今日は、ややテンション高めのレビューです。
何故か!
それは、Panasonic (パナソニック) LEICA DG VARIO-SUMMILUX 10-25mm F1.7 ASPH. のレビューだからです。
何故、Panasonic (パナソニック) LEICA DG VARIO-SUMMILUX 10-25mm F1.7 ASPH. のレビューでそんなにテンションが上がるかと言うと・・・動画向きのレンズとして設計されているからです。いや、動画向きと言うより、
「動画用」
と言ってしまっていいかもしれません。
さて、どのあたりが動画用なのか、低照度撮影、ブリージングなど、いくつかのポイントに分けてレビューしていきたいと思います。
焦点距離は10~25mm、35mm判換算で20~50mmの広角から標準までをカバーするズームレンズです。
開放f値は全域でf1.7と、単焦点レンズ並みの明るさを誇ります。ズームレンズというより、複数の単焦点レンズを集約しているレンズというイメージが正しいかもしれません。それでいて、ズームレンズであるおかげで、ズームを利用した映像表現にも対応出来る強みがあります。
勿論、レンズ交換の手間がかからない事も大きなメリットの一つです。
f2.8よりも明るいズームレンズとしては、長らくSIGMAの18-35mm f1.8が動画ユーザーには定番レンズとして君臨して来ましたが、マイクロフォーサーズで使うと、35mm判換算で36~70mmと、広角が弱くなってしまう弱さがありました。
Panasonic (パナソニック) LEICA DG VARIO-SUMMILUX 10-25mm F1.7 ASPH. は、そんな弱点を克服したレンズになります。
個人的には、ハンドヘルドでの撮影や、ジンバルに載せて使う際には、ワイド側が広い方が使い易と感じるので、10-25mmという画角も絶妙だと思います。
写真用のレンズの多くは、フォーカスの移動により、わずかですが画角が変化してしまいます。これをブリージングと言います。
写真では殆ど問題にならないブリージングですが、フォーカスの移動を積極的に表現手法として使う動画では、このブリージングが映像の質を落としてしまう事がありました。
Panasonic (パナソニック) LEICA DG VARIO-SUMMILUX 10-25mm F1.7 ASPH. は、このブリージングを徹底的に抑制されており、テスト画像を比較する限りは、殆どブリージングが起きていない、と言っても過言では無いレベルまで少なくなっています。
上のカットは三脚にカメラを固定してフォーカスを近接から(上)、無限遠側(下)へと移動した映像から切り出していますが、上下いずれの画像も、写っている範囲は殆ど変わらず、フォーカスによる画角変化がほとんど発生していないのが見て取れます。
先のカットを更にわかりやすくする為に拡大しました。
画面右端から階段の端までの余白はほぼ同じ長さで(水色のガイドライン参照)、ブリージングが殆ど発生していない事が確認出来ます。
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正直言ってこれは画期的な事です。
近年、一眼デジタルカメラの動画性能は格段に向上しましたが、交換レンズは当たり前ですが写真用のそれで、いわば代用品を使って我慢していたわけです。
このような動画の映像表現の為のレンズの登場は、一動画ファンとして、喜ばしい限りです。
ズームの動きは他のPanasonic LEICA DG VARIO と同様、スムーズなものです。
詳しくは別途UPした Youtubeの動画 をご確認いただきたいのですが、私のような初心者にも、そこそこそれっぽい映像が撮れてしまうのは、レンズの作りが良く動作がスムーズな事、2.5倍のズーム域に対して約45度と、回角度もそこそこ大きく取ってある事が大きな要因だと思います。
が!
残念ながら動き出しの良さはSIGMA 18-35mm f1.8 に分があるようです。
せっかく動画用に振り切ったレンズなので、ここはもう少し頑張って欲しかったところです。ちょっと惜しいです。
絞りリングは瞬間的な絞りの動きによる撮影中の輝度変化を避ける為、クリックのないシームレスな動きになっています。おかげで、REC中もある程度絞りの値を変える事が可能で、輝度変化の激しいシーンなどで便利です。
ちなみに、クリックを出す事は出来ないので、写真で使うユーザーの方はご注意下さい。
オートフォーカスとマニュアルフォーカスの切り替えは、フォーカスリングをスライドさせる方式で、スピーディーな切り替えが可能です。
マニュアルフォーカスを頻繁に使う上級者にも便利な操作性となっています。
私はマニュアルフォーカスはほとんど使いませんが、パーンする時は勝手にピントが動くと困るので、マニュアルフォーカスで置きピンして撮影する事が多いです。そんな際、瞬時にマニュアルフォーカスに切り替えられる仕組みは便利でした。
今回、テストボディにはGH5Sを選びました。
理由は、LEICA DG VARIO-SUMMILUX 10-25mm F1.7 ASPH.とGH5S の組み合わせは、現行のデジタル一眼カメラの中でもトップクラスに低照度に強い組み合わせだからです。
結果は予想通り素晴らしいものでした。
明るくリッチな画像、少ないノイズ、滑らかな諧調表現によるリアリティ、いずれも一眼デジタルとしてはトップクラスのものです。
今回、低照度での性能、利便性を体感したくて、夕方以降~夜間にテストを行いましたが、大正解でした!(夜間の撮影だと、NDフィルターを使わなくても開放が使えるというのも理由の一つでした)
パーンしたりして、動きのある画を撮っても、ノイズが少ないのでザラザラとした映像にならず、非常に滑らかです(しかし、周辺光量落ちは見て取れます)。
開放でも被写界深度をある程度稼げるマイクロフォーサーズは、条件と機材によっては、低照度最強システムになるんではないか?という可能性を感じました。
動画向きの性能に振り切った設計という事で、今回は、解像感を見る為の写真の拡大も無く、普段のレンズレビューとちょっと違う形でのお届けとなりました。
使用感の感想なので、個人的な感想になってしまいますいが、LEICA DG VARIO-SUMMILUX 10-25mm F1.7 ASPH.は、かなり使い勝手のいいレンズで、やる事の多いワンオペでの撮影でも、機材に随分助けられた感があります。
性能的にも優秀で、特にブリージングがほとんど無い事は、普段、写真用レンズを代用品として使っている事を、改めて認識させられる結果となりました。やはり、無いと綺麗です。
又、GH5Sとの組み合わせによる、低照度下の撮影では、予想通り高い性能を発揮しました。
ノイズの発生が少ないので黒が締まり、滑らかな映像になるので、ライブハウスやキャンプなど、暗い場所での撮影が多い方には是非ともおススメしたい組み合わせだと感じました。
>>> Panasonic (パナソニック) LEICA DG VARIO-SUMMILUX 10-25mm F1.7 ASPH.