月の撮影 × 写真家 相沢 亮|これから始める月と街撮影【後編】

目次
はじめに
月と街の撮影では「明暗差」を意識する
空がピンクに染まる特別な瞬間を撮影
焦点距離で変わる月の見え方
応用編:Lightroom classicの機能を使い、明暗差を整える
終わりに
作例に使用した機材
執筆者紹介
フジヤカメラ | 東京都中野のカメラ専門店
はじめに
前編では、月の出入りの時刻や方角を事前に調べる方法や機材などついて説明しました。
後編ではいよいよ実践編として、作例を交えながら月と街並みを撮影するための具体的な「時間帯選び」と「カメラの設定」などについて話していきます。
月と街の撮影では「明暗差」を意識する
月と街の写真を撮る場面で悩むのが明暗差の問題です。月は想像以上に明るい被写体で、特に空高くに昇った状態だと地上よりもはるかに明るく明暗差があります。したがって、夜景に露出を合わせると月は真っ白に飛んでしまい、逆に月に露出を合わせると街は真っ暗に潰れてしまいます。このような経験をしたことがある方は多いのではないでしょうか。露出を変えて2枚撮って後から合成する方法もありますが、今回は1枚撮りでの撮影方法を紹介します。
富士フイルム X-H2・TAMRON 18-300mm F/3.5-6.3 DiIII-A VC VXD B061X・64mm(35mm判換算)で撮影
絞りF5・1/100秒・ISO800
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地上がある程度明るくても、月との明暗差が強いため、月の輪郭をはっきりと写し出すのが難しい
月が地平線に近い低い位置にあるとき、大気を通過する距離が長くなる影響で光量が弱まり、地上との明るさのバランスが取りやすくなります。(夕暮れ時に太陽が赤くなる理由と、その輪郭が写しやすくなることと一緒ですね)
富士フイルム X-H2・TAMRON 18-300mm F/3.5-6.3 DiIII-A VC VXD B061X・151mm(35mm判換算)で撮影
絞りF9・1/160秒・ISO250
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月が地平線の付近にある時、満月とその前後1日のタイミングは比較的地上との明暗差が少ない
大気の影響で月が多少歪んで見えている状態
月の位置が低いため明暗差がそこまで強くないシーン、つまり満月の場合は月の出直後、あるいは月の入り直前のタイミングが狙い目です。具体的には、月の出からおおよそ30〜40分以内が(月の入りであれば月の入りの30〜40分前)目安です。
満月の場合は日没付近に月の出を迎え「ブルーアワー」と呼ばれる時間帯での撮影になるので、暗くなる前の空のグラデーションを背景に月を撮影することができます。
月の出の時間は日々変わります。日中などに月の出を迎える日ももちろんあり、そんなタイミングで撮影することもできなくはないです。しかし、やはりおすすめは満月の前後1日および新月の前後1日などです。
富士フイルム GFX50S II・GF80mmF1.7 R WR
絞りF4.5・1/200秒・ISO800
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少しずつ時間が経過していき、徐々に空に色が変わっていく
例えば、満月の1日前であれば月の出が日没の50分から1時間前程度に訪れる日もあるので、夕焼けの時間帯に月を撮影することもできます。
このあたりは下記のサイトなどを参照してみてください。
空がピンクに染まる特別な瞬間を撮影
富士フイルム X-H2・TAMRON 18-300mm f/3.5-6.3・120mm(35mm判換算)で撮影
絞りF5・1/400秒・ISO800
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天候や大気など条件が整えば、空が淡いピンク色に染まる「ビーナスベルト」と呼ばれる大気現象の中に浮かぶ月を撮ることもできます。その下にある青い帯は地球影と呼ばれています。これは日の出直前、あるいは日没直後のごく短い時間だけ現れる現象で、太陽の反対側の空に見ることができます。
富士フイルム X-H2・TAMRON 18-300mm f/3.5-6.3・373mm(35mm判換算)で撮影
絞りF6.3・1/50秒・ISO250
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合わせたい被写体などに応じて、月の方角が変わるため、早朝か夕方のどちらに撮影するかは方角次第ですが、ビーナスベルトの撮影のタイミングとしては特に空気が澄んでいる朝がおすすめです。
またビーナスベルトの出始めるタイミングが早朝だと太陽が出る前なので、月がまだ地平線より高い位置にあることも多いです。そのため、撮影場所を決めながら調整していくことができます。地平線から顔を出す朝日の場所を予測するより、姿の見えている夕日の沈む場所を目視で確認する方が、撮影に余裕があるのと同じ理由です。
また、撮影のおすすめのタイミングとして、満月の1日前の夕暮れのタイミングもおすすめです。満月の1日前、つまり日の入りより50分くらい前に月の出を迎えるため、夕暮れのタイミングで月を撮影できます。
※詳しくはアプリなどでカレンダーをチェック。
SONY α7 IV・SIGMA 70-200mm F2.8 DG DN OS | Sports 023・162mmで撮影
絞りF6.3・1/200秒・ISO100
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SONY α7 IV・SIGMA 70-200mm F2.8 DG DN OS | Sports 023・180mmで撮影
絞りF6.3・1/125秒・ISO100
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満月の1日前に撮影、夕暮れの変わる空の色とともに撮影できる
焦点距離で変わる月の見え方
焦点距離 約135mm
富士フイルム X-H2・TAMRON 18-300mm f/3.5-6.3・206mm(35mm判換算)で撮影
絞りF6.3・1/500秒・ISO500
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月をどう見せたいかによって、選ぶべき焦点距離はかなり変わってきます。
望遠レンズで月を主役として写したいときは、35mm換算でだいたい130mm以上を目安にするのがひとつの基準だと僕は考えています。焦点距離が長くなるほど月は大きく写ります。このとき意識したいのが、望遠レンズなどの「圧縮効果」です。自分から見て手前にある建物や塔にピントを合わせつつ月を画面内に大きく取り込むことで、遠近感を感じさせない構図で写すことができます。フルサイズ機で望遠レンズを持っていない場合は、カメラの「APS-Cモード」によって、望遠レンズを使ったような撮影もすることが可能です。
「APS-Cモード」だと概ねレンズ表記の焦点距離の約1.5倍ほどで撮影できます。80mmであれば120mmです。
焦点距離 60mm
Nikon Z7 II・NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S・60mmで撮影
絞りF2.8・1/125秒・ISO1600
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より細い月(新月に近い日)であれば同じ時間帯でももう少し月が地上に近く見える
焦点距離 100mm
Nikon Z7 II・NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S・150mmで撮影
絞りF6.3・0.8秒・ISO500
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広めの画角で夜景全体の中に月をアクセントとして配置したいときは、望遠時よりも撮影者自身が被写体から離れた位置に立つことを意識すると、月と街のバランスが取りやすくなります。
焦点距離 24mm
Nikon Z5 II・NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR・24mmで撮影
絞りF6.3・1/40秒・ISO1600
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三日月を入れることで夕暮れにアクセントを加えつつ、余白を補う
応用編:Lightroom classicの機能を使い、明暗差を整える
月が露出オーバー気味になってしまった場合でも、Lightroomのマスク機能を使うことで明暗差を簡単に整える方法もあります。
<手順>
- 新しいマスクを作成
- 「ブラシ」、「円形グラデーション」、「被写体を選択」のいずれかを選択
それぞれ画角内の一部分のみを選択し、明るさや色味を調整する機能ですが、「ブラシ」、「円形グラデーション」、「被写体を選択」の順に細かく補正したい部分を選択することができます。
「ブラシ」は、補正したい部分をその名の通り、ブラシでなぞるように細かく選択することができる機能、そして「円形グラデーション」は、円形の選択範囲を作成し、その部分のみを補正する機能です。
今回の作例のように補正したい被写体が小さい場合は、「ブラシ」、「円形グラデーション」などを使って、調整していきます。
明らかに被写体がはっきりしている場合は、AIによる自動選択「被写体を選択」を使うことで作業の時間をグッと抑えることができるので、必要に応じて使うのがおすすめです。
今回は簡易的に円形グラデーションで調整してみました。 - 円形グラデーションで満月を囲う
- パラメーターを調整し、輝度を整える


