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2023.11.13
写真・動画の撮り方・ハウツー,

夜のポートレート撮影のコツ × 鵜川真由子 | プロが解説するポートレート写真撮影のコツ【第七回】

夜のポートレート撮影のコツ × 鵜川真由子 | プロが解説するポートレート写真撮影のコツ【第七回】キービジュアル

旅行やイベントごと、日々の仕事や日常のさまざまなシーンで、人物写真、ポートレートを撮影する機会は増えています。どうしたら素敵なポートレートを撮ることができるのでしょうか。このブログでは、プロカメラマンの鵜川真由子さんによるポートレート撮影についての基本となる考え方やコツを、シチュエーションごとに8回に分けて進めていきます。構図、自然光、ライティング、焦点距離、背景やボケの活かし方、夜のポートレートなどなど、毎回、鵜川さんが撮影した素敵な作例写真と共にお伝えしていきます。ぜひ参考にしてみてください。


ライター鵜川 真由子(うかわ・まゆこ)イメージ
■フォトグラファー紹介

鵜川 真由子(うかわ・まゆこ)

株式会社松濤スタジオを退社後、アシスタントを経て独立。広告や雑誌などでポートレイト撮影を中心に活動。アパレルメーカーとのコラボ展の企画など写真を通じて幅広く表現活動を行っている。
2012年 個展「The Secret Garden」開催、TOKYO FRONT LINE PHOTO AWARD入賞
2013年 グループ展「nice to meet you」、個展「Out of the Garden」開催
2015年 個展「NY Love Stories」「Ginza Love Stories」開催
2017年 個展「Rhapsody in Blue」開催
2021年 個展「LAUNDROMAT」「WONDERLAUND」開催、写真集『WONDERLAUND』刊行

はじめに

夜のポートレートは当然ながら暗闇の中に光を作り出す必要があります。街中での撮影では街灯やネオンを上手に使うことで日中のポートレートとは全く違う世界が表現できることも面白さの一つですよね。夜にポートレートを撮るコツや注意点を作例をご覧いただきながら解説していきます。

夜のポートレート撮影のポイント

まずは夜景をバックにストロボを使っての人物撮影について

ネオン(明部)と人物(暗部)の露出差が大きいため、コントロールしてバランスを合わせなくてはいけません。こちらの作例では撮影データをこのように合わせましたが、その理由を解説していきたいと思います。

夜のポートレート作例(夜景バック)

シャッタースピード 0.5秒
絞りF2.8 / ISO400

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夜景部分を綺麗に写すため、シャッタースピードは0.5秒とややスローシャッターに。手持ちではブレてしますので、ここで三脚が必要になります。

ストロボで人物をライティングする際、露出計を使って適正な光量を計測します。絞りをF2.8に合わせたのは背景の光が綺麗な玉ボケになるようにするためです。

動く光源をバックに撮る

夜のポートレート作例(動く光源バック)

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観覧車や車のヘッドライトなど、動く光源を利用して遊び心のある一枚を撮ることも可能です。この場合もスローシャッターのため、三脚を使用。人物に向けてストロボを飛ばしています。

その場にある光を利用する

夜のポートレート作例(紫色の光)

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夜になると街に登場する、さまざまな光を探して活用してカラフルな写真を撮ってみましょう。

こちらは紫色の光です。ストロボと違って遠くまで光が届かないので、光源のすぐ近くまで顔を近づける必要があります。

色味を出すためには露出はややアンダー目に合わせます。ISO感度を上げればシャッタースピードを速くできるので手持ちでの撮影も可能です。

夜景と人物ポートレート撮影時の注意点(夜景をバックにした場合のコツや注意点)

人物の白飛びに注意

夜のポートレート作例(ストロボ光強い)

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ストロボの光を強くしすぎるとこのように人物が白飛びしてしまいます。背景が暗いため余計に浮いてしまいます。露出計の数値だけで判断するのは難しいと思うので、液晶を見ながら人物が不自然に写らない程度の露出になるよう調整しましょう。

被写体ブレをしないように

夜のポートレート作例(被写体ブレ)

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夜景を際立たせるために夜のポートレートはスローシンクロ(ストロボをスローシャッターで発光させること)を使うことが多いため、被写体ブレをしないように気をつけましょう。

人物と背景の露出のバランスを考えましょう

夜のポートレート作例(背景光量不足)

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背景の光量が足りていないとこんな風になります。これだとせっかくの美しい夜景が活かせていないですよね。人物と背景の露出のバランスがいかに大事かがわかるかと思います。

フラッシュを使った撮影

夜のポートレート作例(クリップオンストロボ)

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ストロボを使うのが難しい場合はクリップオンストロボを使って。
ただしフラットで硬い光になるので、あえてそのテイストを楽しむ気持ちで使うと良いかと思います。

夜のポートレート撮影におすすめのカメラ設定

夜景でのポートレート撮影において、夜景を真っ暗にすることなく綺麗に表現するためにはスローシャッターに合わせ、人物にはストロボを当てることが基本だと覚えておくと良いでしょう。またネオンなどの光源を背景に、長めのレンズを使って開放に近い絞り値で撮れば、美しい玉ボケの表現も可能です。

写真を撮る際に”正しい数値”というものはありません。今回のようにテーマが「夜」と言っても時間帯や場所によって条件が違ってきますし、どのように表現したいかを考えるのが写真を撮ることの基本だからです。そういった様々な要素を積み上げ、条件に沿った設定を選択できるようになると、写真を撮ることがより楽しくなってきます。このブログを参考にしながら、夜景でのポートレートにもトライしてみてください!

まとめ

・夜景をバックにした人物撮影では明部と暗部の露出差が大きいためバランスを合わせるのが重要です
・夜のポートレートなら、動く光源をバックに遊び心のある一枚を撮ることもできます
・夜になると街に登場する、さまざまな光を活用してカラフルな写真を撮ってみましょう
・ストロボ光を強くしすぎて人物が白飛びしないように注意しましょう
・スローシンクロでは人物がブレないように注意が必要です
・背景と人物の露出のバランスを考えましょう

Photo & Text by 鵜川 真由子(うかわ・まゆこ)

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