目次
特徴・操作性
スチルとムービーの二刀流カメラ
高性能なオートフォーカス
プロ仕様インターフェイス
長時間撮影にも対応できる放熱ファン
Photoモードレビュー
EOS R5と同じ機能Photoモード
ボディ内手ぶれ補正は非搭載
Photoモードではデュアルピクセル CMOS AF IIが使用可能
VIDEOモードレビュー
Cinema EOSと同様のインタフェースに切り替え
8KでのRAW撮影が可能
手ぶれ補正はレンズ内手ぶれ補正と電子ISが使用可能
安定性に重きを置いたデュアルピクセルCMOS AF
EOS R5 にはない機能
SONY FX3との比較
メリット・デメリット
メリット
デメリット
おすすめしたいユーザー
使用したカメラ
使用したレンズ
まとめ
Canon EOS R5 Cはシネマモードとスチルモードのまさに"二刀流"なフルサイズミラーレス一眼カメラです。
Canonは以前から、EFマウントを使用したシネマカメラ「CINEMA EOS SYSTEM」を展開、シネマカメラ以外にもTV局などで使用されるような業務用ビデオカメラなども開発・製造するなど、スチルだけでなく映像にも深く関わりを持っています。
そんなCanonがこれまでの技術と最新のRFマウントを融合させたカメラが、EOS R5 Cとなります。
Canon EOS R5 CはPhotoモードとVideoモードで2種類の異なるAFを装備しています。
Photoモード時にはEOS R5と同等の高速なデュアルピクセルCMOS AF II、Videoモード時にはより安定性能の高いデュアルピクセルCMOS AFが使用できます。
どちらも、ディープラーニング技術を使用した、「EOS iTR AF X」を搭載しているため写真・動画ともに人物検出(瞳・顔・頭部)が可能となっています。
また、デュアルピクセル CMOS AFの位相差AF技術を応用して、ピント位置の前ピン・後ピンまでをも伝えるデュアルピクセルフォーカスガイドなど、AF以外にも高いフォーカス性能を持っています。
Canon EOS R5 Cでは外部接続端子もプロ仕様となっています。
ベースモデルであるR5のインターフェイスを引き継ぎながら、タイムコードの入出力端子やケーブル抜けを防ぐケーブルプロテクターが標準で付属されています。
さらに、アクセサリーシューが改良されています。EOS R5では5PINの端子となっていますが、EOS R5 CではEOS R3やR6II、業務用ビデオカメラXF605にも採用されている5PIN+新端子のマルチアクセサリーシューを採用。これにより、ケーブルレスでXLRマイクアダプターを使用した4チャンネルオーディオ収録が可能となっています。
もうひとつ、動画撮影向きの機能で紹介したいのが、背面右から吸気し、側面から排気するファンが内蔵されている点です。
ファンを搭載することにより、熱ノイズの低減や、熱による録画停止などのトラブルから開放されます。
エアフローと基板が独立する放熱構造により長時間ノンストップ録画が可能になっています。
PhotoモードではEOS R5と同じ機能が使用可能です。
設定画面なども全く同じUIとなっていて、写真機としては重要なメカシャッターなども搭載しています。
このPhotoモード時には動画撮影ができませんので、動画を撮影する場合はVideoモードに切り替える必要があります。
ATHENA PRIME LENS 35mm T1.9 (RF-Mount)
作例1:T1.9 1/500秒 ISO125 露出補正-0.33
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EOS R5 Cは、ボディ内手ぶれ補正が非搭載となっています。
そのためPhotoモード時には手ぶれ補正搭載レンズを使用する、もしくは三脚に固定する、シャッタースピードを上げるなどの手ブレを抑える対策が必要になります。
もし後継機が出るのであればボディ内手ぶれ補正の搭載に期待したいところです。
Canon RF 24-105mm F4-7.1 IS STM
作例2:F7.1 1/50秒 105mm ISO4000 露出補正-0.33
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PhotoモードではEOS R5と同様に最新のデュアルピクセル CMOS AF IIが使用可能です。
デュアルピクセル CMOS AF IIはAF被写体検出の強化、より高速・高精度なAFが可能となりました。
AF被写体検出は人物+動物+乗り物の検出が可能となっています。
