マクロレンズです。フルサイズ対応の本レンズには、ソニーEマウント用とニコンZマウント用の2種類が用意されています。
タムロンの90mmマクロと言えば、1979年に発売された「SP 90mm F/2.5 (Model 52B)」以来、「タムキュー」の愛称で親しまれてきた名シリーズ。そんな名シリーズではあるものの、ミラーレスカメラ用のタムキューはなぜかこれまで発売されていなかったため、このたび、満を持しての登場となりました。
90mm F/2.8 Di III MACRO VXDの特徴
レンズボディのサイズは、最大径×長さが79.2×126.5mm(ソニーEマウント用)で、質量は630g(ソニーEマウント用)となっています。質量の630gもミラーレスカメラ用の中望遠マクロとしては最軽量クラスですが、注目したいのは126.5mmという長さ。こちらは同クラスでも明らかに短く、本レンズがコンパクトであることを良く感じられるところです。
本レンズを横から見たのが上の画像です。幅広のフォーカスリングは操作性よろしく、適度なトルクと回転角のおかげで、MFでのピント合わせも快適です。フォーカスリミッタースイッチがあるのは、ピント合わせの移動距離が長いマクロレンズらしさで、こちらのスイッチで撮りたいピントの範囲を限定すれば、ピントを合わせたい被写体に対してAFの迷いが激減します。
さらにフォーカスセットボタンを装備しているあたりが、最新のタムロンレンズらしさです。フォーカスセットボタンには、好みに合わせてさまざまな機能を割り当てることが可能。筆者の場合、「再押しAF/MF切換」機能を割り当てて、AF/MF切換スイッチの代わりに使いました。
鏡筒基部に設けられたUSB Type-Cポートも、最新のタムロンレンズの共通仕様。PCまたはスマートフォンなどとUSBケーブルで接続すると「TAMRON Lens Utility」で各種設定ができます。例えば、「フォーカスセットボタン」に任意の機能を割り当てたり、最新のファームウェアへアップデート(ファームウェアアップデートはPC版のみ対応)したりするなど、さまざまな役割を担ってくれる便利な機能です。
「HF072」というレンズフードが付属しています。マクロレンズのレンズフードらしく深く造られていますので、遮光効果は大変に良好でした。
さらに、このレンズフードは底面にスライド式の窓が設けられています。可変式のPLフィルターやNDフィルター、あるいはクロスフィルターなどの回転式フィルターを、レンズフードを外すことなく効果の調整ができます。
等倍のマクロレンズ
本レンズの最大撮影倍率は1:1、つまり等倍(撮像センサーに投影される像のサイズと実際の被写体のサイズが同じ)まで被写体に寄って大きく写すことができます。本格的なマクロレンズですので、当然の近接撮影性能とも言えますが、最短撮影距離の23cmでは、適度なワーキングディスタンスを保ちながら撮影できるのが便利なところです。
SONY α7R V・TAMRON 90mm F/2.8 Di III MACRO VXD
絞りF2.8・1/400秒・ISO800・AWB・クリエイティブルック ST
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例えば、上の画像のような何の変哲もない花であっても
SONY α7R V・TAMRON 90mm F/2.8 Di III MACRO VXD
絞りF4.0・1/50秒・ISO800・AWB・クリエイティブルック ST
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等倍まで寄って写せば、なんだか理化学的な印象の写真が撮れます。
SONY α7R V・TAMRON 90mm F/2.8 Di III MACRO VXD
絞りF2.8・1/1250秒・ISO800・AWB・クリエイティブルック ST
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直径3cm程度の花の集合ですが、こうした被写体でも
SONY α7R V・TAMRON 90mm F/2.8 Di III MACRO VXD
絞りF2.8・1/500秒・ISO800・AWB・クリエイティブルック ST
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等倍まで寄って写せば、細かな蕊(シベ)や花粉の一粒一粒までハッキリと見えてくるようになります。
肉眼を超えたミクロな世界を印象的に表現できるのが等倍マクロの魅力です。また、90mmという中望遠であるため、ほどよい圧縮効果で被写体を端正に捉えることができるのも良いところ。なんでもかんでも等倍まで近寄らなければいけないということはありませんが、被写体を大きく綺麗に写すための撮影距離を自由に選択できるのは、やはり大きなアドバンテージになります。
ポートレートにも最適なマクロレンズ
タムキューのレンズは、マクロ域の描写性能だけでなく一般撮影にも適した美しいボケ味をもつことで、ポートレート撮影でも愛好者の多いレンズとして有名です。最新のタムキューである本レンズも、ご多分にもれずポートレート撮影で大いに活躍してくれました。というより歴代タムキューのなかでも、圧倒的に優れた描写性能の「ポートレートマクロ」なのではないかと思えたほどです。
SONY α7R V・TAMRON 90mm F/2.8 Di III MACRO VXD
絞りF2.8・1/320秒・ISO400・AWB・クリエイティブルック ST
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少し引いた撮影位置から、モデルが立った状態なら膝から上を写すくらいでしょうか? 絞り開放にもかかわらず、マクロレンズらしい高い解像感がありつつ、一般的なマクロレンズでありがちなギスギスしさはなく、全体的には優しさを感じられる柔らかさがあると思います。ソニーカメラの瞳AFのおかげで、難しいピント合わせも問題なくできました。
SONY α7R V・TAMRON 90mm F/2.8 Di III MACRO VXD
絞りF4.0・1/200秒・ISO400・AWB・クリエイティブルック ST
