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2023.05.23
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SMC PENTAX-FA 50mm F1.4 CLASSIC 実写レビュー

SMC PENTAX-FA 50mm F1.4 CLASSIC 実写レビュー

SMC PENTAX-FA 50mm F1.4 CLASSIC の実写レビューです。

美しい虹色フレアが楽しめる個性派の標準レンズは、写真を楽しむ事を重視するペンタックスらしい遊び心あふれるレンズとなっています。

製品の特長と楽しみ方のコツなどを実際に撮影した実写をもとにレビューします。

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■この記事の監修

フジヤカメラ店

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SMC PENTAX-FA 50mm F1.4 CLASSIC
SMC PENTAX-FA 50mm F1.4 CLASSIC

特徴/操作性

虹色フレアの発生する個性派の標準レンズ

SMC PENTAX-FA 50mm F1.4 CLASSIC 本体1

SMC PENTAX-FA 50mm F1.4 CLASSIC の特徴は虹色フレアが発生する事です。絞り開放、逆光時にリング状に虹色を帯びた美しいフレアが発生するので、オールドレンズで撮影したような個性あふれる写真が楽しめます。

虹色フレアは絞りを開放にした時だけ発生し、一絞り絞るだけでほとんど発生しません。又、虹色フレア以外のゴーストやフレアの発生は抑制されるように設計されているので、絞れば柔らかい描写の通常のレンズとして使える点もポイントです。

使用に際して必須とも言える、3段分のNDフィルター(ND16)が付属品となっている点も見逃せない点で、ユーザーフレンドリーなPENTAXらしい配慮だと思います。

柔らかい描写と円形絞りによる美しい玉ボケ

SMC PENTAX-FA 50mm F1.4 CLASSIC 本体2

SMC PENTAX-FA 50mm F1.4 CLASSIC には円形絞りが採用されており、美しい玉ボケが楽しめます。

描写は現代のレンズと比べると少し眠い柔らかい描写で、シャープさが損なわれる分ボケ味は非常に美しいものです。

最近のレンズはピント面のシャープさとボケの柔らかさを両立するように設計されているものも多いですが、SMC PENTAX-FA 50mm F1.4 CLASSIC の写りをみると、柔らかいと言われるレンズのボケ味はやはり格別だと思い知らされます。

SMC PENTAX-FA 50mm F1.4 CLASSIC 旧モデルとの絞りの形の比較

SMC PENTAX-FA 50mm F1.4とSMC PENTAX-FA 50mm F1.4 CLASSIC の絞りの形を比較しました。右が円形絞りを採用しているSMC PENTAX-FA 50mm F1.4 CLASSIC の絞りです。

F2.8まで絞った状態ですが、円形絞りは真円に近い美しい絞りの形となっています。

点光源のボケはおおむね絞りの形になるので、美しい玉ボケを楽しみたいなら円形絞りの採用は大きなメリットとなるでしょう。

絞りリングとフォーカスリングだけのコンパクトでシンプルなデザイン

SMC PENTAX-FA 50mm F1.4 CLASSIC 本体3

高解像を突き詰めたレンズはどうしても大きく重くなりますが、SMC PENTAX-FA 50mm F1.4 CLASSIC の価値はそこでは無いので、サイズは非常にコンパクト、操作もフォーカスリングと絞りリングだけというシンプルなものです。

デザインが古いFAレンズそのままなので操作感に期待していなかったのですが、どういうからくりなのかフォーカスリングの動きは滑らかで十分なトルクもあり扱いやすいと感じました。

コンパクトなおかげで、マウントアダプターを使った他社製ミラーレスカメラでの使用でも使いやすそうです。

実写レビュー

美しい虹色フレアが楽しめる

SMC PENTAX-FA 50mm F1.4 CLASSIC 作例1
作例1:F1.4 1/250 ISO200 露出補正+1.0

逆光では驚くほど簡単に虹色フレアが発生します。

テスト撮影は逆光での撮影が容易な夕方の時間帯を狙って行いましたが、太陽をフレーミングする事で簡単に虹色フレアが発生し、光学ファインダーのK-1 Mark IIでもそれは簡単に確認できました。

今までにもフレアやゴーストが発生しやすいレンズを使って楽しんだ事は何度もありましたが、SMC PENTAX-FA 50mm F1.4 CLASSIC は、その中でも特に簡単に虹色フレアが発生するレンズだと感じました。

