SONY FE 400-800mm F6.3-8 G OSS 実写レビュー×写真家 桃井一至 | 視覚を超えた迫力の望遠撮影

目次
はじめに
SONY FE 400-800mm F6.3-8 G OSSの操作性は?
描写性能をチェック
FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSSとどちらを選ぶべきか
FE 400-800mm F6.3-8 G OSSの作例
まとめ
作例に使用したレンズ
作例に使用したカメラ

桃井一至(ももい・かずし)
1968年、京都生まれ。 写真家アシスタントを経て、フリーランス。現在は撮影をはじめ、写真関係媒体の執筆やWebレポートなどを多数。イベント等への出演も多く、NHK「趣味悠々・デジタル一眼レフ撮影術入門」などでは講師を務めた。主な撮影ジャンルは人物・海外風景など。公益社団法人日本写真家協会会員(JPS)。
Youtube:「gizmomofreaks」
はじめに
視覚を超えた望遠域は魅力が高く、遠くのものを大きく写したい欲求は、留まることを知らない。本製品はソニーフルサイズ用レンズシリーズの中でも、ズームレンジ400mmから800mmまでの最長を誇る。ライバルメーカーやレンズメーカー各社を眺めても、多くは600mmまでのラインナップ。800mmはやや特殊な部類に入る。短い分にはテレコンバーターやクロップ、その気になればトリミングでも賄えるが、長すぎては手の打ちようがないからだ。しかし近年は国内外で野鳥撮影ブームが沸き起こり、需要が増しているようだ。
従来、このクラスの超望遠レンズはブレやピントに極めてセンシティブな製品で、扱いこなしが難しかったが、時の流れとともに技術が向上して、かなりハードルが下がってきた。たとえば本製品のような、開放F値がF8程度のレンズは、一眼レフであれば日中でも薄暗い光学ファインダーを、目を凝らして覗かねばならなかったのが、ミラーレス化で解決。AFも像面位相差センサーや優れたアクチュエーターでスピード、精度共に向上。手ブレ補正もボディ側とレンズ側との合せ技でパワフル。さらに高ISO感度の画質も良くなり、まさにカメラ&レンズの機能の進歩と共に超望遠レンズは劇的な進化を遂げて身近になってきた。
SONY FE 400-800mm F6.3-8 G OSSの操作性は?
本製品の焦点距離は長いが、ズーム倍率は2倍で特に高くない。同社にはこれまでもFE 200-600mm F5.6-6.3 G OSSというコンセプトの近いレンズがあるが、守備範囲で言うなら3倍ズームのこちらのほうが広い。
本製品の広角側がワンランク広い300mm程度であれば、さらに使い勝手が良いようにも思うが、それに伴うサイズや画質、価格など、いろいろな事情があるのだろう。
質量は約2475グラム。今回使用したα9IIIのボディは単体でおおむね700グラム程度だから、合計で3000グラム超える。かろうじて手持ち撮影は可能だが、腕にはそれなりの負担がかかるため、緻密なフレーミングで続けて撮りたいときや、動物の動きを監視するような撮影であれば、三脚または一脚の併用。さらに言えば、構図決定をスムーズにできる動画用がおすすめだ。
操作については、ソニー製の他レンズと同様に手に触れる部分の多くが踏襲されたものだが、リングの配置はズームリングが前方側でフォーカスリングがボディ側になる。前述のFE 200-600mm F5.6-6.3 G OSSとは同じだが、焦点距離の繋がるFE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSSとは逆のため、併用するなら少し慣れが必要だ。フォーカスホールドボタンは3箇所。ドロップインフィルターは用意されず、前面フィルターのみの対応でサイズは105mmになる。なおインナーズームの採用で、ズーム時の全長変化はない。
レンズメーカーを見渡してもEマウントで800mm域をカバーするレンズはなく、唯一無二の存在。他社ではキヤノンRF200-800mm F6.3-9 IS USMがあるくらいで、かなりニッチな焦点距離だ。
αシリーズは小型ボディのため取り回しはしやすいが、3000グラム超えの質量に三脚など周辺機器も加わり、ましてアウトドアフィールドで使いこなすには、それなりに体力が必要だ。
冒頭で800mmは特殊な焦点域と記したが、撮影中の動作はそれを一切感じない最新モデルらしい動きで極めて快適。オートフォーカスも速く、遠くの対象がファインダーで大きく見えるのに感動を覚えながら、ついシャッターを押してしまう。さらなる大きさへの欲望を満たすなら、右手で操作できる空いたボタンかレンズ側のフォーカスホールドボタンへ「APS-C/S35モード」を割り当てておけば、瞬時に1.5倍望遠へアクセスできるので、操作カスタマイズをうまく使いこなしたい。
