SONY(ソニー)α7 IV の実写レビューです。
α7 IVを使って撮影した実写レビューを中心に、画質や高感度性能、オートフォーカスの使い勝手などを、旧モデルα7IIIやライバル機種との比較を交えてご紹介します。
特徴のひとつである動画性能についても試してみました。
特徴/操作性
写真と動画を高次元でミックスさせたハイブリッド機
α1譲りのオートフォーカス性能
より使い易くなった操作性
実写レビュー
3300万画素センサーによる高精細な画質
α1ゆずりのAF性能は「Beyond Basic」の名に恥じない高性能さ
3300万画素のセンサーを搭載しているとは思えないトップレベルの高感度性能
クリエイティブルック
画質
3300万画素の非常に高い解像感
高感度性能比較
高分解シャッター
動画性能
シネマカメラ並みの高画質
タッチトラッキングに対応、ブリージング補正搭載で動画のピントを強力にサポート
4K 60pの高画質での長時間撮影
手ぶれ補正「アクティブ」に対応
おすすめユーザー
非常に幅広い用途に対応出来るハイブリッド機
コマ速、ローリングシャッター歪みがやや物足りないポイント
「Beyond Basic」の言葉どおり最高クラスのオールラウンダーカメラ
まとめ
SONY(ソニー) α7 IV を一言で言い表すなら写真と動画を高次元でミックスさせたハイブリッド機と言えます。
写真においては3300画素の高画素センサーを搭載している事で、動画においてはシネマカメラ並みの高いビットレートやファイル形式に対応している事で、いずれもハイクオリティな映像を撮影する事が出来ます。
写真でも動画でも高画質である事が、α7 IVの第一の特徴といえるでしょう。
ミラーレス一眼カメラの開発にいち早く取り組んだSONYのカメラの特徴のひとつとして、高いオートフォーカス性能が挙げられるでしょう。
α7 IVはフラッグシップ機α1と同等の、759点の選択可能な位相差測距点(α7IIIでは693点)を持ち、リアルタイム瞳AFやリアルタイムトラッキングといった機能に磨きがかかりました。
実際に使ってみると、思った以上にスムーズで高速、高精度なオートフォーカスに驚かされます。特に動画でのフォーカス移動のスムーズさは、腕前が上がったのかと思ってしまう程です。
縦にタブが並ぶ新しいmenu画面と、写真、動画、S&Qのを切り替えるレバーが追加された事で、旧モデルのα7IIIよりも操作性が大きく向上したと感じました。
特に写真、動画を切り替えるレバーの追加は両方を撮るユーザーには朗報です。例えばFnメニューひとつとっても写真と動画では表示させたい項目に違いがありますが、それをレバーひとつで切り替えられるのは、使う際のストレスを大幅に軽減してくれます。
縦にタブが並ぶ新しいmenu画面は、最初こそ旧画面に慣れているおかげでまごつきましたが、色分けされているおかげで直感的に覚えやすく、細かい設定変更もストレス無く行えるようになりました。
有効画素数: | 約3300万画素 | 常用ISO感度: | 100-51200 |
---|---|---|---|
手ぶれ補正: | 5.5段 (CIPA規格準拠) | コマ速: | 約10コマ/秒 |
動画サイズ/フレームレート: | 4K/60p(APS-C時) | その他: | クリエイティブルック S-Cinetone 手ぶれ補正:アクティブ |
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3300万画素の新型センサーは非常に高解像で高い画質を実現するセンサーです。それでいて、α7RIVの6100万画素センサーのような気難しさは無く、とても使い易いと感じました。
例えばα7RIVではISO感度によって画質の変化が大きい為、感度をオートにしてあっても常に撮影時のISO感度に気を配る必要がありますが、α7 IVではそこまでシビアに考える必要は無く、最高ISO感度の設定だけ気を配っておけば十分でしょう。
作例では凧のこまかな模様が驚くほどシャープに描写されており、高画素機らしい細密描写を楽しめました。
