「カメラ、はじめてもいいですか? 」という漫画をご存知でしょうか?
ふとした事で、隣の住人に写真のモデルを頼まれた女子高生が、自分も写真にのめり込んでいく過程を描いた青春漫画なのですが、登場するカメラや機材、撮影地が実在する物や場所で、出て来るカメラがカメラファンなら「おっ!」と思えるものばかり。作者の方のカメラ好きが感じられる作品です。
なにせ、主人公が始めにおススメされるカメラがFUJIFILMのX-T20とX100Tの2択というマニアックさですから。
私も一読してすっかりファンになってしまいました。
そこで今回は、「カメラ、はじめてもいいですか? 」に登場するカメラを持って、ロケ地をちょっとだけ巡ってみました。
目次
~ミト'ズ MY CAMERA~「FUJIFILM X-T20 + XF35mmF2 R WR & 上水公園」本格的なカメラを持って写真を撮る事に気後れしていた主人公ミトちゃんが、初めて自然な気持ちでシャッターを切れた被写体、それは公園からみた夕日でした。
初めて本格的な大きい(スマホに比べて)カメラで写真を撮ろうと思うと、周りの目が気になるもので・・・ちょっと恥ずかしい・・・そんな描写が女子高生の素直な視点で描かれていてグッときました。
作品では、夕日の美しさに感動したミトちゃんが、遊具の上にスックと立ってシャッターを切る訳ですが、流石におじさんには無理なので遊具の下から撮りました。夕日に感動した気持ちだけは同じだと信じて。
ミトちゃんが、X100Tとの究極の選択で選んだカメラは、コンパクトなレンズ交換式ミラーレス一眼カメラX-T20と定番の標準レンズXF35mmF2 R WRの組み合わせでした。
女の子が持つのに丁度良さそうなサイズ感、クラシックなデザイン、なにより写真を構成する主要な要素が、ボタンやダイヤルという物理的な形で見えるので、初めて使うカメラとしておススメです。
X-T20は旧型の機種(漫画の中でもチサトさんのお古として描かれています)なので、手に入れるには中古品を探すしかありませんが、見た目もそっくりで、より高性能で使い易くなった新型X-T30もあります。
ロケ地となった上水公園は、西武国分寺線、鷹の台駅から徒歩15分ほどのところにあり、公園までは多摩川上水沿いの小道を歩いて行けるので、気持ちよくフォト散歩が楽しめます。
夏の暑さにやられて、ちょっと休もうと探したベンチに、子供が忘れたのかブルドーザーのおもちゃが放置されていました。
子供の手の中では輝いていたおもちゃが、ひっそりとベンチの上で佇む姿がどこか寂し気で、目線を合わせてシャッターを切りました。ピントの合う範囲を限定する表現は、単焦点レンズXF35mmF2 R WRの得意とするところです。
>>> FUJIFILM (富士フイルム) ミラーレスデジタルカメラ X-T30 シルバー ボディ
>>> FUJIFILM (富士フイルム) フジノン XF35mmF2 R WR ブラック
ミトちゃんを写真の世界にいざなった伝道師チサトさんのカメラはFUJIFILMのフラッグシップ機X-T3です。
四季がはっきりしている日本の風景写真は、綺麗な場所を探して遠出しても勿論いいですが、季節を狙えば近所の公園でも楽しめる、カメラマンには人気のジャンルです。
チサトさんは作中「人生観を変えてくれるくらいの凄い景色を見てみたい」と言っていますが、そんな劇的な景色が、見慣れた行き買えりの道に隠されていたりする事があります。
「写真を始めれば、きっと色々見えてきますよ」by音海モア
FUJIFILMのフラッグシップ機X-T3は、ぱっと見X-T20と似ていますが、新型のX-Trans CMOS 4センサー、より高速高精度なAF、369万ドットの高倍率・高精細ファインダー、防塵防滴と、過酷な環境下でもシャッターチャンスを逃さない、プロフェッショナルな仕様です。
実は実際に使うとこのくらい大きい方が操作し易かったり、フォーカスフレームの移動に便利なジョイスティックが装備されていたりと、大きさよりも操作性を優先した機種でもあります。
車の運転も、お酒も飲めるチサトさんは大人の女性。X-T3の写真は、作中にも登場したドイツの養命酒ことイエーガーマイスターとの2ショットにしました(中身はスタッフが美味しくいただきました)。
