SIGMA(シグマ)18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary 富士フイルムX の実写レビューです。
非常にコンパクトな大口径標準ズームの、解像感、フリンジなどの描写性能、カメラに装着しての使用感を実際に撮影した実写をもとにレビューします。
かつては大きく重いと相場が決まっていた大三元の一角をなすレンズですが、信じられない程コンパクトです。
特徴/操作性
大口径標準ズームとしては驚異のコンパクトさ
大きさからは想像できない高い描写性能
価格を超越した高い操作性
実写レビュー
APS-Cサイズセンサーカメラこそ明るいレンズでボケを活かす
高い描写性能は、風景などにもぴったり
フィルムシミュレーションを活かす立体感に富んだ描写
単焦点レンズを使っているようなフットワークの軽さ
画質
解像感
周辺部画質
フリンジ
ライバルレンズとの比較
FUJIFILM フジノンレンズ XF 18-55mm F2.8-4 R LM OISとの比較
FUJIFILM フジノンレンズ XF16-55mmF2.8 R LM WRとの比較
おすすめユーザーとウイークポイント
コンパクトでも高画質、X-T5の標準ズームとしてもおすすめ
フリンジが発生する事がある
FUJIFILMカメラのコンパクトさを活かしてフットワーク良く撮影したい方におすすめ
まとめ
SIGMA(シグマ)18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary の最大の特徴は、F2.8固定の大口径標準ズームでありながら、非常にコンパクトにデザインされている事です。
既にSONY E用やLマウント用が発売されていますが、コンパクトでクラシカルなデザインで、APS-Cセンサー専用のFUJIFILM xマウントは、このレンズと最も相性のいいシステムと言えるかもしれません。テストボディには高級機のX-T4を選びましたが、レンズが小さく見える程です。
又、SIGMAとして最初のXマウント用ズームレンズという事もポイントで、SIGMAらしいレンズの特徴を最大限活かしたアプローチと言えるでしょう。
以前は、高性能なレンズ=大きいというのが常識でした。相対的な大きさで言えば今でもそれは変わりませんが、18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary はそんな常識を覆す、コンパクトでありながら非常に高性能なレンズです。
ボディ内レンズ補正を最大限活かしているとは言え、描写性能や画質の均質性において高いレベルにあります。
APS-C用という事で焦点距離が短くボケの大きさなどはフルサイズに劣りますが、それでも全域F2.8を活かせば、フルサイズで撮ったのと遜色ない画を撮る事ができるのではないでしょうか。
SIGMA(シグマ)18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary は、F2.8通しの大口径ズームである事を差し引いても、それ程高額なレンズではありません。
しかし、ズームレンズの操作感などは、高級レンズに近い滑らかでしっかりとしたもので、価格を超越した高級感のあるものです。
オートフォーカス一眼レフの初期の頃は、つくりや操作感について、安かろう悪かろうなレンズも多分に見受けられましたが、18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary は上級者やベテランカメラマンも唸らせるしっかりとした操作感やビルドクオリティを持っています。
APS-Cサイズセンサーカメラはフルサイズと比較して同じ画角ならレンズの焦点距離が短くなるので、ボケが小さくなってしまいます。
F値の暗いズームレンズを使ってしまうと、長焦点を使わない限りはボケの量がどうしても足りず、構図を整理しにくい場面も多々ありますが、F2.8通しのレンズなら広角から望遠端まで比較的大きなボケを楽しめて、フレーミングするのが楽しくなるでしょう。
APS-Cサイズセンサーのカメラこそ、F値の明るいレンズを使うメリットが大きいのです。
SIGMA(シグマ)18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary の最短撮影距離は12.1(W)-30(T)cm、最大撮影倍率は1:2.8(W)-1:5(T)と近接にかなり強い事もボケを大きくできる要因のひとつです。
作例はたまたま開催されていた菊祭りですが、柔らかなボケとVelviaの鮮やかなカラーバランスが菊の美しい形と色彩を写しとめてくれました。
このくらいの近接になってくるとAPS-Cサイズくらいのボケ量の方が被写界深度を稼ぎやすく使いやすいケースもあるでしょう。
開放から高い描写性能を持っているので、風景写真など細密描写が求められる撮影にもおすすめです。
