Nikon (ニコン) AF-P NIKKOR 70-300mm f/4.5-5.6E ED VRの実写レビューです。
ステッピングモーターを採用した高速かつ静かなAF動作、高画素機にも対応できる画質、軽量で携行性に優れているのが特徴の望遠ズームは、運動会やスポーツ、乗り物や動物の撮影などに、フットワークの軽いレンズとしておすすめです。
今回はフルサイズミラーレス一眼カメラNikon Z7 IIに装着してテストしました。AF速度や画質、操作感などを、実写レビューを中心にご紹介します。
特徴/操作性
先代モデルから11年ぶりのモデルチェンジ
使用ボディには制限あり
ミラーレス一眼との組み合わせでもハンドリング良好
Nikon(ニコン)の製品らしいしっかりとした堅牢な造り
実写レビュー
開放から高い解像力を発揮
ライブビューでも扱いやすい取り回しの良さ
速く、滑らかなオートフォーカス
画質
解像感
周辺光量
同等クラス製品との比較
現時点ではベストかつ唯一と言える選択肢
まとめ
Nikon (ニコン) AF-P NIKKOR 70-300mm f/4.5-5.6E ED VRは、2017年7月に発売されたニコンFマウント一眼レフ用望遠ズームレンズで、一眼レフ用のレンズとしてはかなり新しい設計のモデルになります。
2006年に発売された旧モデルAF-S VR Zoom Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6 G(IF)から11年ぶりのモデルチェンジで、主な変更点は以下のとおりです。
手ぶれ補正にブレの少ない安定したファインダー像で速く動く被写体を追いやすいSPORTモードを搭載しており、スポーツや鉄道、車、動物など動くものの撮影に対応し易くなりました。
11年の間で進んだセンサーの高画素化や動画撮影対応、オートフォーカスの高速化や手ぶれ補正性能の向上等を一気に凝縮して詰め込んだといった感じでしょうか。
これらの特徴を備えながら、現行製品のFXフォーマット(フルサイズセンサー)向けの望遠レンズの中では最も軽量・安価で、コストパフォーマンスの高い一本といえます。
ステッピングモーター駆動のオートフォーカスや、連写時の絞り開閉動作が安定する電磁絞りの採用など、Nikonの一眼レフ用レンズとしては新しい機構を多く搭載しているため、使用できるボディに制限があります。
新しい製品であれば問題ありませんが、事前に使用するボディに対応しているか確認をしておくとよいでしょう。
今回使用したZシリーズミラーレス一眼と純正マウントアダプターFTZの組み合わせでは、特に機能の制限はありません。
ミラーレス一眼カメラに装着するとマウントアダプターの分、少し不格好に見えますが、手に取って構えてみると違和感はほとんどありませんでした。
このレンズが発売された翌年の2018年にZシリーズが発表されましたが、まるでZシリーズでの使用も見据えて設計されたかのようです。
優秀なマウントアダプターのおかげもあって、一眼レフ用のレンズがさほど不自由なくZシリーズでも使えるあたりに、古いユーザーも大切にするNikonの誠実な姿勢が感じられます。
本体外装はプラスチック製ですが、Nikon(ニコン)の製品らしくしっかりとした堅牢な造りです。比較的リーズナブルな価格帯のレンズでありながら、質感・操作感ともにチープな印象はありません。
側面のスイッチ類は、フォーカスモードと手ぶれ補正モードの切り替えの2種類だけでとてもシンプルです。フォーカスリングはバイワイヤ方式で、マニュアルで使用する時も心地良いトルクがあり操作感は良好です。
ズームリングの動作もスムースな中にも適度に重みがあるしっかりとした造りで、ズームロック機構はありませんが、長く使用しても緩くなりにくいように感じました。
フィルター径 | 67mm |
---|---|
最短撮影距離/最大撮影倍率 | 1.2m(ズーム全域)/0.25倍 |
最小絞り | f/32(70mm時)-f/40(300mm時) |
絞り羽根 | 9枚(円形絞り) |
長さ | 146mm |
重量 | 約680g |
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テストボディにはミラーレス一眼カメラのZ 7 IIを選択、純正のFTZマウントアダプターを装着して使いました。
共通設定として、ピクチャーコントロールはスタンダード、ホワイトバランスはオート1、ヴィネットコントロールと自動ゆがみ補正はオフにしています。
雨が降るあいにくの空模様でしたが、望遠レンズを使用する頻度が高い鉄道を被写体に選んで撮影しました。
