SONY FE 400mm F2.8 GM OSSの実写レビューを、カメラ専門店スタッフが動物の実写作例とともにお届けします。3kg以下の軽さと「ヨンニッパ」の愛称で親しまれるこのレンズ。憧れの400mm F2.8望遠レンズの魅力を詳しくご紹介します。
フィールドでは一度も使った事がありませんが、カメラ店に勤めているので、400mm f2.8のレンズを持ったりさわったり、動作させたりする機会があります。
それゆえ、このスペックのレンズを手持ちで使う事の大変さは、重々承知しています。重量の一例をあげると・・・
Nikon (ニコン) AF-S NIKKOR 400mm f/2.8E FL ED VR 3800g
Canon (キヤノン) EF400mm F2.8L IS II USM 3850g
約4kg!
重い!重いです!これだけのレンズを一人で持って歩くとなると、かなりの体力を必要とするでしょう。
テストの為とはいえ、持って歩く事を考えると、憂鬱な気分になりますが、SONY FE 400mm F2.8 GM OSSは、2895g!なんと3kg以下です!!!!!
軽い!軽いです!テストボディとして使う SONY α9 が縦位置グリップと併せて約900gなので、総重量は約3800g、ボディと合わせても4kgを軽く切る重さです。これは軽い!俄然やる気になってきました。
初めての超望遠レンズの作例撮影に選んだのは、初心者にも撮影しやすいロケーションの動物園です。鉄道や、野鳥、飛行機などの動きものにチャレンジしてみたいですが、慣れない被写体で、手振れと、ピンボケばかりでも困ります。
最初は動きの少ない被写体からスタートしました。
ピントもちゃんと合ってるし、手振れもない!
撮影をスタートして初めに感じたのはAFの優秀さです。α9のほぼ画面全体をカバーする測距点と、高速で正確なAFは、ピントにかなり気を使う超望遠レンズですがストレス無く撮影が出来ます。
ジョイスティックを使った測距点の移動もスムーズです。
オウム(インコ?)は、あまり大きな動きはしない割に、羽根を動かしたり、表情がくるくる変わって、撮っていて楽しい被写体です。400mmのレンズとしてはかなり近接での撮影ですが、目の部分にきちんとピントが来ています。一瞬のオウムの動作にも対応できるスピードは、腕前が上がったような錯覚すら覚えます。あくまで錯覚ですが。
人気のユキヒョウは結構動き回るのと、ギャラリーが多くて人垣の後ろから撮らなければならないず、大変でした。
ここで2X Teleconvertorが登場!
評判のいいテレコンバーターですが、実際に使用してみると、AFのスピードが落ちる事もほとんど無く、なにより高性能で、評価の高さにも納得しました。
ちなみに、ユキヒョウの前には金網がありますが、開放で被写界深度を狭くしているので、金網が綺麗に消えています。
オランウータンが餌のわらを口に運ぶ瞬間をとらえました。コミカルな表情が、ほほえましいです。オランウータンもかなり遠くにいる為、400mmではこのようなアップは狙えません。2X Teleconvertorを装着して800mm相当で撮影しました。
FE 400mm F2.8 GM OSSはテレコンバーターを装着しても、AFの動きが悪くなったりしないので、状況に応じてテレコンの付けはずしを頻繁に行い、画角を調整出来て便利です。
なんだかシニカルな表情の瞬間です。オランウータンは、表情が目まぐるしく変わって、動きもコミカルでフォトジェニックな被写体です。
先の写真同様、テレコンバーターを使用して800mm相当で撮影しています。マスターレンズの良さがほぼ損なわれる事無く、描写されています。
拡大した画像がこちらです。
ほとんどテレコンバーターの装着による画質劣化を感じさせないシャープな描写です。2420万画素のα9の解像力を、テレコンバーターを装着した状態でも軽く上回っていると思われます。マスターレンズの高い描写性能と併せて、テレコンバーターの性能も高く、又、相性も良さそうですね。
トラはカッコいいですね!たくましい肉体、精悍な顔つき、美しい模様など文句なく百獣の王です。いや、百獣の王はライオンでした。ライオンには悪いですが、写真写りはトラの方がいいと思います。
顔だけでなく、たくましい体も一緒に撮りたくて、テレコンバーターを1.4×に付け替えて560mm相当で撮影しました。人間で言う、バストアップのイメージでしょうか。
トラの精悍な表情の後は、腑抜けたカンガルーを。別に、腑抜けた表情をしたくてしているわけでは無いと思いますが、そう見えてしまうくら人間らしい表情です。風呂上がりのパパのようです。
こっちは4kg近い機材を担いで、アップダウンの多い動物園の中を大汗をかきながら右往左往しているというのに、不届きな奴め!
軽いと言ってもさすがにヨンニッパ、徐々にカメラを構える右手が徐々にプルプルし始めました。
SONY FE 400mm F2.8 GM OSS は、ヨンニッパとしては驚異の軽量レンズです。フードを装着した状態の大きさはこのくらいで、ヨンニッパとしては細身ですが、小さくはありません。重量も3kgを切っているとは言え、2時間程集中して撮ると、さすがに腕が疲れました。まだ撮れ高が足りないので、もう少し頑張ります。
すみません!目線くださ~い!とお願いしたら目線をくれました。しかもとびっきり鋭い目線を!獲物を狙う目です。私は獲物じゃないですよ!念のため。
リカンはどんなポーズでも美しい姿で好きです。逆光線が綺麗です。カメラ、レンズにもだいぶ慣れて来て、このレンズがかなり好きになって来ました。この写真はテレコン無しの400mmで撮影しましたので、マスターレンズの性能をみる為に拡大してみます。
あ!蚊に刺されてる!!!拡大してみたら、蚊に刺されていました。鳥も蚊に刺されるんですね!蚊の手足まで詳細に描写されていています。蚊に刺されている事の発見と、レンズの描写性能の高さと、二回驚かされるレンズです。
本当は夜の動物園で、カッコいい動物たちの野生の姿を写したかったのですが、f2.8とは言え、ほとんど手振れしてしまい、ボツカットとなってしまいました。
3時間程撮影して、腕がぷるぷるなってしまっていたのも手振れの原因かもしれません。しかし、よく考えてみれば、ヨンニッパを3時間手持ちで使い続けられるのが、驚異ですね!
もう少し腕前が上がったら再チャレンジしたいです・・・と思いましたが、高嶺の花で多分もう二度と会う事の無いレンズでした。
超望遠レンズは、簡単なレンズではありません。400mm f2.8ともなれば、被写界深度も浅くなり、シビアなピントが求められ、又、常に手振れの危険にさらされます。
私の様な超望遠初心者に、どこまで使いこなせるのか?正直かなり不安でした。しかし、使い始めてビックリ!SONY (ソニー) α9 + FE 400mm F2.8 GM OSS の組み合わせは、あまりにも性能が高い為、簡単に使いこなせているような錯覚さえ覚えました。
道具がここまで腕前をカバーしてくれる体験は初めてでした。正直、感動すら覚えました。
これだけ大きなレンズを持ち歩くと、さすがに目立ちます!テスト当日は土曜日だった為、写真愛好家の方たちが結構たくさんいらっしゃいました。
他のカメラマンの方がヒソヒソ声で「バズーカ!バズーカ!」「スゲー!本格的!」など小声で言っているのが耳に入って来て、正直言って少し恥ずかしかったですね。
慣れだと思いますが、大きなレンズを使いこなすには、体力以外にも強い精神力が求められるな、と感じました。
» 詳細を見る