Leica M EV1 実写レビュー × ガンダーラ井上|初のEVF内蔵M型ライカ!新しいのに往年のM型からQシリーズユーザーまでおすすめな一台

目次
はじめに
Leica M EV1の特徴
正面にガラス窓がないライカ
M型デジタル初のEVF内蔵モデル
Leica M EV1の開発背景
合焦範囲が極端に狭いレンズでEVFを試す
Leica ノクティルックスM 50mm F1.0 E60で試写
最短撮影距離が連動範囲外のレンズにも対応
Leica ズミルックスM f1.4/50mm ASPH.で試写
外付けファインダーなしで超広角撮影
Leica エルマリートM 21mm F2.8 E60で試写
ライカR一眼レフ用のマクロレンズで接写
Leica マクロ・エルマリートR 60mm F2.8で試写
まとめ | こんなユーザーにおすすめ
作例に使用したカメラ
作例に使用したレンズ
はじめに
今回レビューをお届けするのは、ライカカメラ社の新製品「Leica M EV1」です。
本機は型番の示すとおりライカMマウント交換レンズに対応した電子ビューファインダー(EVF)内蔵モデル。
そこで各種交換レンズを用いた場合のEVFの使い勝手を中心にレポートします。
【商品情報】Leica M EV1
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Leica M EV1の特徴
正面にガラス窓がないライカ
Leica M EV1最大の特徴は、M型ライカ伝統の光学式レンジファインダーをEVFに換装したこと。このことから、正面から見ると右上にあるはずの光学式ファインダーのガラス窓がありません。
その姿に既視感があるのは、フィルム時代の特殊モデル、Leica MD-2の雰囲気に近いからかもしれません。Leica MD-2とはLeica M4-2から光学式レンジファインダーを取り除いたモデルで、光学式のレフボックスである元祖ビゾフレックスもしくはアクセサリーシューに外付けの光学式ビューファインダーを装着することが前提のカメラでした。
M型デジタル初のEVF内蔵モデル
Leica MD-2は単純に光学式レンジファインダーを省いた“素うどん”みたいなカメラでしたが、Leica M EV1は乗っている具が変わったことがポイントで、光学式レンジファインダーの代わりにEVFを搭載しています。だから、カメラの背面にはビューファインダー用のアイピースがあります。スペック的には576万ドットの高精細EVFで、レンズ固定式のフルサイズ機であるLeica Q3シリーズのEVFと同等。アイピースの右にある視度調整のつまみもLeica Q3シリーズによく似た構造です。
カメラ本体のスペックはLeica M11に準ずるもので、6,000万画素トリプルレゾリューションのセンサーと、アナログ時代のライカレンズの描写も損なわないことを目的とした極薄のセンサーカバーガラスを採用しています。
Leica M EV1の開発背景
M型ライカといえば、エッジの効いた実像式の二重像を合致させることでマニュアルフォーカスする光学式距離計を搭載していることが、熱心なライカファンの心を捉えています。ですがなぜ、EVF内蔵のMマウント機を開発するに至ったのでしょう?
Esquire日本版で、本機の開発に携わったライカカメラ社の副社長ステファン・ダニエル氏へ取材をする好機に恵まれたので、その経緯を聞いてみました。
するとそもそも、以下のような事実があるそうです。
・ユーザーからEVF内蔵モデルへの要望が数多く寄せられている
・現行のM型デジタルに対する外付けEVF「ビゾフレックス2」の装着率は50%近くある
これを裏付けるべくアメリカとドイツでコアなライカユーザーへのヒアリングを実施したところ、非常に好感触だったとのこと。そのことから製品化の決断に至ったそうです。
【商品情報】Leica ビゾフレックス 2
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合焦範囲が極端に狭いレンズでEVFを試す
Leica ノクティルックスM 50mm F1.0 E60で試写
従来の光学式レンジファインダーでのピント合わせがリスクを伴う行為と感じられるのは、大口径レンズの絞り開放での撮影というのが代表例かと思います。
そこでピントの浅いレンズとして思い浮かぶのが、歴代のノクティルックス50mm。今回は球面レンズで開放F1の後期モデル(E60)を装着してみました。
LEICA M-EV1・NOCTILUX-M 50mm F1 (E60)
絞りF1・ 1/160秒・ISO 400・AWB・L-JPG
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絞り開放F1で最短撮影距離1m近辺での撮影。