描写性能をチェック
描写性能について、最高峰のGマスターでないのを気にする人がいるかもしれないが、次に続く「Gレンズ」の上位基準で作り込まれているだけに安心して欲しい。
実際、鳥や動物など羽根や毛並みをアップでも見ても、かなり良好。ボケ味は少し固めな感じを受けたが、そこを重要視する製品ではないので、気にしなくてもいいだろう。
また描写に直結するピント合わせは、焦点距離が長いために深度が浅く、リアルタイム認識AFやフォーカスエリア選択を適切に利用して好結果につなげたい。また被写体までの距離が遠いと空気の揺らぎや霞の影響を受けることもあるため、不可抗力の影響があるのも知っておこう
SONY α9III・FE 400-800mm F6.3-8 G OSS・800mmで撮影
絞りF8・1/800秒・ISO400・WBオート
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手持ち撮影で被写界深度の浅い超望遠域で小さなフォーカスエリアを使ってのホールディングや操作は骨が折れるため、リアルタイム認識AF(動物)に頼って撮影。レンズやボディの恩恵を受けながら画面に集中して撮影するのが今ふうだ。
SONY α9III・FE 400-800mm F6.3-8 G OSS・800mmで撮影
絞りF8・1/400秒・ISO400・WBオート
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レンズを向けているうちに暖かな日差しもあって寝てしまった。ふわふわとした毛並みの質感描写などに特に注文はない。小鳥のように小さな対象でなければ、800mmは持て余すシーンもあるが、やはり視覚を超えた焦点域は楽しい。
FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSSとどちらを選ぶべきか
αユーザーが、いちばん長い望遠で撮りたいとなれば一択の製品。とにかく遠くのものを少しでも大きく写したい希望を満たすなら他の選択肢はない。
ただし少し見方を変えて、多少安価で軽く、使い勝手も良いFE 200-600mm F5.6-6.3 G OSSに1.4倍テレコンバーター(SEL14TC)を併用すれば「280-840mm F8.0-9.0」としても使える。価格的にもこの2点を購入しても、本レンズと大差はない。もちろんテレコンバーターによる画質劣化や使い勝手、AF速度低下など、細かいことを言い始めればキリのないところだが、広角側が200mmから使えるのが大きな魅力だ。もうひとつは、大きく撮るのを優先するならば、FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSSにα6700などAPS-Cサイズセンサー搭載機やフルサイズ機の「APS-C/S35モード」設定で「900mm F6.3」相当にする選択肢もある。このときα7RⅤであれば、画素数も2600万画素をキープ可能だ。
とどのつまり、どちらを選ぶかは悩ましいところだが、400mmオーバーの焦点距離を多用、さらにテレコンバーター併用で1000mm超えまで得たい超望遠多用派であれば本レンズ。超望遠域以外の汎用性も求め、パートタイムで野鳥撮影も楽しみたいようなユーザーであれば、FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS+テレコンバーター、またはAPS-C対応機という選択も一案だ。
SONY α9III・FE 400-800mm F6.3-8 G OSS・APS-C/S35モード(1200mm相当)で撮影
絞りF8・1/500秒・ISO250・WB太陽光
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緑の映る水面をのんびり泳ぐオオバン。小柄で距離も遠いためAPS-C/S35モードで1200mm相当にするのと合わせて、水面の反射が美しいところまで移動してくるのを待った。もしPLフィルターを使うなら、105mm径が必要だ。
FE 400-800mm F6.3-8 G OSSの作例
SONY α9III・FE 400-800mm F6.3-8 G OSS・474mmで撮影
絞りF7.1・1/320秒・ISO400・WB太陽光