高画質でありながら、場所やシーンを選ばないオールラウンドな性能を持っている事もα7 IVも特徴のひとつでしょう。
ノイズや手ぶれ、人口光によるフリッカーなど、写真から追放したいマイナス要素を、高い高感度性能、5.5段のボディ内手ぶれ補正、フリッカーレスなどの機能が除外してくれるおかげで、カメラマンはシャッターチャンスとフレーミングに集中出来るのです。
3300万画素の高画素センサーが、フィルムで言えば中判カメラで撮ったような高い画質の写真をより身近なものにしてくれたと感じました。
α7 IVを使い始めて最初に感じたのは、α1を使っている感覚に近いという事です。これはオートフォーカスの性能がα1に近いという事に起因しているのかもしれません。
759点の選択可能な位相差測距点を持つ、高速で、高精度なオートフォーカスは、フラッグシップ機α1に近いもので、リアルタイムトラッキングなども自在に行えます。かなりの低照度でもキビキビとピントが合う事もポイントで、高い高感度性能と併せて、暗い場所での撮影にストレスを感じる事はありません。
今回の作例では、F1.2という極端に明るいレンズを使いましたが、タッチトラッキングでピントを合わせたい場所を先に選択しておいてから、フレーミングを細かく調整するといった裏技的な使い方も出来ました。
優秀なオートフォーカスは野鳥やモータースポーツなど高速で動く被写体を撮影する時にだけ必要だと思っていました。
作例は池のカモを撮影していますが、日没後の光の少ない条件で、動く被写体をタッチトラッキングを使って撮っているにも関わらず、ピントは全く問題無く合っています。
オートフォーカスがいいカメラはシャッターチャンスに強いという当たり前の事実を、α7 IVがあらためて気付かせてくれました。
α7 IVは、3300万画素のセンサーを搭載しているとは思えない、トップクラスの高感度性能を持っています。具体的に言えば、2400万画素センサーのα7IIIと同じ程度の性能です。
900万画素近く画素数が増え、高画素機と言っていいモデルとなった事を考えれば、驚くほどの高感度性能の高さと言っていいでしょう。
作例はISO2000で撮影していますが、ノイズ感は皆無で、黒もしっかりと締まっています。感度ごとの詳しいノイズの入り方につていは後述しますが、ISO3200くらいまでは、相当拡大しない限り高感度で撮影したことがわからないレベルだと感じました。
α7 IVはα1やα7SIIIに搭載されていて好評のクリエイティブルックが使えるようになりました。
インスタントに印象的な雰囲気を演出出来るクリエイティブルックは、画像処理のようにデスクトップ上では無く、撮影したその場で写真の雰囲気を選べるので、撮影者の感じたリアルな印象を写真にのせやすいと思います。
デフォルトでFnメニューに設定されていますし、是非積極的に使いたい機能です。
個人的に気に入ったクリエイティブルックは「FL」です。某S社のT&Oに似た印象的なカラーが特徴で、今回の作例撮りでも多用しました。
少し残念なのは、各クリエイティブルックの名称がイメージと結びつきづらい事です。実際に切り替えながらその場で選べばいいのですが、どのルックを選ぶとどういったイメージの写真になるかは、もう少し使い込んで覚えていくしかないでしょう。
以下に幾つかのクリエイティブルックの作例を載せておきますので、参考にしていただければと思います。
最新の画像処理エンジンが搭載されたα7 IVのカラーバランスは、α1やα7S IIIに近い傾向を示します。
15ストップという広いダイナミックレンジによる諧調表現や高い色再現性を持ち、質感描写に優れたリアルな描写です。作例は「赤」というデジタルでは少し難しい色を撮影していますが、提灯の丸さが伝わる細かな諧調が質感豊かに再現されていて、新しい画像処理エンジンの優秀さが伺えます。
なにより上位機種と同等の色再現性である事は、フラッグシップ機のサブとして使う際にも安心です。
作例1を拡大して解像感を見てみます。
凧に描かれた模様が、驚くほどのシャープさと高精細さで再現されました。
それだけでなく微妙な凹凸やよく見るとセロハンテープが貼ってある事までわかって、3300万画素の高画素センサーである事だけでなく、質感描写に優れた映像エンジンの優秀さが画像からもわかると思います。
