Nikon NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S II 実写レビュー × 写真家 河野英喜

目次
はじめに
光学設計の見直しにより「驚きの小型軽量化」を実現
実際に使用して感じる「合焦速度と精度」の向上
手に取って感じてほしい「繊細な描写」性能
前モデル「NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S」と比較
シンクロVR対応ボディとの組み合わせで「6.0段の手ブレ補正」効果
まとめ
作例に使用したカメラ
作例に使用したレンズ
フジヤカメラ | 東京都中野のカメラ専門店
はじめに
1000gを切る小型軽量化を実現!新世代大三元望遠ズーム
ニコンの大三元レンズと呼ばれるレンズのひとつZ 70-200mm f/2.8 VR Sが、2026年4月にモデルチェンジを果たしました。
今回登場した「NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S II」は、従来モデルの完成度をしっかりと受け継ぎながら、軽量化とAF性能の進化によって人物撮影における使いやすさを大きく引き上げた一本です。
【商品情報】Nikon NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S II
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スペック上の進化も確かに魅力ですが、このレンズの本質はむしろ撮影者の意図をどれだけストレスなく被写体に反映できるかという点にあると感じます。
ポートレートにおいて70-200mmという焦点域は、単なる望遠ズームではありません。被写体との距離感やその場の空気をどう整理するかをコントロールするために、重要なレンズだと思っています。
光学設計の見直しにより「驚きの小型軽量化」を実現
外観面での大きな特徴のひとつは、撮影スタイルに合わせて三脚座の取り外しが可能になった点です。三脚使用を前提とする撮影から手持ち中心の現場まで、状況に応じた柔軟な運用ができる設計になっています。
また、三脚座はアダプタ等なしでアルカスイスに対応出来るなど、幅広い撮影スタイルを可能にする柔軟な仕様に仕上がっています。
そして特筆すべきはその重量です。三脚座および保護カバーを外した状態で約998g。前モデル比で約26%の軽量化を実現し、現時点で世界最軽量クラスに位置づけられています。
さらに単焦点レンズであるZ 50mm f/1.2 S(約1090g)よりも軽いという点は、実際に手にした際に少なからず驚きを感じるポイントです。
全長も約12mm短縮されており、軽量化だけでなく小型化にも徹底的にこだわった設計が見て取れます。
こうした大幅な軽量化は、単なる外装の工夫ではなく光学設計そのものの見直しによって実現されています。6種類の高性能レンズを採用し、前群レンズ構成の変更や可動群の削減など内部構造を根本から最適化することで、このクラスのレンズでは異例とも言える軽さに到達しています。
単に軽くしただけではなく、描写性能や操作性とのバランスを崩さずに成立させている点が、このレンズの完成度の高さを物語っているように感じます。
また、コントロールリングには新たにスイッチが追加され、クリック感のある操作とシームレスな動作を選択できるようになりました。これにより、不用意にコントロールリングが動いてしまうことをある程度防ぐことができます。
加えて、ファンクションボタンも2つ追加されました。
実際に使用して感じる「合焦速度と精度」の向上
レンズの魅力は外見だけでは分かりません。実際に触れファインダー越しに見つめていく中で、確かな違いとして立ち上がってきます。特に前モデルを使ってきた方ほど、その進化は明確に感じられるのではないでしょうか。
Nikon Z9・絞りF2.8・1/320秒・ISO200
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前ボケにボリュームを持たせて撮影したが、ざわつきも少なく上品に仕上がった。焦点距離は110mm。背景を感じさせながらモデルを引き立てるには、100mm前後が使いやすい。
手にした瞬間の「あれ、軽い」という感覚から始まり、よりキビキビとした動きを見せるAF性能へと印象は繋がっていきます。マルチフォーカス方式とシルキースウィフトVCM(SSVCM)を採用し前モデルから最高約3.5倍に向上したAF速度は、単なるスペックアップにとどまらず撮影そのものへの没入感を大きく高めてくれます。
さらにズーム中のAF追従性能も約40%向上しており、フレーミングを変えながらの撮影でも安心して任せられる感覚があります。
Nikon Z9・絞りF2.8・1/250秒・ISO250
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街灯の灯りが少し明るく感じ始める午後5時30分。モデルの顔に当たる街灯の光を見ながら、モデルの立ち位置を調整。モデルの顔の陰影は、街灯の光を利用している。
人物の動きは、標準の焦点域ではそれほど大きく感じないかもしれません。しかし85mmあたりから、止まっているように見える中にも絶えずどこかが動いていることに気づき始めます。
Nikon Z9・絞りF2.8・1/160秒・ISO200
