取り付けるだけでオールドレンズのようなフレアをまとった写真が撮れると話題の、Kenko(ケンコー)ホワイトミスト No.1フィルターの実写レビューです。
実際に使用して感じたフィルターの特徴、効果、使い方のコツ、既に発売されていて好評のブラックミストNo.1、No.5との比較などを解説します。
面倒な画像処理が不要で雰囲気のある写真がインスタントに撮れるフィルターは、撮ったらすぐにSNSなどに画像をUPしたいユーザーにもおすすめです。
Kenko(ケンコー)ホワイトミスト No.1フィルターの特徴
柔らかなフレアが写真をつつみ、コントラストの低い柔らかい写真になる
光の向きや強さによって効果の強弱が変わり、自然な仕上がりに
豊富なサイズで多くのレンズに対応
ホワイトミスト No.1フィルターを活かすポイント
露出補正をプラスにして明るく撮るのが基本
F値は明るめに、ボケを大きくすると柔らかさが際立つ
色を淡いペールトーンにする事ができる
おすすすめの使い方
効果が強くなる逆光線で使うのがおすすめ
夜間でも街灯や夜景など点光源があれば美しいフレアが楽しめる
キャンドルなどの自然の灯りもフィルターの柔らかさが活きる
マクロ撮影にもおすすめ
ブラックミストNo.1、No.5との比較
光線状態での比較
色の変化の比較
点光源での効果の比較
ホワイトミスト No.1フィルターをおすすめしたいシチュエーションとユーザー
スナップ、ポートレートや風景、室内のテーブルフォトにもおすすめ
1本のレンズで諧調優先の柔らかい写真と、ハイコントラストな写真両方を撮りたいフォトグラファー
まとめ
ホワイトミスト No.1フィルターを装着する事で、まるでオールドレンズのような柔らかなトーンの写真を撮る事ができるようになります。
軟調の写真は画像処理やカメラに内蔵されたエフェクト機能を使ってもある程度可能ですが、フィルターを使う事で面倒で難しい処理をしなくても、だれでも自然に効果を楽しめるところが特徴です。
光の向きや強さなどの条件によって効果が自然と変化するので、撮影時に雰囲気をコントロールする事ができるのも、フィルターワークならではの画像処理とは違った写真らしい楽しみのひとつではないでしょうか。
効果が強めのフィルターなので、光に対して少しレンズの向きを変えてあげるだけで雰囲気や強弱が自然と変わり、使いこなすのが楽しいフィルターです。
例えば、木漏れ日の光を逆光で捉えたい時などは、風に揺れる木の葉によって刻々と変わる光の状況に合わせて、数枚連写して好みのカットを選ぶといった使い方もできます。
画像処理は、やり過ぎてわざとらしくなってしまったり、撮影者のセンスが問われ少しハードルが高いですが、フィルターなのでシャッターを押すだけで自然な仕上がりになるのもホワイトミスト No.1のメリットです。
サイズ展開は49mm~82mmまであるので、幅広く多くのレンズに取り付ける事ができます。
単焦点の明るいレンズに付けるのは勿論、いわゆる大三元と言われるような、高コントラスなレンズに取り付けて、普段とは違うイメージの写真にするのも楽しい使い方です。
今回のテスト撮影では、多くを28-70mm F2.8 DG DN | Contemporaryで撮りましたが、レンズ本来のシャープな解像感は残しつつ、トーンや諧調だけが柔らかくなるので、後からトリミングする際にも使いやすいと感じました。
ホワイトミスト No.1フィルターの雰囲気をより強調したいなら、露出補正をプラスにして明るめに撮るのがおすすめです。
ホワイトミスト No.1を取り付けると全体の諧調が柔らかくなり黒がグレーになる為か、内蔵露出計の出た目で撮ると少しアンダー気味に振れてしまう事が多い様に感じました。
フィルターの効果をハッキリと出す為にも、露出計の誤差を修正する為にも、フィルター装着時には露出補正をプラスにかけて撮るのが基本です。
コントラストを抑えた柔らかい描写を表現として活かすなら、ボケを大きくする為に絞りは開けて撮るのがおすすめです。
柔らかいボケの美しさが豊かな諧調と合わさってより強調されます。そういった意味で、開放F値の明るい単焦点レンズと組み合わせれば、レンズの良さを違ったかたちで活かす事ができるでしょう。
