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2022.11.08
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Nikon NIKKOR Z 40mm f/2 レビュー × 落合憲弘 |「絞る楽しみ」を思い出させてくれる写欲をそそるレンズ

Nikon NIKKOR Z 40mm f/2 レビュー × 落合憲弘 |「絞る楽しみ」を思い出させてくれる写欲をそそるレンズ

フジヤカメラプロフェッショナルレビューでもすっかりお馴染みとなったフォトグラファー落合憲弘氏によるNikon(ニコン)の単焦点レンズNIKKOR Z 40mm f/2の実写レビューをお届けします。

NIKKOR Z 40mm/f2は、全長45.5mm、重さ170gというサイズで、軽量でコンパクトな取り回しの良いNikon(ニコン)Zマウント向けの標準単焦点レンズです。

落合憲弘氏の語る「絞る楽しみ」とは?街中スナップを中心とした作例と共にその魅力に迫ります。


ライター落合憲弘(おちあい・のりひろ)イメージ
■レビュアー紹介

落合憲弘(おちあい・のりひろ)

1963年、東京生まれ。1988年よりフリー。学生の頃より歌って踊れる(撮って書く)スタイルを標榜し「写真に一途ではない」姿勢を悪びれることなく貫いた結果、幸か不幸か見事、器用貧乏に成り下がり今日に至る。人目を忍ぶ趣味、多数。コロナ禍の影響、甚大。2022年カメラグランプリ外部選考委員

ワタシにとって標準系単焦点って、「使いこなしが難しく、まるで自らを戒める存在」

レビュー対象として、800mm、400mmの次に、いきなり40mmをあてがってくるなんて、フジヤカメラブログのプロフェッショナルレビューってば、けっこーイジワル(笑)。超望遠レンズをブンブン振り回してきたそれぞれのレンズレビューは、過去記事を遡って確認していただけるとウレシイのだけど、ナニはトモアレ800mm→400mm→40mmという怒濤の流れは、「得意分野」というものを持っているリッパな写真家さんだったら「ちょ、ちょっとお腹が痛いんで・・・」とかナンとか言いながらテイよく逃げる案件でしょうね。撮るもの、撮れるものが大きく違ってきちゃいますから。

でも、幸か不幸かワタシは雑食系。餃子が一番好きという譲れない食の好みはあるけれど、写真に関しては「撮るのが好き」である以外に、なぜかさほどのこだわりはなく基本、被写体の選り好みはしないタイプだ。というワケで、満面の微笑みでありがたくお借りいたしましたですよ、ニコン「NIKKOR Z 40mm f/2」を。

とはいいつつ、ふだん高倍率ズームレンズを好んで使っている身には、「40mm一本勝負」となる本件は、正直けっこうヤバめな案件であるとの思いもあった。ワタシにとって標準系の単焦点レンズというのは、これまでの経験からすると、写真に対する"逃げ"の排除、すなわち都合よき退路を閉ざすことにおあつらえ向きの「使いこなしが難しい存在」でしかなかったからだ。

ゆえに、自分(私)にとってその手のレンズは基本、楽しんで使う相手じゃなかったってこと。自らを戒める存在、あえていうなら「再教育レンズ」みたいなものだ。時々使ってみて、苦しみに身悶えながらデトックスを図る・・・ みたいな感じ。まるで、大好きな高倍率ズームレンズばかりを使っていると老廃物が溜まるっていっているみたいですけど・・・ 溜まってるような気がするんだよねぇ(自覚してんのかい!)。

あ、ちなみに先ほど「"撮るのが好き"以外にさほどのこだわりはない」「被写体の選り好みはしない」とエラそーに申し上げましたが、ブツ撮りは大キライなので基本お断りです、ハイ。

Nikon Z 7Ⅱ・Nikon NIKKOR Z 40mm f/2で撮影した手の画像

Nikon Z 7Ⅱ・Nikon NIKKOR Z 40mm f/2
絞りF2.0開放・1/50秒・+0.7EV補正・ISO1100・WBオート・JPEG

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残存収差の"効果"でポヤンとした描写になる開放F値の最短撮影。そうと分かって開放&最短を選ぶなら、コワいモノはナニひとつナイ愛すべき特性だ。

