目次
カメラレンズの焦点距離とは
焦点距離と画角の関係
35mm判換算とは?センサーサイズとの関係
焦点距離別のレンズの呼び方
広角レンズ(~35mm)
標準レンズ(50mm前後)
望遠レンズ(70mm~)
その他のレンズ
ズームレンズと単焦点レンズ
iphoneの焦点距離
撮影シーン別おすすめの焦点距離
スナップ
ポートレート
風景
運動会
野鳥
星景
月を大きく写すには何mm必要?
カメラの焦点距離は人の視野にたとえられる?
まとめ
カメラレンズの焦点距離とは、カメラレンズの中心からイメージセンサーまでの距離のことです。カメラレンズを選ぶ上で非常に重要な値なので、レンズ名称には焦点距離がmmで記載されています。
基本的に写る範囲=画角を表しており、焦点距離が長いレンズは写る範囲が狭く遠くのものが大きく写る望遠レンズ、焦点距離が短いレンズは写る範囲が広い広角レンズです。
焦点距離が長くなると画角が狭くなり短くなると広くなる理屈は上の図のような関係です。
焦点距離が長いと画角が狭く、短いと広くなるのがわかると思います。
実際のカメラ用レンズは複数のレンズで構成されていますし、レンズからセンサーまでの長さが焦点距離よりも長い(ないしは短い)といったレンズも存在したりともっと複雑ですが、大雑把に言うと上の図のような理屈です。
カメラのセンサーサイズとは、レンズを通った光をデジタル信号に変換、映像化する装置で、「画角」を決める最も大きな要素でもあります。このセンサーサイズが変われば、同じ焦点距離のレンズでも写る範囲が変わります。
通常、焦点距離と画角は35mmフルサイズを基準として考えるため、センサーサイズが変わるときは焦点距離に特定の値を掛けて35mmフルサイズと同じ画角になるよう焦点距離の計算をします。これを「35mm(フルサイズ)判換算」と言います。
例えばマイクロフォーサーズの焦点距離25mmは2倍してフルサイズの50mmとだいたい同じ画角になるという意味です。
一般的に焦点距離35mmまでのレンズを広角レンズと呼びます。
この値は35mm判換算で、フルサイズ以外のカメラをお持ちの場合はセンサーサイズと換算画角の項の表を見て35mm判換算した値で考えて下さい。
広角レンズには画角が広く、遠近感が誇張される、ピントの合う範囲が広くなる(被写界深度が深いと言ったりします)といった特徴があります。
起源は所説ありますが、焦点距離50mmのレンズを一般的に標準レンズと言います。
高性能なレンズや開放F値が極端に明るいレンズなど、種類が最も多い焦点距離かもしれません。自然な遠近感でナチュラルな写真が撮りやすく、F1.4やF1.8といった明るいレンズを活かしてボケを大きくするのも得意です。
最近では広角に近い40mmといった焦点距離も人気で、これも広角レンズではなく標準レンズに分類される事が多いようです。
標準よりも焦点距離の長いレンズを一般的に望遠レンズと呼びます。遠くの被写体を大きく写すだけでなく、遠近感を圧縮して背景を整理したり、同じF値なら標準や広角レンズよりもボケをずっと大きくすることができます。
また、135mmくらいまでのレンズを中望遠レンズ、400mm以上の焦点距離のレンズを超望遠レンズと分けられることもあります。
撮影位置を変えて写る範囲を調整するのが困難な望遠レンズでは、画角が変えられるズームレンズが人気な一方、単焦点の望遠レンズは驚くほど高性能なので、プロカメラマンを中心に今でもよく使われます。
焦点距離以外にもレンズの呼び名は色々あります。
例えば形が歪んで写るフィッシュアイレンズや、小さなものを大きく写すためのマクロレンズなどです。フィッシュアイは通常広角レンズに属し15mm前後の非常に短い焦点距離で、画角は180°前後の非常に広角なの点が特徴です。
マクロレンズには幾つかの焦点距離があり、50mm前後の物を標準マクロ、100mm前後のものを中望遠マクロ、それよいも長い焦点距離のものを望遠マクロと言ったりします。
焦点距離を変えられるレンズをズームレンズ、変えられないレンズを単焦点レンズと呼びます。
ズームレンズは写る範囲、画角を変えられることがメリットですが、開放F値の明るいレンズをつくりずらく、性能的にも単焦点レンズに及ばないケースが多いところがデメリットです。
対する単焦点レンズは、画角は変えられないものの、開放F値が明るいレンズを作りやすく、解像感の高い高性能なレンズがつくりやすいだけでなく、ボケ味などをレンズ設計で調整しやすいので、個性的な味わいのあるレンズが多いのも特徴となっています。
最近はiphoneのようなスマホでも幾つかのレンズを搭載して画角を変えられるものが多くなりました。
そんなスマホの焦点距離はどのくらいなのでしょうか?
