ライカ ノクティルックスM f1.2/35 ASPH. 実写レビュー × 写真家 コムロミホ | ノクティルックスで香港の街をスナップ

目次
はじめに | ノクティルックスの歴史
性能と操作性は
作例 | 香港の街をスナップ
ライカ M EV1との組み合わせでレンズの描写を活かすことができる
まとめ
作例に使用したレンズ
作例に使用したカメラ
フジヤカメラ | 東京都中野のカメラ専門店
はじめに | ノクティルックスの歴史
ライカ ノクティルックスM f1.2/35 ASPH.を紹介する前に、少しノクティルックスの歴史に触れていきたい。
始まりは1966年。ライカ ノクティルックス 50mm f1.2が登場した。現在は高値で取引されており、復刻版レンズが出るほどの人気を博している。そういう筆者も復刻版のノクティルックスM f1.2/50 ASPH.を愛用している。夜(Nocti)を語源に持つ名前の通り、夜の暗いシーンも撮影できる画期的なレンズだった。
【商品情報】ライカ ノクティルックスM f1.2/50 ASPH.
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その後、1976年にF1.0、2008年にはF0.95と、驚異的な明るさを持つレンズが登場した。そして、2018年には75mmが追加され、今回加わったノクティルックスM f1.2/35 ASPH.へとつながっていく。
【商品情報】ライカ ノクティルックスM f1.2/35 ASPH.
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性能と操作性は
ライカ ノクティルックスM f1.2/35 ASPH.は、初代ノクティルックスと同じF1.2の明るさとなる。それは、ノクティルックス35mmの歴史がこれから始まっていくような感覚になる。
35mmはスナップに相性の良い焦点距離であり、街の空気や人との距離感を自然に写し取ってくれる画角だろう。そこにF1.2という非常に浅い被写界深度が組み合わさることで、「広く写す」だけでなく、「大きなボケが被写体を立体的に表現する」という個性が加わる。それがこのレンズのおもしろさだろう。
従来のノクティルックスといえば、50mmや75mmで背景を大胆にぼかし、主題を浮き上がらせる孤高のレンズという印象が強かった。しかし、35mmは広がりを活かす画角でありながら、F1.2で背景が柔らかくボケて、主題がすっと際立つ。空間を活かす広がりと、主題を引き立てる大口径の二つを兼ねたレンズといえる。
実際に手にしてみると、金属鏡筒の質感とフォーカスリングの滑らかさ、絞りリングのクリック感などから、Leicaらしさを汲み取ることができる。それでいてフィルター径はE49、全長約50mm、質量約416gと小型・軽量を実現し、ストリートスナップでも活躍するバランスだ。
描写については、やはりノクティルックスらしいボケの表現を堪能することができる。開放のF1.2では大きく背景がボケて、ピントを合わせた被写体が立体的に浮き上がってくる。ピント面は柔らかくも芯のあるシャープさで、品を感じる。
F2.0に絞ると、さらにシャープさが増し、違った描写を味わえる。また、絞り開放時の周辺光量落ちのグラデーションが美しく、写真に余韻を与えてくれる。そして、F3.5に絞ることで周辺の光量落ちは落ち着いてくる。周辺をどのくらい暗くしたいかは、F1.2からF3.5の間で調整していくと良いだろう。
作例 | 香港の街をスナップ
このレンズを持って香港へと旅立った。何度も訪れているはずの香港だが、ノクティルックスで撮影してみると、いつもと違った見え方が新鮮だった。
ピントを合わせていく中で、「どう切り撮るのか」を考える時間が増え、F1.2で空間をどう整理して、どこまで背景を残すのか、どの距離感で撮影するのか、街に向き合う時間が自然と増えてくる。
ズミルックスやズミクロンと比べると、フォーカスリングの回転角が広いため、じっくりと考える時間を与えてくれるのがノクティルックスならではかもしれない。
ライカ M EV1・ライカ ノクティルックスM f1.2/35 ASPH.
