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2022.11.17
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PENTAX HD PENTAX-D FA MACRO 100mm F2.8ED AW レビュー × 三井公一 | フィールドで活躍必至の等倍マクロレンズ

PENTAX HD PENTAX-D FA MACRO 100mm F2.8ED AW レビュー × 三井公一 | フィールドで活躍必至の等倍マクロレンズ

ペンタックスファン待望の最新マクロレンズ「HD PENTAX-D FA MACRO 100mm F2.8ED AW」は、光学系を一新し、防塵防滴性能を徹底強化したフィールドで活躍必至の等倍マクロ撮影可能なプライムレンズです。

今回は、フォトグラファー三井公一氏が次の一本におすすめという「HD PENTAX-D FA MACRO 100mm F2.8ED AW」を「PENTAX K-3 MarkⅢ・K-1 MarkⅡ」と組み合わせて、マクロ域の撮影からスナップ、風景まで作例と共にレビューします。


ライター三井公一(みつい・こういち)イメージ
■レビュアー紹介

三井公一(みつい・こういち)

フォトグラファー。写真週刊誌、スポーツ紙、グラフ誌、モータースポーツ専門紙のスタッフフォトグラファーを経て、現在は広告やエディトリアル撮影を手がける。ブラブラとさすらいながらのスナップショット撮影が好き。シグマ公式サイト「シグブラ」、ペンタックス公式サイト「ペンタビ」などの連載を持つ。スマートフォンでの写真撮影のパイオニアでもある。
公式サイト: www.sasurau.com
各 SNS:@sasurau
シグマ公式サイト「シグブラ」
ペンタックス公式サイト「ペンタビ」

PENTAX K-1 MarkⅡに装着。

はじめに

ペンタックスから待望の新マクロレンズが登場した。この「HD PENTAX-D FA MACRO 100mm F2.8ED AW」は先代モデル「smc PENTAX-D FA MACRO 100mm F2.8 WR」の光学系を一新し、描写性能を格段に向上したレンズになっている。ルックスはさほど変わった印象を受けないが、防塵防滴性能も強化されてフィールドで活躍する等倍撮影可能な1本に仕上がっている。

高い描写性能を得るために最新光学技術を惜しみなく投入

レンズ構成は8群10枚。特殊低分散(ED)ガラスと異常低分散ガラスを採用し、各収差やパープルフリンジの発生を大幅に低減。さらにゴーストとフレアを防ぐために、可視光域における平均反射率を従来比約50%以下に抑えた高性能マルチコーティング「HDコーティング」と、FREE(後群分離型フォーカシング)システムを採用した。これによって最短撮影距離から無限遠までヌケ感の高いクリアな写真を撮影することが可能になっている。

マルチコーティングの反射率比較。

過酷な環境下での撮影を実現するレンズ構造

マクロレンズといえばやはりアウトドアフィールドでの撮影がメインになる。昆虫をはじめとする生き物たちや、花や野草といった植物の撮影は不意の雨や風によるホコリなどに見舞われることが多い。そんな厳しい環境下での撮影でも「HD PENTAX-D FA MACRO 100mm F2.8ED AW」なら安心である。

なぜなら防塵・防滴構造の「AW(All Weather)」をペンタックスのマクロレンズで初めて採用したからだ。6ヵ所に施したシーリングによって内部に水滴や埃などが入りにくいようになっている。これなら朝露の中や、強風の砂浜でのシューティングも安心である。実に頼もしい。

「Limited」レンズのような高品位な仕上がり

レンズの佇まいもいい。ペンタックスの伝統「Limited」シリーズのような雰囲気は写欲をかき立ててくれるに違いない。アルミ削り出しの外装は高級感があり、フォーカスリングの操作感も上々だ。

もちろんオートフォーカスとマニュアルフォーカスを切り替えなしで操作できる「Quick-shift Focus System(クイックシフト・フォーカス・システム)」も採用されているので、等倍付近の撮影時にシビアなフォーカス合わせもストレスを感じることはないだろう。フルサイズ一眼レフ「K-1 MarkⅡ」やAPS-C一眼レフ「K-3 MarkⅢ」の明るく大きい光学ファインダーでシャープな像を見ながらシャッターを切るのが快感だ。外観と使用感ともに素晴らしいレンズだと言えよう。

