旅行やイベントごと、日々の仕事や日常のさまざまなシーンで、人物写真、ポートレートを撮影する機会は増えています。どうしたら素敵なポートレートを撮ることができるのでしょうか。
このブログでは、プロカメラマンの鵜川真由子さんによるポートレート撮影についての基本となる考え方やコツを、シチュエーションごとに8回に分けて進めていきます。
構図、自然光、ライティング、焦点距離、背景やボケの活かし方、夜のポートレートなどなど、毎回、鵜川さんが撮影した素敵な作例写真と共にお伝えしていきます。ぜひ参考にしてみてください。
はじめに
1. 光の種類と光の向きによる違い(それぞれの活かし方など)
順光
サイド光
逆光
2. 屋外ポートレート撮影に必要な機材
3. 背景やボケの活かし方(構図やコツなど)
前ボケ
後ろボケ
玉ボケ
魅力的な背景を見つける
4. 屋外ポートレート撮影におすすめのレンズ
Canon RF70-200mm F2.8 L IS USM
Canon RF85mm F1.2 L USM
Canon RF50mm F1.2 L USM
Canon RF35mm F1.8 MACRO IS STM
5. 屋外ポートレート撮影で気をつけたいこと(構図やテクニック面での注意点など)
まとめ
株式会社松濤スタジオを退社後、アシスタントを経て独立。広告や雑誌などでポートレイト撮影を中心に活動。アパレルメーカーとのコラボ展の企画など写真を通じて幅広く表現活動を行っている。
2012年 個展「The Secret Garden」開催、TOKYO FRONT LINE PHOTO AWARD入賞
2013年 グループ展「nice to meet you」、個展「Out of the Garden」開催
2015年 個展「NY Love Stories」「Ginza Love Stories」開催
2017年 個展「Rhapsody in Blue」開催
2021年 個展「LAUNDROMAT」「WONDERLAUND」開催、写真集『WONDERLAUND』刊行
ストロボライティング、屋内でのポートレートに続き、今回は屋外でのポートレート撮影についてのお話です。
屋外での撮影では自然光をどうとらえ、どのように活かすかが鍵。考え方はストロボも自然光も基本的には同じですが、天候や時間帯による光の色や質の使い方次第で表現の幅が広がり写真の中でドラマが生まれます。
それに加えて背景が自由に選べる楽しさもありますよね。被写体をより魅力的に見せるにはどんな方法を使えばいいのか、まずは基本的な考え方を知って作品作りに活かしてくださいね。
撮影者側から被写体の方へ向かっている光のこと。ポートレートにおいては人物の正面から光が当たっているため顔が明るく、写真の色もはっきり描写されます。ただし天気がいい日の直射日光だと光が強すぎて平べったい印象になってしまうので注意が必要です。
■ 屋外で屋根のある場所で撮ったため、直接光が当たらず柔らかい印象になりました。
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■ 少し日が傾き始めた時間帯。徐々に日光の色温度が低くなり、光の色が赤くなっていきます。直射なのでやや硬めの光です。光の角度によって影の出方が変わるので、顔を向ける方向に注意です。
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基本の考え方はストロボを使ったライティングと同じです。
顔の角度・もしくは光の角度を少し変えてサイドからの光にすると陰影がついてドラマチックな光になります。
自然光の場合、光の向きは変えられないので顔の向きを変えると背景がイマイチ…ということにもなりますので、そこはよく見極めながら、時にはモデルや撮影者の立ち位置も変えて調整していくといいでしょう。
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被写体の後ろから光が当たっている状態です。そのまま撮ると人物の顔が暗くなってしまうのでレフ板やストロボを使って人物を明るくしたり、露出補正をする必要があります。
逆光だから撮れない!ということはなく、むしろうまく利用することで印象的な写真にもなります。
■ストロボ
ストロボ使用前は顔が暗く影になっています。クリップオンストロボで優しく光を当てました。
“優しく” がポイントで、ストロボの光が強すぎてしまうと場の持つ空気感が壊れ、人物が不自然に浮き上がってしまいます。作例写真では太陽光の方が露出が強いため人物のエッジにハイライトが入り、アクセントになっていることがおわかりいただけるでしょうか。
太陽光の露出は天候によって変わりますので、その都度計測しながらストロボ光とのバランスを調整していきましょう。
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ストロボ使用
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ストロボなし
■レフ板
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レフ板使用
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レフ板なし
水面に反射した光の影響で逆光になり顔が少し暗く、立体感がないのでレフ板を使って少し明るくしました。瞳にキャッチライトが入って艶っぽい印象になりました。
■露出補正
人物のシャドー部に露出を合わせます。明るすぎる場合はそこから露出を補正します。ミラーレスカメラをお使いの方はモニターを見ながら調整するとわかりやすいですね。
ふんわりと優しい光に包まれた写真になります。
光源が直接レンズに向いてしまうと光が強すぎて優しい雰囲気が壊れてしまうので、太陽を人物の頭で隠したりカメラの角度を調節してコントロールしましょう。
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今回はクリップオンストロボ Canon スピードライト 600EX II-RT を使用しました。
レフ板も欠かせないアイテムです。
屋外ポートレート撮影では背景をどう切り取るかも重要なポイントです。
レンズの効果を使えば肉眼で来ているのとは違った効果を得られるので、上手に活用することで様々なメージが作れます。
花を手前に入れてボカすことで奥行きを出すことができ、ふんわり印象的な一枚になります。望遠レンズを使い、絞りは開放。手前の花にはできるだけ近くまで寄って撮ることで、前ボケの効果がより大きくなります。
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背景をボカすことで人物を浮き上がらせる効果があります。
ただし背景を活かして奥行きを感じさせたい場合はその場の状況がわかるくらいに後ろのボケ具合を調整しましょう。モニターを見ながら調整するとわかりやすいです。
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イルミネーションや街灯の光を活用するとこんな表現もできます。
望遠レンズで絞りは開放で撮りました。
被写体と光源の距離が離れていることが条件です。
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レンズの効果に頼るのではなく、その場にあるものを活用することもポートレート撮影を楽しむ方法の一つです。
魅力的な場所を見つけて一味違ったポートレートを撮ってみてくださいね!
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寄りの撮影では中望遠のレンズが使いやすくボケ味も美しい。一番使用頻度は高めです。
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背景を活かしての撮影では標準・広角をそれぞれ使い分けて。
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この4つで基本的な撮影はカバーできます。
Photo & Text by 鵜川 真由子(うかわ・まゆこ)