Nikon Z 7Ⅱ・Nikon NIKKOR Z 40mm f/2で撮影した蝶の画像

Nikon Z 7Ⅱ・Nikon NIKKOR Z 40mm f/2
絞りF2.0開放・1/5000秒・+0.7EV補正・ISO800・WB晴天・JPEG

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場合によっては、周辺部に危うさを感じさせることもある開放F値の最短撮影なのだけど、そうと分かっているのなら「絞りを全開でグンと迫る」行為に躊躇は不要。実態のある背景を選ぶと絵作りの楽しみが倍増する。

スカッと軽くて、ミョーに安いんだけど、あら残念、外観があまりカッコよくない(涙)

スカッと軽いレンズだ。よく見りゃプラマウントである。なるほど、そういう立ち位置なのね。
ラインアップ上、前後を挟むカタチになっているNIKKOR Z 35mm f/1.8 S(実勢価格11万円台前半)とNIKKOR Z 50mm f/1.8 S(実勢価格7万円台前半)が両方ともS-Lineに属するハイスペックなレンズであるのに対し、こちらは「無印」の40mm f/2ということで、実勢価格もグーンと身近な2万円台後半! なんかミョーに安くね?

ちなみに、オリジナルよりSpecial Editionの方が先に市場に放たれてしまうという見事な逆転現象に見舞われたNIKKOR Z 28mm f/2.8とは、コンセプトからしても二卵性双生児の関係であるといってもいい存在感。だからなのか、NIKKOR Z 28mm f/2.8の実勢価格も40mm f/2と同レベルのお安さだ(ただし「Z fc」とコンビを組むSpecial Editionは3万円台中盤のプライス)。

というワケで、外観があまりカッコ良くないところも両者とてもよく似ているね(失礼!)。ニコン「Z」のレンズとして初期の設計であることを彷彿とさせる「筒」感が満載の外観シルエットには、ボン・キュッ・ボン! とまではいわないものの、もう少しメリハリのようなものが欲しいし、それより何より前ダマが小さすぎでしょ! そのすぐ向こうに絞り羽根が見えるってのも、なんか興ざめなんだよなぁ。

フィルター径に限りなく近い「ちゃんと大きく見える」前ダマが欲しいってのは、もはやゼイタクな望みなのかしらん? ナンならそこはダミーでもいいんですけど(暴言)。小型軽量化が優先順位の上位にくる昨今の情勢を鑑みるならば、アソコもココも小さくしようというのは正しいアプローチなので、こんなところでくだを巻くのはケシカランと自覚してはいるのだけど、アソコのサイズは永遠の悩みにも繋が・・・ん? ナニか違う? いや、違わない。前ダマの話です。

NIKKOR Z 40mm f/2とNIKKOR Z 50mm f/1.8 Sの撮り比べ

Nikon Z 7Ⅱ・Nikon NIKKOR Z 40mm f/2絞りF2.0で撮影した花の画像

Nikon Z 7Ⅱ・Nikon NIKKOR Z 40mm f/2で撮っている。焦点距離と最短撮影距離の違い
絞りF2.0開放・1/320秒・ISO100・WB晴天・JPEG

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Nikon Z 7Ⅱ・Nikon NIKKOR Z 40mm f/2絞りF1.8で撮影した花の画像

Nikon Z 7Ⅱ・Nikon NIKKOR Z 50mm f/1.8 Sで撮っている。焦点距離と最短撮影距離の違い
絞りF1.8開放・1/320秒・ISO100・WB晴天・JPEG

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ともに開放F値+最短撮影距離で撮っている。焦点距離と最短撮影距離の違い(40mm f/2が0.29mであるのに対し50mm f/1.8Sは0.4m)から、主要な被写体の写るサイズが違っているけれど、しべや花びらの部分に見られる描写の違いは明確だ。一方、背景のボケの柔らかさは互角の味わい。ハマればここまでイイ感じのボケが得られるということで、40mm f/2の魅力のひとつにボケを謳うことにも納得の仕上がりである。

Nikon Z 7Ⅱ・Nikon NIKKOR Z 40mm f/2で撮影したつる性植物の画像

Nikon Z 7Ⅱ・Nikon NIKKOR Z 40mm f/2
絞りF2.0開放・1/500秒・+0.7EV補正・ISO100・WBオート・JPEG

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ムリして最短まで寄らなければ、描写は隅から隅まで安定するし、ボケもご覧の通りの美しさ。どの距離感までなら美しいボケが得られるか、撮影者自身の身に染み込ませておくことが必要なレンズだといえるかも知れない。