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少し近寄って、ヒップアップに相当する距離での撮影です。絞り値をF4.0にしていますが、こちらも解像感は高く維持しながら、ポートレートに適した柔らかさを併せもっている描写に大変好感がもてました。見上げるような姿勢で撮影しましたが、コンパクトなレンズボディのおかげで、取り回しに苦労することはまったくありません。
SONY α7R V・TAMRON 90mm F/2.8 Di III MACRO VXD
絞りF2.8・1/100秒・ISO400・AWB・クリエイティブルック ST
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バストアップ程度の距離での撮影です。近づけば近づくほど、本質的にマクロレンズである本レンズの得意領域となります。一般的にはズーム域が広い(高倍率である)ほど便利なレンズと受けとられる傾向があり、それはもちろんその通りで間違いのないことですが、本レンズのように幅広い撮影距離の全域において高画質なレンズも、また撮影範囲の広い便利なレンズだと認知されて良いのではないでしょうか。
画面全体の描写性能
近接撮影やポートレート撮影などでの描写性能の高さは、ここまででもお分かりいただけたことと思います。それでは遠距離撮影での画面全体の描写性はどうか? ということでそちらも画像を確認してみました。
SONY α7R V・TAMRON 90mm F/2.8 Di III MACRO VXD
絞りF2.8・1/1000秒・ISO100・AWB・クリエイティブルック ST
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開放絞り値のF2.8で遠距離の被写体を撮影したのが上の画像です。絞り開放にもかかわらず、画面全体で非常に高い解像感が得られています。特に画面中心部は、広い範囲にわたって細部まで正確に描き分けており、遠景描写であっても本レンズの高い解像性能が発揮されていることが良く分かります。画面の四隅となると、さすがにわずかな解像感の低下が見られますが、それでも開放絞り値での描写であることを考えれば十分に高く、総合的に驚くほどの高画質であると言って差し支えないと思います。
SONY α7R V・TAMRON 90mm F/2.8 Di III MACRO VXD
絞りF8.0・1/125秒・ISO100・AWB・クリエイティブルック ST
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次に、F8.0まで絞って撮影したのが上の画像。被写界深度が深くなることで画面の隅々まで画質が安定することは確かですが、ピント面における解像感の差はほとんど見られません。つまり、本レンズは開放絞り値から非常に高画素であり、絞り込んでも本質的に高い解像性能を維持しているという、稀有なくらいに高い描写性能をもっているということなります。
SONY α7R V・TAMRON 90mm F/2.8 Di III MACRO VXD
絞りF4.0・1/50秒・ISO800・AWB・クリエイティブルック ST
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開放絞り値から解像性能が高いということでしたら、いまどきの高性能なレンズであれば、それほど驚くことでもありませんが、本レンズは高い解像感を保ちながら、柔らかで綺麗なボケ味を両立しているのも大きな特長です。
VXD採用による速く静かなAF
SONY α7R V・TAMRON 90mm F/2.8 Di III MACRO VXD
絞りF2.8・1/1000秒・ISO1600・AWB・クリエイティブルック ST
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AF駆動にはリニアモーター(VXD)が採用されているため、特に近接撮影時のレンズ移動距離が長くなるマクロレンズであっても、高速で高精度なAFが実現されています。鳥や昆虫など、素早く不規則に動く被写体でも、的確にピントを合わせ続けてくれました。
SONY α7R V・TAMRON 90mm F/2.8 Di III MACRO VXD
絞りF2.8・1/100秒・ISO800・AWB・クリエイティブルック ST
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また、インナーフォーカスのレンズですので、フォーカシングによってレンズの全長は変わりません。繰り出された鏡筒で被写体を驚かせてしまったり、あるいは衝突してしまったりということがなく、快適な近接撮影を楽しめます。
まとめ
高い解像性能と柔らかく綺麗なボケ味を両立した描写力、最新機能を積極的に取り入れた使い勝手のよさは、基本的な近接撮影にとどまらず、ポートレート撮影や風景撮影など、幅広い撮影シーンで大いに活躍してくれることと思います。定評ある歴代タムキューのなかでも、完成形と言っても過言でないと思います。
タムロンが長らくの間、ミラーレスカメラ専用設計のタムキューを発売してこなかったことを不思議に思っていましたが、本レンズの完成度の高さを見るにつけ、それも理解できたような気がします。高度に進化を続けるミラーレスカメラに対応するために、タムロン自身が納得できるまで研鑽を重ねてきたのではないでしょうか。
ソニーEマウントカメラとニコンZマウントカメラのユーザーは、純正レンズとの選択に悩むことになるかも知れませんが、本レンズはこれ自体が、マクロレンズとして価値ある1本であることを考慮すると良いと思います。
作例に使用したカメラ
【商品情報】SONY α7R V
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作例に使用したレンズ
【商品情報】TAMRON 90mm F/2.8 Di III MACRO VXD
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Photo & Text by 曽根原 昇(そねはら・のぼる)
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