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2026.09.04
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月の撮影 × 写真家 相沢 亮|これから始める月と街撮影【前編】

月の撮影 × 写真家 相沢 亮|これから始める月と街撮影【前編】キービジュアル


はじめに

月と街の撮影方法について、前編・後編に分けて話していきたいと思います。

帰り道に空を見上げたときにふと目にする月。
いつも目にする身近な被写体なのに、いざ撮影に挑戦してみると
「設定は?機材は?」
「撮ってみたら思ったより小さく写った」
「月が白く飛んでしまった」
「街は真っ暗なのに月だけ明るい」
といった経験がある人も多いのではないでしょうか。
最初の頃は、天体だし、ハードル高いのかなと思っていましたが、準備さえ気を付ければ撮影もそこまで難しくない!?と思い始めてきました。

街の撮影で月を入れると表現の幅がグッと広がります。昔から月が好きだったというのもあり、単体で撮ることも多かったのですが、ドキュメンタリーで見た冬の早朝の満月を見て、撮影してみたいと思い始めたのがきっかけです。
澄んだピンクの空に浮かぶ満月をみた時、こんな美しい世界があるのだなと今でもその時のことを覚えています。

前編では、月と街の撮影に臨むにあたり、押さえておきたい基礎知識を中心に説明していきます。

月の撮影で大事なのはタイミング

まず、月のみを主体として撮りたい場合、月と街など被写体を絡めて撮影したい場合、カメラの設定で違う部分が多く、分けて考える必要があります。

月のみを撮りたい場合に関しては特にタイミングを考えずに撮影することも可能ですが、街などを絡めたい場合は事前の準備が必要になってきます。

理由としては次の2点です。

  1. 月は高く昇れば昇るほど地上と距離が出ます。
    両方を画角内に入れようとするとどうしても月と街がそれぞれ小さくなってしまいバランスが悪くなってしまいます。
    地平線に近い低い月のほうが手前のビル群と重ねて撮りやすいというメリットがあるため、前景に街などを入れ、月を写したい場合は月の出の直後や月の入り直前の「月が低い時間帯」を狙って撮るのがおすすめです。
  2. 月は高い位置にあればあるほど明るくなるため、地上の街並みとの明暗差の関係で露出の設定が難しくなります。

月と露出の設定

富士フイルム X-H2・TAMRON 18-300mm f/3.5-6.3・120mm(35mm判換算)で撮影
絞りF5・1/400秒・ISO800

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地上の街に露出を合わせて長秒で撮影し、月の輪郭は出さないという撮り方ももちろんできますが、今回はあくまで月の輪郭をしっかりと写しつつ撮影する方法について解説します。

月の出・月の入りの時刻や方角を事前に調べる

月は太陽との位置関係によって、満月か新月という地球上からの見え方が変わります。

月は太陽と同様に、日々昇る方角や地平線に顔を出す時刻が変わります。しかも太陽と違い、月の出の時刻は1日ごとにだいたい40〜50分くらいずつ後ろにずれていきます。従って「昨日と同じ時間に同じ場所に行ったのに、月が全然見えなかった」ということが起こります。

さらに、月の満ち欠けによって見える方角そのものが変わる点にも注意です。満月なら太陽が沈む西の反対側である東の空から昇ってきますが、新月に近い細い月だと日の出の時間付近に昇り、日没後、西の方角に沈みます。「今日は月が良い方角から上がったから来週も同じように撮れるだろう」という考えは、残念ながら通用しません。

月の撮影を始めた頃に感じたのは「月の位置って日々こんなに変わるの?」という感想です。「月がどこにも見当たらない」「思っていた方向と全然違う場所に月がある」という経験もあります。

月と太陽の関係さえ頭に入れておけば「今日は満月に近いから、日没時に反対側の東の空から月が昇ってくるはずだ」という予測がしやすくなります。

具体的な撮り方は、後編で詳しくお話しします。

方角をさらに具体的に調べるときは、月の出・入りの方位まで表示してくれる天体シミュレーションアプリや地図連動型のツールなどを使うのがおすすめです。地図上に月の軌道を重ねて表示できる機能があるアプリも多いので「東京タワーの真上に月を配置したい」「ビルの間から月を昇らせたい」みたいな構図を、現地に行く前にある程度はシミュレーションできます。いわゆるパール富士などの撮影も同じ方法で下調べが可能です。

月とレインボーブリッジの重なり

富士フイルム X-H2・TAMRON 18-300mm f/3.5-6.3・350mm(35mm判換算)で撮影
絞りF6.3・1/800秒・ISO320

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月とレインボーブリッジが重なるタイミングで撮影
アプリなどを使い距離などを考慮すれば、富士山やその他の被写体で応用可能

こちらのサイト(https://hinode.pics/moon)では撮影地にピンを置くと月の出入り方角および日々の月の満ち欠けの様子などを無料でチェックできます。有料でおすすめなのがサンサーベイヤー(Sun Surveyor)です。月のみならず太陽や天体などの角度を携帯の画面で事細かに確認することができます。アプリを起動させ、スマホ画面を空にかざすと月がどのように動くのか把握できます。他のスマホの天体観測アプリでも似たような情報が見られるものが多いので、自分が使いやすいものをひとつ決めておくと便利だと思います。
※無料版のサンサーベイヤーライトだと太陽の位置のみが確認できます。

