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2022.05.15
プロフェッショナルレビュー,

落合憲弘 × Nikon(ニコン)Z 9実写レビュー(前編)

落合憲弘カメラマン
■ライター紹介

落合憲弘(おちあい・のりひろ)

1963年、東京生まれ。1988年よりフリー。学生の頃より歌って踊れる(撮って書く)スタイルを標榜し「写真に一途ではない」姿勢を悪びれることなく貫いた結果、幸か不幸か見事、器用貧乏に成り下がり今日に至る。人目を忍ぶ趣味、多数。コロナ禍の影響、甚大。2022年カメラグランプリ外部選考委員

プロカメラマンの鋭い視点でカメラ、レンズのレポートをする「プロフェッショナルレビュー」。記念すべき第一回は、Nikonのフルサイズミラーレスカメラのフラッグシップ機「Nikon Z 9」です。

ライターは、プロとして数多くのカメラ、レンズを使用するだけでなく、幅広いメーカー、製品のレビュー記事を執筆している落合憲弘カメラマン。

豊富な作例を交えつつ、プロカメラマンならではの厳しくも愛ある視点でNikon Z 9について語りつくしてもらいます。


プロ向けフラッグシップ機としては”並”のAF・連写性能をひとつ上の次元に導くEVFの圧倒的クオリティ

一眼レフに近い”重厚感”を備えた特異なミラーレス機

なんかね、すごく自然。気負いなく使えるっていうか、「オレは今、ミラーレス機を使ってるんだっ!」っていう感覚なしに使える最新のミラーレス機って感じ。ニコン「Z 9」って、そこが他のデジカメとは決定的に違うと思っている。

同族である「Z 7」や「Z 6」とも違うってのがホントに不思議だ。「7」や「6」は、良くも悪くも「ニコンのミラーレス機」なのだけど、Z 9は「ミラーレス機」である以前に「ちゃんとカメラ」してるんだな。い、いや、ミラーレス機はカメラじゃないなんてコトは言ってませんよ。Z 7やZ 6だってリッパなカメラだしぃ(さらに誤解を招きそうな言い方をしてますが)。 Z 9が特異なのは、明らかに一眼レフに近い雰囲気を持っているミラーレス機であるところ。それが100%良いことだとは思っていないし、価値のあることだと言う気もないけれど(そもそも私自身は、もうずいぶん前に一眼レフを捨てている完全無欠のミラーレス野郎だ)、Z 9を使っていて妙にしっくりくるものを感じているのは事実。身体に染みついているものが呼び戻される感覚とでも言えばいいのだろうか。そう、言葉では言い表せない心地良さみたいなものが使用感に備わっているのだ。

もちろん、メカメカしい音がするわけではない。ミラーが上下するような手応え(言い換えれば振動だ)があるワケでもない。耳に届くシャッター音は疑似サウンドであり、それをOFFにすれば微風の囁きをも乱さぬ無音の動作となる。つまり、Z 9は1から10までカンペキなミラーレス機だ。いや、メカシャッターを廃しているというチャレンジングな作りに着目するならば、120%以上のミラーレス機だと言ってもいい。でも、すんなりスッと・・・いや、すんなりズンと手のひらに収まってくる、フラッグシップ機ならではの絶妙な重量バランス。これは、確かに往年の手応えである。一眼レフのフラッグシップ機より明らかに小さく軽量に仕立てながらも、この一種の安心感をもたらす感触が備わっているのは、各種要素があえてそのようにデザインされているからなのかも?

ただただデカくてビックリなミラーレス機は他にもあるけれど、Z 9みたいなベクトルの"重厚感"を身につけているミラーレス機は(少なくとも今のところは)他にはないと思うのである。

Nikon(ニコン) Z 9 ロゴアップ
Nikon(ニコン) Z 9 マグネシウムボディ

超高解像度マシンでありながら、その快適な撮影フィーリングに萌える

有効画素数は45MP。超高解像度を有するマシンである。しかし、使っているときは、この45MP超えの画素数を意識することはない。見事に皆無だ。理由は明白。撮影感触が徹頭徹尾「軽快」であり続けるからである。