α7 IVは画質的にも「Beyond Basic」の名に恥じない、フルサイズセンサー機の中でも最高クラスの非常に高いレベルにあります。
α7 IVは3300万画素という過去にあまり無い画素数を持ったカメラなので、高感度性能についても比較が難しい機種です。
使ってみた感想としては、高画素機と感じたので、α7Rシリーズのカメラと比較するべきかもしれませんが、6100万画素センサーのカメラと比較する事にも違和感を感じるので、旧モデルで高感度性能に定評のあるα7IIIと比較する事にしました。
ここでは各感度ごとのノイズの入り方と、α7IIIとの比較を取り上げたいと思います。
画像はα7 IVで撮影した、ISO800~51200までの比較画像ですが、私は800と1600の区別はつきませんでした。100~1600まではノイズの殆どない高い画質です。
ISO6400でノイズが目立ち初め、12800までいくと、はっきりと物のディテールが崩れ始めます。
高感度については人によってどこまで使えるのか感じ方が違うと思いますが、個人的にはISO3200までは安心して使える、ISO6400までは許容範囲だと感じました。次に旧モデルα7IIIとの比較をしてみます。
ISO800ではノイズの多少という意味では違いがほぼありません。α7 IVの方がわずかに鮮やかな発色となっているのは画像処理エンジンの違いによるものと思われます。
次にISO6400での違いを見てみます。
やはり2機種の違いは感じられません。α7 IVは、α7IIIより900万画素あまり多いにもかかわらず、高感度性能は同等レベルと考えてよさそうです。
SONY α7 IVは高画素でありながら高感度性能が高く、おかげでオールラウンドに活躍するモデルとなっています。
高感度を使うシチュエーションとして、イルミネーションなどの撮影があると思いますが、人口光の撮影ではフリッカーの問題は避けて通れません。しかし、α7 IVは高分解シャッターを搭載しているので、難しいタイプの人口光の撮影にも失敗なく対応する事が可能です。
作例では、通常モードではフリッカーにより光が消えた時にシャッターが切れてしまい、ライトが消えたシマウマが撮れる事がありましたが、高分解シャッターを設定しておく事で、そのような失敗を避ける事が出来ました。
α7 IVは、シネマカメラ並みの高い動画画質を持ったカメラです。
4:2:2 10bitやS-Log3などのポストプロダクションに対応したデータ形式での撮影が可能な事は勿論、人物の肌の描写に長けたルック「S-Cinetone」や各種のクリエイティブルックなど、映像の雰囲気をインスタントにつくれる機能も搭載しているので、これから本格的な映像制作に取り組みたいと考えるユーザーにもおすすめです。
動画の画質を表す値のひとつ「転送ビットレート」は最大600Mbpsと、動画機として定評のあるPanasonicのGH5IIを上回る数値で、カラーグレーディング耐性の高い、豊富な情報量を持ったデータ形式での撮影が可能となっています。
上の画像は15+ストップの大きなダイナミックレンジを持つS-Log3で撮影した映像に、LUTを充てて露出やコントラストを調整した動画から切り出した画像です。
広いダイナミックレンジのおかげで、雲の細かな諧調などが細かく再現されて立体感のある映像になっています。
こういった撮影後の雰囲気づくりを行える情報量の多いデータ形式で記録出来ることは、α7 IVの大きな利点のひとつと言えるでしょう。
動画ではピントの移動が表現のひとつになりますが、α7 IVではタッチトラッキングとAF速度を7段階に調整できる機能を使って、美しいピント移動が可能となっています。
まるで映画のようなゆったりとしたピントの動きを、タッチひとつで誰でも簡単に出来るのです。
さらに対応レンズを使用すれば、フォーカスの際の画角変化(ブリージング)を無くす事も出来るので、シネマレンズを使ったような自然な表現が可能となっています。
α7 IVは温度上昇に配慮した設計により、1時間以上の4K 60p 4:2:2 10bit動画記録が可能となっています。