令和の純正レンズには珍しい「絞る楽しみ」を思い出させてくれる存在

本レンズの描写に関しては、現代のレンズらしい安定感と、どこか懐かしい感じが共存しているとの印象だ。開放から基本シャープな画を結ぶ一方、すでに作例でご覧に入れているように、例えば開放F値のまま最短撮影距離まで寄ったときにはブワッと収差の残存が見えてくるなど、状況により描写の味わいが異なる一面を持っているのである。

おそらく、動画を撮っている限りは気にならないレベルの話だ。ミニマムなサイズと軽さ、そして価格のすべてを成立させるための前向きな姿勢がいざなった結果でもあるのだろう。それらの"割り切り"が成されているレンズだと思えば、このちょっぴりクセのある使用感に納得することにも造作はない。

さらに、このレンズは「大きなボケが得られる」こともアピールポイントのひとつにしているけれど、そのボケも、主要被写体との距離とか背景に存在する要素に一定の条件が整っていない場合、カタログの作例写真にあるような美しさを見せてくれないことがままある。しかも、その傾向は開放F値のときに顕著だ。それが、このレンズの持つ唯一の落とし穴かも?

要するに、令和の純正レンズには珍しい「絞る楽しみ」を思い出させてくれる存在でもあるということだ。中途半端な距離感で大したこだわりもなくダラッと開放F値で撮るぐらいなら、いっそのことf11ぐらいまでガッと絞って撮った方がイイ感じの仕上がりが得られることが多いのである。

そのあたりの印象を左右するのは、解像性能そのものではなく、ちょいボケ部分の描写だ。引きの画で少しだけピントが外れている部分の再現に、レンズ性能の限界が見えてしまうことがある。なんか、こう、ボケが「ワイルドだろぉ?」と主張するかのようになってしまうのだ。

もっとも、そこは価格なりといったところか。S-Lineのレンズとの間には、やはり越えることのできない壁がある。ちょいボケ部分に上質ささえ求めなければ、いかなるときにも解像描写性能に関し神経質になる必要など皆無であり、さらに適度な近接撮影では手軽に美しいボケを得ることもできるのだけど、それは「使い方のコツさえ掴めば」という条件付きでの話。シンプルな見た目とは裏腹に、お手軽には使いこなせない部分もあったりするワケだ。

つまり、レンズが先走るのではなく、撮影者と一体になってベストな結果を引っ張り出すタイプのレンズってこと。なので、ちっちゃくて、軽くて、安価で、ついでにあまりカッコよくないから初心者向け…なんて安易な認識を持っていたら盛大にバチが当たりますぞ。上手に付き合うには、それなりのスキルが求められるのだから。

Nikon Z 7Ⅱ・Nikon NIKKOR Z 40mm f/2で撮影した自転車の画像

Nikon Z 7Ⅱ・Nikon NIKKOR Z 40mm f/2
絞りF2.0開放・1/800秒・ISO100・WBオート・JPEG

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ボケ・ワイルド化の一例。個人的には「背景にも物語性を維持するボケの度合い」と、その効果による「立体感の演出」がお気に入りの仕上がりではあるのだけど、ボケそのものが美しいかと問われれば、こたえは「否」。開放F値を積極的に使うべきかどうか、判断が難しい場面だといえる。

Nikon Z 7Ⅱ・Nikon NIKKOR Z 40mm f/2で撮影した空と木の画像

Nikon Z 7Ⅱ・Nikon NIKKOR Z 40mm f/2
絞りF2.0開放・1/2000秒・−0.3EV補正・ISO100・WB晴天・JPEG

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ここでアレコレ言っているボケの話は、等倍に近い拡大チェックなどをせず、大人しくモバイル端末で見ている限りは一切、気にならないレベルの話でもある。それで良いのならソレでヨシ。でも、「ボケなんてぇもんは、必要な部分に後処理でフィルターかけりゃいいだけでしょ」という、スマホですでに進行(侵攻)しつつある世界だけになってしまうのは避けなければならない。そのためにも「ちょいボケのクオリティアップ」は追求され続けるべきだと思う。