通常撮影時の最高秒間コマ速は約20コマ/秒。なぁんだ、そんなものかと言うなかれ。45MP超の画素数で淀みなく約20コマ/秒の連写が「シャラララ・・・」と行われるのだ(シャラララ・・・は疑似シャッター音の口まね)。現場感覚に従う常識的な撮り方をしている限り、バッファ詰まりなどで連写スピードがスポイルされることはなく、「撮りたいときに撮りたいだけ撮れる」態勢は強固に維持される。軽快な印象の源は、まずはそこだ。

そしてさらに、シャッターレスポンスの良さやAFの動作速度を含めたトータルしての俊敏さである。とてもじゃないが8256×5504ピクセルの巨大な画像を次々に記録しているとは思えない"軽さ"に満たされた撮影感触は、カ・イ・カ・ン(私の世代では薬師丸ひろ子の名台詞となっております)以外のナニモノでもない。おかげで、ついつい本能の赴くままに撮り続けてしまいがちだ。それだけに、JPEG、FINE撮りで10MBチョイから中には30MB近くある1コマあたりの撮影データには、家に帰ってから白目を剥くことに。PCやデータ保存環境にとっては、決して軽くも快くもない撮影データがゴソッと記録されている事実には、相応の覚悟が必要であるということだ。後悔先に立たず。人目を忍ぶ快感の代償は、いつでも大きく重いもの??

なお、連写速度は、高速連続撮影では10、12、15、20コマ/秒の設定が、低速連続撮影では約1~10コマ/秒の間で1コマステップでの設定ができるようになっている。ただ、どういうワケか低速連続撮影の設定に「7コマ/秒」が存在していない(6コマ/秒の次は8コマ/秒)。「Z 9の隠された最大の謎!!」的な感じで下世話な興味を引く部分ではあるのだが、これは低速連続撮影の8コマ/秒設定の秒間コマ速が現実には「7.5コマ/秒」であることが関連しての措置なのかも? 正式な理由は未確認だけれど・・・。

Nikon(ニコン) Z 9 センサー
Nikon(ニコン) Z 9 映像エンジン

ファインダー表示と連写のコンビネーションは現状、最も動体が追いやすいカメラだ

Z 9のAFや連写に飛び抜けたものが備わっているわけではない。総合的な品質を抜きに機能だけを見るならば、このクラスのミラーレス機としては"並"の仕上がりだ。しかし、電子ビューファインダー(EVF)のクオリティを掛け合わせると答えは違ってくる。EVFこそZ 9最大の魅力との声をすでにアチコチから聞く昨今ではあるが、その評価には完全に同意だ。「精細な表示」とか「遅延がない」とか、そういう当たり前な理由付けを持ち出さずとも、ズバリ「もうほとんど光学ファインダー」といっても差し支えのない「澄み切った見え」が得られるEVFだからである。特筆すべきは「明るさ」の再現能力。光源などは肉眼で見たままの印象に、薄暮時の空の色など、肉眼での認識能力が追いつかぬ部分では、肉眼以上の再現性を遺憾なく発揮し、実際に写る(仕上がりに反映される)明るさ印象や色を極めて正確に事前に(撮影時に)示してくれるのだ。

動体に対峙している時は、バックグラウンドで表示遅延の少なさが効いているのだろうとは思いつつも、まずは光学ファインダーに匹敵するストレートな「見え」のままブラックアウトフリーの連写ができるという、デジカメではこれまでに経験したことのない「被写体の追いやすさ」に魅了された。ファインダー表示と連写のコンビネーションにおいて、Z 9は現状もっとも動体が追いやすい(撮りやすい)ミラーレス機であると断言できる。そして、その点がそのまま仕上がりの良さ(歩留まりの高さ)に繋がることになる。撮影者にとっては至福の流れだ。

ただし、AFに限定した話になると、手放しでは喜んではいられなくなることがあるかも知れない。まずは、底力が見え隠れする測距点自動選択AF(オートエリアAF)の動作が、他社ハイエンドミラーレス機との比較ではまだユルい。Z 7やZ 6とは段違いの「現代ミラーレス機として上位の実力」を有するようになってはいるものの、例えば「均一の背景の中にポツンと存在する小さな被写体を見つけ出し、ピントを合わせ、追従し続ける」という一連の動作では、競合他社機が見せる測距点自動選択AFの動作を追い抜いているとは言い難い。新ファームVer.2.00で実装された「カスタムワイドエリアAF(静止画時20種類のAFエリアパターンが選べる)」は、オートエリアAFの弱点をフォローすべく、測距範囲をより効率的、かつ実用的に絞り込むための新機能であると私は認識しているのだが、「ピントが逃げる範囲を限定する」ことはできても根本的な解決には至っていないというのが現時点における個人的な印象だ。

