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2023.07.03
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Leica ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.レビュー × 中藤毅彦 | M11 モノクロームと合わせて試写!

Leica ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.レビュー × 中藤毅彦 | M11 モノクロームと合わせて試写!キービジュアル


ライター中藤毅彦(なかふじ・たけひこ)イメージ
■フォトグラファー紹介

中藤毅彦(なかふじ・たけひこ)

1970 年東京生まれ。早稲田大学第一文学部中退。東京ビジュアルアーツ写真学科卒業。作家活動と共に東京•四谷三丁目にてギャラリー・ニエプスを運営。都市のスナップショットを中心に作品を発表し続けている。国内各地の他、東欧、ロシア、キューバ、中国、香港、パリ、ニューヨークなど世界各地を取材。国内外にて個展、グループ展多数開催。第29回東川賞特別作家賞受賞。第24回林忠彦賞受賞。

モデルチェンジしたLeica(ライカ)ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.を、同じく最新モデルのライカM11モノクロームと合わせて試写する

この度モデルチェンジになったライカの最新レンズ、ズミルックスM f1.4/50mm ASPH. を同じく最新モデルのライカM11モノクロームと合わせて試写する機会を得た。

僕自身は普段、F2のズミクロン50mmを愛用してきたので、残念ながら個人的なズミルックス50mm体験はないのだが、2004年発売の先代ズミルックスM f1.4/50mm ASPH. は非常に人気のある名レンズであった。

長年、横目で見ていたズミルックスは常に気になる存在だったので、今回、最新バージョンをテストできるのは嬉しい限りだ。

Leica M11モノクロームに装着したズミルックスM f1.4/50mm ASPH.の画像

カメラにセットした姿はコンパクトで、そつなくまとまっているなという印象である。

見た目的にはピントリングにもローレットが刻まれた先代の方が個性があって格好良かった気がするが、その辺りは好みにもよるだろう。フードは組み込み式で、ひねりながら出すからくりが上手くできていてなかなか面白い。

Leica ズミルックスM f1.4/50mm ASPH. ブラック 商品画像
Leica(ライカ) ズミルックスM f1.4/50mm ASPH.(ブラック)
Leica ズミルックスM f1.4/50mm ASPH. シルバー 商品画像
Leica(ライカ) ズミルックスM f1.4/50mm ASPH.(シルバー)

このレンズの最大の特徴は何と言っても最短撮影距離が45cmまで寄れることであろう。

先代のズミルックスは70cmまでだったので、一気に25cmも近寄れるようになったのは大きな改良点である。大げさな眼鏡の付いたDRズミクロンではなく、通常のライカレンズで45cmまで寄れる事は画期的と言えるだろう。

ただし、近接の際は、当然レンジファインダーは使用できず、ライブビューを使用してのピント合わせになる。ライブビューでの撮影ではまるでミラーレス一眼のようで、M型ライカらしくない気もするが、開放での近接撮影のとろけるような描写は、病みつきになってしまう美しさだ。

Leica ズミルックス M f1.4/50mm ASPH. 作例

都市の景観

ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.で撮影した建物が立ち並ぶ街中の風景

ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.
絞りF8・1/750秒・ISO400

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ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.で撮影した工事現場の画像

ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.
絞りF8・1/750秒・ISO800

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ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.で撮影したお店が立ち並ぶ路地の画像

ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.
絞りF8・1/90秒・ISO125

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ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.で撮影したビルの画像

ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.
絞りF8・1/1250秒・ISO400

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都市の断片的な風景。建物に射す光や壁のマチエールの描写を心地よく描き出すレンズである。

シュールで奇妙な、街の断片

ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.で撮影したガラスにペイントされた文字の画像

ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.
絞りF1.4・1/640秒・ISO1600

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ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.で撮影した絵が描かれたシャッターの画像

ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.
絞りF8・1/1250秒・ISO800

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ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.で撮影したあしたのジョーの像の画像

ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.
絞りF1.4・1/4000秒・ISO800

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ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.で撮影した恐竜の像の画像

ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.
絞りF8・1/1250秒・ISO800

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ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.で撮影した骸骨の模型の画像

ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.
絞りF1.4・1/1000秒・ISO125

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ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.で撮影したおしゃれな壁面の画像

ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.
絞りF4・1/80秒・ISO125

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ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.で撮影した瞳をモチーフにした装飾の画像

ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.
絞りF5.6・1/320秒・ISO6400

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ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.で撮影した人物のオブジェの画像

ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.
絞りF1.4・1/4000秒・ISO125

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街を歩いて見つけた、ちょっとシュールで奇妙なオブジェの様な断片を撮りためている。近接できることで、これまでのレンジファインダー機の視点を越えた被写体への迫り方が可能になった。このレンズを使用する大きなアドバンテージと言ってよいだろう。

ストリートスナップ

ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.で撮影した横断歩道を歩く外国の女性の画像

ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.
絞りF11・1/3000秒・ISO3200

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ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.で撮影した手をつないで歩くカップルの画像

ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.
絞りF11・1/1500秒・ISO3200

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ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.で撮影した街中を歩く3人組の女性の画像

ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.
絞りF11・1/4000秒・ISO6400

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ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.で撮影した自転車を漕ぐ男性の画像

ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.
絞りF11・1/4000秒・ISO6400

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ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.で撮影した日傘をさした女性の後ろ姿

ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.
絞りF11・1/4000秒・ISO6400

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雑踏に紛れて人物に迫ったストリートスナップ撮影。こうした撮影ではいちいちピントを合わせる余裕はないため、基本的に絞り込んでの置きピンとなる。ズミルックスは行き交う人々の表情を見事に描いてくれた。

ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.で撮影した自転車が駐輪されたトンネルの画像

ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.
絞りF1.4・1/320秒・ISO800

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ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.で撮影した女性が描かれた巨大な看板の画像

ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.
絞りF5.6・1/1250秒・ISO400

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人影を入れた街角の光景。さりげなく人間を入れることで写真にドラマが生まれることもある。

ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.で撮影したたこ焼き屋の画像

ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.
絞りF2.8・1/200秒・ISO6400

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ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.で撮影した絵が描かれたた壁の画像

ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.
絞りF5.6・1/40秒・ISO6400

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裏町の夜景。こうした泥臭いモチーフも、どこか叙情的に描き出すのがライカレンズの魔法だと感じる。

ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.で撮影した大道芸人の画像

ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.
絞りF1.4・1/800秒・ISO4000

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大道芸人のポートレート。開放で撮影したことで背景の街並や通行人が綺麗にボケて、主人公が立体的に浮かび上がった。

絞り開放での近接撮影

ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.で撮影したライカM6の画像

ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.
絞りF1.4・1/500秒・ISO1600

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使い込まれたライカM6を開放の最短撮影距離で接写。像がボケて流れるのも雰囲気がある。ライカでライカを撮るのもまたオツなものである。

ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.で撮影したシダ植物の画像

ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.
絞りF1.4・1/640秒・ISO200

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ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.で撮影した鎖の画像

ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.
絞りF1.4・1/2500秒・ISO400

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ふと見かけた植物や鎖などなんでもないモチーフに近接で迫ってみた。質感を美しく描写するレンズだ。

ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.で撮影したマネキンのヘアカットをする美容師の手元の画像

ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.
絞りF1.4・1/2500秒・ISO3200

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ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.で撮影した指にタトゥーが彫られた手の画像

ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.
絞りF8・1/2000秒・ISO1600

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手はその人を物語る良いモチーフになる。これまでより接写できることで手の表情に迫ることができた。

ポートレート撮影

ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.で撮影した特殊メイクをした水着の男性の画像

ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.
絞りF8・1/320秒・ISO125

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ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.で撮影した植物をモチーフにした特殊メイクを施した男性の画像

ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.
絞りF1.4・1/2500秒・ISO6400

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ファッションポートレート。ズミルックスは、肌と特殊メイクの質感を見事に浮かび上がらせてくれた。

ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.で撮影したストリートフォトグラファー集団「SOMETHINGNOIZE」の女性の画像

ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.
絞りF1.4・1/180秒・ISO6400

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ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.で撮影したストリートフォトグラファー集団「SOMETHINGNOIZE」のポロシャツを着た男性の画像

ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.
絞りF1.4・1/1250秒・ISO1600

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ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.で撮影したストリートフォトグラファー集団「SOMETHINGNOIZE」の眼鏡をかけた男性の画像

ライカM11モノクローム・ズミルックス M f1.4/50mm ASPH.
絞りF1.4・1/750秒・ISO1600

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ポートレート。香港人ストリートフォトグラファー集団「SOMETHINGNOIZE」のメンバーの3人を撮らせてもらった。

まとめ

今回は、カメラ本体の背面モニターで確認しながらの撮影であったが、オプションのビゾフレックス2を使用すればより自然に近接撮影が楽しめるはずだ。こうしたフレキシブルな使い方も現代のM型ライカの新たな楽しみ方のひとつである。

描写に関しては、開放では線の細い艶のある画質で、ピントが合った一点からなだらかにボケていく変化の美しさは文句のつけようがない。よく言われる表現かもしれないが、立体感のある描写とでも表現するのがぴったりかもしれない。

一方で、絞り込んで行くと解像力が向上し、どの絞り値でも安定した高画質となって、ライカM11モノクロームとの相性も抜群であった。開けて柔らかく、絞ってシャープというのは昔ながらのライカレンズの持ち味であり、ベテランのライカ使いにとっても馴染みやすいレンズだろう。

近年のライカレンズの中では解像力を徹底して追求した先鋭的なアポズミクロンのシリーズが人気を博しているが、ズミルックスにはそれとは異なる魅力が確かにある。

ライカレンズの伝統を継承しつつ、現代性も兼ね備えたズミルックス M f1.4/50mm ASPH. の存在は、数値的な性能追求ではない写真を撮る喜びに立ち戻らせてくれる。

対照的な持ち味の標準レンズであるアポ・ズミクロンとズミルックスは、今後も両軸としてライカレンズの中核となる好敵手であり続けるだろう。

作例に使用したレンズ

Leica ズミルックスM f1.4/50mm ASPH. / ズミクロンM f2/35mm ASPH.

【商品情報】Leica ズミルックスM f1.4/50mm ASPH.

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Leica ズミルックスM f1.4/50mm ASPH.バナー画像

【商品情報】Leica ズミクロンM f2/35mm ASPH.

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Leica ズミクロンM f2/35mm ASPH.バナー画像

作例に使用したカメラ

Leica M11 モノクローム

【商品情報】Leica M11モノクローム

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Leica M11モノクローム バナー画像

Photo & Text by 中藤毅彦(なかふじ・たけひこ)

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