その他のアプリに関してはこちら

  • PhotoPills
    風景・星景撮影のための計画アプリで、太陽・月・天の川の位置をARでその場にかざして確認できるのが強みです。日付を指定すれば、狙った場所からどの方角に月が昇るかをシミュレーションできるので、構図を決める段階でかなり重宝します。海外製の有料アプリですが、写真好きの間では定番と言っていい存在のひとつ(買い切りの有料)
  • Moonlitt
    月の出・月の入り・南中時刻を正確に表示してくれるアプリで、ARで空のどこに月があるかを探すことができるので便利です。満月や新月のタイミングを日々の通知で知らせてくれる機能もあります。(サブスクもしくは買い切り有料)
  • 東京夜景ナビの月の出・月の入り方角シミュレーター
    Webブラウザから、地図上の好きな地点を指定するだけで、その場所での月の出・月の入りの方角と時刻を確認できるサービスです。アプリをインストールしなくてもすぐ使えるので、「ちょっと確認したいだけ」というときに気軽に使えます(無料)
  • 国立天文台の暦計算室
    月の出入り時刻や月齢など、基礎となる天文データを公開している国のサービスです。位置を調べたりはできないので、あくまでカレンダーとしての機能です(無料)

撮影場所の下見も忘れずに

方角と時刻が分かっても、その方向に高い建物や山があれば月は隠れて見えません。地図アプリの3D表示機能などを使い、撮影候補地から狙いたい方角に障害物がないかを事前に確認しておきましょう。可能なら、本番前に一度現地へ足を運んでチェックしておくと安心です。展望台やビルの屋上みたいな見晴らしの良い場所は、それだけで月撮影の難易度がぐっと下がります。

撮影に必要な機材

最後に、当日までに揃えておきたい機材についても触れておきます。

カメラ・レンズ

月と街を一緒に画面に収めるなら、月を主題とするためにある程度の望遠が使えるレンズがあると心強いです。先に紹介した方角の調べ方とあわせてどのくらいの焦点距離があれば狙った構図になるかも意識しておくと、レンズ選びで迷いにくくなります。表現によって変わりますが、意外と100mm程度でも月が小さく見えると思うことがあります。

焦点距離別に月の見え方の参考画像は以下を参照してください。

月を単体で写すと焦点距離300mmでも物足りなく感じるが、街などを前景に入れることを考えるとちょうどよく感じます。

100mmの作例
100mmの作例
200mmの作例
200mmの作例
300mmの作例
300mmの作例
400mmの作例
400mmの作例
焦点距離165mmのレインボーブリッジ

焦点距離 約165mm
SONY α7IV・SIGMA 70-200mm F2.8 DG DN OS | Sports 023・165mmで撮影
絞りF6.3・1/200秒・ISO100

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月は小さいが、街と月の見え方のバランスがちょうどよく見える

三脚

月の出直後や月の入り直前を狙う場合、マジックアワーの薄暗い時間帯なのでシャッタースピードをある程度確保する必要が出てきます。三脚があると設定の自由度がぐっと広がるので、持っていけるなら用意しておくのがおすすめです。ただし展望台など三脚が使えない場所もあるので注意が必要です。

ただ、最近のカメラ・レンズは手ぶれ補正が優秀で暗所耐性もあるので意外と手持ちでどうにかなるケースも多いです。

また、月は刻一刻と動く被写体なので、あまりに長秒で撮影するとブレて見えることもあります。月の輪郭までしっかり写したい場合はシャッタースピードをある程度確保した方が良いです。そういった意味でも手持ちでどうにかなる場面も多いです。

リモートシャッター(レリーズ)・セルフタイマー

三脚を使う場合、シャッターを切る瞬間の微妙な手ブレが仕上がりに影響することがあります。リモートシャッターがあれば理想ですが、なければカメラ本体のセルフタイマー機能でも代用できます。

機材は多ければ良いというわけではありませんが「三脚が使えるかどうか」「望遠がどれくらい必要か」だけでも事前に把握しておくと、当日の動きがかなりスムーズになると思います。

まとめ

月を街と一緒に撮る第一歩は、準備や下調べにあると思っています。

  • 月の出・月の入りの時刻は日々変わる(1日で40〜50分くらいずれる)
  • 満ち欠けによって、月が見える時間帯や太陽との位置関係が変わる
  • 月の出入りの方角は、アプリや暦情報で事前にチェックしておく
  • 狙った方角に障害物がないか、現地の下見をしておく

ここまでの準備をしっかりやっておけば、当日は落ち着いて撮影に臨めるはずです。

後編では、実際に月を美しく街と一緒に写すための「時間帯選びのコツ」と「カメラの設定方法」について、作例を交えながらもう少し具体的にお話ししていきます。

作例に使用した機材

富士フイルム X-H2

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富士フイルム X-H2バナー画像

TAMRON 18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD (Model B061) 富士フイルムXマウント

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TAMRON 18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD (Model B061) 富士フイルムXマウントバナー画像

SONY α7 IV ボディ

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SIGMA 70-200mm F2.8 DG DN OS | Sports ソニーEマウント

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SIGMA 70-200mm F2.8 DG DN OS | Sports ソニーEマウントバナー画像

執筆者紹介

ライター相沢 亮(あいざわ・りょう)イメージ
■Photo & Text by

相沢 亮(あいざわ・りょう)

相沢 亮(あいざわ りょう)
大学院在学中にカメラに出会い、2020年より東京を拠点に写真家・ディレクター・ライターとして幅広く活動。広告撮影、雑誌への寄稿・写真・映像のディレクション、イベントへの登壇など活動の幅を広げる。2022年3月初著書『日常のフォトグラフィ』 (玄光社)を出版。

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