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2022.07.23
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Canon RF800mm F5.6 L IS USM レビュー 【 後編 】× 落合憲弘 | 最旬キヤノン超望遠RFレンズを味わい尽くせ!

Canon RF800mm F5.6 L IS USM レビュー【 後編 】× 落合憲弘 | 最旬キヤノン超望遠RFレンズを味わい尽くせ!キービジュアル

軽量な超望遠レンズは手持でブンブン振り回してこそ真価が発揮されます。

今回のプロフェッショナルレビューでは、RF800mm F5.6 L IS USMをCanon EOS R3に装着して野鳥撮影を行います。動体の中でも動きの予測が難しい野鳥撮影は、カメラマン泣かせの最高難度の被写体です。最高クラスのレンズとカメラ、そしてプロカメラマンの卓越した技術が、そんな難しい被写体でも高い成功確率をもたらしてくれました。

落合憲弘カメラマンによる、800mmでなければ撮れない、800mmのレゾンデートルを感じられるレビューをお楽しみ下さい。

前編はこちら


ライター落合憲弘(おちあい・のりひろ)イメージ
■フォトグラファー紹介

落合憲弘(おちあい・のりひろ)

1963年、東京生まれ。1988年よりフリー。学生の頃より歌って踊れる(撮って書く)スタイルを標榜し「写真に一途ではない」姿勢を悪びれることなく貫いた結果、幸か不幸か見事、器用貧乏に成り下がり今日に至る。人目を忍ぶ趣味、多数。コロナ禍の影響、甚大。2022年カメラグランプリ外部選考委員

EOS R3+800mmはブンブン振り回しながら動きモノを追うのにベストな解

ワタシは、レビュー記事の作例で鳥の写真を使うことが多いのだけど、私自身は決して「鳥専門」というワケではなく、みずからの写真家としての生態は、完全なる雑食を自認しているところだ。生き物としての「鳥」は好きだけれど、被写体としての「鳥」とは、どちらかというとビジネスライクな付き合いというか、正直「作例にふさわしい被写体だから撮っている」という感覚がほとんど。しかも、9割方「撮るのが難しい"動体"」であるとの認識で対峙している。

自由に舞う鳥は、動きの予測がしづらく、動く方向も前後上下左右の3D。被写体との距離が近いぶん相対速度は想像以上に高く、現実にはファインダーに収め続けるのすら難しいことも多い。ゆえに個人的には、待っていれば複数回、同じライン取りで被写体がやってくるクルマやオートバイのサーキットランや、その昔は置きピンで話を完結できていた鉄道の定型走行写真などよりも、飛ぶ鳥の方が「撮影者」にとってはもちろん「カメラ」や「レンズ」にとっても、マトモに撮るのが数段、難しい被写体(動体)であると思っている。

鳥を撮るのはそのため。待って、待って、待ってからの唐突なシャッターチャンスに遅滞なく対応し"射止める(写真的に満足できる仕上がりを得る)"ことの醍醐味と、そこで"みずからの実力"が炙り出されてしまうことを逆説的な快感として受け止めるマゾ気質。それらが微妙に作用しての哀しき所業こそ、我が人生の奥深さなり・・・。

なーんて大仰なことを考えつつ、堂々と鳥たちに向かうワタシの姿は、しかし周囲からは、どうやら「大きなカメラを持っている鳥好きのおじさん」にしか見えないらしい。だからなのか、撮影現場でよく声をかけられるのであった。「あの鳥は何ですか?」みたいな感じで。

「あ、う・・・、ええと、アオサギじゃないですかね、ハハ、アハハ」

曖昧な笑いが混じるのは自信がないからだ。ワタシにとって鳥は「撮るのが難しい動体」に過ぎず、興味があるのはその飛んでいる姿のみであり、種類とか生態にはてんで疎いのである。

「いや、鳥のことよりカメラやレンズのことを聞いてくれた方が、もう少し親切に答えられるんですけど・・・」

とはいえず、マスク越しに曖昧な笑顔を浮かべるのが精一杯の対応・・・これが作例撮影の日常なのだ。

しかし、今回はRF800mmF5.6 L IS USMのあまりにも堂々とした「それっぽい外観」が災いとなった・・・いや、功を奏したのか、鳥が気になるご婦人だけではなく、カメラや写真を趣味としていそうな男性陣からの声かけも結構あった。