Nikon Z 7Ⅱ・Nikon NIKKOR Z 40mm f/2で撮影した街灯と曇り空の画像

Nikon Z 7Ⅱ・Nikon NIKKOR Z 40mm f/2
絞りF2.0開放・1/8000秒・+0.3EV補正・ISO64・WBオート・JPEG

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開放F値から涼しい顔をしながらキレキレの画を結ぶレンズが普通に存在するようになっているミラーレス機全盛の今、愛すべきユルさを捨て切れていない純正レンズはある意味、希少。その描写を四角四面に捉えると、レンズ設計の割り切りが生んだ欠点ということになりかねない世の中ではあるのだけど、その仕上がりを「写真」としてみた場合に、少しだけピントが外れているところの甘ったるい描写を欠点であると言い切れる強い人間は、実はそうそういないのではないかとも思う。

Nikon Z 7Ⅱ・Nikon NIKKOR Z 40mm f/2で撮影した公園の画像

Nikon Z 7Ⅱ・Nikon NIKKOR Z 40mm f/2
絞りF2.0開放・1/2500秒・ISO100・WBオート・JPEG

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超望遠レンズはシャッター速度優先AEで撮ることがほとんどだし、それ以外の個人的な撮影ではプログラムAEで済ませていることが多い令和のヘタレなワタシに、絞り優先AEで撮ることの楽しみと重要性を思い出させてくれたレンズである。そういう意味では、やっぱり鬼教官レンズ? 確かに気づきは多かった。

使い続けるに従い、使用感が35mmレンズに徐々に近づいていくから、馴染むと結構優しいのだ

40mmレンズを一般論でくくると、まずは50mmほど縛りがキツくなく、でも35mmほど自由でもない絶妙な(微妙な?)画角を持つレンズということになるだろう。実際、ワタシにとっては、50mmレンズほど「修行」な感じは強制されずに済んでいるということで、そこのところは、今回のミッションを完遂するにあたり大きな助けになったといえる。

しかも、使い続けるに従い、使用感が35mmレンズに徐々に近づいていく(50mmレンズに似た縛られ感を次第に感じなくなる)という、想定を越えた"良き馴れ合い"を感じるようにもなっていた。40mm(の画角)って、馴染むと実はけっこう優しいのだ。だからといって、決して易しくはないのが単焦点レンズらしいところなのだけれど、そんな感じの多面性もこのレンズが有する魅力のひとつに挙げられるかも知れない。

Nikon Z 7Ⅱ・Nikon NIKKOR Z 40mm f/2で撮影した人物画像

Nikon Z 7Ⅱ・Nikon NIKKOR Z 40mm f/2
絞りF2.0開放・1/50秒・−1EV補正・ISO4000・WBオート・JPEG

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写真の中に存在するモノの距離感が狭い範囲に収まっていれば、そこに点在する半端なボケ量も肉眼で見たイメージと解離することなく、自然に受け入れられたりするし、理想から少し外れたボケ味が、かえってリアリティを生む場面も確かにある。一筋縄でいかぬとは、まさにこのこと。答えがひとつじゃないから面白い。こういうレンズがあるからこそ写真はオモシロい。

Nikon Z 7Ⅱ・Nikon NIKKOR Z 40mm f/2で撮影した道に映る影の画像

Nikon Z 7Ⅱ・Nikon NIKKOR Z 40mm f/2
絞りF11・1/80秒・ISO100・WB晴天・JPEG

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どうしても近視眼的な被写体の見方になりがちなレンズだった。言い方を変えると、極めてパーソナルな目線での写真が多くなる、そういう写真を撮るのに向いたレンズなのかも? 40mmレンズをバカにする者は40mmレンズに泣く。そう強く思いつつ、泣きながら撮った1枚(笑)。

自らの「撮りたい気持ち」を先に立たせて付き合うことのできる存在

被写体を「記録に収めたい物体や出来事」として認識しつつ、ベストなカタチで捉えることを優先しがちな超望遠レンズや、まずは「より広い範囲を撮りたい」という実利面から重用されることの多い広角レンズとは異なり、標準系単焦点レンズは、被写体ありきのアプローチではなく自らの「撮りたい気持ち」を先に立たせて付き合うことのできる存在だ。