4Kなどの高画質での動画撮影では、カメラの温度上昇により録画時間が制限されるのが普通でが、効率的に放熱する設計により長時間の高画質撮影が可能となったのです。
これによりライブ撮影など長回しの必要な現場でも、4Kの高画質で撮影する事が出来るようになりました。
α7 IVは、動きながらの動画撮影に定評のある手ぶれ補正モード「アクティブ」に対応しました。
通常歩きながらなどの大きな動きをともなう動画撮影ではジンバルを使うのが一般的ですが、機材が大きく大袈裟になってしまうという欠点があります。しかし、動画向きの手ぶれ補正である「アクティブ」を使えば、ジンバル無しである程度滑らかで見やすい動画を撮影する事が可能です。
ミラーレス一眼カメラを使って趣味で映像制作をするユーザーは基本的にワンオペで撮影する事が多いと思いますが、そういったユーザーを強力にサポ-トする機能が搭載されている事もα7 IVを動画機として選ぶ大きなメリットのひとつです。
写真ユーザーには3300万画素の高画素センサーが、動画ユーザーにはシネマカメラ並みの画質が大きなメリットとなる機種です。
高速、高精度、そして多くの便利な機能を持つオートフォーカスと、2000万画素クラスのカメラと比較しても見劣りしない高感度性能がその両方のユーザーを強力にサポートする、オールラウンドなハイブリット機と言えるでしょう。
優れた操作性により、その2つを効率的に使い分けられるところも、α7 IVがハイブリット機として優秀な点のひとつで、写真にも動画にも妥協せず高いクォリティを求めるユーザーにおすすめです。
欠点の非常に少ないカメラですが、個人的に2つ物足りないポイントがあります。ひとつはコマ速が10コマ/秒な事、もうひとつは電子シャッター使用時にローリングシャッター歪みが出る事です。
いずれも3300万画素故に仕方のない事かもしれませんが、もう少し頑張って欲しかったポイントです。
α7 IVのライバル機としてCanon EOS R6が挙がると思いますが、R6は20コマ/秒と倍のコマ速を持っているので、せめて15コマ/秒は達成して欲しかったところです。同クラスのライバルに対して全ての面で優れているところを見せつけて欲しかったと思うのは欲張り過ぎでしょうか。
電子シャッター使用時のローリングシャッター歪みは一般的なレベルで発生します。
コンサートなど動く被写体をサイレントモードで撮る場合には注意が必要です。人物など、ぱっと見は歪みがわかりずらい被写体でも、撮られた当人からすれば微妙な歪みが気になるケースもあるからです。
作例は電子シャッター(上)とメカシャッター(下)でのローリングシャッター歪みの比較です。動く電車を撮影していますが、メカシャッターを切れば歪みは発生しません。被写体に合わせてシャッターのタイプを選択するようにしましょう。
SONY α7 IVの謳い文句「Beyond Basic」の言葉どおり、全ての機能において高い能力を持った、欠点がほとんど見当たらない無いカメラです。
これ以上幅広い能力を持ったカメラは、フラッグシップ機のα1しか思い浮かびません。電子シャッター使用時のローリングシャッター歪みが出る事、30コマ/秒の高速連写が出来ない事を除けば、α1に匹敵する機能を持っており、それでいて価格は大幅にリーズナブルなコスパの高い機種と言えるでしょう。
極端にシビアで速い被写体を除けば、殆ど全てのユーザーを満足させる事が出来る、ハイレベルなオールラウンダーカメラです。
・3300万画素のセンサーと最新の映像エンジンにより最高クラスの画質です
・フラッグシップ機に順ずる高いAF性能が写真、動画両方で撮影者をサポートしてくれます
・クリエイティブルックを搭載、インスタントに雰囲気のある画が撮れます
・シネマカメラ並みの高い動画画質は、ポストプロダクションにも対応出来るレベルです
・タッチトラッキング、手ぶれ補正「アクティブ」などワンオペでの動画撮影をサポートする機能を持っています
・写真でも動画でも最高クラスの性能、機能を持ったハイブリッド機です
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