ファインダーの中にはレンズが捉えた画像そのものが見えるので、ボケの量が半端でないことが一目瞭然です。光学式レンジファインダーの場合は撮った後にボケの大きさに驚くわけで、撮影体験としては全く異質なものです。
ファインダー内の印象はAF機であるLeica Q3シリーズの見え方に近く、それゆえ『これがAFだったらどんなに便利だろう!』と無茶な考えが頭をよぎったりもしますが、ライカMシステムは手動でピント合わせをすることがルールです。
LEICA M-EV1・NOCTILUX-M 50mm F1 (E60)
絞りF1・1/200秒・-1EV・ISO 64・AWB・L-JPG
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ファインダーフレームの中央でピントを合わせてから構図を変えると微妙に合焦位置がズレてしまうという現象が光学式のレンジファインダーでは起きますが、EVFはフレーム内の好きな場所を選んで拡大表示もできるのでピントの確実性は高いです。ピント精度を上げるため拡大率の高い距離計で測距してからフレーミングを決めるという撮影手法は、M型ライカ登場以前のバルナック型ライカでの撮影所作に近く、素早く撮れるようになるには相当な習熟が必要です。ささっと撮るならフォーカスピーキングが有利ですが、相手が無表情なマネキンならともかく生身の人間の場合にはピーキングの縁取りが目障りで表情に集中できなくなるという欠点も持ち合わせています。
絞り開放F1で夜の公園をスナップ。
LEICA M-EV1・NOCTILUX-M 50mm F1 (E60)
絞りF1・1/125秒・-1/3EV・ISO 1250・AWB・L-JPG
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動きのある被写体の未来を予測してシャッターを切る。いわゆるスナップショット撮影に関しては、EVFよりも光学式のファインダーに優位性があるかなと感じさせるようなシチュエーションでの撮影です。
やはり光学式レンジファインダーの“生感覚”とは全く違う視覚インターフェイスなので、動き続ける被写体の流れに乗ってEVFでシャッターを切るには習熟が必要です。鍛錬を積んでいないフォトグラファーならば連写で偶然撮れてしまうことを期待する方が無難な気もします。
個人的には自分が写真を撮った実感が欲しいのでシングルショットで撮影。被写体の動きが止まった一瞬を狙ってシャッターを切るのであれば、EVFでもストレスを感じることはありませんでした。
最短撮影距離が連動範囲外のレンズにも対応
Leica ズミルックスM f1.4/50mm ASPH.で試写
ライカMデジタルの光学式レンジファインダーでピント合わせができるのは70cmまでです。最近のライカMレンズには、最短撮影距離が70cmよりも短いモデルが発売されています。最新のズミルックスM f1.4/50mm ASPH.では45cmまでピントリングが繰り出せます。70cmを超えたところでクリック感があり、ここから先は背面LCDのライブビューもしくは外付けのEVFビゾフレックスで確認しましょうというサインが指先から伝わってくるのですが、Leica M EV1であれば何も気にすることなく近接領域でも内蔵されたファインダーでシームレスに撮影が続けられます。
【商品情報】Leica ズミルックスM f1.4/50mm ASPH.
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LEICA M-EV1・SUMMILUX-M f1.4/50mm ASPH.
絞りF1.4・1/125秒・-2/3EV・ISO 1000・WBタングステン・L-JPG
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これが光学式レンジファインダーの連動する最短撮影距離70cm。M型ライカが登場した1954年の時点では最短撮影距離が1mというレンズが標準仕様でしたからそれと比べれば寄れるという気もするのですけれど、もうちょっと寄りたいということもありますよね。
LEICA M-EV1・SUMMILUX-M f1.4/50mm ASPH.
絞りF1.4・1/160秒・-1EV・ISO 1000・WBタングステン・L-JPG
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ということで最短撮影距離の45cmまでググッと寄っていくとこうなります。
50mmの標準レンズで最短撮影距離が45cmという感覚はフィルム時代の一眼レフを使った経験のある方には馴染み深い距離感と撮影倍率ではないかと思います。ここまで寄っていくと、背景の点光源のボケも大きくなっていますし、開放F1.4のピントの浅さも目立ちます。
LEICA M-EV1・SUMMILUX-M f1.4/50mm ASPH.