以前は各社から発売されていたソフトレンズですが、最近はあまり流行らないのか、製造しているメーカーは少ないようです。フィルターは完全にソフトレンズの変わりとなるわけではありませんが、その分気軽に効果を変えられるのがメリットなので、そんなソフト効果を発揮するフィルターの一枚としてもホワイトミスト No.1はおすすめです。
模型をやっている方ならご存知かと思いますが、塗装の後に全体の色のトーンを変える手法に「ウォッシング」という方法があります。
薄めた塗料を塗装の上から塗る事で、全体のトーンを明るくしたり暗くしたり、リアルな使用感を出したりする手法ですが、ホワイトミスト No.1は写真におけるウォッシングとも言える効果を発揮する事ができるのです。
白い靄で包んだような表現が可能となるので、淡いペールトーンの柔らかな色合いに全体を統一する事ができます。
ホワイトミスト No.1フィルターは逆光線で特に効果が強くなりますので、ボリュームのある美しいフレアを楽しみたいなら逆光線で使うのがおすすめです。
秋から冬にかけては太陽の光が低くなり、ほとんど一日中逆光線で写真を撮る事ができますので、そんな秋や冬の柔らかくも暖かい光を表現するのにも最適なフィルターとなっています。
又、太陽光だけでなく照明などの点光源に対しても効果が強く出るので、ライブなど複雑な照明の中での撮影も、偶然にまかせた面白い効果が期待できて面白そうです。
街灯などの点光源はフレアを発生させやすい光なので、ホワイトミスト No.1フィルターをナイトスナップに使ってみましょう。
点光源はフレアだけでなくゴーストも発生させやすいので、こういった言い方は変かもしれませんが、現代レンズが忘れてしまったレンズの悪い部分が最大限発揮される、オールドレンズチックな写真が撮れるかもしれません。
しかし、何十年もかけて向上して来たレンズやカメラの性能をまさかデチューンする時代が来るとは・・・写真と言うものの奥深さを感じます。以前誰かがオーケストラの上手さは、楽譜どおり正確に弾く事だけでは無いと言っていましたが、写真もそんな境地に達しているのでしょうか。
最近は空前のキャンプブームで、キャンプ場が随分と混みあっているようです。私がキャンプに行っていた頃は、キャンプ場の予約など前日や当日でも十分だったのですが、最近は事情がだいぶ違うようですね。
個人的にキャンプは雰囲気を楽しむ側面も大きいので、テントの中など以外では火を使った照明が良いと思いますが、そんな火を使った暖かみのある光を撮るのにもホワイトミスト No.1はおすすめです。
ホワイトミスト No.1を使って、柔らかい暖色の光の、どこか心温まる癒される写真をとってみてはいかがでしょうか。
先に述べたとおり、ホワイトミスト No.1のソフト効果やコントラストを下げる効果は、絞りを開けてボケを大きくした方がより強調されると思います。
そういった意味でマクロ撮影で使うのもおすすめです。マクロ撮影では被写界深度を稼ぐために少し絞って使う事になりますが、近接ではそれでも十分にボケは大きいので、効果は十分に発揮されます。
朝の光など逆光を強調する効果もあるので、風景写真などでちょっとしたスパイス的に使うのも良いと思います。
kenkoのホワイトミスト No.1に近い効果を発揮するフィルターには他にブラックミストNo.1、No.5があります。
それぞれのフィルターとホワイトミスト No.1は微妙に効果が違うので、逆光とサイドライトでの違いを比較してみました。
先ずは最も効果が高い逆光の際です。効果がはっきりとわかるよう1.5段程オーバー露出で撮影しました。
効果はホワイトミスト No.1が最も強く、次いでブラックミスト No.1、ブラックミスト No.5の順です。
効果はホワイトミスト No.1が最も強いですが、フレアののり方は素直で全体に均一なイメージです。対するブラックミスト No.1は、効果はわずかにホワイトミスト No.1よりも小さく感じますが、フレアの強くなる部分にメリハリがあり、シネマチックなイメージとなります。
どちらが良いかは好みですが、条件によって使い分けたいので、両方欲しい!という意見が多くなりそうな個性の差があります。
次にサイドライトでの効果の違いを見てみます。
サイドライトではブラックミスト No.1が最も効果が強くなる結果でした。
ホワイトミスト No.1は全体にフレアがかかり、それでいてピントの芯はしっかりと残る仕上がりです。対するブラックミスト No.1は光の強くなる部分、例えば金属部分の反射などにより強いフレアが出て、個性的な仕上がりとなります。
