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2019.02.20
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RICOH IMAGING (リコーイメージング) HD PENTAX-FA 35mmF2 実写レビュー

コーティングが変更されリニューアルが図られた RICOH IMAGING (リコーイメージング) HD PENTAX-FA 35mmF2 の実写レビューです。

 

レンズ設計自体は、オールドとまではいかないまでも、新しいものではないので、味のあるレンズである事が予想されます。

 

古いレンズ設計に、最新のコーティング。さて、どんなレンズなんでしょうか。

 

PENTAX K-1 + HD PENTAX-FA 35mmF2 本体

 

実写レビュー

K-1 MarkIIに HD PENTAX-FA 35mmF2 を装着して、梅が見ごろを迎えつつある里山を散歩しながら、テスト撮影を行いました。

 

HD PENTAX-FA 35mmF2 作例①
作例①:PENTAX K-1MarkII 1/6400 f2.0 ISO400 露出補正±0

 

撮影当日は、暖かい春の日差しがさんさんと降り注ぐ穏やかな日でした。

 

だいぶ高くなった日差しの中、逆光線となるシーンも多くありましたが、HDコーティングが施された HD PENTAX-FA 35mmF2 は、フレアの発生で画が眠くなる事も無く、快適に撮影を進められました。

 

レンズ自体の設計はだいぶ古いものになりますが、最新のコーディングを施され蘇ったようです。

 

HD PENTAX-FA 35mmF2 作例②
作例②:PENTAX K-1MarkII 1/1600 f2.0 ISO400 露出補正±0

 

HD PENTAX-FA 35mmF2 は、設計当時のPENTAXのトレンドで、非常にコンパクトに設計されたレンズで、取り回しも良く使い勝手のいいものでした。

 

K-1MarkIIのフレキシブルチルト式液晶モニターによるライブビューと併せて、ローアングルの撮影も快適にこなせます。

 

HD PENTAX-FA 35mmF2 作例③
作例③:PENTAX K-1MarkII 1/4000 f2.0 ISO400 露出補正-0.3

 

残念なのは、AFの駆動方式がボディ駆動である事です。

 

上の写真のような、AFが難しいシチュエーションでピントが迷ったりすると、HD PENTAX-FA 35mmF2 のAF駆動音は多少耳障りでした。せっかくなので、レンズ内モーター(SDM)にしてほしかったところですが、折角のコンパクトなデザインが損なわれるのももったいないので、メーカーとしても難しいところだったと思います。

 

又、抑えららたコストもこのレンズの魅力なので、多少は我慢しましょう。

 

HD PENTAX-FA 35mmF2 作例④
作例④:PENTAX K-1MarkII 1/1000 f2.0 ISO100 露出補正±0

 

小さな塚の上に、可愛らしいお地蔵さんが並んでいました。案内板には「六地蔵」と書いてありましたが、何度見返しても8体の石仏があるように見えます。どうやら「まえかけ」をしていない2体は地蔵ではないようです。

 

何の下調べもせずに散歩して、こんな出会いがあるのも写真を趣味にする醍醐味だと思います。

 

HD PENTAX-FA 35mmF2 のボケ味は、いかにも昔のPENTAXらしい少し古臭い感じで、メーカーの個性が感じられます。MF時代のレンズのようです。

 

HD PENTAX-FA 35mmF2 作例⑤
作例⑤:PENTAX K-1MarkII 1/30 f2.0 ISO100 露出補正-1.0

 

とある酒蔵の杉玉です。

 

個人的に日本酒が好きなので、趣味と実益を兼ねての来訪です。借りたカメラを持っているので、今日は飲まずに、家で飲むための蔵限定の原酒を買って、撮影に集中します。

 

細かい被写体がちょうどいいので、解像感を見る為に拡大します。

 
作例⑤拡大
作例⑤拡大
 

かなり眠い描写です。HD PENTAX-FA 35mmF2 は、設計が古いだけあって、柔らかいレンズで、レンズガラスの存在を感じる、有機的な写りです。

 

最近のレンズは20年前と比べて性能が格段に向上し、シャープさや解像度にばかり目が行きがちですが、個人的にはこういったオールドな写りをするレンズも嫌いではないです。

 

性能のいいレンズは沢山ありますが、逆に収差の残る、レンズらしいレンズを見つけるのも面白いと思います。

 

HD PENTAX-FA 35mmF2 作例⑥
作例⑥:PENTAX K-1MarkII 1/400 f2.0 ISO100 露出補正±0

 

大木が大空に向かって枝を広げています。枝の広がりはフラクタル構造になっているそうですが、本当でしょうか?冬枯れのおかげで、枝の広がりが葉の茂った時期よりよくわかります。

 

このカットは、あえて周辺光量補正をOFFにして撮影しており、画面中心から周辺に向かって若干アンダーの傾向が出ています。

 

ほんの少し、画面上の明るさが変化するだけですが、写真にメリハリが出て、最近好きな撮影方法です。欠点を逆手にとっています。

 

HD PENTAX-FA 35mmF2 作例⑦
作例⑦:PENTAX K-1MarkII 1/80 f2.0 ISO100 露出補正±0

 

日本酒を作るには沢山の水を使います。

 

仕込みの為の水場(おそらく湧水だと思われます)にしめ縄が渡してありました。

 

広角レンズとは言え、開放f2だと十分な前ボケが得られます。HD PENTAX-FA 35mmF2 のボケ味は、若干の2線ボケが見られますが、クセの無い綺麗なボケです。

 

HD PENTAX-FA 35mmF2 作例⑧
作例⑧:PENTAX K-1MarkII 1/200 f2.0 ISO100 露出補正-0.7

 

こちらの酒蔵にも梅の花がちらほら咲いており、いい香りが漂っていました。

 

冒頭のローアングルとは逆に、ハイアングルでの撮影です。PENTAX K-1 MarkIIのフレキシブルチルト式液晶モニターは、単焦点レンズの不便さを、アングルの自由さでカバーしながら撮影出来ました。

 

夕暮れが近づいて来たので、そろそろ撮影を切り上げて帰ります。

 

まとめ

HD PENTAX-FA 35mmF2 の描写性能は、設計も古く、最近のものよりも劣ると思います。

 

しかし、それがイコール悪いレンズとならないところが写真の面白いところで、今回はそれを改めて認識するテストとなりました。

 

背景ボケや、レンズを感じさせる少し眠い描写など、このレンズやPENTAXの古いレンズに多くみられるもので、個性的です。レンズは性能だけでなく、個性で選ぶ時代になったと思います。

 

最新のHDコーティングを施しリニューアルする事で、新しいレンズに生まれ変わったという訳ではなく、古いレンズらしい味わいを残しつつ、現代の技術で取り払える悪い要素は取り払った、HD PENTAX-FA 35mmF2 は、そんなレンズに感じました。

 

>>> PENTAX(ペンタックス)HD PENTAX-FA 35mmF2


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