機動性抜群のサイズ感

「HD PENTAX-D FA MACRO 100mm F2.8ED AW」はそのサイズ感もいい。約65mm×約80.5mmという最大径×長さとフード装着時約387gという軽さは携行しやすい。スリムな鏡筒と相まってカメラバッグへの収納も実にスムーズ。ズームレンズ主体のレンズ構成に常に加えておきたいプライムレンズになっている。いざという時に等倍までの撮影が可能なのは作品作りにおいてとても有用だろう。

全世界300本限定のシルバーエディションも登場

このレンズはブラックカラーだけでなくシルバーエディションも用意される。ただしシルバーは全世界で何と300本のみという超限定品だ。日本国内ではすでに完売。そのうちフジヤカメラ店に中古として入荷するかもしれないので、気になるペンタキシアンは公式サイトをこまめにチェックするといいだろう。

HD PENTAX-D FA MACRO 100mm F2.8ED AW ブラック、シルバー
レンズ構成図
先代モデル「smc PENTAX-D FA MACRO 100mm F2.8 WR」。レンズ構成は8群9枚。

HD PENTAX-D FA MACRO 100mm F2.8ED AW 実写レビュー

さて今回はフルサイズ一眼レフ「K-1 MarkⅡ」、APS-C一眼レフ「K-3 MarkⅢ」に本レンズを装着して、マクロ撮影とブラブラとスナップ撮影を楽しんでみた。どちらの撮影もとても快適で、描写も満足いく仕上がりであった。

【 マクロ撮影編 】

PENTAX K-1 MarkⅡ・HD PENTAX-D FA MACRO 100mm F2.8ED AWで撮影したスズメバチの画像

PENTAX K-1 MarkⅡ・HD PENTAX-D FA MACRO 100mm F2.8ED AW
絞りF8・1/10秒・ISO800・+1EV補正・WBオート・RAW+JPEG

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最短撮影距離でスズメバチに迫った。昆虫の撮影には最適だと感じた。

道ばたでスズメバチが死んでいたので持ち帰って撮影した。凶暴そうな顔のディテールがいい感じ。欠けた触角などの様子も手に取るようにわかる。ボケも自然でいい。

撮影風景はこんな感じ。レンズ先端から13cmまで寄れる。

PENTAX K-3 MarkⅢ・HD PENTAX-D FA MACRO 100mm F2.8ED AW(35mm判換算153mm相当)で撮影した紅葉の画像

PENTAX K-3 MarkⅢ・HD PENTAX-D FA MACRO 100mm F2.8ED AW(35mm判換算153mm相当)
絞りF2.8・1/200秒・ISO200・−0.3EV補正・WBオート・RAW+JPEG

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モミジに迫る。紅葉にはまだ時間が必要な感じだ。

紅葉していなかったので逆光のシルエットでモミジを撮影。葉先にフォーカスして「K-3 MarkⅢ」のシャッターを切った。「Quick-shift Focus System(クイックシフト・フォーカス・システム)」で思ったところにフォーカスしやすいのがいい。ペンタックスの一眼レフはファインダーが明るく見やすいので助かる。

PENTAX K-3 MarkⅢ・HD PENTAX-D FA MACRO 100mm F2.8ED AW(35mm判換算153mm相当)で撮影した落ち葉の画像

PENTAX K-3 MarkⅢ・HD PENTAX-D FA MACRO 100mm F2.8ED AW(35mm判換算153mm相当)
絞りF5.6・1/160秒・ISO2000・−0.7EV補正・WBオート・RAW+JPEG

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里山に積もった枯れ葉たち。色とりどりの様子をこのレンズは克明に捉えた。

フルサイズの「K-1 MarkⅡ」だと100mm、APS-C一眼レフ「K-3 Mark Ⅲ」だと153mm相当の画角は日常使いのマクロレンズとしてちょうどいい距離感に感じる。このカットのように見下ろした場合としゃがんでの場合にしっくりくる印象だ。どちらの場合も画面中央から周辺部にかけての解像感が豊かで好ましい描写になっている。

PENTAX K-3 MarkⅢ・HD PENTAX-D FA MACRO 100mmF2.8ED AW(35mm判換算153mm相当)で撮影した葉っぱの画像

PENTAX K-3 MarkⅢ・HD PENTAX-D FA MACRO 100mmF2.8ED AW(35mm判換算153mm相当)
絞りF8.0・1/160秒・ISO3200・−1.3EV補正・WBオート・RAW+JPEG

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日陰に落ちてたホオノキの葉を拾い最短撮影距離で朽ちゆく様子をキャプチャーした。