ミラーレス機としては初搭載となる3D-トラッキングAFは、ユニフォームなど際立つ色を身につけている人物や乗り物全般には非常に有用性が高い。被写体検出機能との連携や追従範囲が画面のほぼ全体に及ぶことを含めると、一眼レフの同機能以上に実用性が保たれているといってもいいだろう。しかし、保護色に近い色を纏っている動物を自然の中で相手にするには、その機構上、仕方のないところではあるのだが、少々分が悪い。人工物には強みを見せることの多い3D-トラッキングAFも、自然風景の中にいる動物相手には伸るか反るかの差が激しく、適材適所の活用が求められるように思うのである。

Nikon(ニコン) Z 9 ファインダー接眼レンズ
Nikon(ニコン) Z 9 手ぶれ補正ユニット

世界最多の9種の被写体認識AFを搭載。Z 9の各種AFと自分の撮影スタイルとのすり合わせが肝

一方、流行りの被写体認識AFは、人物、犬、猫、鳥、クルマ、バイク、自転車、列車、飛行機、計9種の検出能力を世界最多(発表時)としてアピール。あらかじめ対象とする被写体を設定しておく通常の使い方のほか、「オート」設定では人物、動物、乗り物に対し、個々を対象とする設定をすることなく自動で認識対象を選択してくれる動作が独自で新しい。その場合、ピント合わせの優先順位は、まずはAFの基本的な動作と同様「至近優先」になるようなのだが、目的と異なる被写体を捉えているときはマルチセレクターで対象を変更することもできる。とはいえ、狙う対象が決まっている場合は、事前に個別設定をしておいた方が認識率と確実性は上であるとの印象は拭えない。

また、全対象の中で、特に「鳥」に関しては検出が少々、苦手そうな気配も。良好に検出、認識するときは、けっこうな遠距離でもバッチリだったりする反面、ダメなときは「こんなに近くなのに・・・」ということがあるなど、他の被写体検出との比較で認識(検出)の可否にバラツキが多い印象なのだ。もし、オートエリアAFでピントが拾えない状況では被写体検出もままならない・・・ということなのだとしたら、特に自然物を被写体とする場合、Z 9が苦手とする場面はけっこうあるようにも思う。実際、1点設定のダイナミックAF(測距枠サイズが変更できるようになるなど機能強化が図られている)に逃げたくなることも少なくなかったのだが、測距点の選択はもうカメラに丸投げしたくなっている(そういうカラダになってしまっている)のも偽りなき我が姿。Z 9の各種AFと自分の撮影スタイルとの摺り合わせは慎重、かつ徹底して行う必要がありそうだ。

というワケで、ニコン「Z」の中では卓越しているAFも、他社のハイエンドモデルとの比較では飛び抜けたものはないというのが率直な印象だ。実用上、困る話ではまったくないのだが、ボディ全般のデキの良さとファインダーの視認性に係る品質が随一であることを考えると、AFにも他をグンと引き離す何らかの要素が欲しいように思うというのが正直なところである。しかし一方では、ニコンユーザーにとっては、いよいよ本当に「一眼レフからの買い換え」を断行してよいタイミングが訪れたといっていいとも考えている。すでに「Z」に移行済みならば、「まったく新しいZ」をここで手に入れるもヨシ、D3に対するD700のような新展開を待つもヨシ(本当にそういうモデルが出てくるのかどうかは知りませんが)。ともあれ、ニコン「Z」がZ 9の登場を機にグンとオモシロくなったことは間違いない。未来がパーッと大きくひらけたようにも感じている。もちろんそれは、さらに充実しつつある交換レンズ群を含めての話でもある。

良くいえば質実剛健。備わる機能に派手さはない。しかし、ニコン自らが明言しているとおり、今後のファームアップでさらなる機能強化が行われるのは確定路線であるようだ。その一端は、先ごろリリースされた「Ver.2.00」でも十分、垣間見られるところではあるということで、続く後編ではVer.2.00で追加された機能の一部を堪能してみた。Z 9の魅力をさらに深掘りすることになるはずだ。

