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2023.12.30
写真・動画の撮り方・ハウツー,

ポートレート撮影【総集編】× 鵜川真由子 | プロが解説するポートレート写真撮影のコツ【第八回】

ポートレート撮影【総集編】× 鵜川真由子 | プロが解説するポートレート写真撮影のコツ【第八回】キービジュアル

7回に渡ってポートレート撮影のコツやを解説してきましたが、今回はその総集編となります。
これまでの記事を振り返りながらもう一度おさらいしていきましょう。
このブログを読んで、皆さんが思い通りの表現をするための参考にして頂けましたら幸いです。


■この記事の監修

フジヤカメラ店

東京都 中野区のカメラ専門店 フジヤカメラ店です。カメラ、レンズ、三脚、動画機材まで、新品、中古機材を多数取り扱っております。中古在庫は常時3,000点以上!これからカメラを始める方も、ベテラン、プロカメラマンも、機材の事ならフジヤカメラ店にお任せ下さい。

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ポートレート写真撮影における構図のコツ

構図とは

写真や絵画などの画像を構成する基本的な要素のことです。
具体的には人や物の配置、光と影のバランスやコントラスト、縦位置か横位置どちらで撮るのかなど、たくさんある要素をどう選びとるかによって写真の仕上がりが大きく変わってくるのです。
構図にはいくつかの法則があります。どう撮ればいいのかがわからず撮影の際に迷ってしまう時は、まずはこの基本法則を取り入れてみるといいでしょう。

日の丸構図

ポートレート写真の構図:日の丸構図

最も基本的な構図の一つで被写体を真ん中に持ってくるシンプルな方法です。
一番見せたいものだけを強く見せる効果があります。

三分割法

ポートレート写真の構図:三分割法

画面を縦横にさん分割した線の交点に被写体を配置する方法です。カメラのグリッドを使えばピッタリ合わせることができますが、スマホなどで撮影するときは真ん中より少しずつずらした位置だと認識しているといいかと思います。

黄金比

ポートレート写真の構図:黄金比

彫刻や絵画・建築などで用いられている、人間が最も美しいと感じる比率(近似値1:1.618)だそうです。

対角線構図

ポートレート写真の構図:対角線構図

主役と脇役を対角線上に配置することにより安定したバランスになる構図です。
奥行きや遠近感を出す視覚的効果もあるので、背景の選び方次第でダイナミックな写真になります。

まとめ

魅力的な構図を構成するには

・被写体が美しく写っている
・主役が引き立っている
・視覚的な効果をうまく使っている

などの条件が必要になります。主役となる人物を魅力的に見せるためには人物以外の空間や背景をどう活かすかがポイントです。ご紹介した基本構図の法則を参考にしながらポートレートにトライしてみて下さい。

ポートレート撮影のライティング方法と必要な機材

ライティングとは?

ライティングとは、文字通りライトを使って光を作り出すことです。
光の強弱や角度、色などが違うと被写体の印象も大きく変わります。ポートレート撮影においては光と影をコントロールすることで人物の性質を表現することもできるため、ライティングはとても大切な要素なのです。
前回のテーマである「構図」と同じく、最終的にどんな仕上がりにしたいかを具体的に思い描くことで、光をどのように作っていけば良いのかが見えてきます。

光を作る際におさえるポイントは3つ。

光の質
光の当たる角度
光のバランス(複数の光源がある場合)

光の質

ライティングを考える際、まずは光の性質を理解することが重要になります。
光は「硬い」「柔らかい」と表現します。

ポートレート撮影のライティング方法:硬い光作例
硬い光
ポートレート撮影のライティング方法:柔らかい光作例
柔らかい光

人物をどのように表現したいのかによって「硬い光」と「柔らかい光」を使い分けていきます。
ストロボのように人工的な光だけではなく自然光でも通じることなので、光について考える際には常に意識するといいでしょう。
光の性質が決まったら次はどんな方法で撮るかを考えます。
その前に、専門的な用語についての解説を。