SMC PENTAX-FA 50mm F1.4 CLASSIC 作例2
作例2:F1.4 1/320 ISO200 露出補正+2.0

完全逆光にする事で、ドーナツ状の虹色フレアを画面の真ん中に配置する事ができます。

作例のように被写体を囲むようにフレアを配置する事も容易なので、うまく作画に活かしていただければと思います。又、名前が示すとおりフレアは虹色に色づいて発生するので、被写体にカラフルなものを選ぶのも楽しいかもしれません。

画像処理と違ってレンズ由来のフレアは自然です。なにより、シャッターを切る一瞬で作画をリアルタイムに感じながら撮れるのは、写真の醍醐味のひとつと言えるでしょう。

街灯などの点光源が多い夜間の使用もおすすめ

SMC PENTAX-FA 50mm F1.4 CLASSIC 作例3
作例3:F1.4 1/60 ISO1600 露出補正-1.0

虹色フレアは街灯などの人口光でも発生しますので、ナイトスナップなど夜間の使用もおすすめです。

日中以上に簡単にフレアが発生するので、工夫次第で面白い写真がとれそうな可能性を感じました。ネオンなど色のついた光に対してどのようなフレアが発生するのか試してみても面白かったかもしれません。

夜間の撮影では背景が暗く落ち込むので、虹色フレアをより強調できるのも夜に使うメリットのひとつです。

SMC PENTAX-FA 50mm F1.4 CLASSIC 作例4
作例4:F1.4 1/1250 ISO1600 露出補正±0

柔らかい描写のレンズで、円形絞りを採用しており絞っても玉ボケが丸く滑らかになる事もSMC PENTAX-FA 50mm F1.4 CLASSIC を夜間の撮影におすすめする理由のひとつです。

作例は開放での描写ですが、柔らかいボケ味や描写は、まるでオールドレンズを使っているようです。SMC PENTAX-FA 50mm F1.4 CLASSIC は仮に虹色フレアが無くても十分以上に魅力的なレンズだと思います。

開放では画面周辺で口径食により玉ボケが真円になりませんが、形が素直なので違和感はありません。玉ボケの周囲に色のついた縁取りが出るところもこのレンズの特徴のひとつとなっています。

ゴーストや余計なフレアは抑制されておりコントロールしやすい

SMC PENTAX-FA 50mm F1.4 CLASSIC 作例5
作例5:F1.4 1/1600 ISO200 露出補正±0

通常フレアやゴーストは偶然発生してしまう事が多く、逆光で発生するといった傾向はあるものの、コントロールが難しいケースが大半だと思います。

SMC PENTAX-FA 50mm F1.4 CLASSIC は発生するようにチューニングされたコーティングと、虹色フレア以外のフレアは発生しないよう抑制された設計で、驚くほどコントロールしやすいと感じました。

特に、虹色フレア以外のフレアが抑制されている事で、虹色フレアだけを高いコントラストで目立たせる事ができる点は、オールドレンズでは難しいこのレンズならではのメリットだと思います。

SMC PENTAX-FA 50mm F1.4 CLASSIC 作例6
作例6:F1.4 1/8000 ISO200 露出補正±0

太陽や点光源を入れれば簡単に虹色フレアが発生するのもメリットのひとつです。

発生する条件を読みやすく作画を事前にコントロールしやすい事で、スピーディーに撮影する事ができます。フレアが抑制されていることで光学ファインダーでも虹色フレアの場所や明るさを判断しやすいのも、使い勝手の良さにつながっています。

反面、光の入れ方によっては全く発生しないので、使いはじめは強い点光源を意図的にフレーミングして、発生する条件の勘所をつかんでおく必要があるかもしれません。

柔らかく諧調豊かな写りはクラシックレンズのよう

SMC PENTAX-FA 50mm F1.4 CLASSIC 作例7
作例7:F1.4 1/60 ISO500 露出補正±0

ついつい虹色フレアだけに注目してしまいますが、SMC PENTAX-FA 50mm F1.4 CLASSIC の諧調表現や美しいボケ味は、通常レンズとしても十分過ぎるほど魅力的です。

