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2023.09.22
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SONY E 18-135mm F3.5-5.6 OSS レビュー × 宇佐見健|機動力が魅力のAPS-Cセンサーα用標準ズーム

SONY E 18-135mm F3.5-5.6 OSS レビュー × 宇佐見健|機動力が魅力のAPS-Cセンサーα用標準ズームキービジュアル


ライター宇佐見 健(KEN USAMI)イメージ
■フォトグラファー紹介

宇佐見 健(KEN USAMI)

1966年、東京都出身。日本大学芸術学部写真学科卒業後、専門誌、広告代理店を経て独立。水中から陸上のあらゆる被写体、天空のオーロラまで幅広いフィールド・分野を撮影。全天球360度カメラからハイエンドデジタルカメラと守備範囲が広い。カメラ雑誌・Web媒体等で新製品機材インプレやHow to記事等も執筆。2010年よりカメラグランプリ外部選考委員。
ウェブサイト: https://www.instagram.com/usa3ken/

はじめに

E 18-135mm F3.5-5.6 OSS + α6700装着イメージ

約3年半ぶりに旗艦機の更新に活気づくAPS-Cサイズ撮像素子搭載のフラットボディなαミラーレス一眼シリーズ。その主役α6700用キットレンズとして設定されているのがE 18-135mm F3.5-5.6 OSS(SEL18135)。

フラットボディαのキットレンズではコンパクトな電動ズームE PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSSの印象が強かったりもするけれど、上位フルサイズ機種同等のAIプロセッシングユニットにより様々な種類の被写体検出や動体追従性能にも長けたハイスペックモデルともなれば、コンパクト鏡筒と高倍率ズームを両立した望遠側焦点距離も稼げるレンズのほうが相棒に相応しいことは言うまでもないでしょう。

でも、こんなことを言うと怒られるかもしれないけれど、このレンズ何故か存在感が薄くないですか? 今回はあらためてこのキットズームの実力を探ってみたい。

キットレンズとして甘く見なさるな!

SONY E 18-135mm F3.5-5.6 OSS 製品仕様

マウント ソニーE(APS-Cサイズセンサー用) 焦点距離 実焦点距離18-135mm(35mm判換算27-202.5mm相当)
ズーム倍率 7.5倍 手ブレ補正機構 搭載
開放F値 F3.5-5.6(絞り羽根7枚) 最短撮影距離 0.45m
フィルター径 Φ55mm 外形寸法 約67.2×88mm
重量 約325g 発売 2018年2月2日

発売からは5年以上が経過しているこのレンズ。振り返ればα6600でもα6500でもキットレンズに設定されています。影が薄いように思えたのは、発売が新型αボディ登場と同時だったわけでもないし、またEマウントにはズーム焦点域が被るレンズも多く、中にはズーム全域で開放F値が変化しない仕様や名門ツァイスブランドのレンズなど目移りする存在が多いことも関係あるでしょう。まして「キットレンズ」という肩書は初級者用廉価レンズ的な印象を持たれがち。写真上達にはキットズームは早く卒業して、交換レンズを手に入れ次のステップへ…的な流れで言えば「踏み台」的な役回り。

でも、実際にα6700に装着した姿は何一つ安っぽさを感じさせることがないデザイン。見た目も実際にカメラを構えた時の重量感とバランスも良いし、テーブルに置いた時の安定感やカメラバッグへの収まりまで全く申し分ないものです。α6700と合わせた重量は約818グラム。軽量というほどではないが、これなら1日撮り歩くのにも大きな負担とはならないはず。では肝心の描写力を見ていこう。

ワイド端・中間位置・テレ端、撮り比べ

次の3枚は撮影位置は変えず、ズームリング操作でワイド端18ミリ、ほぼ中間位置の67ミリ、テレ端135ミリそれぞれのズーム位置の開放絞りで撮影。35ミリ判換算27-202.5ミリ相当のカバーする画角がどのくらいかは一目瞭然。1本で広大な風景はもちろんその一部分を切り取れるから旅行のお供に最適です。