BEFORE
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AFTER
富士フイルム X-H2・TAMRON 18-300mm f/3.5-6.3・90mm(35mm判換算)で撮影
絞りF5・1/160秒・ISO800
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こちらは簡易的な方法です。円形グラデーションの境目が気になる方は、フォトショップでより細かい作業もしくは合成(月と背景の別撮り)などで進めるのがおすすめです。
終わりに
富士フイルム X-H2・XF50-140mmF2.8 R LM OIS WR・84mm(35mm判換算)で撮影
絞りF4.5・1/640秒・ISO1000
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月と街の撮影方法について解説しましたが、いかがでしたでしょうか。
個人的にビーナスベルトと月の写真、その部分に傾倒してしまったと振り返っておりますが、前編の冒頭でも触れましたが、月の撮影をしてみたいと思ったきっかけのひとつが冬の早朝の満月です。
実際に今年、氷点下15度の澄んだ空気の世界で早朝の満月を見てきたのですが、その場の景色を画角内に入れることで、満月を見たその時の空気感を想起するような写真に仕上がります。
月と街の撮影方法について、ぜひ実践してみてください。
作例に使用した機材
富士フイルム X-H2S
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TAMRON 18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD (Model B061) 富士フイルムXマウント
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富士フイルム フジノンレンズ XF50-140mmF2.8 R LM OIS WR
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富士フイルム GFX50S II
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富士フイルム フジノンレンズ GF80mmF1.7 R WR
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SONY α7 IV
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SIGMA 70-200mm F2.8 DG DN OS | Sports ソニーEマウント
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Nikon Z7II
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Nikon NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S
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Nikon NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S
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Nikon Z5II
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Nikon NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR
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フジヤカメラ | 東京都中野のカメラ専門店
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中古品の在庫は、最新機材からヴィンテージモデルまで常時3,000点以上。その豊富なラインナップは、全国でもトップクラスです。
また、遠方にお住まいでご来店が難しいお客様にも、インターネットやお電話による通信販売を通じて、安心してお買い物いただける環境を整えています。
機材選びのことなら、ぜひフジヤカメラにお任せください。
























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