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次の列車が来るまでの合間に高所から線路を見下ろす。焦点距離は474mm。塗装表示の剥がれや枕木、レールの質感に至るまで、しっかり描写されている。ふだん気に留めない対象も改めて見ると面白い。
SONY α9III・FE 400-800mm F6.3-8 G OSS・400mmで撮影
絞りF8・1/1250秒・ISO400・WB太陽光
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かなり離れた場所で狙ったつもりが、ベストショットは広角端の400mm。リアルタイム認識AF(列車)の追従も満足行くもので、ローカル線のスピードなら外れることは皆無。斜光に映える列車が美しい。
SONY α9III・FE 400-800mm F6.3-8 G OSS・400mmで撮影
絞りF8・1/1000秒・ISO500・WB太陽光
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空が夕陽で染まるころ、首をすくめて飛び立つサギを追う。焦点距離は400mm。さらに大きくしても良かったが、印象的な空を優先。各社しのぎを削る被写体認識も、本機ではこのサイズでもしっかり瞬時に認識してくれた。
SONY α9III・FE 400-800mm F6.3-8 G OSS・800mmで撮影
絞りF8・1/500秒・ISO1250・WB太陽光
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比較的明るいと思う場所でもレンズを向けて、安全圏のシャッター速度を得るには、ISOは1250を示した。ボケにX状の模様が見えるのはフェンス越しの撮影ため。前玉をフェンスに近づけ、望遠、絞り開放、ピント位置が遠ければ、フェンスは写らない。
SONY α9III・FE 400-800mm F6.3-8 G OSS・800mmで撮影
絞りF8・1/250秒・ISO12800・WB太陽光
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いたずらっぽい表情で飛んできたカラス。夕方の薄暗い時間帯のため、ISO感度を12800まで上げてようやく1/500秒をキープ。拡大すれば少々ノイジーだが、写らないことには始まらない。AIを使った現像ソフトで後処理するのも一案。
SONY α9III・FE 400-800mm F6.3-8 G OSS・APS-C/S35モード(1200mm相当)で撮影
絞りF8・1/640秒・ISO250・WB太陽光
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基本感度ISO250と高めのα9IIIで晴天順光時、シャッター速度は1/640秒。望遠側は開放F値がF8からという縛りがあるので、画質や手ブレ補正効果なども含めて、最新ボディとの組み合わせがおすすめだ。
SONY α9III・FE 400-800mm F6.3-8 G OSS・APS-C/S35モード(1200mm相当)
絞りF8・1/250秒・ISO800・WB太陽光
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水辺で被写体までの距離があり、800mmでも足りないので、APS-C/S35モードに切り替え、1200mm相当に。ただし1.5倍大きく撮れる画角と引き換えに、画素数は本機では約1000万画素に。たいてい足りるが大伸ばし時は要注意。
まとめ
遠くの対象が画面いっぱいに見えてくるワクワク感を一番叶えてくれるのが本製品。冒頭にも書いたように、扱いが難しい部分も大半はレンズやカメラがカバーしてくれる。
ズームレンジの狭さがウィークポイントだが、主に望遠側を使用するのであれば問題ない。アウトドアでレンズを構え、集中して被写体を狙うのは、時が過ぎるのを忘れるほど楽しいもの。ぜひこのレンズと共に、出かけて欲しい。
作例に使用したレンズ
【商品情報】SONY FE 400-800mm F6.3-8 G OSS
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作例に使用したカメラ
【商品情報】SONY α9III
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Photo & Text by 桃井一至(ももい・かずし)

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