はじめに
「FE 50-150mm F2 GM」の外観をチェック
「FE 50-150mm F2 GM」の、絞りによるボケの変化
さまざまなシチュエーションで描写をチェック
逆光耐性をチェック
ワイド端とテレ端の最短撮影をチェック
手持ちでの長秒撮影
焦点距離別で魅せる、G Masterレンズの描写力
50mm ―「背景を取り込む環境ポートレート」
70mm ―「ナチュラルな距離感で安心の描写」
85mm ―「クラシックポートレートの定番」
100mm ―「密度と立体感が際立つ焦点距離」
135mm ―「適度な圧縮と孤独感を演出」
150mm ―「主役を際立たせる最長域の描写力」
その他作例
まとめ
作例に使用したレンズ
作例に使用したカメラ
日本写真家協会正会員(JPS)
写真家・映像作家。メーカーやメディアへの作品提供、講師・執筆など幅広く活動。WPC日本代表。アーチェリー全日本5回優勝、日本代表経験も持つ。
オンラインサロン「セキの沼『写研部』」の運営
著書『ポートレートRAW現像入門』『風景RAW現像入門』『フォトグラファーのためのポートレートポージング入門』(玄光社)
X: @kazuyaseki86
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モデル:柊里杏(X: @lialily11)
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ソニーの「FE 50-150mm F2 GM」は、G Masterシリーズとして2025年に登場した、世界初・ズーム全域F2の中望遠ズームレンズ。
本レンズを購入している人の多くがFE 70-200mm F2.8 GM OSS IIと比べてどうなのだろう?と悩んでいるのではないでしょうか?
FE 50-150mm F2 GMは1340gでフィルター径95mm、FE 70-200mm F2.8 GM OSS IIは1045gでフィルター径77mmとなっています。F2となるとレンズの口径も重さも多少大きくなってしまうのは仕方のないことですが、逆に言えばよくこのサイズに納めたなという印象を感じました。実際に、手に持ってみるとFE 70-200mm F2.8 GM OSS IIと比べると大きい、少し重いなと感じましたが、撮影するとそのデメリットが吹き飛ぶくらい高画質で驚きました。手ブレ補正はボディ側に依存してしまいますが、SONY α1 IIとの組み合わせでは1/13でも平気。絞りリングクリック切り替え機能もあるので動画にも最適です。
レンズといえばボケの変化が気になるところです。近くに咲いていた薔薇でその変化を撮影してみました。
F2では背景がとろけるようなボケで背景に映したくないものをボカして主役を引き立てたい時に最適。人混みの多い場所で大活躍するでしょう。F2.8では背景の玉ボケも綺麗になり、ピント面の解像感が少し増します。ボケもうるさくなく、個人的に好きな印象です。F4では被写界深度も深くなり、ボケとの両立のバランスがこのシーンでは一番両立されているように感じました。F5.6〜8になるとボケは硬くなりますが、まだまだ玉ボケが美しい状態を保っています。個人的にF11までが回折現象を抑えられるかなと感じました。F16~22に関してはどうしても絞らないといけない場合に使用しますが、シャッタースピードが極端に落ちますのでISOでカバーすれば使えなくないレベルだと思いました。
SONY α9 III・FE 50-150mm F2 GM
ISO400・WBマニュアル
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SONY α1 II・FE 50-150mm F2 GM
絞りF5.6・1/3200秒・ISO100・WBマニュアル
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SONY α1 II・FE 50-150mm F2 GM
絞りF5.6・1/3200秒・ISO100・WBマニュアル
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SONY α1 II・FE 50-150mm F2 GM
128mm・絞りF2.5・1/320秒・ISO100・WBマニュアル
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ゴーストやフレアは非常に抑えられており、画角を少し調整することで解消することができる。
SONY α9 III・FE 50-150mm F2 GM
50mm・絞りF5.6・1/640秒・ISO250・WBマニュアル
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50mm最短撮影
SONY α9 III・FE 50-150mm F2 GM
150mm・絞りF5.6・1/640秒・ISO250・WBマニュアル
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150mm最短撮影
最短は、最短撮影距離:0.4m(ワイド端)-0.74m(テレ端)なのでかなり寄ることができる。マクロ的な使い方もできるのは非常にありがたい。
SONY α1 II・FE 50-150mm F2 GM
50mm・絞りF11・1/13秒・ISO100・WBマニュアル