用語の解説

直当て・直射
ストロボと被写体の間に何も遮るものがなく、光が直接当たる最も硬い光のことです。
その中のベアバルブとはストロボのリフレクター(ランプシェードのようなもの)をつけず、光源が剥き出しになっている状態のことを言います。

バウンス
光を壁や天井などに当て、跳ね返ってくる光を被写体に当てることです。最も一般的な、アンブレラを使う方法もバウンスに当たります。ワンクッション置くため光の硬さが少し和らぎます。

ディフューズ
光源からの光を被写体に直接当てずに拡散させて柔らかくすることです。
紗幕トレーシングペーパーなどのディフューザーや、バンクライトを使います。

メインライト
文字通り一番メインとなる一番強い光源のことです。画作りで最も重要な要素ですね。

フィルイン(補助光
メインライトで影が大きくつき過ぎた場合などに影を和らげます。

モデリング
ストロボは瞬間的にしか発光しないので、被写体にどのような光が当たっているのかがわかりません。それを確認できるようについている定常光です。

光源の種類

【直当て・直射】
ベアバルブ:夏の直射日光のような光になります。
リフレクター有り:コントラストがはっきりします。色をしっかり出したい時には効果的です。

【バウンス】
アンブレラ:最も一般的な方法です。
壁バウンス:あまり機材を持ち込めない場所などで使える方法です。

【ディフューズ】
バンクライト:アンブレラと並んで最も一般的な方法です。
トレペ:広いスペースが必要になりますが個人的にはよく使います。

光の角度

光の性質とどんな方法で撮るかが決まったら、次はどの角度から光を当てるかを決めていきましょう。
これは人物の印象を決める重要な要素の一つです。光の角度によって固有の名称で呼ばれることもあるので、ご紹介します。

被写体の真正面からのライティング
カメラにクリップオンストロボをつけた場合など。フラットな光で、色やコントラストが強いためファッション撮影などで使われます。

バタフライライティング
正面斜め上からの光で鼻の下に蝶々のような影ができるためバタフライライティングと呼ばれています。柔らかい光源との相性がよく、顔が美しく引き立ちます。

レンブラントライト
画家のレンブラントが人物を描写する際に使用する彩光を模したライティングです。被写体の正面から斜め45°、高さも斜め45°くらいの位置が目安です。モデリングを確認しながら位置を決めるといいでしょう。

スプリットライティング
真横からの光で、顔の半分をハイライトとシャドーに分ける方法です。かなりドラマチックな印象になりますので、ミステリアスな演出をするなど特殊な表現の時に適しています。

ショートライティング
光源はレンブラントライトと同じ角度から。人物がライト側に向いた場合の、顔の広い側に光が当たっている状態です。程よく陰影がつくので顔が立体的に表現でき、人物をスリムに見せる効果があります。使用頻度は高めです。

ブロードライティング
ショートライティングの逆側からの光です。

光のバランス

2灯以上のライトを使う場合、それぞれの光の強さのバランスがポイントになります。
露出計を使って1灯ずつ光の強さを測ってコントロールしていく方法を解説します。

クラムシェル

ポートレート撮影のライティング方法:クラムシェル撮影風景

こちらはクラムシェルと呼ばれるポピュラーなライティングを使用しました。
上下を2灯のバンクライトで挟んでいる形が二枚貝のように見えることからつけられた名称です。
肌の質感を美しく描写するため、ビューティー撮影などで使用されることが多い方法です。

使用機材
・Profoto D1 500 Air
・Profoto ビューティディッシュ(ソフトライトリフレクター ホワイト ※オパライトとも呼びます)
・PHOTOFLEX Lite Dome Q3 9TM

まず、上のライトの強さを露出系を使って計測。ISO100 / 1/125秒 / f5.6 5という数値が出ました。
次に下からのライトです。ISO100 / 1/125秒 / f5.6 という数値が出ました。
最後に両方のストロボを合わせてもう一度露出を測ります。ISO100 / 1/125秒 / f8 という数値が出ました。
カメラの露出を合わせて撮影したのがこちらの写真になります。
顎の下の影が薄くなり、顔全体に光が綺麗に当たって美しいですね。