絞りF1.4・1/1250秒・ISO200・−0.67EV補正・RAW
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しばらくアイコンタクトしながら、この猫を撮影していた。ふと動きが止まった瞬間にシャッターを押した。ノクティルックスの柔らかさがありながらも、毛並みやヒゲなど想像以上にシャープに表現している。
ライカ M EV1・ライカ ノクティルックスM f1.2/35 ASPH.
絞りF1.2・1/6400秒・ISO64・+0.33EV補正・RAW
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絞り開放では周辺が大きく暗くなる。ビネッティングのグラデーションが美しいため、雲ひとつないスッキリとした空に表情が現れる。
ライカ M EV1・ライカ ノクティルックスM f1.2/35 ASPH.
絞りF1.4・1/125秒・ISO640・RAW
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右側のシャッターを前ボケにしながら、店仕舞いをする人々を切り撮った。ぐっとシャッターに近づくことで、35mmならではの遠近感が生まれ、奥行きのある一枚に仕上がる。
ライカ M EV1・ライカ ノクティルックスM f1.2/35 ASPH.
絞りF1.4・1/320秒・ISO640・−1.0EV補正・RAW
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道の奥行きが素敵だと感じてシャッターを切った。特別なにもないシーンだが、ドラマチックに切り撮ってくれるのはノクティルックスならではだろう。
ライカ M EV1・ライカ ノクティルックスM f1.2/35 ASPH.
絞りF2.4・1/350秒・ISO80・−0.33EV補正・RAW
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あえて内蔵のレンズフードを使用せずに逆光を撮影した。強い太陽の光がフレアとゴーストを作り出した。
ライカ M EV1・ライカ ノクティルックスM f1.2/35 ASPH.
絞りF5.6・1/125秒・ISO125・−0.33EV補正・RAW
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夜(Nocti)の通り、夜スナップを楽しませてくれるレンズだ。男性を照らす電球にやわらかくグローがかり、光の美しさを引き出してくれる。
ライカ M EV1・ライカ ノクティルックスM f1.2/35 ASPH.
絞りF1.4・1/320秒・ISO125・−0.33EV補正・RAW
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向こう側からやってくる女性を切り撮った。本来であれば、ピント合わせが難しいシーンだと思うが、 ライカ M EV1のおかげでしっかりと女性にピントを合わせながら撮影ができた。
ライカ M EV1・ライカ ノクティルックスM f1.2/35 ASPH.
絞りF1.4・1/125秒・ISO125・−0.67EV補正・RAW
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猫が乗っていた段ボールにピントを合わせながら、カメラを構えていると、猫がふっと飛び降りた。動きを予測しながら、また構図やピント位置を考えながら撮影するのがおもしろい。猫だけでなく、背景の情報が入りやすいように縦で構図を決定した。
ライカ M EV1・ライカ ノクティルックスM f1.2/35 ASPH.
絞りF1.4・1/125秒・ISO64・−0.67EV補正・RAW
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最短撮影距離の50cm近辺で撮影を行った。線香の先端にピント合わせをしているが、こういったシーンもライカ M EV1を使用すれば、ファインダー内で拡大表示ができるため、正確なピント合わせが可能になる。
ライカ M EV1・ライカ ノクティルックスM f1.2/35 ASPH.
絞りF1.2・1/1000秒・ISO64・−0.33EV補正・RAW
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手前の壁を利用して、トンネル構図を作り込んだ。絞り開放で撮影することで、周辺が暗くなるため、手前の壁が暗くなり、奥行きを感じさせる一枚に仕上がった。
ライカ M EV1・ライカ ノクティルックスM f1.2/35 ASPH.
絞りF1.4・1/125秒・ISO100・−0.67EV補正・RAW
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モノクロで撮影するときはモノクロHCの設定が好きだ。ローキーな露出感にすることで、黒がぐっとしまり、重厚感のあるモノクロに仕上げることができる。
ライカ M EV1・ライカ ノクティルックスM f1.2/35 ASPH.