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レンズ側に手ブレ補正はないが、SONY α1 IIとの組み合わせでは1/13秒でもブレずに撮影することができました。
SONY α9 III・FE 50-150mm F2 GM
50mm・絞りF2・1/16000秒・ISO250・WBマニュアル
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モデル(X: @NudeSheep)
SONY α1 II・FE 50-150mm F2 GM
50mm・絞りF2・1/500秒・ISO100・WBマニュアル
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肉眼に近い画角で、背景が入りやすく空気感も写るやや広めの構図が心地いい。
SONY α1 II・FE 50-150mm F2 GM
70mm・絞りF2.8・1/6400秒・ISO100・WBマニュアル
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SONY α9 III・FE 50-150mm F2 GM
70mm・絞りF2・1/2500秒・ISO100・WBマニュアル
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被写体と背景のバランスがちょうど良く、汎用性が高い。人物ポートレートのスタートラインとして非常に優秀だ。
SONY α1 II・FE 50-150mm F2 GM
85mm・絞りF2・1/1000秒・ISO100・WBマニュアル
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顔の立体感、背景の整理、ボケ量のバランスが極めて良い。
SONY α1 II・FE 50-150mm F2 GM
100mm・絞りF2・1/2500秒・ISO100・WBマニュアル
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遠近の圧縮効果で背景が溶けやすく、モデルの存在感が引き立ち、被写体の肌や質感の描写が気持ちがいい。
SONY α9 III・FE 50-150mm F2 GM
135mm・絞りF2・1/2000秒・ISO250・WBマニュアル
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被写体が背景から完全に浮くので、主役を引き立てることができる。子供や犬などのペット、背景を整理しつつ人物を引き立てたい時に使いたい画角。
SONY α1 II・FE 50-150mm F2 GM
150mm・絞りF2・1/2000秒・ISO100・WBマニュアル
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被写体が「浮く」レベルの背景ボケ。構図の整理がしやすく、ボケを活用した作品性の高い写真が撮れる。
SONY α1 II・FE 50-150mm F2 GM
50mm・絞りF5.6・1/250秒・ISO100・WBマニュアル
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立体感と奥行き感を感じるボケとコントラストが気持ちがいい。
SONY α1 II・FE 50-150mm F2 GM
67mm・絞りF2・1/6400秒・ISO250・WBマニュアル
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F2でもとろけるような背景で主役となる手元の印象を邪魔しません。
SONY α9 III・FE 50-150mm F2 GM
60mm・絞りF8・1/80秒・ISO125・WBマニュアル
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解像感と質感が上品な雰囲気を出してくれます。マクロ的な撮影にも最適。
SONY α1 II・FE 50-150mm F2 GM
63mm・絞りF2・1/640秒・ISO100・WBマニュアル
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逆光の太陽のフレアやゴーストが邪魔せず情景ポートレートの雰囲気が作品をより魅力的にしてくれます。
6本の単焦点レンズを持ち歩くような感覚。
このレンズの真の価値は、「50・70・85・100・135・150mm」それぞれが、まるで単焦点のような描写性を持っています。特にポートレート撮影では、シチュエーションや構図に応じて最適な距離を即座に選べるメリットは計り知れません。F2という明るさは、背景ボケだけでなく、シャッター速度の確保・ISO感度の抑制にもつながり、全天候・全時間帯で信頼できる描写を実現できます。
デメリットとして感じたことはテレコンバーターが使用できないのとレンズ側に手ブレ補正機能が搭載されていないのでカメラのボディ性能に依存してしまうのが個人的に残念ですが、それ以上に描写力はすさまじいものを感じました。
ポートレートやウェディング撮影など、主役を引き立てたいシーンの新しいスタンダートレンズです。
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Photo & Text by 関 一也(せき・かずや)