ポートレート撮影のライティング方法:クラムシェル作例

ポートレート撮影で使用するアイテム

露出計
光の強さを計測するために使います(作例ではCONICA MINOLTA auto meter VF を使用)

レフ板
光を反射させて被写体に当てることで少し明るさをプラスします。片方が白、片方が銀色になっていて、反射させたい光の強さによって使い分けます。小さく折りたたんでコンパクトに持ち運べるので外ロケでの撮影にも必須なアイテムです。

バウンス板(カポック)
主にスタジオ撮影で使用します。白い面はレフ板と同じく被写体を明るくする効果があり、黒い面は光を抑える効果があります。2枚をつなげて人物の横に立てて使うことも多いです。

サイコロ・ハコウマ
人物を座らせたり高さを調整するために使う木製の箱です。サイコロは正六面体で3通りの大きさがあるので用途によって使い分けます。

まとめ

ライティングの決め方の流れは、
光の質(光源の種類)×光の角度×光のバランス
この基本的な3つの要素を組み合わせることで光を作り、コントロールすることができるのです。
まずは人物のどこを引き立てたいのか、どんな印象の写真にしたいのかを考え、最適な方法を選んでいきましょう。

室内のポートレート写真撮影のコツ

自然光とライティング(設定や違い、それぞれの活かし方など)

自然光は文字通り自然に生まれる光なので本来はコントロールできないものですが、その特徴や性質をよく知れば上手に活用でき、思い通りの表現ができるようになります。時間帯や季節、お天気によって光の強さや方角が変わるため、常に露出に気をつけながら撮る必要があります。
ストロボのような人工の光を使うと暗い場所でも明るく撮影できる反面、その場所の持つ雰囲気を壊してしまう場合もあるので、狭い部屋での撮影の場合はより注意が必要です。
どういったシチュエーションでどちらの光を活用するべきか、解説したいと思います。

自然光

室内ポートレート自然光作例

この写真のように曇り空の場合は差し込む光が弱いため、被写体には窓の近くに立ってもらう必要がありました。
指示を出して動いてもらうことで、顔の向きを調整します。
シャドウ部が潰れてしまわないよう、右側にレフ板を置いて光をおこします。

ライティング

室内ポートレート逆光時のライティング作例

窓を背にしているためそのまま撮ると逆光になる時は、ライティングで顔を明るくします。
今回はストロボではなくLEDライトを使いました。
LED は光が当たっている場所を目視できるので扱いやすく、そこまで強い光量が必要ではない場合にはオススメのライトです。

まとめ

曇りでの撮影は比較的安定した光の撮影が可能ですが、天気が良い日には光が強すぎる場合があります。そういった時はトレペや、レースカーテンを使うなどして光を和らげるとふんわり優しい光になります。普通の部屋での撮影では自然光とストロボをミックスすることになるので、やはり”光のバランス”が重要になってきます。
日光の性質をよく知り上手に活用すれば、室内でのポートレートの表現の幅はぐんと広がります!

屋外のポートレート写真撮影テクニック

屋外での撮影では自然光をどうとらえ、どのように活かすかが鍵。考え方はストロボも自然光も基本的には同じですが、天候や時間帯による光の色や質の使い方次第で表現の幅が広がり写真の中でドラマが生まれます。それに加えて背景が自由に選べる楽しさもありますよね。被写体をより魅力的に見せるにはどんな方法を使えばいいのか、まずは基本的な考え方を知って作品作りに活かして下さいね。

光の種類と光の向きによる違い

順光

屋外のポートレート作例:順光

撮影者側から被写体の方へ向かっている光のこと。ポートレートにおいては人物の正面から光が当たっているため顔が明るく、写真の色もはっきり描写されます。ただし天気がいい日の直射日光だと光が強すぎて平べったい印象になってしまうので注意が必要です。

サイド光

屋外のポートレート作例:サイド光

基本の考え方はストロボを使ったライティングと同じです。
顔の角度・もしくは光の角度を少し変えてサイドからの光にすると陰影がついてドラマチックな光になります。
自然光の場合、光の向きは変えられないので顔の向きを変えると背景がイマイチ…ということにもなりますので、そこはよく見極めながら、時にはモデルや撮影者の立ち位置も変えて調整していくといいでしょう。