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焦点距離は150mm。開放でも合焦面のシャープさは素晴らしい。この角度でこれ以上の焦点距離ではボケすぎてしまう。
そして105mm、135mmと望遠域に入るにつれて、その動きはより顕著に現れます。モデルとの距離によってはわずかな動きでもフレームアウトしてしまうほど、前後左右に繊細に被写体が揺れていることを実感するはずです。
Nikon Z9・絞りF3.2・1/160秒・ISO200
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135mmで撮影した。深みのある奥に続くボケのグラデーションが美しい。赤みのある植物をアクセントに前ボケに添えている。
そうした状況の中で、このレンズのAF速度と追従性能の向上は、確実に一枚をものにするための大きな武器になります。
Nikon Z9・絞りF2.8・1/400秒・ISO640
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時刻は17時。曇天の夕方はコントラストが低くなる。
開放F2.8の物理的な明るさは、このあたりから真価を発揮する。
さらに、このレンズの価値はメカ的な速度だけにとどまりません。開放F2.8の明るさが生み出す大きなボケは、まず語られるべき魅力のひとつです。
その豊かなボケは絵作りの幅を大きく広げてくれますが、個人的にはそれ以上に悪天候や朝夕といった低照度環境でこそ真価を発揮するように感じています。
Nikon Z9・絞りF2.8・1/320秒・ISO3200
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肉眼ではほどほどに暗く感じる中、感度を上げて明るめに撮影。感度を上げる時は、少し明るめに撮る方が仕上がりが綺麗だ。
AFの速度と精度がしっかりと担保されていることに加え、Zマウントシステムならではの「シンクロVR」対応ボディとの組み合わせによる手持ち撮影では、手ブレに対する安心感が非常に高く、光を活かした撮影に集中することができます。
手に取って感じてほしい「繊細な描写」性能
描写に関しては、料理と同じで最終的には実際に味わってもらうのが一番だと思います(笑)。
ただ、初めて手にする方にとっては大きな感動があり、前モデルを使ってきた方にとっては確かな変化として感じられるはずです。
Nikon Z9・絞りF2.8・1/400秒・ISO64
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晴れは肌を輝かせる。フリンジなどで色づきやすい髪にも、全くその様子は感じられない。どの角度から撮っても、肉眼で見ているかのようなクリアさだ。
Zマウントレンズは、Fマウント時代以上にピント面の繊細さに磨きがかかっている印象があります。それに加えて、より大きく、雑味のない豊かなボケを重視し、前後のつながりや奥行きの中での滑らかさを丁寧に設計しているように感じます。そこに過度ではない絶妙なコントラストが加わることで、立体感のある描写へと繋がっています。
Nikon Z9・絞りF2.8・1/1250秒・ISO320
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晴れた森の中は、グリーンの反射や色被りで溢れている。この色は好みが分かれ嫌う人も多いが、僕は空間の色としていつもグリーンを残す方向で調整している。
前モデルも人物撮影に限らず非常に高い評価を得ていましたが、今回のモデルではさらにその表現が一段深まっています。特に印象的なのはボケの質の豊かさと、それによって生まれる“ボケによるスポット効果”です。
Nikon Z9・絞りF2.8・1/800秒・ISO64
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焦点距離85mm。普段使う単焦点レンズとは画面の見え方は違って見えるが、拡大しても高いクオリティーの解像感と描写だ。
主題である人物を自然に引き立てながら、背景をただぼかすのではなく空気ごと整理してくれるような描写。その結果として、被写体の存在感がより静かに、しかし確かに浮かび上がってくるような印象を受けます。
前モデル「NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S」と比較
NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR Sで撮影
Nikon Z9・絞りF2.8・1/400秒・ISO64
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NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S Ⅱで撮影
Nikon Z9・絞りF2.8・1/400秒・ISO64
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こうして並べて比較してみると、さすが大三元と呼ばれるだけのクオリティで、ぱっと見ではどちらも甲乙つけがたい完成度に感じられます。しかし、少し拡大して見ていくと、その違いはアナウンス通り“ボケ”の部分に確かに現れています。