E 18-135mm F3.5-5.6 OSS 18mm遠景作例

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E 18-135mm F3.5-5.6 OSS 67mm遠景作例

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E 18-135mm F3.5-5.6 OSS 135mm遠景作例

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さすがにワイド端では画面周辺部は少し像が流れるような収差がありますが、大伸ばしプリントでもしない限りさほど気にならないでしょう。カメラ本体側の撮影メニュー「画質」内の「レンズ補正」をオート(初期設定)にしておけば歪曲収差や画面周辺の光量不足も補正されるため開放側の絞り値も安心して使えます。

次は公園の広場に咲き誇るペチュニアを同様に18ミリ、70ミリ、135ミリのそれぞれ絞り開放で。遠景だった前の作例とは逆にAF測距した画面中心位置までの距離は約2.5メートルほどの距離です。見下ろすアングルで撮影しているため手前の花までの距離は更に近く、奥は遠くなります。

E 18-135mm F3.5-5.6 OSS 近景18mm作例

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E 18-135mm F3.5-5.6 OSS 近景70mm作例

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E 18-135mm F3.5-5.6 OSS 近景135mm作例

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画面周辺の描写については全ての焦点距離で多少甘さはありますがピントを合わせている画面の中心付近はどれも良好です。同様のスペックをもつ他社レンズと比較しても大きく劣るところも勝るところも特に無く相応といったところでしょう。それぞれ開放から2段程度絞ると画はシャープさを増しますが過度の絞り込みは回折現象の小絞ボケが発生するので注意が必要です。

撮影場所は異なりますが望遠端で同じ花を近接撮影しました。

E 18-135mm F3.5-5.6 OSS 望遠端 近接 作例

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α6700・135mm(35mm判換算202mm)・絞りF5.6・1/125秒・ISO100・AWB・JPGエクストラファイン

望遠レンズで近づいて被写界深度を浅くすることで背景をそこそこボカす表現も可能なレンズです。ピントを合わせたシベのディテールもわかるほどシャープに描写しています。また薄紫の微妙な色合いも忠実に再現できていると思います。

E 18-135mm F3.5-5.6 OSS ウツボグサ 作例

α6700・135mm(35mm判換算202mm)
絞りF5.6・1/320秒・-0.3EV補正・ISO100・AWB・JPGエクストラファイン

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同じく望遠端の最短撮影距離付近での撮影です。枯れていくウツボグサの特徴的な花序から生える粗い毛までしっかり写せています。

E 18-135mm F3.5-5.6 OSS オブジェ 作例

α6700・114mm(35mm判換算171mm)
絞りF8.0・1/640秒・-1.0EV補正・ISO100・AWB・JPGエクストラファイン

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漢字の巨大なオブジェで強い日差しをさける家族。文字の鮮やかな赤と人影の対比の面白さが見たままの状態でスナップできました。実はこの時自分も暑さにバテ気味でした。撮りたい瞬間にカメラを向けられる取り回しの良さは撮り歩きの必須条件です。

E 18-135mm F3.5-5.6 OSS 砂浜(逆光) 作例

α6700・18mm(35mm判換算27mm)
絞りF22・1/60秒・-1.0EV補正・ISO100 ・AWB・JPGエクストラファイン

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広角気味の焦点距離で強い太陽を画面に入れ込めばフレアやゴーストは避けられない。パンフォーカス効果と光芒をハッキリさせるため小絞ボケの発生を覚悟の上でF22まで絞り込んで撮影。

E 18-135mm F3.5-5.6 OSS 夕日 作例

α6700・135mm(35mm判換算202mm)
絞りF5.6・1/4000秒・-1.3EV補正・ISO100・AWB・JPGエクストラファイン

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俗に言うチバフォルニアからアクアライン越しに落ち行く夕陽。撮影日は違うが前の写真を撮影した時刻とは約50分程度の違い。太陽光も若干弱まったのとズームは望遠端なので有害光の影響はさほど出なかった。