絞りF1.4・1/160秒・-1/3EV・ISO 200・WBタングステン・L-JPG
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こちらは光学式レンジファインダーが連動する最短撮影距離での撮影間隔をイメージして撮ったもの。
光学式レンジファインダー特有のパララックスによるフレーミングのズレを気にしたりしないでいいのはEVFの利点です。このようなモチーフの被写体は光学式の二重像合致式ではピントが合っているのかどうか混乱してしまう場合があるのですが、フォーカスピーキングや拡大表示を使えるのでEVFなら安心してピント合わせができます。
外付けファインダーなしで超広角撮影
Leica エルマリートM 21mm F2.8 E60で試写
M型ライカの光学式レンジファインダーで表示される撮影フレームは28mmまで(M8は24mmまでですがクロップ係数1.33倍がかかります)。それより広角になると外付けの光学式ビューファインダーもしくはEVFを装着する必要があります。アクセサリーシューに小ぶりな光学式ファインダーを装着した雰囲気は抜群に格好いいのですが、フレーミングを正確に行うことは難しい。外付けEVFを装着すると出っ張りが大きくなってカメラバッグの出し入れにストレスを感じる。そんな悩みをLeica M EV1は解消してくれます。
今回は1980年に登場した球面レンズのエルマリートM 21mm F2.8の後期モデル(E60)を装着してみました。
LEICA M-EV1・ELMARIT-M 21mm F2.8・絞りF5.6
1/125秒・-1/3EV・ISO 5000・WBマニュアル設定・L-JPG
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超広角レンズの撮影では少しだけアングルを動かしただけで大きく構図が変化しますが、光学式の外付けファインダーでは撮影フレームが曖昧なので実際にどこまで写るのか正確には分かりません。そんなわけで画面の四隅まで攻め込んだコンポジションを組もうとする場合、EVFの便利さを実感できます。このことに加え、点光源の光芒がどんな感じで出るのかもリアルタイムで観察できるのもアドバンテージです。
ライカR一眼レフ用のマクロレンズで接写
Leica マクロ・エルマリートR 60mm F2.8で試写
冒頭で触れた本機に対する個人的な既視感の源泉であるLeica MD-2は、接写や複写といった用途に使われていたようです。そこでLeica M EV1とマクロレンズの組み合わせを試してみることにします。
装着したのはフィルム時代のライカR一眼レフ用のマクロ・エルマリートR 60mm F2.8。ライカRマウントレンズをライカMボディと接続するアダプター経由で合体。時代の隔たりとシステムの違いがあるにも関わらず、自然なスタイリングに感じられます。
LEICA M-EV1・MACRO-ELMARIT-R 60mm F2.8
絞りF16・1/2秒・-1/3EV・ISO 400・AWB・L-JPG
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マクロレンズの距離リングをぐぐぐ〜っと繰り出して、およそ1/2.5倍あたりで撮影。ピントの深さを狙って絞り込んだので三脚を使用していますが、感度を上げていけば手持ちでマクロ領域の撮影をすることも十分に可能です。
LEICA M-EV1・MACRO-ELMARIT-R 60mm F2.8(1:1チューブ使用)
絞りF8・1/40秒・-1EV・ISO 800・AWB・L-JPG・GIMPでネガポジ反転
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等倍撮影まで対応する純正のマクロチューブを装着し、ライトボックスに置いたネガフィルムを複写。オリジナルのネガはLeica M4とアポズミクロンM f2/50mmASPH.で撮影し、C41現像したイルフォードXP2superフィルムです。
被写体はライカカメラ社の副社長で写真・デザイン担当をされているステファン・ダニエル氏。彼が『ライカR用のアポ・マクロ・エルマリートR 100mm F2.8に等倍撮影を可能とする純正のアタッチメントレンズを装着して、昔のポジの複写をこのカメラでしているけれど最高に楽しい!』と、Leica M EV1のマニアックな使い道を教えてくれました。
まとめ | こんなユーザーにおすすめ
Leica M EV1は、Leica M11の上部1/4をLeica Qと入れ替えたみたいなカメラです。
光学式レンジファインダーユニットをEVF表示デバイスに換装することでボディが軽量化されており、M型ライカ各種を使ってきた方々なら『おお、軽い!』と驚かれると思います。その軽さは重量のある大口径標準レンズと組み合わせた場合にもトータルで減量されるので、持ち歩きの負荷が軽減するのがメリットです。
触覚に関する感想としては、貼り革がLeica Qシリーズと同等の菱目パターンになっているのですが、Leica Qとは異なって本機ではボディ裏面まで貼り込んであるのでグリップ感がとても良いです。
Leica M EV1は、光学式レンジファインダーが不得意とする領域で活躍できることに加え、従来のM型ライカ未経験者で光学式レンジファインダーでの撮影は難しそうだと思っている方々にも好適な機種であると思います。
作例に使用したカメラ
【商品情報】Leica M EV1
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作例に使用したレンズ
【商品情報】Leica ズミルックスM f1.4/50mm ASPH.
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Photo & Text by ガンダーラ井上

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