絞り羽根は従来の9枚から11枚へと増え、より円形に近い形状へと改良されています。その効果は特に玉ボケの輪郭や整い方に見ることができ、わずかな違いではありますが見比べると確実に印象の差として感じ取ることができます。
また、ボケそのものの大きさも前モデルに比べてわずかに大きくなっており、モデルを引き立てる力がより強まっている印象です。
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【商品情報】Nikon NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S II
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【商品情報】Nikon NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S
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シンクロVR対応ボディとの組み合わせで「6.0段の手ブレ補正」効果
Nikon Z9・絞りF2.8・1/100秒・ISO640
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遅めのシャッター速度もシンクロVR対応カメラ+レンズの手ブレ補正で安定し、モデルの動きを止めることなく撮影を進められた。
焦点距離約150mmで、シャッタースピード1/100秒に設定して撮影を行いました。この焦点距離であれば、一般的には1/160秒以上での撮影が望ましいとされていますが、あえてブレやすい条件を作り、その中でどの程度手ブレを抑えられるのかを試しています。
結果としては良好で、被写体ブレを除けばほぼ手ブレのない安定したカットを継続して得ることができました。もちろん基本は、物理的にシャッタースピードを上げて手ブレを防ぐというのがセオリーです。
ただ、その前提の上でこのレンズに搭載された手ブレ補正の進化は、小さな差ではありながらも確実に効いており、結果として“もう一歩踏み込んだ条件でも撮れる”という安心感につながっています。その積み重ねが、最終的には一枚を確実にものにする精度へと繋がっていくように感じます。
まとめ
軽さと高いクオリティーは正義。そう主張するかのように、NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S IIに続いてモデルチェンジを果たしたNIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S IIは、「よりナチュラルに」「よりコンパクトに」そして「より軽く」と、これからのレンズの方向性を示しているように個人的には感じています。
これまで「良いレンズは重くて大きいもの」というのが、当然の価値観としてありました。しかし実際にこの新旧2本を手に取って比べてみると、その重量差は想像以上に明確で、正直なところ“できるなら軽いほうがいい”と感じてしまうのが本音ではないでしょうか。
初代のNIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR Sをお持ちの方へ
僕自身も前モデルのユーザーですが、一般的にレンズのモデルチェンジサイクルがおおよそ10年前後であることを考えると、持ち替えを検討する価値は十分にある一本です。
これから手にする方へ
純正の大三元と呼ばれるレンズは、やはり特別な完成度を持っています。その中でもこの一本は、扱いやすさと描写力を高い次元で両立した、非常にバランスの取れた仕上がりです。
日々の撮影の中で、確実に応えてくれるレンズとして。ぜひ一度、手元に置いてみてほしいと思える一本です。
作例に使用したカメラ
【商品情報】Nikon Z9
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作例に使用したレンズ
【商品情報】Nikon NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S II
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【商品情報】Nikon NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S
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Photo & Text by 河野英喜(こうの・ひでき)
フジヤカメラ | 東京都中野のカメラ専門店
1938年の創業以来、80年以上にわたり多くのカメラ愛好家の皆さまに支えられてきました。
店内には、わずか数日で入れ替わる新鮮な在庫が並び、充実した保証体制と、初心者のお客様にも安心してご相談いただけるスタッフの親切・丁寧なアドバイスを大切にしています。
中古品の在庫は、最新機材からヴィンテージモデルまで常時3,000点以上。その豊富なラインナップは、全国でもトップクラスです。
また、遠方にお住まいでご来店が難しいお客様にも、インターネットやお電話による通信販売を通じて、安心してお買い物いただける環境を整えています。
機材選びのことなら、ぜひフジヤカメラにお任せください。
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