E 18-135mm F3.5-5.6 OSS 月 作例

α6700・135mm(35mm判換算202mm)
絞りF8.0・1/80秒・-2.0EV補正・ISO200・AWB・JPGエクストラファイン

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日没後輝き始めた半月。椰子の樹にもたれかかり身体を安定させてそっとシャッターを切る。月面のディテールがとばないよう露出を切り詰めている。手ブレ補正の効果もあいまってクレーターまでハッキリ写せた。なんちゃらムーンになるとSNSで人気の月写真ですが超望遠が無くとも風情のある写真はこのキットズームでもじゅうぶん撮れるはず。

E 18-135mm F3.5-5.6 OSS 猫の画像

α6700・18mm・1/30・f3.5・+0.7EV・AWB・ISO1250・JPGエクストラファイン

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E 18-135mm F3.5-5.6 OSS 猫 作例

α6700・135mm(35mm判換算202mm)
絞りF5.6・1/60秒・+0.7EV補正・ISO6400・AWB・JPGエクストラファイン

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帰宅後、クーラーの効いた部屋で一日を過ごしていた猫と対峙。大口径レンズに替えたい暗さだけどあまり仰々しい外観は嫌われるのでこのくらいのレンズがちょうど良い。猫のポーズやしぐさ、表情などに応じてズームリングのひとひねりで大きく画角を変化させられる。レンズ交換など待ってくれないペットやキッズの一瞬を全く異なる雰囲気の写真で捉えることができるのは高倍率ズームの強み。外だけでなく家の中でも使いやすい。開放絞りの暗さはISO高感度設定でカバーできる。

まとめ

今回レビューの試用期間は熱中症警戒アラートが連日出される酷暑。ジリジリ照りつける日差しの中地面に這いつくばって写真撮ってる人など全く見かけません。もうコンパクトなキットズーム万歳ですよ。とにかくお題が重量級やバズーカズームじゃなくて良かった…。
と愚痴はこのくらいにして、月並みですがこれ一本でほとんどのシーンはカバーできてしまう万能高倍率ズーム。まぁそれでも野鳥とか運動会には焦点距離に少々もの足りないのは否めませんが。

描写に関しては、冒頭でも述べているようにEマウントシリーズ中に同クラスレンズのライバルが多く、サイズや重量感など取り回しのバランスの良さ以外にずば抜けたところはありません。価格相応の標準ズームです。もしもフルサイズαも併用するユーザーならばこのレンズを選ぶメリットはAPS-Cα1台だけを持ち出す時以外にあまりないでしょう。

しかし、APS-Cサイズαユーザーなら所有しておいて損のないです。この1本を使い続けるなんてことは他に魅力なレンズが多いので楽しくありません。そこそこ使い倒して次のレンズが欲しくなったら躊躇せず好きなレンズに行けば良いと思います。でも、けっして下取り交換には出さず手元に置いておくことをオススメします。スペアレンズとしての出番はもちろんあるでしょうし、たとえば将来家族や子どもがカメラを始めた際のファーストレンズには最適。それに、もしも手放したら暫くして「あぁ、やはり持っておいても良かったな」と思えるような1本だと思います。レンズ単体で購入するならレンズキットで購入してレンズは使わずに下取りに出すという人も多いので、中古レンズコーナーで新品同様や美品クラスを探してみるのも良いでしょう。

作例に使用したカメラ

SONY α6700

【商品情報】SONY α6700

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作例に使用したレンズ

SONY E 18-135mm F3.5-5.6 OSS

【商品情報】SONY E 18-135mm F3.5-5.6 OSS

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Photo & Text by 宇佐見 健(KEN USAMI)

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