「それ、何ミリですか?」

そう聞いてきたのは、ワタシよりも少し年上であろう男性である。

「800mmです」
「開放F値は?」
「ゴーロクですね」

自信を持って明確な回答ができる会話がウレシイ(笑)。聞けばマミヤ7のユーザーだとか。続けて、こんなこともおっしゃる。

「最近のカメラやレンズは高価になってしまって手が出せません。フジヤカメラに行っても、みーんな高いから見てるだけ。買えませんよ・・・」

まさかここで、ヤラセなく仕込みナシにフジヤカメラの名が出てくるとは! よっぽど「実はいま撮ってる写真、フジヤカメラのブログに掲載するんですよー。えっへっへ」って言っちゃおうかと思ったのだけど、何故か躊躇があり自粛。別に隠れてやっているワケではないのですが(笑)。

続いて、「ソレ、いくらするのデスかー? あ、唐突にスミマセン」と陽気に声をかけてくれたのは、日本語がメッチャ堪能な西洋人風のナイスガイ。

「え、えと、200万円ぐらいだったかな(うろ覚え)」
「うっひょー、ソレはスゴいですね」
「ええ、そりゃもう! 借り物ですけど(小さな声)」

いや、でも、ほんとにもう、価格的にはうっひょーかも。だって、今回のコンビ、EOS R3と一緒に買ったら200万円台中盤越えですよ。さすがに、とてもじゃないけれど…。

でも、正直なところ、ボディは高速性とAF性能の面でR3レベルの実力があった方が好ましいように感じた。このレンズの存在感と特性を余すところなく発揮するには、カメラボディにも相応の性能が必要であるとの判断だ。

もちろん、レンズをガッチリ三脚に固定して動きの少ない風景などを撮る場合は、そこまでボディにこだわらなくてもいいと思う。でも、フットワークを活かした撮影をするのであれば、その時点で最高の高速性とAF性能が必要だ。なにより、RF800mmF5.6 L IS USMは「何の苦もなく(正直に言うと少しだけの苦で)手持ち撮影ができる超望遠レンズ」だから。どっしり構えての撮影だけに使うのではもったいない。その実力と特異な存在感は、ブンブン振り回しながら動きモノを追ってこそ発揮され裏付けられるものなのである。

約30コマ/秒の連写は、繋げて連続で見ると、もう完全に動画

Canon EOS R3・RF800mmF5.6 L IS USMで連写した鳥の画像1
Canon EOS R3・RF800mmF5.6 L IS USMで連写した鳥の画像2
Canon EOS R3・RF800mmF5.6 L IS USMで連写した鳥の画像3

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Canon EOS R3・RF800mmF5.6 L IS USMで連写した鳥の画像4
Canon EOS R3・RF800mmF5.6 L IS USMで連写した鳥の画像5
Canon EOS R3・RF800mmF5.6 L IS USMで連写した鳥の画像6
Canon EOS R3・RF800mmF5.6 L IS USM
絞りF5.6開放・1/2000秒・1EV露出補正・ISO1250・WB太陽光・JPEG

「撮るなぁ~っ!」って叫びながら怒濤の勢いで迫り来る(笑)水鳥・・・にも見える形相がスゴい。約30コマ/秒の連写ということで、繋げて連続で見ると、もう完全に動画なのだけど、こういった場面を真正面からズバッと実用になる被写体サイズで撮れたのは、言うまでもなく800mmの画角のおかげ。ただ、贅沢をいうなら、この場面では1200mmで撮った方がよかったかな? でも、1200mmの手持ち撮影は、さすがにキツいかも?