Nikon(ニコン) Z 9 Z 9 + NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S
Nikon(ニコン) Z 9 被写体認識AF

作例

Nikon(ニコン) Z 9 作例1

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NIKKOR Z 24-120mm f/4 S・120mmで撮影・絞りF4・1/320秒・ISO100・+2EV露出補正

定番24-120mmF4のZ版であるNIKKOR Z 24-120mm f/4 Sがやっとお目見え。今回、初めて使ってみたのだけど、Fマウントの歴代24-120mmF4とは比較にならぬ図抜けた描写力に思わずニンマリ。新芽の上の小さな命たちも克明に捉えてくれた。

Nikon(ニコン) Z 9 作例2

NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S・400mmで撮影・絞りF5.6・1/2000秒・ISO2000・+0.7EV露出補正

動体を追いかけるのが本当に楽しくなるカメラだ。理由は明白。打率が高いからである。NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR Sとの相性もバッチリだった。

Nikon(ニコン) Z 9 作例3
Nikon(ニコン) Z 9 作例4
Nikon(ニコン) Z 9 作例5
Nikon(ニコン) Z 9 作例6
Nikon(ニコン) Z 9 作例7
Nikon(ニコン) Z 9 作例8

NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S・400mmで撮影・絞りF5.6・1/2000秒

約20コマ/秒の連写で連続撮影。飛来する被写体を発見すると同時にカメラを構え咄嗟のレリーズで捉えたものだ。つまり、一瞬の判断、一瞬のレリーズ操作、そして撮影は一瞬で終了の世界。Exifに記録されている撮影時刻で確認したら、わずか0.26秒間の出来事だったのだが、それがここまでしっかり撮れているのは、けっこうな快感である。

Nikon(ニコン) Z 9 作例9

NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S・400mmで撮影・絞りF5.6・1/2000秒・ISO400・+0.7EV露出補正

動体に対しこのような左右ギリギリのフレーミングを難なくこなす、Z 9のEVFと連写のコンビネーションである。これまで何度も、同じ場所で同じ撮り方をしてきているのだけど、歴代の各社フラッグシップ一眼レフを含め、成功率は今回が最も高かった。Z 9は、動きモノが本当に撮りやすい。自分の腕が上がったように錯覚する。

Nikon(ニコン) Z 9 作例10

NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S・400mmで撮影・絞りF5.6・1/2000秒・ISO500・+0.3EV露出補正

コチラは前後ギリギリのフレーミングを意識して撮ったもの。AFは、被写体検出(乗り物)にすべてお任せだったのだけど、ファインダー内で機体がある程度の大きさになってからは、稀にノーズギアあたりに測距点を飛ばしつつも、ほぼコックピット周りに合焦し続けてくれた。Z 9の被写体検出を担当しているAI君は、鳥はちょっと苦手っぽいけど飛行機の認識は得意みたいだ(笑)。

Nikon(ニコン) Z 9 作例11

NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S・14mmで撮影・絞りF8・1/640秒・ISO100

NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 Sで撮影。太陽を入れ込んでの撮影も、ゴーストの発生やコントラストの低下は皆無。かなり出来杉くんなレンズである。大昔の感覚だと、画面を斜めに走る色とりどりの派手なゴーストが欲しい場面だったりもして、古い人間には正直ちょっと物足りないのだけど、そりゃゼータクなイチャモンってヤツですな。

Nikon(ニコン) Z 9 作例12

NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S・56mmで撮影・絞りF8・1/1000秒・ISO800・-1.3EV露出補正

Z 9のEVFが教えてくれる露出イメージは、微妙な明暗が複雑に絡むこのような場面でも極めて正確だ。おかげで露出補正の判断がしやすく失敗がない。その場で仕上がりが確認できるデジカメなれど、シャッターチャンスは一度きりであることがほとんどだから、露出はイッパツで決められるに越したことはないのだ。

Nikon(ニコン) Z 9 作例13

NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S・400mmで撮影・絞りF5.6・1/32000秒・ISO5000・-1EV露出補正

1/32000秒のシャッター速度優先AEで撮影。そもそもメカシャッターを持たぬZ 9なので、シャッター速度の選択は超ハイスピードに至るまでシームレス。このときISOオートで導かれた感度はISO5000になったが、このレベルの撮像感度であれば、いかなる鑑賞条件においても不満を感じることはないだろう。

