FUJIFILM(フジフイルム)フジノンレンズ XF 16-55mmF2.8 R LM WRの実写レビューです。
APS-Cサイズセンサーを採用したFUJIFILM Xマウントの大口径標準ズームは、フルサイズ用のレンズなどと比較してコンパクトで、F2.8の大口径である事を感じさせない取り回しの良さが魅力となっています。フィルムシミュレーションにマッチする柔らかな写りも、大口径の幅広い表現を活かせる特徴と言えるでしょう。
今回は、XF 16-55mmF2.8 R LM WRの画質、操作性、おすすめのユーザーなどについて、実写レビューを中心にご紹介します。
特徴/操作性
小型軽量な「大三元ズーム」
「Red Badge」シリーズらしい滑らかな操作性
画質を優先してか、手ぶれ補正は非搭載
実写レビュー
大口径レンズらしい幅広い表現力
フィルムシミュレーションを活かせる柔らかい描写
スピーディーなAF
高い逆光性能
画質
解像感
周辺光量
XF18-55mmF2.8-4 R LM OISとの比較
おすすめのユーザー
まとめ
FUJIFILM(フジフイルム) フジノンレンズ XF 16-55mmF2.8 R LM WRの特徴は、35mm換算24-84mm相当の画角をカバーする大口径ズーム、いわゆる「大三元」の一本でありながら小型軽量な事です。
APS-Cサイズセンサー用に設計されている為、一般的なフルサイズ用の大口径標準ズームより20%程軽量になっています。
更に、通常70mmまでで設計される大口径標準ズームでありながら、35mm判換算84mmまでと、わずかに望遠側に広いズーム域を達成しており、使い勝手の面でも有利です。
FUJIFILMズームレンズのハイエンドタイプを表す「Red Badge」シリーズの一本だけあって、各部の動作は滑らかで扱いやすいものです。
ズームリングには滑り止めのラバーが巻かれ、絞りリングも搭載されており、他の高級タイプのレンズと同様、操作性も高くなっています。フォーカスモードの切り替えスイッチが無いのが少し残念ですが、X-TシリーズやX-H1ならばマウント部横に切り替えレバーがあるので、あまり問題にはならないでしょう。
Xマウントレンズとしては少し大柄なボディですが、今回の作例撮りに使用したX-T4との組み合わせでは違和感なく、手への収まりも良いと感じました。
画質を最優先に設計された為か、手ぶれ補正機構は搭載されていません。
2015年の発売当時は欠点のように言われる事もありましたが、最近のFUJIFILM Xマウントボディには手ぶれ補正機構が内蔵されたモデルも多く、大きな欠点とは言えなくなりました。手ぶれ補正が無い事でレンズ構成が簡素化され、逆光耐性が高くなる事もあり得るので、無い事が必ずしも欠点とは言えないでしょう。
フードは付属で、内側に乱反射を防ぐ為の溝が刻まれたプラスチック製です。着脱時の感触は軽いのですが「カチッ」と音を立てて固定され、簡単に緩んでしまうような事も無く安心です。
フィルター径: | 77mm | 最短撮影距離/最大撮影倍率: | 広角:30cm、望遠:40cm(各マクロ時)/0.16倍(T端) |
---|---|---|---|
最小絞り: | F22 | 絞り羽根: | 9枚(円形絞り) |
長さ: | 106mm(W端) | 重量: | 655g |
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テストボディはX-T4を選択、フィルムシミュレーションはデフォルトのSTD(PROVIA)を基本としつつ、被写体や気分に応じて変更しました。
ホワイトバランスはAWB、その他画質に関わる設定は全て初期設定のままです。
日向では寒さが少し和らいだ天候の下、公園を散策しながら撮影しました。
開放ではシャープ過ぎない柔らかさを持ち、絞り込む事で解像感が増していく、Xマウントらしい写りのレンズだと感じました。
高級ワインは開栓後、空気に馴染ませる事で味の変化が楽しめますが、絞りにより描写が変化するレンズは、一定の描写を維持する優等生よりも、時に幅広い表現を楽しむ事が出来るのです。