EOS R3の被写体認識AFは、トンボの存在をちゃんと認識しピントを合わせてくれた

Canon EOS R3・RF800mmF5.6 L IS USMで撮影したトンボの画像

Canon EOS R3・RF800mmF5.6 L IS USM
絞りF6.3・1/4000秒・−1EV露出補正・ISO2000・WB太陽光・JPEG

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縄張りをパトロールするウチワヤンマ。マニュアルフォーカスでは撮りにくかったものが、優れたAFのおかげでわりと楽に撮れるようになっている現代を本当にありがたく思う。その効能は、ミラーレスの時代になってからはさらに明確となり、その助けなしに800mmレンズの手持ち撮影は成立しなかっただろう。この写真も、AF一眼レフではここまで自由には撮れなかったハズ。EOS R3の被写体認識AFは、トンボの存在をちゃんと認識しピントを合わせてくれた。

こういう写真が撮れちゃうと、200万円出してでもこのレンズが欲しくなってしまう

Canon EOS R3・RF800mmF5.6 L IS USMで撮影した水場と鳥の画像

Canon EOS R3・RF800mmF5.6 L IS USM
絞りF5.6開放・1/2000秒・−1.3EV露出補正・ISO4000・WB太陽光・JPEG

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撮影は都内の公園。特別な場所に足を運んでいるわけではなく、強いて言うなら特別なのはレンズだけ。仮に70−200mmF2.8クラスのズームレンズだったら、トリミングなしにはこの絵は撮れないワケで、つまり800mmの画角でなければ成立しなかった場面であり絵作りであるということだ。しかし実際、こういう写真が撮れちゃうと、200万円出してでもこのレンズが欲しくなってしまうのが写真家人情ってもんですわな。だって、「他のレンズでは撮れないモノが撮れる」んだもん。欲しくなるのは当然の成り行き。罪は、我にではなくレンズにあり・・・おっと、ステキなイイワケができちまった。

Goodな瞬間が撮れているのはワタシのウデ・・・というよりも、EOS R3の高速連写のおかげ

Canon EOS R3・RF800mmF5.6 L IS USMで撮影した空と鳥の画像

Canon EOS R3・RF800mmF5.6 L IS USM
絞りF6.3・1/2000秒・+1.3EV露出補正・ISO800・WB太陽光・JPEG

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フツーの鳥好きおじさんは、こういう写真は撮らないと思います。800mmの手持ち撮影だから撮れた写真だと思います。Goodな瞬間が撮れているのはワタシのウデ・・・というよりも、EOS R3の高速連写のおかげ。あと、もちろん正確なAFも。すっかりお世話になりっぱなしでワタシったら…。

このレンズ、場合によってボケにちょっとクセを見せることがある

Canon EOS R3・RF800mmF5.6 L IS USMで撮影したカラスの画像

Canon EOS R3・RF800mmF5.6 L IS USM
絞りF6.3・1/800秒・+0.7EV露出補正・ISO16000・WB太陽光・JPEG

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カラスって、かなりの距離をとっていても、レンズを向けると敏感に反応して飛び去ってしまうことがとても多いのだけど、この子はキョトンとしたままだったので「あれ?」と思ったら、まだ独り立ちしていなさそうな子どもだった。胸のあたりには産毛、口元にも雛の面影残るその表情は、お母ちゃんとはぐれていたのか不安に満たされているように見える。このレンズ、場合によってボケにちょっとクセを見せることがあるのだけど、このカットではそれもプラスに作用。いいアクセントになってくれている。

ごく狭い範囲を切り撮る。その「狭すぎる画角」がもつ独特な魅力にハマる(汗)

800mmをこんなにタップリ使ったのは初めての経験だった。ここ数年は、超望遠ズームレンズの登場で600mmという焦点距離が比較的、近くに存在するようになっており、また100−400mmクラスのズームが一般的になったおかげで、テレ端400mm+αはすでに「すぐそこにある焦点距離」になっているのだけど、さすがに「テレコンなしの素のまま800mm」に触れる機会はそうそうない。プロの仕事の現場でも、800mmを常用するジャンルはごくわずかだろう。

RF800mmF5.6 L IS USMは、遠くのものを大きく写すためのレンズ。単純に考えると、そこに集約されてしまうかも知れない超望遠レンズである。でも、実際にアレコレ使ってみて、それだけではないことに気づいた。遠くのものを大きく写せるという特性は確かな事実として存在しつつ、写真にとってはもっと大きな「意味」を見いだすことも可能なレンズだったのである。