ブラックミスト No.1では少し効果が強すぎてわざとらしいという方には、効果が弱いブラックミスト No.5も用意されているので好みで選ぶ事ができるのも良い点です。
次に少し派手目な色のものを撮影して、ホワイトミスト No.1を装着した際の色の変化をみてみましょう。
フレアがかぶる格好になるので、全体が淡いペールトーンの柔らかい色調になります。
色の変化がわかりやすいように、カメラのクリエイティブルックは彩度が高いVVを選択しました。
色の変化についてはホワイトミスト No.1とブラックミスト No.1の違いはほとんどありません。
作例ではいずれもフレアの白がかぶる事になり、派手な色も柔らかいペールトーンになります。
少し気になったのは、いずれの写真も三脚に固定して同じフォーカスポイントを選択、オートフォーカスで撮っているのですが、ブラックミスト No.1で撮影したカットだけピントがずれてしまいました。実はバックアップの為に全く同じ構図でもうワンセット撮ってあったのですが、そちらも全く同じようにピントがズレていたので、ブラックミスト No.1使用時にはいつも以上にピントに気をつかう必要があるかもしれません。
最後に、夜間の街灯を撮影して、明るい点光源を撮った際のイメージの違いを見てみます。
ホワイトミスト No.1とブラックミスト No.1の表現の違いが大きく出るシチュエーションで、光源の回りの光の広がり方に大きな違いが出ました。
ホワイトミスト No.1の特徴は点光源の回りに大きくフレアが出る事です。光源を中心にフレアが広がって美しい表現となります。
対するブラックミスト No.1は、光源付近にフレアが集中し、光源のディテールを覆い隠すほどです。又、ホワイトミスト No.1が明るく大きな光源にしかフレアが発生していないのに対して、ブラックミスト No.1は小さく暗い光源(画面左下の遠くの街灯など)にもフレアが発生している点も違いとなっています。
どちらが好きかはお好み次第ですが、個人的には夜間の点光源の表現につていては、素直なフレアの広がりを見せるホワイトミスト No.1が好みです。
ホワイトミスト No.1フィルターは、画像処理とは違った光学由来ならではの自然な表現が魅力のフィルターです。
ファインダーで確認できるとは言え、コントロールにある程度偶然性を持たせられるのも楽しみのひとつなので、あまり肩ひじ張らずに気軽に使って欲しいと思います。オールドレンズのような柔らかさを活かしたスナップ、肌の生々しさを低減を目的としたポートレート、時間や季節を感じさせる風景など、幅広いシチュエーションで使えそうです。
又、逆光やサイドライトを使った室内でのテーブルフォトにも、ちょっとした光のアクセントを付けるのに便利です。フィルターを取り付けて、光の入る窓際で撮るだけで、誰でも簡単に雰囲気のある写真が撮れます。
ホワイトミスト No.1はフィルターです。ソフトレンズやオールドレンズと違って、様々なレンズで個性的なソフト効果を楽しめるのはフィルターの大きなメリットです。
同じレンズでシャープでコントラストの高い写真と、諧調豊かで柔らかい描写の2つを楽しめるので、シチュエーションに合わせて付け外しながらフィルターの効果を楽しみましょう。
例えば写真はフィルターを付けづにシャープな描写で、動画はフィルターを取り付けて諧調豊かなシネマチックな描写に、そんな相反する2つのニーズに簡単に対応できるので、写りの良し悪しだけでなく表現の手法を楽しむクリエイター、フォトグラファーにおすすめのフィルターです。
・インスタントにオールドレンズのような雰囲気のある写真が撮れる便利なフィルターです
・光学由来の美しいフレアが楽しめます
・豊富なサイズ展開で手持のレンズに装着して、すぐに楽しめます
・スナップ、風景、ポートレート、テーブルフォトなど工夫次第で幅広く楽しめるのもポイントです
・逆光で最も効果が強くなります
・色を淡いペールトーンにする事ができます
・フィルターの効果を楽しむなら、露出補正をプラスにしてオーバー気味に撮るのがおすすめです
・ブラックミストとは点光源の表現などいくつかの違いがあります
フィルター選びの参考にしていただければ幸いです。
【商品情報】Kenko(ケンコー)ホワイトミスト No.1 フィルター
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