EOS R5 Cの搭載しているセンサーも4500万画素と精密なピントを要求される場面も多いですが、EOS R5 CはEOS R5と同じようにストレスフリーで運用できました。
Videoモードでは、Cinema EOSと同じインターフェイスを採用してします。
他の業務用機とインターフェイスを統一することで現場での設定の混乱などを防ぐことができます。
また、絞りの表記もIRISへ、シャッタースピードもアングル表記に変更されています。(※設定でF値、シャッター速度に変更可能)
PhotoモードではデュアルピクセルCMOS AF IIを搭載していましたが、VideoモードではデュアルピクセルCMOS AFとなっています。
デュアルピクセルCMOS AFですが、非常に高速で外すことはなくジンバルに載せて撮影していた場面でも、ストレスフリーで撮影できました。
また、AF範囲は、80%カバーですが、セーフマージンを80%に設定して撮影した場合には、実質フルカバーとなるため、使用中は気になりませんでした。
また、EOS R5にはない機能としてディスクイーズ表示やWFM機能などの映像撮影をアシストする機能が搭載されています。
ディスクイーズは、映画などで使用されるアナモルフィックレンズという視野を水平方向に圧縮してセンサーに写す特殊なレンズで撮影する際に、圧縮した視野を戻してプレビューできる機能となっていて、構図やピントの確認が容易になります。
WFMは映像の輝度などをグラフ化し、見ている映像だけに頼らず適切な露出を得られるものが搭載されています。
フルサイズのミラーレスシネマカメラといえばSONY FX3を思い浮かべる方が多いと思います。
実際両者ともに非常に近しいですが使用してみると、メーカーごとの思想の違いなどがはっきりと感じましたので比較して紹介していきます。
まず、核となるセンサーですが、画素数ではEOS R5 Cのほうが高解像度約4500万画素センサー搭載で8K撮影も可能となっていますが、FX3は1200万画素センサー搭載の4K撮影まで可能です。
また、手ぶれ補正もEOS R5 Cでは電子手ブレ補正のみとなっていますが、SONY FX3には光学式手ぶれ補正と電子手ブレ補正の組み合わせによる強力な手ぶれ補正のアクティブモードにより、手持ちながらジンバル並みの映像を撮影できます。
このような違いから、CanonはFIXもしくはショルダータイプ・ジンバルなどのリグを組んだ重装備でのワークフローを、SONYではワンオペで機動力重視の撮影スタイルというような思想を感じました。
EOS R5 Cのメリットは、シネマ撮影もスチル撮影もこの1台で完結できるという点です。
これまでも、動画機ながらメカシャッターを搭載し、静止画も撮影できるカメラはいくつかありましたが、4K撮影をメインとしているため、画素数が少なかったり、センサーや操作系などは他シネマカメラとは異なっていたりします。
しかし、EOS R5 Cではモードを切り替えることにより、同メーカーの他シネマカメラと同じ操作系を獲得し、さらには8K・4500万画素の高画質撮影が可能となりました。
EOS R5 Cのデメリットについてもお伝えしておきましょう。
まずひとつは、Videoモードでの電力消費が激しいという点です。
8K撮影が可能かつ、シネマカメラと同じシステムを使用しているため仕方が無いのですが、8K撮影時には30分程度しか内蔵バッテリーでは撮影できず、予備バッテリーまたは外部より給電しなければならないため、自ずとシステム重量が増加してしまいます。
もうひとつのデメリットとしてHDMIの出力端子がMicroHDMI(HDMI Type D)という点です。
業界全体で採用されているのはHDMI(Type A)なので、新たにケーブルを増やす必要がある点や、端子が小さく、接続安定性に不安が残る物となっています。
ベースモデルのEOS R5がMicroHDMI(HDMI Type D)のため変更できないなどの事情もありそうですが、次期モデルではHDMI(Type A)の搭載を期待したいところです。
EOS R5 Cは、8K撮影のできるシネマカメラが欲しい、さらに静止画性能も欲しいという方におすすめです。
EOS R5 Cはメカシャッターを搭載しながら、EOSのPhotoモードとCinema EOSのVideoモードの切り替えができる今までにないハイブリッドカメラとなっています。
ワンオペで撮影しながら、スチルも撮影しなければならないような現場では唯一無二の存在となり、これまでのシネマカメラと比較して機材の軽量化による機動力向上など様々な恩恵を受けられることになるでしょう。
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