Nikon(ニコン) Z 9 作例14

NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S・400mmで撮影・絞りF16・1/160秒・ISO100

こんな場面、問題はもはやAFの能力ではなく、撮影者自身が被写体の動きに対応できるかどうかにかかっている。つまり、カメラのAFにとってド・アップはもはや朝飯前なのだ。それよりも、中途半端な距離感だったり豆粒サイズの被写体にピントを合わせることの方がよっぽど大変。機種間の差が如実に出るのも、そういう場面だ。

Nikon(ニコン) Z 9 作例15-1

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Nikon(ニコン) Z 9 作例15-2

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Nikon(ニコン) Z 9 作例15-3

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NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S・400mmで撮影・絞りF5.6・1/10000秒・ISO3200・-0.7EV露出補正

飛行中のアブ(?)を1/10000秒で捉えているこの3点の連続写真。ほぼホバリング状態の時を狙い撃ちしているとはいえ、対象が小さくAFではなかなか撮れるものではないのだが、実はZ 9も9割方お手上げの風情だった。では、どうやって撮ったのか?

AF-C+ワイドエリアAFのLサイズに設定の上、まずはマニュアルフォーカス(AF設定中でもピントリングを回すだけでMF操作が可能)で大体のセンまでピントを合わせ、そこから先のピントの微調整(本当の合焦に持ち込む)をカメラのAF-Cにやってもらいながら約20コマ/秒で撃ちまくる・・・という手順でモノにした。つまり、MFでほぼ合焦状態に持ち込むことで、カメラに対し「アナタがピントを合わせるのはココよ!」ということを教えてからAFを動作させているってこと。ピントの迷い(ピントを合わせるべき対象を見つけてくれず右往左往、いや、前後前後する状態)から脱却するには、こうするしかなかった。

ちなみに、測距点全面自動選択のオートエリアAFでは、上記の手順を踏んでも、周辺に気を配りすぎるためか、よっぽど条件がよくなければピントをつかめず仕舞い。また、ワイドエリアLを選択したのは、ワイドエリアSではその範囲内に被写体を捉え続けるのが困難だったため(これは撮影者の問題)だ。

Nikon(ニコン) Z 9 作例16

NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S・200mmで撮影・絞りF5・1/4000秒・ISO6400

こちらの連続写真は、Ver.2.00で実装されたプリキャプチャを活用したものではなく、普通の約20コマ/秒で撮影したもの。各動作レスポンスに優れるZ 9なので、ある程度、動きが読める被写体ならば、アクションの初っぱなからその動きを捉え続けることはさして難しくはない。スリープ状態からの再立ち上がりが迅速なのも、"待ちの多い現場"では大いに助かった。

主軸となる機能のみならず、そういった周辺部分での使い勝手にも抜かりがないのがZ 9なのだ。ちなみに、撮像感度はISO6400。羽毛の質感が損なわれるなど高感度撮影の弊害は感じられない。

Nikon(ニコン) Z 9 作例17

NIKKOR Z 24-120mm f/4 S・58mmで撮影・絞りF5.6・1/60秒・ISO1250・-1EV露出補正

EVFは、0.5型 Quad-VGA OLED。表示ドット数は約369万ドットと、非常にベーシックな数字を示すのみなのだが、覗いてビックリ、その見え具合は光学ファインダーに限りなく近く、しかし実態はEVFなので仕上がりイメージを当然のごとく正確に示すなど、まさしくハイブリッドな使用感の得られるファインダーになっている。表示ドット数が「表示品質」をそのまま示すわけではないことを教える、示唆に富んだEVFとしての存在意義も大きいといえるだろう。


まとめ


  • ・「オレは今、ミラーレス機を使ってるんだっ!」っていう感覚なしに使える最新のミラーレス機

  • ・Z 9が特異なのは、明らかに一眼レフに近い雰囲気を持っているミラーレス機であるところ。

  • ・45MP超えの画素数を意識することはない。理由は明白。撮影感触が徹頭徹尾「軽快」であり続けるから。

  • ・ズバリ「もうほとんど光学ファインダー」といっても差し支えのない「澄み切った見え」が得られるEVFの魅力が極めて大きい。

  • ・スリープ状態からの再立ち上がりが迅速なのも、"待ちの多い現場"では大いに助かった。

Nikon(ニコン)Z 9
Photo & Text by 落合憲弘

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