RICOH IMAGING (リコーイメージング) HD PENTAX-D FA★85mmF1.4ED SDM AW の実写レビューです。
HD PENTAX-D FA★85mmF1.4ED SDM AW は、大型の大口径中望遠レンズで、諸収差を極限まで低減した高性能を追求したレンズです。
超高性能なレンズとして名高いZeissの「Otus並み」を目指したレンズだと思われます。
スーパーEDガラス3枚、非球面レンズ1枚を使用し、歪曲収差やパープルフリンジの発生を効果的に抑制しており、大きさに見合った、非常に高性能なレンズと言っていいと思います。
1.3kgを超える重量(フード含む)は、実際に手にするとズッシリと重く感じられます。
大きさもかなり大きく思えますが、マウント部付近がすぼまったデザインは、ホールディングも良く、又、K-1 Mark IIとのバランスもいいので、構えづらいという事はありませんでした。
何より、PENTAXが画質に並々ならぬこだわりを持って設計したレンズという事で、楽しみなテスト撮影となりました。
フィルター径 | 82mm |
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最短撮影距離 | 0.85m(最大撮影倍率 0.12倍) |
最小絞り | F16 |
対応センサーサイズ | フルサイズ |
マウント | KAF4 |
全長 | 約123.5mm |
重量 | 約1355g(フード含む) |
付属品 | レンズフード |
梅雨の晴れ間を狙って、新緑が綺麗な渓谷にテスト撮影に出かけました。
少し絞ったf4での撮影ですが、川床の石、岸に生えた草木の葉の一枚一枚まで解像していて、非常に高い描写性能を持ったレンズです。
本来、ポートレートなど背景を大きくボカしたい撮影に使う事を念頭においたレンズだと思いますが、ここまで解像力が高いと、風景写真など細密描写が求められる撮影に使いたくなります。
開放では、ピント部分はシャープでありながら、美しく自然なボケが楽しめます。
自然風景の撮影では、背景との明暗差が大きい事も多く、色収差由来と思われるフリンジがのるケースがありますが、HD PENTAX-D FA★85mmF1.4ED SDM AW は勿論そういった事も十分以上に意識して設計されたレンズなので、フリンジの発生もほぼありません。
スーパーEDガラス3枚を使用した、豪華なレンズ構成のお陰で、レンズを感じさせない非常に抜けのいい描写です。
一瞬、映画スターウォーズの人気キャラクター「ジャバザハット」かと思いました。
石の丸みや、質感を、実物以上にリアルなイメージで再現してくれるのは、高性能なレンズならではでしょう。
少し露出をアンダーにして、石のしわが引き立つように撮影しました。
水の流れを表現したくて、スローシャッター(1/8秒)で撮影しました。
HD PENTAX-D FA★85mmF1.4ED SDM AW の最小絞りはf16なので、ISO感度を常用の最低感度にしても追いつかず、オーバー露出となりましたが、逆にそれが功を奏して水の色が綺麗に表現出来ました。
今回はたまたま上手く行きましたが、これからの時期、開放f1.4などの大口径レンズは、屋外ではシャッタースピード1/8000でも追いつかないケースが出てきますので、NDフィルターを持つ事をおススメします。
鮮やかな新緑を、K-1 Mark II の明るいカラーバランスが印象的に切り取ってくれました。
f4まで絞っていますが、拡大すると紅葉の葉が一枚一枚シャープに再現されており、HD PENTAX-D FA★85mmF1.4ED SDM AW の良さを余すところなく使い切った写真になりました。
高性能な単焦点レンズを使うと、ズームレンズには戻れない魅力があります。
同じ紅葉の葉を、露出をアンダーにして、シルエットとボケで表現してみました。
85mmは、物の形が自然に表現出来て、景色の一部を切り取っていく風景写真には使い易い画角です。
さらに、HD PENTAX-D FA★85mmF1.4ED SDM AW は、歪曲収差がほぼ無いと言っていいレベルで良好に補正されているのでなおさらです。
川に降りる斜面に、オレンジ色の花(ユリ?でしょうか)が小さな花を咲かせていました。
遠近感が自然な中望遠レンズは、背景を適度に整理出来て、さらにf1.4のボケを使って画面を整理出来るので、焦点の合った写真を撮り易いレンズだと思います。
風景写真は、ともすると散漫な印象になり易いので、意外と単焦点レンズが使えたりする気がします。
ふと立ち寄った茶店の裏庭を撮らせていただきました。
だいぶ古いお宅で、和洋折衷の建物や、まるで自然にそこに生えたような草花が、ジブリ映画にでも出て来そうな雰囲気でした。
HD PENTAX-D FA★85mmF1.4ED SDM AW の短所の一つは、大きなレンズの為目立つ事で、撮っています!と大袈裟に構えてしまうところが、ちょっとしたスナップなどでは少しマイナスです。
先の茶店でかき氷をいただきました。
この日は梅雨の晴れ間を狙って、レンズ2本のテスト撮影を1日でこなさなければならず、ここまでの道のりですっかり疲れ切った体に、かき氷の冷たさ、甘さが染みわたります。
オーバーにした露出と HD PENTAX-D FA★85mmF1.4ED SDM AW の柔らかいボケ味が、かき氷を実物以上にふわふわと柔らかく表現してくれました。
雨後の為か、普段は素晴らしく透明度の高い川も、うっすら白く濁っていました。
瑞々しい木々の茂みとの対比を美しく思いシャッターを切りました。
ズームレンズを使って、厳密にフルフレーミングするのもいいですが、手持ちのレンズの画角に合わせて、被写体を探しフレーミングを工夫するのも楽しい風景撮影となりました。
先ずは、開放f1.4の描写から見てみます。
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ピントが非常に薄く、ミリ単位でフォーカスがズレてしまいますが、白く丸いつぼみの部分の解像感や、立体感の付き方は相当で、非常に高性能なレンズと言えると思います。
(ピンク色の紫陽花の花びらっぽい部分は正確にはガクで、真ん中の小さい丸い部分が花、この写真ではまだ開いておらずつぼみです)
次に絞った際の描写を見てみます。
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川床の石の一つ一つ、灌木の葉の一枚一枚まで解像していてシャープです。
大きさ重さ、価格に見合った、高性能なレンズだと思います。
K-1 Mark II に、PENTAX-D FA★85mmF1.4ED SDM AW 1本だけを持っても2kgを軽く超える重量は、取り回しがいいとはお世辞にも言えません。
そんな、超ド級レンズを持って、2時間ほどの撮影でしたが、結果は非常に満足の行くものでした。
一眼レフ用レンズとしてはトップクラスの性能の良さは、驚くほどの解像感を見せ、逆光や複雑な光の中で撮る屋外でも、フリンジの発生やフレアの発生による画質低下は皆無で、シャープで高画質が好まれる風景写真でも大きな武器となると思います。
残念ながら、まだ十分とは言えないフルサイズデジタル一眼カメラ K-1 用のレンズとして、カメラの性能を最大限活かせる一本の登場だと感じました。
>>> HD PENTAX-D FA★85mmF1.4ED SDM AW