それは「ごく狭い範囲の切り撮り」による写真の構築が意外なほど自由に満ちていたということだ。800mmレンズを手に、自分の目に映っている広い風景のごくごく一部を1枚1枚切り出すように撮ってみる。すると、同じ場所にとどまっていながら、実にさまざまな写真が撮れるのだ。ほんのちょっとカメラを振るだけでファインダー内に見える風景がガラリと変わるのは、「極端に狭い画角」のなせるワザなのである。

これ以降に掲載の作例は、すべて同じ場所で一歩も動かずに撮影したものだ。"役者"がそこにいてこそ成立している「切り撮り」なのだけど、これほどのバリエーションは、言われなければ同じ場所に立ったまま撮った写真たちであるようには見えないだろう。

それができてしまうのが、800mmの「狭すぎる画角」なのだ。扱いにくさと独特な魅力のせめぎ合い。800mmレンズは、800mmであるというその事実だけで、すでに買う価値のある存在に昇華しているってことなんだろう。困ったね。こりゃ欲しくなるわー。

狭い画角の外には、淘汰の現実を容赦なく突きつける、広すぎる自然の厳しさがあった

Canon EOS R3・RF800mmF5.6 L IS USMで撮影したカモの画像

Canon EOS R3・RF800mmF5.6 L IS USM
絞りF5.6開放・1/4000秒・+0.7EV露出補正・ISO8000・WB太陽光・JPEG

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早く親鳥のように豪快に羽ばたいてみたいのだろうなぁ、なんてことを思わせた場面。このとき、親ガモがつれていた子ガモはわずかに3羽だけだった。おそらく、生まれたときには、他に10羽近い兄弟姉妹がいたはずだろうに・・・。狭い画角の外には、淘汰の現実を容赦なく突きつける、広すぎる自然の厳しさがあった。

ピントはワンショットで枝に置きピン

Canon EOS R3・RF800mmF5.6 L IS USMで撮影した餌を捕る鳥の画像

Canon EOS R3・RF800mmF5.6 L IS USM
絞りF6.3・1/4000秒・ISO10000・WB太陽光・JPEG

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本音を言えば、もっともっと寄って撮りたいところだったのだが、物理的に不可能であればあきらめるしかない・・・というか、与えられた条件の中で最大限、よい結果を導くようにするしかない。そこで、ここでは構図とシャッターチャンスにすべてを賭けることに。ピントはワンショットで枝に置きピン。今回の試用において、カメラ(レンズ)を手持ちで構えながら「じっと待つ」ことが最もキツかった場面でもある。

瞳認識が効果的に機能してくれている

Canon EOS R3・RF800mmF5.6 L IS USMで撮影した鳥の画像アップ画像

Canon EOS R3・RF800mmF5.6 L IS USM
絞りF5.6開放・1/2000秒・ISO25600・WB太陽光・JPEG

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最短撮影距離は、RF400mmF2.8 L IS USMの2.5mよりも10cm延びの2.6m。このあたりのスペックに、拡大光学系の最適化が表れていると考えるのは深読みしすぎか? 至近の頭部ではなく眼にバチピンなのは、瞳認識が効果的に機能してくれていることの証。瞳を認識している事実は、撮影時のファインダーでも確認できていた。

「800mm欲しい!」病の発症だ

Canon EOS R3・RF800mmF5.6 L IS USMで撮影した飛んでいる野鳥の画像

Canon EOS R3・RF800mmF5.6 L IS USM
絞りF5.6開放・1/2500秒・−1EV露出補正・ISO6400・JPEG

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飛んでいる野鳥の撮影では、とにかくアップを撮るのが大変(近づけなくて大変、追うのが大変など、いろんなタイヘンがある)なのだけど、800mmはその辺に多大なる余裕を有していることを実感。400mmでは「じゅうぶん寄れずに失敗」とされる場面が、800mmでは「難なく成功作」になるというパターンが実はありふれていることに、正直ちょっとショックを受けている。「800mm欲しい!」病の発症だ。

