フルサイズセンサーと比べて面積の小さい、マイクロフォーサーズセンサーを採用した OLYMPUS のミラーレス一眼で、どこまで高画質に夜景が撮れるか?を検証してみました。
今回使用したカメラは、OLYMPUS OM-D EM-5 MarkIII 、OLYMPUSのミドルグレード機でありながら、多くの機能が盛り込まれた最新鋭機になります。
さて、それでは夜景に向いたカメラとは、どういったカメラなのでしょうか?
真っ先に思いつくのは、高感度でも滑らかに、高画質に撮れるカメラだと思います。すなわち、センサーサイズが大きいカメラ=フルサイズ一眼カメラという事になると思います。
それでは、 OLYMPUS が採用しているマイクロフォーサーズは、夜景に向かないのでしょうか?
答えは否 です!
が、先ずは OLYMPUS の採用するマイクロフォーサーズが、フルサイズセンサーに比べれば高感度に弱いという部分には、きちんと目を向けておきましょう。
OLYMPUS の最新機種である OM-D E-M5 Mark III を使って、夜の中野で高感度のノイズテストをしてみました。
上のカットはISO3200での撮影ですが、全体としては黒も締まって十分使えそうです。
ISO感度を変えて撮影した、同じフレーミングのカットを並べて、ノイズ感の違いを見てみましょう。
ISO3200とISO800の画質差がはっきりわかります。フルサイズの同程度の画素数のカメラでは、ISO3200でかなり立体感のある描写が望めますので、やはり高感度はやや弱いようです。
ISO800ではかなり立体感のある描写となっていますので、可能ならISO800以下の感度を選択した方が、画質的に満足出来ると思います。
それでは、OLYMPUS OM-D E-M5 Mark III が、なぜ 夜景に向いている と言えるのでしょうか?理由を見ていきましょう。
何故、夜景の撮影に高感度が必要なのでしょうか?それは、手振れしないよう、シャッタースピードを速くしなければならないからです。
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark III の手振れ補正効果は約5.5段(CIPA 規格準拠)です。さらに対応レンズ OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO を使えば、6.5段の手振れ補正効果を期待出来ます。
同じシャッタースピードと絞り値で撮るなら、ISO12800がISO200で済む事になり、高画質化に大きく貢献します。
上の写真は、OM-D E-M5 Mark III + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO の組み合わせで撮影しています。6.5段の強力な手振れ補正のお陰で、1/2秒という低速シャッターを切っていますが、手振れせず、シャープに撮影されています。
スローシャッターで動く被写体を大きくブラす事で、臨場感のある写真になっているのと併せて、ISO感度はISO200と低い値に抑えられており、高画質化に大きく寄与しています。
実は、このカット、当店の店長が撮影しています。はじめから強力な手振れ補正見込んでISO感度を200に固定して撮影したそうです。さすが店長!
拡大して画質を見てみます。
レンズの良さも手伝って、ビルのタイルが一枚一枚高精細に分解されています。
暗部のノイズも少なく、いかにも映像エンジンが作った画にもなっていません。自然で滑らかな描写だと思います。
ISO200なら、マイクロフォーサーズでもここまで撮れるのです。
こちらも1/2のスローシャッターで撮影した画像ですが、ISOは200となり、ノイズの少ない滑らかな映像となっています。
個人的には露出補正を+1.0してISO400で撮影した方が画がリッチになって好みです。露出補正を1段プラスにしてもまだISO400で撮れる!強力な手振れ補正のお陰で、まだまだ余裕があります。
先ほどと同様に拡大して画質を見てみます。
かなり大きく拡大していますが、ビルの柱など、かなり細かいディテールも再現されており、暗部のノイズもほとんど感じられない、優秀な画質だと思います。
以上のように、OLYMPUS の強力な手振れ補正のお陰で、そもそも高感度で撮影する必要性が少なくて済むのです。
さて、今回は OLYMPUS OM-D E-M5 Mark III が夜景に向いているか?というテーマだったので、「手ブレ」に対する事ばかり書いて来ましたが、ブレにはもう一つ、被写体が動いてしまう事でおきる「被写体ブレ」があります。
被写体ブレは、シャッタースピードを速くするしか防ぐ方法が無いので、高感度を使う必要があり、高感度に弱いマイクロフォーサーズはやや苦手とします。
だからと言って OLYMPUS が暗いところで動くものを撮影するのに不向き、とは一概には言えません。
何故なら、シャッタースピードを速くするもう一つの要素、f値の明るいレンズを使えばいいからです。一般的に明るい大口径レンズは、大きく重いのが普通ですが、OLYMPUSには小型で明るいレンズがラインナップされており、。
例えば、M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO は、35mm判換算では80-300mm f2.8の望遠ズームですが、もしフルサイズで300mm f2.8のレンズを持ったらかなり大きな持って歩くのも大変なレンズとなります。
コンパクトで明るいレンズがある、という事も OLYMPUS の暗い場所での使い勝手を向上させているのです。
実は、社内研修で OLYMPUS の撮影会に参加したスタッフの写真を見ていたら、これ意外と夜景に向いたシステムなんじゃないかな?という気がして、この記事を作成しました。
スタッフがOLYMPUSを使って撮った夜景の写真を拡大して検証したり、撮影データを確認したり、使用したレンズを聞き取りしたりして、マイクフォーサーズ=暗い場所に弱い、という印象が払しょくされました。
色々な意味で夜景に向いたカメラと言えると思います。
本文中には書きませんでしたが、フォクトレンダーから発売されているf値0.95といった、フルサイズでは考えられないような明るいレンズがあるのも、面白い部分です。
先日の「本日のフジヤ的ベストレンズ5本」にも書いたのですが、今年は OLYMPUS とマイクロフォーサーズに対する印象が凄く良くなった1年でした。
>>> OLYMPUS(オリンパス) OM-D E-M5 Mark III