ミトちゃんの使うXF35mmF2 R WRよりさらに1絞り明るいレンズであるXF35mmF1.4 Rは、よりボケを大きく出来て、暗い場所での撮影にも強いレンズになります。
ほとんど同じスペックでありながら、ここぞという時には埋めがたい差が出るので、写真がわかっている上級者、チサトさんはf1.4のレンズを選択しているのです。
>>> FUJIFILM (富士フイルム) ミラーレスデジタルカメラ X-T3 ブラック ボディ
>>> FUJIFILM (富士フイルム) フジノンレンズ XF35mmF1.4 R
上水公園で、なかば強引に写真友達となった元気娘モアちゃんのカメラはPENTAX KPです。
このカメラをゴッツイカメラと評したミトちゃんは、Canon EOS1DXMarkIIIとか、Nikon D6とか見たらどう感じるんでしょうか・・・もはやカメラと認識してもらえないかもしれません。
夕日を撮影したあと、お茶をみんなで飲んだミト、モア、リン子の3人は意気投合して友人となりますが、3人が3人、形式の違うカメラ(ミラーレス一眼、一眼レフ、コンパクト)を使っているのは、作者の意図とマニアックさを感じます(笑)。
今秋には、APS-Cの新型が噂されるPENTAXですが、モアちゃんもカメラを買い替えるのでしょうか?
3人が写真の品評会を開いた洋菓子屋さん(作中ではモアちゃんの家)は、お洒落な雰囲気で、おじさんはかなり気後れしましたが意を決して入店、ケーキが抜群においしかったです。
お願いしてケーキの写真を撮らせてもらいました。
HD PENTAX-DA 20-40mmF2.8-4ED Limited DC WR のズームレンズとは思えない柔らかいボケ感が、ケーキの甘さを表現してくれたような気がします。
>>> RICOH IMAGING (リコーイメージング) PENTAX KP ボディ ブラック ボディ
>>> RICOH IMAGING (リコーイメージング) HD PENTAX-DA 20-40mmF2.8-4ED Limited DC WR
恥ずかしくて、人を正面からは撮れない毒島さんのカメラはRICOH GRIII。
高い描写性能と独特の空気感のある画作り、スマホ並みに軽快に撮れる使い勝手の良さから、アート指向のユーザーに高い支持を得ているカメラです。
コンパクトデジタルカメラでありながら、非常に高性能なレンズを備え、一眼デジタル並みに細かい設定をスピーディーに行える、まさに究極のスナップシューターです。
実は、フィルムカメラ時代からつづく、伝統あるモデルでもあります。
凄く小さいわけではないのですが、スリムなデザインで、かばんやポケットへの収まりの良さも、このカメラが愛される理由でしょう。
多分モアちゃんたちがペットボトルのお茶を買ったであろう自販機の隣にあった不思議なオブジェ。
RICOH GRIII はコンパクトデジタルカメラとは言えAPS-Cサイズセンサー、f2.8の明るいレンズを持っているので、このように背景をボカした、一眼デジタルのような写真を撮る事も出来ます。
>>> RICOH IMAGING (リコーイメージング) GR III
チサトさんの友人ナギさんが、ミトちゃんが星の写真を撮る為に貸してくれた三脚 Ultrek UT-43II は、独特の機構で非常にコンパクト、スピーディーなセッティングが出来る三脚です。
パチパチ三脚を思い出す見た目に反して、強力にロックが効いて、意外と重い物でも載せる事が出来ます。
折りたたむと非常にコンパクトになるので、旅行などに使うのに最適な三脚です。
>>> Velbon (ベルボン) 高伸縮比三脚 Ultrek ウルトレック UT-43II
漫画「カメラ、はじめてもいいですか?」に登場したカメラ達を持って、いわゆる聖地巡りをしたわけですが、なかなか楽しかったです。
ロケ地を歩いていると、まるで漫画の中に入り込んでいるようで、作中に登場するカメラを持っている事もあり、作品の雰囲気を満喫する事が出来ました。
また、こんな事が無いと、なかなか行く機会の無い場所に行って、ちょっとお洒落な店を発見するなどの楽しみもあります。
1冊の漫画との出会いと、カメラという趣味のおかげで、ちょっといい体験ができました。
Photo & Text by フジヤカメラ 北原