絞りF1.7・1/125秒・ISO200・−0.67EV補正・RAW
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少し距離のあるシーンだが、ピント位置の人物が引き立ち、主題が伝わりやすい写真になった。女性だけでなく、背景に街並みの雰囲気が写り込むのが35mmの面白さだろう。
ライカ M EV1・ライカ ノクティルックスM f1.2/35mm ASPH.
絞りF1.2・1/250秒・ISO80・−0.67EV補正・RAW
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活気のある市場のワンシーン。背景が程よくボケて、お会計をしようとしている人物が引き立っている。絞り開放でも被写体のディテールを表現し、決してやわらかすぎない。大きなボケと芯のあるシャープネスが被写体を立体的に際立てる。
ライカ M EV1・ライカ ノクティルックスM f1.2/35 ASPH.
絞りF1.4・1/125秒・ISO400・RAW
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男性の後ろ姿を撮影しようと、構図を見ながら被写体との距離を縮めていった。ライカ M EV1のピーキングを見ながら距離に合わせてフォーカスリングを回していく。ノクティルックスとEV1の組み合わせが相性良い。
ライカ M EV1との組み合わせでレンズの描写を活かすことができる
そして、今回組み合わせたのはライカ M EV1。レンジファインダーでの撮影も魅力的だが、F1.2はわずかな前後でピント位置が変わるため、大口径レンズにおいてEVFの拡大表示はとても使いやすい。ピントの山をファインダー上で確認できるため、正確なピント合わせが可能だ。結果として、レンズ本来の描写を活かすことができる。ここからは国内での作品もご紹介しよう。
ノクティルックス初の35mmとなる。ライカレンズらしい高級感があり、ひんやりとする金属の質感が心地よい。またフォーカスリングはピントの微調整がきく重めのトルク感が良い。
ライカ M EV1・ライカ ノクティルックスM f1.2/35 ASPH.
絞りF1.7・1/1000秒・ISO64・+1.0EV補正・RAW
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高架下の明暗差を活かして、人物をシルエットにして撮影した。日常の見慣れた風景もドラマチックに仕上がる。
ライカ M EV1・ライカ ノクティルックスM f1.2/35 ASPH.
絞りF1.4・1/1000秒・ISO64・+1.0EV補正・RAW
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光が差し込む場所にあった洗濯物を撮影した。ハイライトに色収差が出ているが、軸上色収差に関しては絞ることで、改善できる。
ライカ M EV1・ライカ ノクティルックスM f1.2/35 ASPH.
絞りF1.4・1/180秒・ISO64・+1.0EV補正・RAW
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最短撮影距離の50cm近辺で撮影。丸ボケができるように木漏れ日を背景にした。ピントを合わせた枝と背景の木はとても近い場所にあるが、F1.2で撮影すれば、大きくボカすることができる。
最短撮影距離の50cm近辺で撮影している時にはかなりありがたい。レンジファインダーでは70cmまでしかピント合わせができないが、その垣根を気にせず撮影に集中できる。被写体にグッと寄ることで、広角の遠近感を活かしつつ、被写体にぐっと寄り、背景を大胆にぼかせる。本レンズを使用してみて、ノクティルックスの表現の幅を体感した。
まとめ
写真を見てみると、とろけるような大きなボケが被写体を立体的に表現し、目で見た以上の感動が写真に写る。香港でワンショット目を撮影してから、ノクティルックスの描写に魅了され、自然といつもよりも多めにシャッターを切っていた。何気ないワンシーンもドラマチックに表現できるため、写真欲を掻き立ててくれるレンズだ。
作例に使用したレンズ
【商品情報】ライカ ノクティルックスM f1.2/35 ASPH.
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作例に使用したカメラ
【商品情報】ライカ M EV1
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Photo & Text by コムロミホ
フジヤカメラ | 東京都中野のカメラ専門店
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