Voigtlander (フォクトレンダー) のマニュアルフォーカスのSONY Eマウント用大口径標準レンズ NOKTON 40mm F1.2 Aspherical SE の実写レビューです。
SONY Eマウント用に特化した「SE」シリーズ第2段となる40mm f1.2は、既にEマウント用が製品化されている為、目新しさはありません。
が、軽量化された筐体、リーズナブルになった価格と、以前以上に買い易くなった感があり、又、NOKTON 40mm F1.2 のテスト撮影をきちんとはしていなかったので、今回、改めて使ってみる事にしました。
テストボディにはSONY α7RIVを選択しました。
絞りやフォーカスリングの操作感も上々、ボディとの違和感も無くSEでないタイプと比較して、やや簡素化されたデザインも収まりが良く感じられます。
それでは、レンズ性能にうるさい超高画素機で、NOKTON 40mm F1.2 Aspherical SE の性能を見てみたいと思います。
フィルター径 | 58mm |
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最短撮影距離 | 0.35m(最大撮影倍率 1:6.2) |
最小絞り | F22 |
対応センサーサイズ | フルサイズ |
マウント | SONY E |
全長 | 約51.9mm |
重量 | 約340g |
付属品 | レンズフード |
雨上がりの公園は、木の幹や歩道が雨に濡れているので、全体に黒が多い締まった印象の写真になるので、撮影にはもってこいだと思います。
いきなり絞った写真で、せっかくのf1.2が勿体ない気がしますが、40mmという画角の持つオールラウンドな性格を試したくて、絞り込んでパンフォーカスにして撮影しました。
絞りリングを搭載した、操作性の良さが、開けたり絞ったり忙しい撮影のストレスを軽減してくれます。
この時期の被写体と言えばやはり紫陽花です。
Voigtlander (フォクトレンダー) NOKTON 40mm F1.2 Aspherical SE の開放f1.2の描写は、一言で言えば柔らかい、少しクラシックなイメージです。
それでいて、Eマウント専用のSEシリーズらしく、倍率色収差の情報がカメラ側に伝達される為、フリンジが大きく乗ってしまう事も無く、紫陽花のような色が重要な要素となる撮影でも安心して使えます。
若葉を茂らせる紅葉の葉が、輝かんばかりの緑を日の光に輝かせていました。
公園のベンチを、明るい背景をバックに背後からシャッターを切りました。
風景写真というと、自然豊かな土地や、観光地に出向いて撮るものだと思ってしまいますが、公園の片隅でも時間と季節を選べば、中々な風景に出会えるのは、四季の移ろいが美しい国に生まれた特権でしょうか。
イチョウでしょうか?薄暗い木々の下で、今、成長の第一歩を踏み出したところです。
NOKTON 40mm F1.2 Aspherical SE の極端に薄いピントと、露出を敢えて大きくアンダーにする事で、薄く光の当たった若葉を印象的に捉えました。
ピントの向こうに、林の外の明るい光景が写りこんだのも、写真に奥行きが出て良かったです。
池のほとりに咲く紫陽花の花です。
晴れた日の日陰の撮影は、ホワイトバランスに悩みます。
少し、色温度が高目に再現されますが、少し涼し気な色バランスが、この場所の雰囲気には合うと思い、今回は定常光を選択しました。
ちょっとした休憩スペースに、真っ赤な和傘がさしてありました。
f1.2だと被写界深度が浅すぎるので、少し絞ったf3.5で撮影しています。
大口径の明るいレンズはピントの合う範囲を大きく変化させられるのが魅力の一つで、個人的には表現の幅が広がるレンズだと思っています。
実は、テスト撮影なので、撮影データを出来るだけ載せるようにしているのですが、NOKTON 40mm F1.2 Aspherical SE のような、マニュアルフォーカスでありながら、Exif情報が記録されるレンズには、後から細かいデータがわかるので随分助けられています。
とある寺の境内へと続く小道で、緑の美しさにふと足を止めてシャッターを切りました。
40mmという微妙に広い標準レンズの画角が、自然な遠近感で、程よく広く情景を写しとめてくれました。
微妙に柔らかい描写が、特に背景の紅葉の木漏れ日をあたたかく表現してくれて、フォクトレンダーらしい、シャープなだけでない、レンズの味を発揮してくれました。
塀の上の紅葉の葉が、丁度、光の境界に垂れかかり、美しいコントラストを作り出していました。
開放f1.2を活かして、紅葉の葉だけにピントが来るようにしてシャッターを切ります。
NOKTON 40mm F1.2 Aspherical SE の柔らかい描写力は、光の明暗を写し取るのは得意としているようです。
今回の撮影の中で、最もこのレンズらしい描写を見せてくれたカットです。
開放、近接の極端に薄い被写界深度が、まるでソフトフィルターを通して撮ったような、美しい描写を見せてくれました。
開放、近接は、レンズには厳しい条件ですが、ピントを包み込むような、柔らかいボケに、このレンズの個性を見た気がします。
数珠つなぎに並んだ、紫色の紫陽花の花が、髪飾りのようです。
先ほどと違い、少し絞ったf2.8だと、ピントの立ち上がりが、だいぶシャープなイメージになります。
そんな、レンズの性能の変化を楽しみながら撮影するのも、NOKTON 40mm F1.2 Aspherical SE のようなクラシックな写りのレンズを使う醍醐味です。
フォクトレンダーには、そんな楽しみ方が出来るレンズが多いと思います。
レンズの存在を感じさせる、柔らかくクラシックな写りは開放でこそ真価を発揮します。
まずは、開放f1.2での描写を見てみます。
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レンズの収差が作り出す、霞のようなボケに包まれて柔らかい描写です。
それでいて、色収差由来のフリンジが少ないのは、電子接点付きレンズによる、倍率色収差情報の伝達によるものでしょうか。
次に、絞り込んだ際の描写を見てみます。
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若干の甘さが残りますが、開放と比較して、だいぶシャープになります。
NOKTON 40mm F1.2 Aspherical SE は、シャープである事よりも、柔らかい描写を真骨頂に個性で勝負するレンズだと思います。
フォクトレンダーらしいクラシックで柔らかい写りが魅力のレンズでした。
NOKTON 35mm F1.2 Aspherical SE の方が少しシャープなので(特に絞り込んだ時)、画角の事もありますが、シャープネス重視なら35mmを、個性と柔らかさ、クラシックな味わい重視なら NOKTON 40mm F1.2 Aspherical SE を選択するといいと思います。
絞り込んでも若干甘さが残る分、開放時の柔らかさは NOKTON 40mm F1.2 Aspherical SE に分があるようです。
前回の35mmもそうですが、フォクトレンダーのSEシリーズは、使っていてとても楽しいレンズで、散歩の時に出会う、ちょっといい瞬間をのんびりと撮るのにいいシリーズだと思います。
1本だけ持って、じっくり付き合いたくなるレンズです。
>>> Voigtlander (フォクトレンダー) NOKTON 40mm F1.2 Aspherical SE