だからこそ、そこには高級クラス一辺倒のラインアップではなく、昔ながらの「安価で明るいレンズ」も必要になってくる。NIKKOR Z 40mm f/2は、まさしくそのために生み出された1本なのだと思う。現代のレンズラインアップに生じがちな「穴」を埋めるべく登場した優しい救いの神。そう受け止めることで、存在意義はより明確になるんじゃないだろうか。

いや、しかし、標準系単焦点レンズには、やっぱり教えられることが多いね。今回、使ってみて、アレコレ頷くことばかりだった。というワケで、スランプに陥っているソコのアナタ! このレンズを買えば、パッと視界が開けるかも知れませんよ〜。って、アヤシげなブツを、さも御利益ありげに売りつけるかのごとき口ぶりになっておりますが、40mm単焦点レンズにけっこうな気づきがあったのは事実なので、騙されたと思ってドウゾお試しあれ。たぶん、新しい世界に触れることができるハズだし、その結果、撮れる写真もきっと変わってくれると思うから。

Nikon Z 7Ⅱ・Nikon NIKKOR Z 40mm f/2で撮影した遊具の画像

Nikon Z 7Ⅱ・Nikon NIKKOR Z 40mm f/2
絞りF2.0開放・1/1000秒・−0.7EV補正・ISO100・WBオート・JPEG

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100点満点に届かない部分をどう料理するかは、使い手(撮り手)の思うがまま。設定する絞り値ひとつで、仕上がる写真の味わいは手軽に、いかようにでもコントロールできるのだ。その意味においては、懐の深いレンズであると評価することもできよう。安価に手に入り気軽に使い倒せるからこそ多面性が光る存在だ。

Nikon Z 7Ⅱ・Nikon NIKKOR Z 40mm f/2で撮影したす滑り台の画像

Nikon Z 7Ⅱ・Nikon NIKKOR Z 40mm f/2
絞りF11・1/60秒・ISO100・WBオート・JPEG

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開放で撮るよりガツンと絞った方が、クセは残っても暴れの少ない平滑なボケが得られるという事実を端的に示すレンズでもあった。ここでは、背景のボケの具合を見るとともに、撮影に使用したZ 7IIのダイナミックレンジの広さもついでに確認しちゃいましょうか。シャドー部の再現、ハイライト部のギリ粘る感じの双方が、肉眼で認知していた光線状態をそのまま表す見事な仕上がりである。

Nikon Z 7Ⅱ・Nikon NIKKOR Z 40mm f/2で撮影したフェンスの画像

Nikon Z 7Ⅱ・Nikon NIKKOR Z 40mm f/2
絞りF11・1/400秒・−0.7EV補正・ISO100・WB晴天・JPEG

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普通なら「開放で周辺光量を落としながら・・・」なんて画策しがちな場面も、NIKKOR Z 40mm f/2を手にしているときは「ここではグンと絞ってみるか〜」なんてアプローチになることが多かった。ガチな風景写真とは基本、縁遠いワタシは、デジカメ時代になってからf5.6以上に絞って撮ることが極端に減っていたのだけど、今回の試用を通じ、積極的に絞り込んで撮ることの効能と楽しさを再認識した気がする。回折補正やセンサーのゴミ取り機能の性能向上が著しいことも手伝い、やっとのことで「絞り込むのこわーい」から脱却できるのかも??

作例に使用したカメラ

Nikon(ニコン)Z 7Ⅱ

Z7 II は、Nikon史上最高画質のフルサイズミラーレス一眼カメラです。
防塵・防滴仕様の高い剛性と耐久性を持ったマグネシウム合金製のボディと、最大10コマ/秒の高速連写や、ほぼ画面全体をカバーする493点のフォーカスポイント、ターゲット追尾AFや瞳AF/動物AFを持ち、高画素でありながら高い速写性能を併せ持ったオールラウンド機。

作例に使用したレンズ

Nikon(ニコン)NIKKOR Z 40mm f/2・NIKKOR Z 50mm f/1.8 S

まとめ

・実態のある背景を選ぶと絵作りの楽しみが倍増する開放F値の最短撮影
・価格も重さも軽い
・ボケ味も魅力のひとつ
・50mmほど縛りがキツくなく、35mmほど自由でもない画角を持つレンズ
・昔ながらの「安価で明るいレンズ」

Photo & Text by 落合憲弘(おちあい・のりひろ)

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