富士クロームVelviaと言えば、昔は風景写真を撮る定番のフィルムでした。FUJIFILM のデジタルカメラならフィルムシミュレーションを使ってより気軽にVelviaカラーを楽しめるので、軽量コンパクトなカメラ、レンズと併せて街中の風景を気軽に切り取るのにも楽しく使えます。
ISO感度50で、三脚の使用が必須だったポジフイルムのVelviaと違い、より高感度を使えて、さらに手ぶれ補正まであるデジタルカメラを使えば、同じカラーバランスでもより自由に幅広い用途で使えそうです。
APS-C用レンズという事で、少し絞ってあげるだけで簡単に被写界深度を稼げるのも風景写真にSIGMA(シグマ)18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary をおすすめする理由です。
パンフォーカス気味に撮る事が好まれる風景写真では、特に近接付近でメリットとなります。
開放では若干フリンジがのる傾向があるので、一絞り絞る事でそういった短所を補うという意味でも、多少絞って撮る風景にメリットの多いレンズと言えるかもしれません。
柔らかいレンズではありませんが、抜けがいい為か立体感のある描写をしてくれるレンズです。
近接開放では薄いピントと大きなボケを楽しめ、背景の色彩を活かした構図でもフィルムシミュレーションの良さを最大限活かす事ができます。
作例はクラシッククロームを使って撮りましたが、椿の花や葉の重い色彩と背景の紅葉の鮮やかな色の対比が派手過ぎないカラーバランスで再現できました。
少し派手な色彩を活かしたくて、フィルムシミュレーションにはVelviaを選択しました。
提灯の色が少し不気味なブルーをしているのは、世界糖尿病デーにちなんでとの事です(なんだか顔色の悪さを連想させるので、もっと鮮やかなブルーにすれば良いのにと思いますが・・・)。
F8まで絞り込んで撮影したおかげで、拡大しても周辺部までシャープに描写されており、非常に抜けの良い描写となっています。
人間50才を過ぎると体のあちこちに少なからずガタが来ます。私も半年ほど前までは五十肩に悩まされ、痛みで腕を上げるのも大変でした。
SIGMA(シグマ)18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary の軽量コンパクトさなら、そんな方でも楽々撮影出来ます!というのは少し話が飛躍しすぎな気がしますが、実際軽量なカメラ、ボディが真上など無理のあるアングルでの撮影で効果を発揮するのは事実でしょう。
作例はEVFをのぞきながら真上の灯篭を撮影していますが、重い機材だったら撮る気になったかどうか・・・
今回のテスト撮影前日、明け方まで趣味の星の写真を撮りに行っていたおかげで、昼近くまで寝ていた為、テスト撮りは夕方から行いました。作例は、そのおかげで見られた夕焼けの様子です。
雲が多く明るい夕焼けではありませんでしたが、秋の澄んだ空気のせいか、いつもより鮮やかに見えた気がします。
撮る気満々の撮影も勿論楽しいですが、コンパクトなカメラ、レンズで一瞬の出会いを大切にする、そんな撮影もありなのではないでしょうか。
開放F2.8固定のレンズに先ずは高性能である事を求めてしまうのは、F値が可変するズームでも高性能なレンズが多数存在する現在では、もしかしたら時代遅れなのかもしれません。
とは言え、SIGMA(シグマ)18-50mm F2.8 DC DN | Contemporaryは、そんな時代遅れな感覚にもバッチリ応えてくれる高い描写性能を持っています。
先ずは中心付近の画質で解像感を見てみます。
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高い解像感を持ちますが、わずかに柔らかさが残る描写です。開放でここまで描写すれば十分でしょう。
F2.8固定のレンズらしい高画質なレンズです。
開放から周辺部まで画質の均質性が高いのもSIGMA(シグマ)18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary の特徴です。
作例はズームの中心となる標準域で撮影していますが、周辺部でも驚くほど高い描写性能を維持しているのがわかると思います。
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画面周辺でも流れや眠さは殆ど感じられません。絞り込むとさらに描写がスッキリするので、風景など画面全体で高い描写性能が要求される被写体にも向いているレンズと言えるでしょう。
既に述べて来たように、SIGMA(シグマ)18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary は高い描写性能を持ったレンズですが、逆光など明暗差の激しい被写体を撮影したさいに、開放ではフリンジがのるのが少し気になります。
経験的にFUJIFILM Xマウントのカメラはフリンジにうるさい傾向があるので、そういった事も影響しているのかもしれません。
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明暗差の大きいモミジの葉にパープルフリンジが発生しています。