オリジナルとなるレンズの光学設計が古い事がその理由のひとつですが、フィルムライクな柔らかな描写は表現の幅を広げてくれそうです。

50mm f1.4と言えばメーカーの顔となる焦点距離・スペックのレンズで、かつては各メーカーとも威信をかけて設計したと言われますが、SMC PENTAX-FA 50mm F1.4 CLASSIC も、実にPENTAXらしい写真を撮る事を楽しめるレンズとなっています。

SMC PENTAX-FA 50mm F1.4 CLASSIC 作例8
作例8:F1.4 1/60 ISO640 露出補正±0

描写が古いという事は、レンズとして欠点が無いわけではないという事です。

今回使ってみて少し気になったのは、色収差由来と思われるパープルフリンジの発生です。

明暗差の激しい条件などでは目立つケースもあるので、画像処理でフリンジの除去をする、明暗差が大きいフリンジが多くなる条件では撮影を諦める、いっそモノクロで撮るといった、工夫が必要になるかもしれません。個人的にはレンズの特性を考えるとモノクロでの使用も楽しいのでは?と感じました。

使い方のコツ

虹色フレアは絞り開放でのみ発生

SMC PENTAX-FA 50mm F1.4 CLASSIC 作例9

虹色フレアは絞り開放以外ではほとんど発生しません。上の写真は作例6とほぼ同じフレーミングでF2まで絞って撮影していますが、1絞り絞るだけで虹色フレアは発生しませんでした。

SMC PENTAX-FA 50mm F1.4 CLASSIC の魅力は、虹色フレアだけでなくオールドレンズのような柔らかいボケ味も特徴なので、F1.4とF2を表現に合わせて使い分けるのがおすすめです。

日中はシャッタースピードが足りなくなるケースもありますが、3段分のNDフィルターが付属しているので安心です。

逆光になりやすい朝夕や点光源の多い夜に使う

SMC PENTAX-FA 50mm F1.4 CLASSIC 作例10

虹色フレアは順光では発生しないので、太陽が入るような完全逆光で撮影する必要があります。

よって、使用する時間帯は逆光になりやすい朝夕がおすすめです。日中だと太陽が高い位置にあるので太陽をフレーミングするのは難しいですが、朝夕なら太陽が低い位置にあるので、太陽をいれつつ他の被写体をフレーミングするのも容易だからです。



街灯などの強い点光源がある夜の撮影もおすすめで、背景が黒くなるおかげで虹色フレアの美しさが際立つのもポイントです。

露出をプラス補正することで虹色フレアが際立つ

SMC PENTAX-FA 50mm F1.4 CLASSIC 作例11

逆光では露出が暗くアンダーになってしまうので、露出補正をプラスにかけて補いましょう。

撮影者の好みにもよりますが、少し明るめに撮る事で虹色フレアの虹色がより美しくなるように感じました。

一眼レフだけをつくるPENTAXには申し訳ないのですが、露出補正をかけた際のイメージはやはりミラーレスの方が直感的にわかりやすく、SMC PENTAX-FA 50mm F1.4 CLASSIC のような個性派レンズは、電子ファインダーを使って仕上がりを正確に予測できるミラーレスで使う方が使いやすいと感じるケースも度々ありました。

マウントアダプターを利用してミラーレスカメラでの使用もおすすめ

SMC PENTAX-FA 50mm F1.4 CLASSIC マウントアダプター使用例

一眼レフ用のレンズはセンサーまでの距離(バックフランジ)が長いので、たいていのミラーレスカメラにマウントアダプターを使って使用する事ができます。

特にフィルムと同じフォーマットであるフルサイズセンサーを搭載したCanon RFマウント、Nikon Zマウント、SONY Eマウントなどのフルサイズカメラは、SMC PENTAX-FA 50mm F1.4 CLASSIC を使うのにおすすめのカメラです。

レンズが非常にコンパクトである事もポイントで、オールドレンズを使っているような感覚で使う事ができます。

比較

HD PENTAX-FA 50mm F1.4 との比較

SMC PENTAX-FA 50mm F1.4 CLASSIC 、HD PENTAX-FA 50mm F1.4

SMC PENTAX-FA 50mm F1.4 CLASSIC とHD PENTAX-FA 50mm F1.4 はコーティングのチューニングが違う兄弟のようなレンズです。

