タムロンから新発売となった広角ズームレンズ 17-35mm F/2.8-4 Di OSD (Model A037) の実写レビューです。
TAMRON (タムロン) 17-35mm F/2.8-4 Di OSD (Model A037)の特徴は、軽量、コンパクト、それでいて、かなりの高性能である事です。さらに、この価格帯の広角ズームレンズより半絞り明るいf2.8-4であることも見逃せません。使い勝手のいい広角レンズを試しました。
重量は460gでフィルター径は77mm、フィルター口径こそケラレを避けるために大きくなっていますが、明るさf2.8-4のズームレンズありながら、500gを切る重量は軽量と言っていいと思います。
最短撮影距離は0.28mで、最大撮影倍率は1:4.9と広角ズームレンズとしては一般的な値です。小型軽量である事を優先して手振れ補正機能「VC」は省略されています。
本当はワイド端の17mm f2.8を活かして、星野写真を撮ろうと目論んでいたのですが、テスト当日は生憎の曇り空。撮影の予定を夜にしていたため、急遽夜景写真に被写体を変えて撮影に向かいました。
テストカメラは超高画素のカメラでありながら、高感度、低照度もそこそこいけるオールラウンダー、Nikon D850です。
京王線、聖蹟桜ヶ丘駅前の交差点です。あのアニメ映画の舞台としても有名な駅ですね。
ここは、歩道橋の上から写真が撮れるので、道路の真ん中からの構図が取れて便利です。17mmの超広角は遠近感を誇張した迫力のある画が撮れて重宝します。
通り過ぎる車が光跡になるように、20秒ほどシャッターを開けて、撮影しました。
拡大して解像感を見てみましょう。
画面中央の拡大です。
素晴らしくシャープです!コンクリートの質感など、立体感のあるリアルな描写で素晴らしいです。写真の性質上f16(最小値はf22)まで絞っての撮影ですが、かなりの好描写です。
実は、車のナンバーが読み取れてしまう為、ナンバープレートを避けて拡大しています。凄いです!
次に周辺部の描写を見てみます。
左上隅のビルの部分ですが、タイルや金属のパイプのオブジェなど非常に詳細に描写され、見事です。D850の超高画素にも十分対応できそうです。
今回のテストは、今月発売予定のNikonのフルサイズミラーレス一眼「Z7」への使用を見込んで、画質的に最も近いと思われるD850をセレクトしました。
小型軽量で高画質な TAMRON (タムロン) 17-35mm F/2.8-4 Di OSD は、Z7とのマッチングも良さそうです。マウントアダプターFTZでの動作確認さえ取れれば、かなりおススメのレンズと言えると思います。
しかし、このタイミングでNikon用からリリースするタムロンさん、なかなか商売上手ですね(笑)
映画の舞台をめぐりながらテスト撮影をしました。バイオリン作りの少年が、小説家を目指している彼女と歩いていそうな階段です。
17-35mm F/2.8-4 Di OSD はズームも滑らかで、大きさもコンパクトなので、昔から持っているレンズのように違和感なく使えました。夜間のため、静かな場所での撮影でしたが、新型のAF駆動ユニットOSD(Optimized Silent Drive)は、AFもとても静かで高速です。
カメラのシャッター音だけが「カシャッ!」と静寂をやぶります。
聖蹟桜ヶ丘は、多摩川の河岸段丘に住宅が建てられています。
住宅街までは、結構な登りとなり、峠のようなヘアピンカーブがあります。そんな峠をショートカットして登れる階段が貫いており、独特な風景を作っていました。
ワイドレンズのスナップ撮影は、余計な物が写ってしまいがちで、構図やアングルに苦労すると思いまが、今回は夜という事で、いらないものが闇に紛れてしまい、構図が整理できてよかったです。
このカットは手持ちで撮影しましたが、Nikon D850 は高感度でも滑らかな描写です。また、アクティブDライティングによりダイナミックレンジを広く取れるのも、夜間撮影には心強い味方となりました。
うわさに違わぬオールラウンダーぶりを発揮してくれました。
あ!聖司くん!
いや、たまたま通りがかりの通行人がフレームインしてしまっただけです。
今回の発見は、ワイドズームが夜間のスナップと相性がいい事でした。先に書いたとおり、フレーミングがし易くなる事、絞りを開け気味にしても、被写界深度が深いことが、使いやすい要因だと思います。
タムロン 17-35mm F/2.8-4 Di OSD はコンパクトで軽量なこともメリットです。本来はNikon J7 のようなコンパクトなカメラに取り付けて使いたいところですね。
上の写真の手前側を見ていただくとわかりますが、広角ズームらしい歪みが出ています。
焦点距離28mm付近で撮影していますが、階段の直線を見ると、糸巻型の歪みが出ています。17-35mm F/2.8-4 Di OSD は歪みの補正は完全ではないようです。
コンパクトなレンズなのではある程度仕方ないと思いますが、被写体によっては気になるケースもあるので、カメラの歪み補正に対応してもらえると嬉しいです。
聖蹟桜ヶ丘駅から車で10分ほどの場所にある、有名な夜景スポット「都立桜ヶ丘公園 ゆうひの丘」からの夜景です。
それほど豪華な夜景ではないのですが、小さな丘の公園は雰囲気も良くおススメです。アクセスが悪いのと、人通りの少ない真っ暗な住宅街にあるので、1人で行くのはちょっと勇気がいります。
以前訪れた際には、カメラサークルのメンバーと思われる数人のグループが撮影を楽しんでいました。
あんな風にグループで訪れると楽しくていいでしょうね。
点光源のかなり強烈な逆光ですが、ゴーストは最小限の発生に抑えられています。
背景の夜空も、黒が締まって綺麗です。タムロン 17-35mm F/2.8-4 Di OSD の逆光特性は、カタログのうたい文句通り良好のようです。
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今回、夜間スナップというかなり特殊な使い方をしましたが、広角ズームが思いのほかはまって、楽しい撮影となりました。
レンズのf値が2.8-4と比較的明るい事、コンパクトで軽量であること、ズーム、AFが静かでスムーズである事などが、ストレスの無い楽しい撮影に貢献してくれたと思います。
ただ、性能重視で選んだD850が、レンズに対して大きく重く、ややバランスを欠いてしまったのは少し残念です。
今回はタムロン 17-35mm F/2.8-4 Di OSDのレンズテストでしたが、もしカメラが「Nikon Z7」だったら・・・と、Nikonの新型のフルサイズミラーレス一眼が待ち遠しくなってしまいました。
逆に「Nikon Zマウントシステム」への乗り換えを検討しているユーザーには、マウントアダプターFTZの対応さえ問題無いなら、軽量コンパクトでさらに高性能なことも含めておすすめのレンズです。