雨天であまり明るくない中、少しでもシャッタースピードを稼ぎたかったので、必然的に絞りは開放やその近辺で使用することが多くなりました。
それでも高画素機の4575万画素のZ7 IIでも特に不足を感じない程シャープに写っていたのは驚きです。一眼レフ用とミラーレス用の性能差が小さいと言われる望遠レンズというところもプラスに働いたかもしれません。
ライトやワイパーのような細部まで鮮明に写し止めていて、どこまで写っているのか拡大するのが楽しくなる程です。
軽量コンパクトさが幸いして、ライブビューでも扱いやすい取り回しの良さもAF-P NIKKOR 70-300mm f/4.5-5.6E ED VRの魅力のひとつです。
作例3,4の2枚はファインダーを覗かないで背面モニターを使って撮影しましたが、レンズが軽いおかげでローアングル・ハイアングル共に楽に構える事ができ、撮影の幅が広がります。
こういった意味でもミラーレス一眼カメラに向いたレンズと言えるでしょう。
鉄道写真ではカメラを横に振る流し撮りが頻繁に使われます。
軽量である事で過度に力を入れずにカメラを振る事ができて、成功率が上がりそうだと感じました。
勿論、Z7 IIのグリップの良さも、カメラを動かして行う撮影をやり易くしている要因のひとつです。
AF動作は、マウントアダプターを併用している事を意識しない程に速く、とても滑らかに動作します。
動作音もほとんどありません。
フォーカスモードをAF-Cにして追従させる際、移動の予測がやや早めで「ここだ」というピント位置から手前方向に少しずれてしまう場面が何度かありました。「AFロックオン」設定を変更することで緩和できるかもしれません。
雨が上がった中野駅を通過するE353系あずさです。天候が回復してからはAFが迷う事は無かったので、多少、明るさの影響を受けているのかもしれません。
Nikon (ニコン) AF-P NIKKOR 70-300mm f/4.5-5.6E ED VRは、ハイグレードなレンズではありませんが、高画素のデジタルカメラでの使用も前提に設計されており、高画質です。
作例4を拡大して画質を見てみます。
線路横のバラストや雑草1本1本までしっかりと描かれ、高画素センサーの性能を活かしきれる程の十分な解像力を持っています。
作例4は絞りf8で撮影しましたが、絞り開放で撮影したカットもこのクラスのレンズとは思えない程に高い解像感が得られるので、開放から安心して使えると言えそうです。
次に周辺光量を意識して作例2を再度見てみましょう。
曇り空の為ぱっと見はわかりずらいですが、良く見ると周辺光量が低下しています。絞り開放、ヴィネットコントロール(周辺光量補正)オフにして撮影しているからです。
次に、作例2のRAWデータを、カメラ内現像でヴィネットコントロールを「標準」にして処理をした画像を見てみましょう。
少しわかりずらいので、画像の右半分、左半分を並べてみます。
それぞれ左側がヴィネットコントロールOFF、右がONです。背景のビルや空の明るさが、わずかに右側の方が明るくなっている事が確認できます。
このようにデジタル処理で解消できる他、少し絞る事でも同様に解消できるレベルの落ち込み度合いなので、表現意図に応じたコントロールも容易と言えそうです。ちなみに、Z7 IIの初期設定ではヴィネットコントロールが「標準」となっています。
Nikon(ニコン)Fマウント用の製品で現在新品購入できる同等クラスの製品は他社製品を含めても他に無く、Zマウント用レンズも現時点では同等クラスのレンズが存在しない事から、Nikon(ニコン)FXフォーマットボディで使用できる「10万円以下で買える望遠レンズ」としては唯一の存在です。
中古市場に目を向けると、先代モデル「AF-S VR Zoom Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6 G(IF)」や、TAMRON(タムロン)のSP 70-300mm F/4-5.6 Di VC USDがありますが、どちらも設計が古く、性能面で見劣りしてしまうのは否めません。どちらも3万円以下と安価だという事以外選択のメリットは少ないでしょう。
フルサイズの高画素機での使用にも耐える高い画質、AF速度や軽さ等使い勝手の良さを考慮すれば、Nikon (ニコン) AF-P NIKKOR 70-300mm f/4.5-5.6E ED VRがベストな選択ではないでしょうか。
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レンズ購入の参考にしていただければ幸いです。