秒間コマ速の速さは、こういうときにモノを言う

Canon EOS R3・RF800mmF5.6 L IS USMで撮影した羽ばたこうとしている鳥の画像

Canon EOS R3・RF800mmF5.6 L IS USM
絞りF5.6開放・1/2500秒・−1.3EV露出補正・ISO8000・JPEG

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カワセミの作例と同様、構図とシャッターチャンスでカタをつけている例。もちろん、トリミングはナシ。ここでは、水滴が描くラインもイイ感じのアクセントになっているのだけど、これは連写した中から最適なカットを選択しての結果。秒間コマ速の速さは、こういうときにモノを言う(選択の幅が広がる)のだ。

使用機会の多い開放F値でもユルさを感じさせることはナシ

Canon EOS R3・RF800mmF5.6 L IS USMで撮影した巣にいる鳥の画像

Canon EOS R3・RF800mmF5.6 L IS USM
絞りF6.3・1/2500秒・−1.3EV露出補正・ISO5000・WB太陽光・JPEG

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今回は、天気が安定しない中でシャッター速度を稼ぐ必要がある=いきおい高感度での撮影機会が増えるパターンが多かったため、開放時画質の厳密な評価はできていないのだけど、少なくともバッキバキに硬い描写をするレンズではないと感じている。とはいえ、使用機会の多い開放F値でもユルさを感じさせることはナシ。安心して開放F値が使える。このカットは、シャッター速度優先AEで撮像感度がISO5000まで上昇するも、開放F値は選択されなかった。

優秀なAFと、遅延の少ないEVF表示

Canon EOS R3・RF800mmF5.6 L IS USMで撮影した水面を走る鳥の画像

Canon EOS R3・RF800mmF5.6 L IS USM
絞りF5.6開放・1/2000秒・−0.7EV露出補正・ISO2000・WB太陽光・JPEG

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800mm手持ちで動体を追うという困難の中でも思い通りの構図が維持できるのは、画角内全面に広がる測距点分布に支えられた優秀なAFと、遅延の少ないEVF表示があってこそ。腸内環境にも良さそうな仮称「EOS R1」がどこまで"撮りやすい"カメラになってくれるのか、妙な方向へ期待を盛り上げるレンズでもあったともいえる。

仕上がりの印象面でマイナス要因となることはない

Canon EOS R3・RF800mmF5.6 L IS USMで撮影した公園を羽ばたく鳥の画像

Canon EOS R3・RF800mmF5.6 L IS USM
絞りF6.3・1/4000秒・−1EV露出補正・ISO6400・WB太陽光・JPEG

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合焦面の描写に硬さは感じさせずも、ボケ再現には少々の硬さが、そして背景との距離によっては二線ボケの傾向が感じられることがあった。しかし、いずれも800mmならではの「絵」の中では、きわめて些細なクセに過ぎず、仕上がりの印象面でマイナス要因となることはないだろう。

Canon RF800mm F5.6 L IS USMの各部名称

Canon RF800mm F5.6 L IS USMの各部名称

作例に使用したカメラ

Canon EOS R3

【商品情報】Canon EOS R3

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Canon EOS R3バナー画像

作例に使用したレンズ

Canon RF800mm F5.6 L IS USM

【商品情報】Canon RF800mm F5.6 L IS USM

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記事内で紹介したレンズ

RF1200mm F8 L IS USM

【商品情報】Canon RF1200mm F8 L IS USM

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Canon RF1200mm F8 L IS USMバナー画像

まとめ

・フットワークを活かした撮影をするのであれば、ボディは高速性とAF性能の面でR3レベルの実力があった方が好ましい
・600mmという焦点距離が比較的身近になったが、800mmの画角でなければ成立しない場面もある
・800mmの「狭すぎる画角」による写真の構築には、意外なほど自由に満ちている面も
・ときにクセを感じさせることもあるボケ味は、しかし仕上がり印象面でマイナス要因となることはほぼない

Photo & Text by 落合憲弘(おちあい・のりひろ)

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