Nikon (ニコン) NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S のレビューです。
いわゆる大三元の一角を占める、大口径標準ズームレンズの登場で、Zシリーズへの買い替えを決心した方も多いのではないでしょうか?
そんなシステムの中核をなすレンズ NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S の性能、実力を見ていきたいと思います。
初めに、ミラーレス一眼カメラ用レンズという事で、一眼レフ用レンズとの重量差を見てみたいと思います。
開放f2.8という事で、大きく重いレンズではありますが、現行の一眼レフ用の同スペックのレンズと比較すると、
AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR:約1070g
NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S :約805g
と、一眼レフ用の同スペックのレンズと比較して20%以上軽くなります。
さらに、不毛な比較かもしれませんが、Z7と同レベルな高画素の一眼レフカメラ「D850」との組み合わせを考えてみると、
D850(約1005g)+AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR(約1070g)=約2075g
Z7(約約675g)+NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S(805g)=約1480g
と、500g以上軽量になります。
ペットボトル1本分!
この重量差は大きいです。1日中持って歩くことを考えると、撮影に対するモチベーションに影響するくらいの差だと思います。
夕暮れせまる川の土手を散歩しながらテスト撮影を行いました。
NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S は、最短撮影距離はズーム全域で0.38m、最大撮影倍率は0.22倍と、マクロもそこそここなすので、標準レンズとして使い易いレンズです。
ボケ味は、前ボケ、後ろボケともにNikonらしい素直で美しいボケは、特にZシリーズ用のSラインのレンズに共通したものです。
この日は風の強い日で、たんぽぽの綿毛はあらかた吹き飛んでしまっていました。
かろうじて残った綿毛と、夕日をフレーミング。
これだけ明暗差のある状態でも、明部暗部の両方に諧調を残せるのはさすがZ7だと思います。
錆びた金網の周囲に、黄色い花が咲き誇っていました。夕闇迫る薄暗い光の中、黄色い花だけがが浮き立っていて目を引き、シャッターを切りました。
背景の金網と、金網の背後の風景と、ボケが2段階になっていますが、どちらもとても素直で、Nikonらしいボケ味だと感じました。
写り方、ボケ味など、これまでテストしたZマウントの別のNikonレンズとほぼ同じ感想で、単焦点、ズーム、いずれを使っても、写りに統一感があるのは、Nikon レンズの強みの一つだと思います。
雑草だらけの中に建つ錆びついた廃屋に、どこか心惹かれてシャッターを切りました。錆びたり錆びてなかったり、パッチワークのようなトタン屋根に、行き当たりばったりな、いい加減な、出鱈目な感じがしてちょっと好きです。
最近の一眼レフカメラ用のズームレンズでは、明るさをf4通しとする事で、高性能と軽量を両立したレンズをラインナップするメーカーも多いです。
しかし、広角側でも、十分なボケが稼げるf2.8のレンズはやはり魅力で、勿論おなじ重さならf2.8を選択すると思います。
ミラーレス一眼用レンズにする事で、重量を抑えつつf2.8に出来るメリットは大きいと思います。
少し突っ込んで、性能について見ていきたいと思います。
上のカットは、絞り開放、焦点距離は標準付近(45mm)で撮影しています。
拡大して解像感を見てみたいと思います。
画面中心から少し上の部分の拡大画像ですが、NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S は、素晴らしくシャープで、抜が良く、レンズ由来の眠さはほぼ感じられません。
車両前面の番号「1101」がクリアに読めるのは勿論、車体側面のリベットの立体感まで認識出来るのは驚きです。色収差もほぼ認められず、細かい諧調まで再現され、立体感も申し分ありません。
又、飛び、つぶれも少なく、レンズの高性能さだけでなく、テスト機に使用したZ7の高画素でありながら、汎用性の高さも光ります。
周辺部分でも描写の低下はほとんど認められません。
NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S の周辺画質は、中心部分とほとんど変わらない、シャープで抜けのいい、立体感に富んだレベルの高い描写性能です。
さすがショートフランジバックで設計されたレンズだと、高い描写性能に唸らされます。
一般的にセンサーからレンズまでの距離を短くとれる、ショートフランジバックのメリットは、広角域で特に大きいと言われるようです。
上のカットは、広角端24mmで撮影しました。
一眼レフ用のレンズでは、多少眠くなったり、流れたりするのが普通ですが、どうでしょうか?
広角ズーム、しかも難しい周辺部分の拡大でありながら、非常にシャープで、中心部との画質差は非常に少ないレベルだと感じました。
ミラーレス用のショートフランジバックで設計されたメリットが、性能に大きく寄与していると思います。
個人的に(あくまで個人的に)思う事は、例えばSIGMAのレンズとNikonのレンズを比較した時に、Nikon Zマウントのレンズに感じるのは、欠点の少ないレンズだという事です。
SIGMAのレンズには、どんな写りをするか?という喜びとワクワク感があります。撮影者の実力以上の写りを期待してしまうメーカーなのです。
しかし、Nikonのレンズには、そういった事を感じることは殆どありません(あくまで個人の感想です)。非常に高性能、もう一度言います、非常に高性能でありながら、期待値と現実値が常にイコールで結ばれるような感覚なのです。良くも悪くも「遊び」が少ないまじめさを感じます。
職人のような誠実さ、生真面目さ、プロの為の「道具」的な、製品作りに対する真摯さを感じるメーカーなのです。
勿論、プロの道具が悪かろうはずがありません。
>>> Nikon(ニコン)NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S