写真の四隅が暗くなってしまう周辺光量落ち(周辺減光)は、以前はレンズの欠点として見られることがほとんどでした。
しかし、最近のレンズ選びは選択肢が広がったこともあり、一般的な性能だけでなく個性を重視して選ぶ時代になったと思います。周辺光量落ち=性能の悪いレンズとは一概に言えなくなったのです。今回はそんな周辺光量落ちについて解説します。
目次
周辺光量落ちとは
周辺光量落ちしやすいレンズとは
周辺光量落ちするのは性能が悪いレンズなのか?
周辺光量落ちの補正方法
ボディ内レンズ補正
画像処理ソフトで補正
味わい深い描写!周辺光量落ちするおすすめレンズ5選
SIGMA(シグマ) 35mm F2 DG DN | Contemporary
KAMLAN(カムラン) FS 50mm F1.1
SAMYANG(サムヤン) Remaster Slim
Voigtlander(フォクトレンダー) NOKTON classic 35mm F1.4 II SC
PENTAX(ペンタックス) HD PENTAX-FA 43mmF1.9 Limited
まとめ
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画面中心に対して周辺部分が暗くなってしまう現象を周辺光量落ち(周辺減光)と言います。主にレンズの性能が原因で発生しすいと言われています。フィルムカメラの時代は、後から修正することが難しかったため、一般的に周辺光量落ちはレンズの欠点として認識されていました。
しかし、デジタルカメラの時代となって写真がデータとして扱われるようになると、比較的簡単に補正が行えることから、あまり気にされなくなったように思います。
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一概には言えませんが、広角レンズや大口径レンズの開放、さらにはズームレンズなどが一般的に周辺光量落ちを起こしやすいとされています。上の写真は超広角のフィッシュアイレンズで撮影していますが、周辺光量が落ちているのがわかります。
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また、最近のレンズには周辺光量落ちすることを許容して設計されたレンズがあります。
SIGMA(シグマ)のDG DNレンズの一部がそれで、デジタルでのボディ内補正を前提に設計することで、コンパクトでありながら高性能なレンズの開発に成功しています。
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先に周辺減光はレンズの欠点と書きましたが、デジタルカメラが主流となった現在は、ボディ内レンズ補正の登場で周辺光量落ちが簡単に補正できるようになりました。そのため、表現の幅が広がると思うユーザーも少なからずいるようで、欠点ではなく利点として認識され、積極的に使われるようになってきたと感じます。
たとえば、周辺光量落ちを考慮せずに設計された古い大口径レンズでは、周辺部の描写が低下する一方で、味のある描写が楽しむことができます。このようなレンズは、最新レンズのシャープで均一な描写とは異なり、ソフトで温かみのある雰囲気を作り出すことできます。
周辺光量落ちの補正は、画面周辺を明るくするだけなので、それほど難しいものではありません。カメラを使ったボディ内レンズ補正に対応したレンズなら、周辺光量補正の項目をONにするだけでカメラが自動的の補正してくれます。
ボディ内補正に対応していないレンズでは、画像処理ソフトを使って補正をかけることになります。
たとえば、ユーザーも多いスタンダードな画像処理ソフトAdobe Lightroomには編集の「効果」という項目の中に「周辺光量補正」という項目があり、細かい調整を行うことができます(右の小さな三角を推すとさらに細かいパラメーターを調整できます)。
ちなみに、この周辺光量の調整をマイナスにすると逆に周辺光量落ちを出現させることができますので、後から周辺光量を出したいときに便利です。
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SIGMA 35mm F2 DG DN | Contemporaryは、F値開放付近で適度に周辺光量落ちするレンズです。35mmというわずかに遠近感が誇張される焦点距離と併せて、立体感に富んだ描写をするおすすめのレンズです。SIGMAのIシリーズらしいデザインの美しさと機能性を兼ね備えており、写真の表現や撮る楽しさを感じられます。
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まるでトイレンズのような眠い写りと柔らかく美しいボケ味、開放では低下する周辺光量が特徴のレンズです。
APS-Cサイズのイメージサークルであることもポイントの一つで、一般的にフルサイズセンサーカメラよりも周辺光量落ちを出しにくいAPS-Cサイズセンサーでも明快な周辺減光が楽しめます。
価格が比較的安いのも魅力で、プレミアがついている高額なオールドレンズよりもオールドレンズらしい描写を楽しめたりします。マニュアルフォーカス専用レンズである上、絞りのクリックが省略されているので、ピントの移動を活かしたシネマチックな動画撮影にもおすすめです。
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Photo by こばやしかをる
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SAMYANG(サムヤン) Remaster Slimとは、3つの焦点距離の光学レンズユニットが交換できる仕組みになっているオートフォーカスレンズです。
1980年代から2000年にかけて登場した高級コンパクトカメラの写りからインスピレーションを受け、再現されたレンズで、味わい深い描写を楽しむことができます。
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Voigtlander (フォクトレンダー)には周辺光量落ちする個性的なレンズが多くラインナップされていますが、今回はNOKTON classic 35mm F1.4 II SCを選びました。
開放での周辺光量落ちだけでなく、絞った際は大きく描写性能が変化するあたりも含めて、オールドレンズのようなレンズの個性を表現として活かすのが楽しくなるレンズです。
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周辺光量が落ちるという意味では、同社のHD PENTAX-FA 31mmF1.8 Limitedの方が顕著だと思いますが、元祖PENTAX Limitedの43mmF1.9 Limitedはボケの面白さや個性もあるので、今回はこちらを選びました。
PENTAX Limitedの43mmF1.9 Limitedはフィルム時代から同じ設計で作り続けられているベストセラーであり、こうした個性豊かなレンズが現在も多くの支持を集めていることは、非常に喜ばしいことです。
同社の一眼レフカメラ用のレンズですが、周辺光量落ちを楽しみたいならフルサイズ機が必要なのでご注意下さい。
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