逆光

被写体の後ろから光が当たっている状態です。そのまま撮ると人物の顔が暗くなってしまうのでレフ板やストロボを使って人物を明るくしたり、露出補正をする必要があります。
逆光だから撮れない!ということはなく、むしろうまく利用することで印象的な写真にもなります。

背景やボケの活かし方(構図やコツなど)

屋外ポートレート撮影では背景をどう切り取るかも重要なポイントです。
レンズの効果を使えば肉眼で来ているのとは違った効果を得られるので、上手に活用することで様々なイメージが作れます。

屋外のポートレート作例:前ボケ
前ボケ
屋外のポートレート作例:後ボケ
後ボケ
屋外のポートレート作例:玉ボケ
玉ボケ
屋外のポートレート作例:魅力的な背景
魅力的な背景を見つける

まとめ

ここだけはおさえておこう!というポイントをいくつかあげましたので、参考にしていただけたらと思います。
撮影場所・撮影時間の選択は最も重要なポイントです。撮影の仕上がりのほとんどは実は準備段階で決まっているので、本当に思い通りの作品を作るためには事前に下見をしておくことをお勧めします。その上で天候の変化など不測の事態にも対応できるように必要な機材を揃えておけば安心ですね

ポートレート写真撮影に適したレンズの焦点距離

焦点距離とは

被写体にピントを合わせた際のレンズの中心である「主点」から撮像素子(イメージセンサー)までの距離のこと。
一般的にはmm(ミリメートル)単位で数字を使って表されます。単焦点レンズの場合は24mm、50mmなどそのレンズの焦点距離を。ズームレンズの場合は24mm-105mmなど焦点距離の両端の数字が使われます。
35mmフルサイズの一眼レフカメラでは50mm前後を標準レンズと呼びます。28mm、35mmなど標準レンズより焦点距離の数字が小さいものを広角レンズ、100mm、200mmなど大きいものを望遠レンズと呼びます。
広角レンズは画角が広く、望遠レンズは画角が広くなるなど視覚的に大きな違いが現れるため、シチュエーションごとにどの焦点距離のレンズを使うかを選択する必要があります。
背景をぼかして人物をメインにしたい時、人物をメインにしながら背景も活かす場合、バストアップなど、それぞれにとって最適なレンズは何なのか、作例を見て頂きながらご紹介したいと思います。
レンズの特性を知り、上手に利用することで思い通りの表現を目指しましょう。

広角

ポートレート写真撮影に適したレンズ:広角18mm作例
広角18mmの作例

広角レンズではパースがつくため、人間の目で見るよりも画面に広がりが出たり奥行きを感じられます。どんな場所・状況で撮っているかがわかるため写真の中にストーリーが生まれます。手前のものが大きく写るので遠近感を使った視覚的な効果も狙えます。
人物だけを撮るのではなく、その場の空気感も一緒に写し込むという方がわかりやすいかもしれません。
焦点距離が短いレンズほど画面が歪んでしまう点には注意が必要ですが、それも表現の一つとして利用すればインパクトの強い写真になります。

標準

ポートレート写真撮影に適したレンズ:標準65mm作例
標準65mmの作例

標準レンズは肉眼で見ている画角とほぼ同じように写るため、目の前の場面をありのまま描写できます。
広角レンズのように広がりはない分、背景と人物のバランスがよく両方が程よく引き立ちます。
絞りを開放にすれば程よいボケ感も出たり、寄りも引きも撮れるなど様々な場面で活躍してくれるオールマイティなレンズです。

中望遠

ポートレート写真撮影に適したレンズ:中望遠100mm作例
中望遠100mmの作例

人物に寄って背景をぼかしたり、バストアップの撮影の時には中望遠レンズがおすすめです。
画面の歪みが少なく、ボケの効果も大きくなります。
焦点距離が長くなるほど被写界深度が浅くなり、絞りを開ければ開けるほどボケ感が強くなります。
人物の後ろにある色や光を利用して美しい背景を演出して印象的なポートレートに仕上げましょう。