レンズの持つわずかなクセとフィルムシミュレーションの相性がいいという事もポイントで、システムとして写真に対する考え方が貫かれている事が感じられます。
FUJIFILM(フジフイルム)のカメラといえば、フィルムシミュレーションによる多彩な色表現が特徴です。
XF 16-55mmF2.8 R LM WR の持つ開放での柔らかく個性的な描写は、フィルムシミュレーションとの相性が良いように感じました。
フィルムシミュレーションだけでなく、グレインエフェクトなど、徹底的にフィルムライクな写りにこだわってみるのも面白いかもしれません。
「Red Badge」シリーズのレンズらしいスムーズで高速なオートフォーカスです。
駆動系にリニアモーターが採用され、カメラ任せでも思った場所に素早い動きでピントが合います。ピントの難しい大口径レンズですが、精度的にも問題ありません。
AF性能が向上したX-T4との組み合わせである事も、性能を引き出せている理由の一つだと言えるでしょう。
作例では逆光性能を見ようと画面内に太陽を入れてみました。わずかにゴーストが発生していますが、12群17枚という複雑なレンズ構成を考えれば、かなり高性能な部類に入ると思います。
放送用レンズにも使われる「HT-EBC(High Transmittance Electron Beam Coating)」と、斜めからの入射光に対しても効果的にゴーストやフレアを低減する「ナノGI(Gradient Index)コーティング」の2種類のコーティングを使用する事で、高い対逆光性能を実現しています。
手ぶれ補正が無い事で、わずかですがレンズ構成がシンプルになっている事も、逆光性能が高い事の一因かもしれません。
作例8を拡大して解像感を確認してみます。
開放では少し甘さが残る柔らかい描写です。
こうして拡大して見ると単純に「甘い」と感じてしまいますが、全体としては柔らかい描写の味わい深い写真となるので、レンズとはなかなか奥深いものですね。
絞り込む事で甘さは解消されるので、被写体に合わせて絞りを変える事で、幅広い表現が楽しめるレンズと言えるでしょう。
開放と絞り込んだ際の周辺光量の違いを比較しました。
f2.8とf8での比較になりますが、違いはほぼ確認出来ません。FUJIFILM(フジフイルム)のカメラボディには周辺光量や収差の補正を設定する項目がメニューに無く、おそらく常時補正オンになっているものと思われます。
FUJISILMには、XF18-55mmF2.8-4 R LM OISというXF 16-55mmF2.8 R LM WRのような高級タイプのレンズと比較しても非常に優秀なレンズがあるので、どちらを選ぶか迷ってしまうユーザーが多いと思います。
XF18-55mmF2.8-4 R LM OISのコンパクトさは魅力で、写りもどちらかというとシャープで一般向きだと言えます。
しかし、XF 16-55mmF2.8 R LM WRの、まるで単焦点レンズのような描写の個性は魅力的で、より表現にこだわりたいユーザーにはXF 16-55mmF2.8 R LM WRがおすすめと言えるのではないでしょうか。
単焦点レンズの延長線上にあるような、表現を重視したいユーザーにおすすめのレンズだと感じました。
開放での柔らかい描写は好みの分かれるところかもしれませんが、個性的でフィルムライクな写りを目指すなら、XF 16-55mmF2.8 R LM WRの描写は、フィルムシミュレーションとの親和性も高く、心強い武器となりそうです。
遠近感を誇張し易い24mm(35mm判換算)から、大きなボケが期待出来る84mm(35mm判換算)をカバーする広いズーム域も、レンズの価値を高めていると言えるでしょう。
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・F2.8とおしの大口径標準ズームとしてはコンパクトなデザインです
・大口径標準レンズとしてはズーム域がわずかに広く使い勝手も良好です
・シャープというよりは柔らかく個性的な写りとなっています
・フィルムライクな表現を好むユーザーにおすすめのレンズだと思います
レンズ選びの参考にしていただければ幸いです。