F4まで絞って撮った、似たような条件のカットではフリンジの発生は無かったので、少し絞って撮る事で改善するようです。
フジノン XF 18-55mm F2.8-4 R LM OISは、Xマウントカメラの創成期からあるFUJIFILMを代表する標準ズームです。
高性能で当店スタッフの評判もいいレンズですが、さすがに設計が古く望遠側が一絞り暗くなってしまう事も含めて、今から選ぶならSIGMA(シグマ)18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary に軍配が上がると思います。性能だけでなく、マクロ性能で圧倒している点もSIGMAのアドバンテージと言えるでしょう。
FUJIFILMレンズの長所は金属製の鏡筒で高級感があり、カメラとのデザイン的なマッチングもいいところです。
SIGMA 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary | フジノン XF 18-55mm F2.8-4 R LM OIS | |
---|---|---|
フィルター径 | φ55mm | ø58mm |
重さ | 285g | 310g |
長さ | 76.8mm | 70.4mm |
最短撮影距離 | 12.1(W)-30(T)cm | 広角:30cm、望遠:40cm |
撮影倍率 | 1:2.8(W)-1:5(T) | 0.15倍(T端) |
フジノンレンズ XF16-55mmF2.8 R LM WRとSIGMA(シグマ)18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary を比較した際に決め手となるのは言わずもがな、その大きさです。
比べてみると、これが同じF2.8の大口径標準ズームかと疑いたくなるほどSIGMAのレンズはコンパクトで、今回のテストでも感じましたが、それほど大きく無いX-T4に装着してもレンズが小さく見えてしまいます。
性能的に大きく劣るわけでは無く、さらに価格的にはかなりリーズナブルなので、コストパフォーマンスの高さもSIGMAを選択するメリットです。
SIGMA 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary | フジノンレンズ XF16-55mmF2.8 R LM WR | |
---|---|---|
フィルター径 | φ55mm | ø77mm |
重さ | 285g | 655g |
長さ | 76.8mm | 106mm |
最短撮影距離 | 12.1(W)-30(T)cm | 広角:30cm、望遠:40cm |
撮影倍率 | 1:2.8(W)-1:5(T) | 0.16倍(T端) |
性能的に高いレベルにありコンパクトなので、X-T5との相性抜群!言いたいところなのですが、今回X-T4と組み合わせてテストしてみて、このクラスのカメラだとデザイン的にレンズが小さすぎました。
とは言え、価格的にリーズナブルなコスパの高い高性能レンズという事で、先ずはFUJIFILM Xマウントカメラでも最高画質を誇るX-T5用の標準レンズとしておすすめしておきます。大きさ、デザイン的にはX-S10がベストマッチですが、やはり4,000万画素オーバーのセンサーで試してみたくなるレンズです。
先に述べたとおりフリンジが発生するのがウイークポイントです。
一絞り絞る事で改善しますし、フリンジはライトルームなどの画像処理で比較的簡単に除去できますが、できれば撮って出しで殆ど出ないのが望ましいかたちだと思います。
FUJIFILM Xマウントカメラの特徴のひとつはそのコンパクトさです。大型のレンズを取り付けて使う事を前提にデザインされたモデルもありますが、コンパクトなサイズを活かして気軽に持ち歩ける事がFUJIFILMカメラの大きな魅力のひとつだと思います。
そんな、Xマウントカメラの特徴を損なわずに装着できる大口径標準ズームとして、SIGMA(シグマ)18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary は最適と言えるでしょう。
F2.8の大きなボケや高い描写性能を活かした撮影を気軽にフットワーク良く行いたい、そんなユーザーにおすすめのレンズです。
・F2.8通しの大口径ズームでありながら非常にコンパクトなデザインです
・ズームなど操作感は価格を超越して良好です
・コストパフォーマンスに優れています
・開放では逆光時などでフリンジが発生する事があります
・画質の均質性に優れた高性能レンズです
・X-T5などの高画素機にもおすすめです
レンズ選びの参考にしていただければ幸いです。
【商品情報】SIGMA(シグマ)18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary 富士フイルム Xマウント
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