最短撮影距離0.303mでホオノキにできた穴を接写。その枯れてほころんだエッジの鮮明さが素晴らしい。また周囲の表面もしっかりと写しとられている。秋の里山は被写体の宝庫である。

PENTAX K-3 MarkⅢ・HD PENTAX-D FA MACRO 100mmF2.8ED AW(35mm判換算153mm相当)で撮影したアザミの花の画像

PENTAX K-3 MarkⅢ・HD PENTAX-D FA MACRO 100mmF2.8ED AW(35mm判換算153mm相当)
絞りF2.8・1/160秒・ISO640・−0.7EV補正・WBオート・RAW+JPEG

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アザミの花をクローズアップで。正確なオートフォーカスがうれしい。

「HD PENTAX-D FA MACRO 100mm F2.8ED AW」はその可憐な花の作りをしっかりと写しとった。花についている微小な花粉も判別できるほどである。オートフォーカスも高速かつ正確で頼もしい。ローアングルでの撮影でも楽チンであった。

PENTAX K-3 MarkⅢ・HD PENTAX-D FA MACRO 100mm F2.8ED AW(35mm判換算153mm相当)で撮影した稲の画像

PENTAX K-3 MarkⅢ・HD PENTAX-D FA MACRO 100mm F2.8ED AW(35mm判換算153mm相当)
絞りF8.0・1/160秒・ISO320・−1EV補正・WBオート・RAW+JPEG

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里山の棚田に干されていた稲の実。想像以上にこのレンズは克明に描写した。

中央部分の稲をよく見ると、細かい産毛のようなものが生えているのが分かる。絞りはF8とやや絞って撮影したが、ほぼ等倍撮影でも手持ちでシャープな像が得られるのに感銘を受けた。5軸手ぶれ補正機構SRⅡは本当にこういうシーンで役に立つね。

【 スナップ撮影編 】

PENTAX K-1 MarkⅡ・HD PENTAX-D FA MACRO 100mm F2.8ED AWで撮影した鉄塔と飛行機の画像

PENTAX K-1 MarkⅡ・HD PENTAX-D FA MACRO 100mm F2.8ED AW
絞りF6.3・1/400秒・ISO100・WBオート・RAW+JPEG

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このレンズは常時携行する中望遠レンズとしても使いやすい。澄み切ったブルーの描写が美しい。

「HD PENTAX-D FA MACRO 100mm F2.8ED AW」は近接撮影だけのレンズではない。100mm相当の中望遠レンズとして活躍する。オートフォーカスも実用的で、とっさに見つけた飛行機と鉄塔のカットでもイメージどおりに撮影できた。鉄塔に付いているドーム型監視カメラまでしっかりと解像、確認できる。

PENTAX K-1 MarkⅡ・HD PENTAX-D FA MACRO 100mm F2.8ED AWで撮影したススキの画像

PENTAX K-1 MarkⅡ・HD PENTAX-D FA MACRO 100mm F2.8ED AW
絞りF11・1/1600秒・ISO200・WBオート・RAW+JPEG

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逆光にも強い「HDコーティング」で意図した撮影が可能だ。

ススキの穂を太陽と「K-1 MarkⅡ」で撮影した。わざと光源が強烈に入るようにしたが、「HDコーティング」のおかげでイヤなフレアやゴーストの発生なくクリアな像を得られた。しかしススキの穂の描写が美しいこと。太陽の光条も整っていて実に好ましい。

PENTAX K-1 MarkⅡ・HD PENTAX-D FA MACRO 100mm F2.8ED AWで撮影した標識の画像

PENTAX K-1 MarkⅡ・HD PENTAX-D FA MACRO 100mm F2.8ED AW
絞りF8.0・1/500秒・ISO100・WBオート・RAW+JPEG

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マクロレンズらしいカッチリ、クッキリした描写がスナップ撮影を楽しくしてくれる。

マクロレンズは描写力が格段にシャープである。そのパワーをマクロ時だけでなく他の撮影で使わない手はない。街角をブラブラと歩いていて、このような気になったシーンをカッチリと写しとるのも楽しいものである。標識に貼られた区の管理ステッカーの文字も読めるし、壁のテクスチャー感もとてもリアリティあふれるものになっている。壁に落ちた影をユニークに撮影できた。