柔らかな描写やボケ味はそのままに、最新のHDコーティングを使う事で、フレアやゴーストの発生を抑制したモデルがHD PENTAX-FA 50mm F1.4になります。

ほぼ同じレンズ構成でありながら描写が大きく変化する事が面白いと思いますし、現代レンズにおけるコーティングの重要性がわかります。

オールドレンズ風レンズとの比較

オールドレンズ風レンズ 作例

最近は、オールドレンズブームに乗っかるかたちでサードパーティー製の多くのオールドレンズ風レンズを選べるようになりました。そんなレンズと比べて、SMC PENTAX-FA 50mm F1.4 CLASSIC はフレアの出方がとても素直で扱いやすい点がポイントです。

本来、光の加減で偶然発生してしまうのがフレアだと思いますが、そのフレアの発生が予測しやすく、意図的に扱いやすいところがSMC PENTAX-FA 50mm F1.4 CLASSIC を選択するポイントだと感じました。

又、虹色フレア以外のゴーストやフレアがうまく抑制されているので、コントラストの高い中で虹色フレアを強調できるところもSMC PENTAX-FA 50mm F1.4 CLASSIC が他のオールドレンズ風レンズとは異なる点です。

おすすめユーザー

安心して個性派レンズを楽しみたいユーザー

SMC PENTAX-FA 50mm F1.4 CLASSIC 作例12

オールドレンズは個性的なレンズ描写を作画に活かす事が楽しさのひとつですが、それがレンズ本来の性能によるものなのか、経年劣化によるものなのか、はたまた光線状態でたまたま出ただけなのか、判断が難しい部分です。

勿論、そういった偶然性まで含めてオールドレンズを使う楽しみなのですが、高額なレンズの場合、購入に不安感があるのも事実だと思います。

そんな時、SMC PENTAX-FA 50mm F1.4 CLASSIC なら、意図的に虹色フレアが出るようにチューニングされているので安心ですし、先に述べた通り比較的発生が読みやすいので、コントロールもしやすいと思います。何よりPENTAXはオールドレンズファンからも人気のSuper-Takumarを設計したメーカーなので、まがいものではない本物を手にする安心感もあるのではないでしょうか。

Super-Takumarファン

Super-Takumar 本体

オールドレンズファンから人気の高い「Super-Takumar」はPENTAXのM42マウント時代のレンズです。設計が古い事や、マルチコーティングが施されていない事などからフレアの発生や柔らかい描写、美しいボケ味が特徴となっています。

現代によみがえったSuper-Takumarとも言えるSMC PENTAX-FA 50mm F1.4 CLASSIC は、ファンなら是非手にしたい一本です。

又、オールドレンズは入手が困難であったり、取引価格があやふやで思った以上に高額である事もありますが、SMC PENTAX-FA 50mm F1.4 CLASSIC なら新品で購入できますので、経済的理由からも安心です。

ミラーレスで個性的な写りを楽しみたいユーザー

SMC PENTAX-FA 50mm F1.4 CLASSIC 、Canon EOS R5

SMC PENTAX-FA 50mm F1.4 CLASSIC は、マウントアダプターを使って他メーカーのミラーレスカメラに取り付けて使うのもおすすめです。

マニュアルフォーカスの操作感も思った以上に良いので扱いやすく、なによりコンパクトなサイズは大きなメリットです。

マウントアダプターの大きさを含めても現代の標準レンズよりずっと小さいので、他に高性能なレンズを持っていても、スパイス的に面白い描写を楽しむ為に、持っておいて損はないレンズだと思います。又、CLASSICはやり過ぎと感じる方には、ノーマルモデルとも言えるHD PENTAX-FA 50mm F1.4 が選択できるのもポイントです。

まとめ

  • ・美しい虹色フレアが楽しめるレンズです

  • ・虹色フレアは絞り開放で発生します

  • ・NDフィルターが付属しているので日中の撮影でも安心です

  • ・柔らかいボケ味や描写が特徴です

  • ・コンパクトなサイズなのでミラーレスカメラで使うのもおすすめ

  • ・扱いやすくはじめてでも安心して使えます

レンズ選びの参考にしていただければ幸いです。

【商品情報】SMC PENTAX-FA 50mm F1.4 CLASSIC

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Photo & Text by フジヤカメラ 北原
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