まとめ

レンズの焦点距離を変えるだけで様々なシーンが作り出せることがおわかり頂けたと思います。目で見ているものと違って写ってしまう時や思い通りの表現ができないという場合に、焦点距離について見直してみるといいかもしれません。慣れてくると感覚的に選択できるようになるので、それまでは少し考えながら色んな方法を試して繰り返し撮ってみてください。

焦点距離の違いによって現れる視覚的な違いをまとめるとこのようになります。

画角:広角であるほど画角は広く、望遠になるほど狭い
被写界深度:広角であるほどピントが合う範囲が広く、望遠になるほど狭い
画面の歪み:広角であるほど歪みが大きく望遠になるほど小さい

迷った時に思い出して、参考にして頂けたら幸いです。レンズの焦点距離を味方につけて、素敵な作品を作ってくださいね。

ポートレート写真撮影におすすめの単焦点レンズ

単焦点レンズとは

単焦点レンズとは、文字通り焦点距離が一つに固定されたレンズのことです。
焦点距離の数値が小さいほど広角に、大きいほど望遠になります。
ズームレンズのように一本で焦点距離を調整することができないため、画角を変えるにはその都度レンズ交換をする必要があります。何本も持ち歩くことになりますし、被写体との距離を縮めたり構図を決めるためには撮影者が自分の足で動かなくてはいけないなど、本気度や技量が試されるレンズでもあります。
一方で単焦点レンズは画質が優れ、明るいレンズが多いという特徴があります。
開放の絞り値(F値)が小さいほど明るいレンズと呼ばれますが、少ない光の量で写真が撮れるため、シャッタースピードを上げることができ手ぶれの心配が減ります。また絞り値が小さいほど被写界深度(ピントが合う範囲)が浅く、ボケが大きくなっていきます。この美しいボケ味での表現が、単焦点レンズの最も愛される理由の一つでしょう。

作例の比較紹介

35mm

ポートレート写真撮影におすすめの単焦点レンズ:35mm作例

広角レンズは人物そのものというよりも、その人がいる光景を写しとるという風に考えるとわかりやすいかと思います。レンズは広角になるほど被写界深度が深くなるので、人物とそのバックグラウンドを伝えることが可能です。
広い風景や大自然の中でのポートレート撮影に適しています。街中での撮影は、遠近感がついて奥行きのある写真になります。

50mm

ポートレート写真撮影におすすめの単焦点レンズ:50mm作例

明るいレンズは光量が少ない時間帯でも美しい描写が可能です。
程よく画角が詰まってくるため、余計なものが写らずバランスの良い構図になります。街灯も綺麗な玉ボケに。

85mm

ポートレート写真撮影におすすめの単焦点レンズ:85mm作例

絞りを開放にした時のボケの美しさ。人物が際立ちます。レンズの解像度がとても高く、キメの細かい描写になります。

特に使いやすくておすすめのレンズ

ポートレート撮影において、特に使いやすくておすすめのレンズは50mmの標準レンズです。今回はRF50mm F1.2 L USM を使用しました。その理由はいくつかありますが、まずはやはりバランス良く安定感のあるポートレートになることです。背景と人物の両方を際立たせることができます。焦点距離の回でも説明した通り、撮影者が肉眼で見ているのと同じような画角で撮れることも使いやすいポイント。一歩前に出たり後ろに下がったりすることで構図のバリエーションも作りやすく、様々なシーンを演出することができるため、どれか一本!というときにはまずはこの50mmレンズをおすすめします。
そして個人的には85mmもよく使います。やはり描写の美しさはもちろん、標準レンズとは逆に肉眼で見ているのとは違う世界を表現できることが魅力。今回使用したのはRF 80mm F1.2 L USM。こちらも絞りの開放値がF1.2と非常に明るく、程よく長い焦点距離の85mmレンズでは絞りを開けた時のボケ味も格別です。一味違ったポートレート撮影が楽しみたい方にはお勧めしたいレンズです。