ちょっと調べてみたら私の使っているiphone13proでは、超広角が13mm前後、広角が26mm前後、望遠が77mm前後となっているようです。広角が13mmなのは凄いですが、望遠はわずかに77mmなので、レンズ交換式カメラの有意性はしばらくはゆるぎなさそうですね。
写真では特定の被写体を撮るのに特定の焦点距離のレンズを使う必要はありません。しかし、長い歴史の中で何となくこの焦点距離が使いやすいよね、といったノウハウ的なものはあります。
例えばスナップは35mm、40mm、50mmあたりが使いやすいと言われる事が多いようです。ややワイド気味なのは広めに撮っておけば後からトリミングできる、広角レンズの方がピントにシビアにならなくて済む、といった理由だと思います。
しかし、写真は自由な趣味なので、もちろんスナップで望遠レンズやフィッシュアイレンズを使っても不正解という訳でないばかりか、むしろ独特なオリジナリティに溢れる写真が撮れるかもしれません。スナップは特に撮影のスタイルや撮影者の個性を出しやすいので、ぜひこれ以外の焦点距離にチャレンジするのもおすすめです。
ポートレートでは背景を整理しやすくボケを大きくできる85mm~135mmくらいの焦点距離がおすすめです。
また、このくらいの焦点距離のレンズは、ものの形を歪めずに正確に写しとめる事ができるのも、ポートレートに中望遠レンズをおすすめする理由となります。
とは言えスナップの項でも書いたとおり写真は自由な趣味なので、さまざまな焦点距離のレンズを使って、独自のポートレートスタイルを確立するのも楽しいでしょう。
本格的な風景写真では16-35mm、24-70mm、70-200mmといった焦点距離の高性能なズームレンズを広角、標準、望遠と3本持つ方が多いのではないでしょうか。
開放F値が2.8に固定された所謂「大三元」やF4に固定された「小三元」といったレンズが人気なのは、これらのレンズが非常に高性能で、細密描写が求められる風景写真の撮影に適しているからです。
また、単焦点レンズではなくてズームレンズが好まれるのは、トリミングによる画素数の目減りを嫌い、フルフレーミングで撮影するケースが多い風景写真ならではと言えるかもしれません。
撮影場所がある程度限定される運動会の撮影では、70-300mmくらいの焦点距離の望遠ズームが人気です。運動会撮影のレンズ選びで見落としがちなのは、子供は背が低く身体も小さいので、アップで大きく撮ろうと思うと、普段以上に焦点距離の長いレンズが必要だと言う事です。個人的には400mm~500mmまで欲しくなる事もありました。
300mmが標準レンズと言われる野鳥の撮影では、とにかく長い焦点距離のレンズが必要です。
とは言え長いレンズは概ね大きくなるのが普通なので、やみくもに焦点距離の長いレンズを選ぶとフットワーク良く撮影できなくなるというデメリットもあります。そんな時便利なのが、センサーサイズの小さいカメラを使うという方法で、例えばマイクロフォーサーズの300mmは35mm判換算600mmに相当し、大きさも驚くほどコンパクトで使いやすいシステムと言えるでしょう。
星の撮影におすすめなのは焦点距離の短い広角や超広角レンズです。例えば夏の時期に美しい姿を見せる天の川は、写真に撮る事でよりその美しさを強調する事ができますが、全体を撮ろうと思ったら最低でも24mmやそれ以上の広角レンズが必要です。
また、風景と星を一緒に写す星景写真では、ピントの合う範囲が広い超広角レンズを使った方が星と一緒に風景にもピントを合わせる事ができてるので、より美しい写真が撮れるでしょう。流星の写真などでは、より広い画角を持つフィッシュアイレンズの使用もおすすめです。
星空と違い思ったより小さいのが月です。少し大雑把ですが、月は焦点距離を100で割ったくらいの大きさでセンサーに記録されるので、レンズ選びの参考になります。
例えば焦点距離1000mmのレンズを使うと月はセンサーに10mmで記録されるので、フルサイズのセンサーサイズ(36.0mm×24.0mm)では上下で半分以下の大きさにしかならない事がわかります。
月は比較的明るい被写体なので(満ち欠けにもよりますが)、センサーサイズの小さいカメラで撮影するのもメリットが多そうです。
カメラレンズを人間にたとえると、一般的にレンズが「目」、焦点距離が「視野」と言われています。
焦点距離の数値を見ても画角のイメージが湧かないという方は、自身の視野と掛け合わせて考えると分かりやすくなるでしょう。
以下の動画では、焦点距離を人の視野にたとえて分かりやすく説明しているのでぜひご覧ください。