先日発売された、Canon (キヤノン) iNSPiC REC FV-100 を試してみました。特徴はなんと言ってもカラビナのようにループに簡単に引っかけて持ち運べるデザインと、そのカラビナがファインダーを兼ねている事でしょう。
モニターや、精密な光学ファインダーを見慣れたカメラ店のスタッフとして、「ファインダーが穴」これはかなり新鮮です。
2日間、自由に持ち歩いてフィーリングだけで撮りました。ファインダーはただの穴なので、細かい事を考えても仕方ありません。
大雑把にカメラを向けてシャッターを押すだけです。一応カメラ店のスタッフなので、普段の撮影では、露出やピント、構図、選択するレンズなどそれなりに考えて写真を撮るのですが、Canon (キヤノン) iNSPiC REC FV-100 では、感覚だけで撮りました。と言うか、もともといろいろ設定したり出来ませんし。
ここまで簡単に、考えないで写真を撮るのは久しぶりです。
Canon (キヤノン) iNSPiC REC FV-100 の開発コンセプトの一つに「撮れた写真を確認するのは、あとからのお楽しみ」とあるので、撮影中はアプリを起動せず、写真を見るのは後からのお楽しみにしました。
どんな風に撮れているのか、ワクワクしながら写真を確認したのは、当ブログ執筆中の今です。思ったよりちゃんと撮れていて一安心です。
DPEショップにフィルムを出し、プリントが上がって来るのを待っていたあの頃を少し思い出せました。
持ち運びは写真のように、カメラリュックの胸のストラップに通して使いました。ポップな外観と相反して、Canon (キヤノン) iNSPiC REC FV-100 には子供のおもちゃのような、タフさを感じます。
反面、使っていてちょっと残念だったのは、シャッターが少し重い事です。
防水、耐衝撃性を持たせる為に致し方ないのかもしれませんが、この重さだと、小さな子供はシャッターが押しづらいと思います。
子供と公園で遊んだ時の一枚です。
逆光で大きくフレアが入ったお陰で、冬らしい写真になりました。Canon (キヤノン) iNSPiC REC FV-100 の、パンフォーカスのピントや、押せば撮れる気軽さは往年のレンズ付きフィルムを思い出します。
なにせファインダーは穴ですので、フレーミングは、撮影時と実際に撮れた写真で誤差があるはずですが、2日後に写真を見ると、撮影時の事は忘れてしまっているからか、違和感はありませんでした。
散歩の途中で、冬の低い太陽の光が、長い影を作っていました。
ムッチャ足が長い人っぽくなっています。
気付いた時にサッとカラビナを外して、感覚だけでシャッターを押せる気軽さは Canon (キヤノン) iNSPiC REC FV-100 の大きな利点で、スマホより便利ではありませんが、スマホより簡単です。
「あ、わんわん!」という子供の声に、シャッターを切りました。
勢いよく尻尾を振りながら突進して来る犬に、子供はちょっとビビり気味でしたが、そんな思い出と写真がリンクする一枚になりました。
写真を見て、その時の事を思い出す事はよくある事ですが、撮って数日してから写真を見た方が、その力が強い気がします。
信号待ちの最中に、ふと見上げるとミカンがなっているのに気づいてシャッターを切りました。
普段、当ブログでも「シャッターを切る」という表現をよく使いますが、本当にシャッターを切っているだけなのは、Canon (キヤノン) iNSPiC REC FV-100 のテストが初めてかもしれません。
なにせ撮るまでの一番面倒な作業が、カラビナをはずす、ですから。
冬の乾いた夕方の空をパシャリ。
全体的にコントラストの低い柔らかめ目の描写は、やはりネガフィルムをイメージしたものなのでしょうか?
撮って出しでもデジタルっぽくない温かさがあって、雰囲気が出ました。
家族サービスで行った南アルプスあぷとラインでの一コマです。
ちょっとブレちゃって、ピントも甘いですが、スマホよりイメージに近い写真が撮れました。
スマホがプロ機並みのカメラへの進化を目指しているならば、Canon (キヤノン) iNSPiC REC FV-100 は、いい意味で、フィルムカメラへの退化を目指しているのかもしれません。
南アルプスあぷとラインの名物駅の一つ、奥大井湖上駅での一コマです。ダム湖の中に大きく突き出した半島の上に作られた駅は、岸と2本の鉄橋でつながっています。
その鉄橋の1本には遊歩道が併設されており、歩いて渡る事が出来るのですが、高所恐怖症気味の私は、ちょっと怖かったです。
カメラを落とさないように注意しながらのショットは、光線状態のせいか結構シャープに写っており、正直少し意外でした。
あくまで個人的な感想ですが、現代に蘇った使い捨てフィルムカメラという印象です(勿論使い捨てではありませんが(笑))。
全体的に眠目な描写やカラーバランス、たまにビックリするくらいシャープに撮れている事がある意外性など、昔旅行などでよく使ったレンズ付きフィルムを思い出しました。
大きさは違いますが、ファインダーが穴なのも当時を思い出します。
スマホと比べたくなりますが、実際使ってみると、コンセプトからだいぶ違うカメラで、偶然上手く「撮れちゃった」のを大切に出来るカメラだと感じました。