夜のポートレート写真撮影のコツ

夜のポートレートは当然ながら暗闇の中に光を作り出す必要があります。街中での撮影では街灯やネオンを上手に使うことで日中のポートレートとは全く違う世界が表現できることも面白さの一つ。夜にポートレートを撮るコツや注意点を解説していきます。

夜のポートレート撮影のポイント

夜のポートレート撮影:夜景バック

夜景をバックにストロボを使っての人物撮影について


ネオン(明部)と人物(暗部)の露出差が大きいため、コントロールしてバランスを合わせなくてはいけません。こちらの作例では撮影データをこのように合わせました。
0.5秒 / f2.8 / ISO400
夜景部分を綺麗に写すため、シャッタースピードは0.5秒とややスローシャッターに。手持ちではブレてしまいますので、ここで三脚が必要になります。ストロボで人物をライティングする際、露出計を使って適正な光量を計測します。絞りをf2.8に合わせたのは背景の光が綺麗な玉ボケになるようにするためです。

夜景と人物ポートレート撮影時の注意点(夜景をバックにした場合のコツや注意点)

〇夜景をバックにする際の注意点
ストロボの光を強くしすぎると人物が白飛びしてしまいます。露出計の数値だけで判断するのは難しいと思うので、液晶を見ながら人物が不自然に写らない程度の露出になるよう調整しましょう。

〇夜景を際立たせるために
夜のポートレートはスローシンクロ(ストロボをスローシャッターで発光させること)を使うことが多いため、被写体ブレをしないように気を付けましょう。

夜のポートレート撮影:背景が暗い

〇背景の光量が足りていない
背景の光量が足りていないとこんな風になります。これだとせっかくの美しい夜景が活かせていないですよね。人物と背景の露出のバランスがいかに大事かがわかるかと思います。

夜のポートレート撮影におすすめのカメラ設定

夜景でのポートレート撮影において、夜景を真っ暗にすることなく綺麗に表現するためにはスローシャッターに合わせ、人物にはストロボを当てることが基本だと覚えておくと良いでしょう。またネオンなどの光源を背景に、長めのレンズを使って開放に近い絞り値で撮れば、美しい玉ボケの表現も可能です。
今回のようにテーマが「夜」と言っても時間帯や場所によって条件が違ってきますので、どのように表現したいかを考えながら調整していきます。様々な要素を積み上げ条件に沿った設定を選択できるようになると、写真を撮ることがより楽しくなってきますよ!このブログを参考にしながら夜景でのポートレートにもトライしてみてくださいね!

ポートレート講座総集編まとめ

〇魅力的な構図を構成する条件
・被写体が美しく写っている
・主役が引き立っている
・視覚的な効果をうまく使っている

〇困った時は構図の基本法則を思い出しましょう
・日の丸構図
・三分割構図
・黄金比
・対角線構図 など

〇柔らかい光と硬い光がある

〇光の質(光源の種類)× 光の角度 × 光のバランス
この基本的な3つの要素を組み合わせることで光を作り、コントロールすることができる。

〇室内でも屋外でも、ポートレート撮影で自然光とストロボをミックスする場合には”光のバランス”が重要

〇絞りやシャッタースピードを調整することで視覚的な効果を得られる
レンズの特性を知ればボケや光のコントロールが可能に。

〇焦点距離の違いによって現れる視覚的な違い
・画角 広角であるほど画角は広く、望遠になるほど狭い
・被写界深度 広角であるほどピントが合う範囲が広く、望遠になるほど狭い
・画面の歪み 広角であるほど歪みが大きく望遠になるほど小さい

〇単焦点レンズは画質が優れ、明るいレンズが多い
しかし被写体との距離を縮めたり構図を決めるためには撮影者が自分の足で動かなくてはいけないなど本気度や技量が試されるレンズでもある。

〇夜景でのポートレート撮影において、夜景を真っ暗にすることなく綺麗に表現するためには
スローシャッターに合わせ、人物にはストロボを当てることが基本。

〇ネオンなどの光源を背景に望遠レンズを使って開放に近い絞り値で撮れば、美しい玉ボケの表現も可能

Photo & Text by 鵜川 真由子(うかわ・まゆこ)

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