PENTAX K-1 MarkⅡ・HD PENTAX-D FA MACRO 100mm F2.8ED AWで撮影した川の堰の画像

PENTAX K-1 MarkⅡ・HD PENTAX-D FA MACRO 100mm F2.8ED AW
絞りF11・1/1250秒・ISO400・+1EV補正・WBオート・RAW+JPEG

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過酷な環境でも安心して使える「SPコーティング」は頼もしい。

川の堰を狙う。轟音を立てて水がほとばしり、細かい飛沫が宙に舞い飛んでくる。こんなシーンでも「HD PENTAX-D FA MACRO 100mm F2.8ED AW」なら安心である。レンズ前玉に汚れが付きにくいSP(Super Protect)コーティングが施されているからだ。ちょっとした飛沫や砂塵なら簡単にブロアーで吹き飛ばすことができる。しかし水面の泡立つ様子が実に素晴らしく写しとられているではないか。

PENTAX K-1 MarkⅡ・HD PENTAX-D FA MACRO 100mm F2.8ED AWで撮影した夕方の土手の画像

PENTAX K-1 MarkⅡ・HD PENTAX-D FA MACRO 100mm F2.8ED AW
絞りF11・1/800秒・ISO200・WBオート・RAW+JPEG

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夕陽を浴びる土手をブラブラと。行き交う自転車を狙ったが背景のヌケ感がよく感心した。

日没間近の土手をフォトウォーク。太陽と自転車をフレームに入れて「K-1 MarkⅡ」のシャッターを切ったが、スカッとしたヌケのいい描写が印象的だ。イヤなフレアもなくハイライト部からシャドウ部まで情感豊かに秋のワンシーンを撮ることができた。

PENTAX K-3 MarkⅢ・HD PENTAX-D FA MACRO 100mm F2.8ED AW(35mm判換算153mm相当)で撮影した六地蔵の画像

PENTAX K-3 MarkⅢ・HD PENTAX-D FA MACRO 100mm F2.8ED AW(35mm判換算153mm相当)
絞りF2.8・1/160秒・ISO200・−0.3EV補正・WBオート・RAW+JPEG

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里山の寺で六地蔵に迫った。前後とも美しいボケ感で像が浮き上がった。

PENTAX K-3 MarkⅢに装着。

光学系を一新した「HD PENTAX-D FA MACRO 100mm F2.8ED AW」。マクロ域では緻密な解像感と豊かな立体感で本領発揮するのはもちろん、通常のスナップや風景撮影でもそのシャープさを活かした撮影を楽しめるレンズに仕上がっている。レンズ本体の仕上げも「Limitedレンズ」クラスなので使っていても実に楽しく惚れ惚れするほどだ。「次の1本は何にしようかな」と考えているペンタキシアンに一度手にして試してほしいレンズになっている。

作例に使用したレンズ

HD PENTAX−D FA MACRO 100mmF2.8ED AW

史上初!?HD PENTAX‐D FA MACRO 100mmF2.8ED AW シリアルナンバー入札実施

リコーイメージングストアでは、特定シリアルナンバーのHD PENTAX‐D FA MACRO 100mm F2.8ED AWを入札方式にて販売。各商品の入札期間内に最高入札額を提示したお客様が、当該シリアルナンバーの商品の購入権を得られる。

HD PENTAX‐D FA MACRO 100mmF2.8ED AW ブラック/シルバーの以下のシリアルナンバー入り商品

本体カラー:シルバー、シリアルナンバー「1000001」
本体カラー:シルバー、シリアルナンバー「1000100」
本体カラー:ブラック、シリアルナンバー「0000001」
本体カラー:ブラック、シリアルナンバー「0000100」

※本体カラー:シルバー、シリアルナンバー「1000001」、本体カラー:シルバー、シリアルナンバー「1000100」はすでに入札終了。
専用サイトはこちら

作例に使用したカメラ

PENTAX K-3 MarkⅢ・K-1 MarkⅡ

まとめ

・光学系を一新し、描写性能を格段に向上
・雨や風によるホコリなどの厳しい環境下での撮影も可能
・可視光域における平均反射率を従来比約50%以下に抑えた高性能マルチコーティング
・FREE(後群分離型フォーカシング)システムの採用
・最短撮影距離から無限遠までヌケ感の高いクリアな写真の撮影が可能
・マクロ域では緻密な解像感と豊かな立体感で本領発揮
・スナップや風景撮影でもそのシャープさを活かした撮影を楽しめる

Photo & Text by 三井公一(みつい・こういち)

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