フルサイズミラーレス一眼カメラとして、世界最小を誇る SIGMA fp ですが、カメラの大きさにマッチするコンパクトなズームレンズが無く(2020.7.22現在)、45mm F2.8 DG DN 1本で使っている方も多いと思います。
そんな中、アライアンスを組む Panasonic (パナソニック)からコンパクトなデザインが特徴のズームレンズ LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6 が登場しました。
LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6 は、大口径レンズではないものの、どんなカメラに付けても遜色の無いレベルの描写性能を有し、小粒でもピリリと辛い山椒のようなレンズです。
Panasonic (パナソニック) LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6のもう一つの特徴は、20mmからと、一般的な標準ズームレンズより広角側に寄せて設計されている事です。
又、SIGMA fp の人気の機能の一つにスクリーンのような横長のアスペクト比「21:9」があります。
広角20mm + 21:9 のアスペクト比!これはちょっと面白そうです。
Panasonic (パナソニック) LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6 の重量はフルサイズミラーレス一眼カメラ用レンズとしては軽量な約350g(フード含まず)、SIGMA fp の重量は370g。
つまり、両方合わせても700gちょっとという事です。
Panasonicのフルサイズ機 DC-S1 が、本体のみ(バッテリー含)で1kgオーバーな事を考えると、超軽量な組み合わせです。
軽量コンパクト、さらにフルサイズで高画質、楽しい機能が満載となれば、お散歩カメラにはピッタリです。
早速、SIGMA fp に Panasonic (パナソニック) LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6を装着してフォト散歩に出発です。
フィルター径 | 67mm |
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最大撮影倍率 | 0.43倍(焦点距離26mm) |
最小絞り | F22 |
対応センサーサイズ | フルサイズ |
マウント | ライカカメラ社 L-Mount |
全長 | 約87.2mm |
重量 | 約350g(フード、キャップ含まず) |
その他 | 防塵防滴 |
付属品 | レンズフード、キャップ(前後) |
雨の中、傘をさしたり閉じたりしながらテスト撮影をしましたが、カメラもレンズもコンパクトなので、ストレスなく撮影に集中出来ます。
先の写真のようにピークデザインのストラップで斜めにぶら下げて持ち歩けば、速射性もコンパクトカメラを上回る程で、当初の目論見どおり写真を楽しむ事に集中出来ます。
デザイン的にSIGMA fpにマッチするのも秀逸な点で、違和感なく使えました。
Panasonic (パナソニック) LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6 の最短撮影距離は15cm(26mm時、最大撮影倍率:0.43倍)と近接に強いのも魅力の一つです。
背景の雰囲気を大きくとりこんだマクロ撮影は、本格的なマクロレンズでは逆に難しく、むしろ近接に強い標準ズームレンズが得意とするところで、20mmからという、広角に強い LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6 ならではの特徴の一つとなっています。
なにより、ピントが合わない事を気にせず撮影出来るのは、思ったものを思った大きさで、思った時に撮りたい標準ズームでは外せないポイントだと思います。
蓮の葉に載った水玉はとてもフォトジェニックな被写体ですが、少し日がさすと乾いて無くなってしまうので、雨の日ならではの写真でもあります。
標準ズームは、大口径でないと背景ボケに物足りなさを感じるのは事実ですが、特にフルサイズ機では焦点距離が長くなるので、近接では十分以上にボケを確保できるのが普通です。
シャープネスや解像感は後程ゆっくり見てみる事にしますが、蓮の葉の立体感やリアルな描写は、スタンダードな標準レンズのそれを超えて、大口径ズームで撮ったようなレベルの高さを感じます。
雨の日の撮影のメリットの一つに、木が水分を吸って黒い色になるので、全体的に締まった写真が撮れる事が挙げられると思います。
晴天の色は勿論綺麗ですが、全体にコントラストが低い雨天時の撮影は、時に色を表現するのに向いているのでは?と感じる事があります。
ホワイトバランスに何を選択するか迷うところではありますが。
緑の葉の先端がほんのり赤い紅葉の葉に魅力を感じてシャッターを切りました。
街中での撮影では、無粋な背景の処理に苦労させられる事もありますが、今回撮影地に選んだ寺の境内は、苦労するどころか背景が被写体をより引き立ててくれます。
Panasonic (パナソニック) LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6 の望遠側60mmは、ほぼ標準域で、望遠らしい表現は難しいですが素直なボケ味と併せて、扱いやすい画角だと感じました。
水たまりに写った電信柱と電線が、なんだか道路に空いた異空間を覗いているように見えてシャッターを切りました。
撮影が雨にたたられ、雨の日らしい写真をなんとか撮ってやろうとむりくり被写体を探した感はありますが、それはそれで撮影のモチベーションなのでよしとしましょう。
実は、望遠側が物足りないズーム域のレンズに、当初使い勝手の悪さを感じるのでは、と心配だったのですが、近接に強いといったレンズの特徴のおかげか、望遠が足りないと感じた事は皆無でした。
SIGMA fp の人気機能に、アスペクト比21:9があります。
今回 Panasonic (パナソニック) LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6 を試すにあたり、ボディにSIGMA fpを選択した理由「コンパクト」「デザイン」とならんで、20mmまでの広角と21:9のアスペクト比がマッチするんではないか、というのがありました。
予感は的中!全部21:9で撮りたくなるくらい楽しい撮影が出来ました。
黒い堂の屋根と、燃えるような紅葉の緑の両方を、過不足なくフレーミング出来ました。
以前 SIGMA fp を使った際にも楽しい機能だと感じたアスペクト比21:9ですが、今回 LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6 とあわせて使ってみて、やはり広角との相性がいいと確信しました。
五重塔をしたからあおってフレーミングしました。
28mmまでのレンズだったら、一番下の屋根をこの場所からフレームインさせるのは難しかったと思うので、20mmまでのレンズだった恩恵を大きく受けられた写真になったと思います。
SIGMA fp の人気のカラーモード「ティール&オレンジ」を21:9のアスペクト比に合わせて撮影しました。
鉄の錆びた色や、遠くの山々や雲のディテールが、誇張された遠近感の中ドラマチックに再現され、カメラ、レンズそれぞれの良さが出たと思います。
3:2で撮って、後からトリミングすれば?といった声も聴かれますが、後からトリミングするのと、その場でフレーミングするのとでは緊張感が違います。
f値が固定されていないズームレンズは、廉価版という印象を拭えない感がありますが、Panasonic (パナソニック) LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6 に関して言えば、そんな事は無く、描写力は高いレベルにあります。
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近接、開放ですが、高い描写性能を確認出来ます。
細かい水滴が全て写っているのは驚きです。
次に絞った際の描写を見てみます。
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同様に高い解像力です。
コンパクトで、リーズナブルな価格のレンズである事を考えると、非常にコスパの高いレンズだと感じます。
SIGMA fp と Panasonic (パナソニック) LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6 の組み合わせは、デザイン的にも、性能的にも、20mm-60mmというスペック的にも、お互いがお互いの長所をより活かせる、現時点(2020.7.22)で最高のデュオのひとつだと思います。
20mmからという標準を含むズームレンズとしては異色のスペックは、 SIGMA fp の21:9アスペクト比にもバッチリはまって、そうでなくても使って楽しいカメラが、より楽しく使えるカメラに進化しました。
安心して使える高性能さもポイントです。
SIGMA、Panasonicお互いの強い部分を活かす「アライアンス」として理想的な組み合わせのカメラとレンズだと思います。今後もこういった製品が多くラインナップされ「Lマウントアライアンス」がより充実するといいなと感じました。
>>> Panasonic (パナソニック) LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6