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2025.08.07
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Leica バリオ・エルマリートSL f2.8/28-70mm ASPH. レビュー × 写真家 木下大輔 | 重量572gの衝撃!新しいズームレンズの可能性

Leica バリオ・エルマリートSL f2.8/28-70mm ASPH. レビュー × 写真家 木下大輔 | 重量572gの衝撃!新しいズームレンズの可能性キービジュアル


ライター木下大輔(きのした・だいすけ)イメージ
■フォトグラファー紹介

木下大輔(きのした・だいすけ)

グラフィックデザイナーとして勤務後、独立。仕事を通じて写真表現の楽しさを再認識し、撮影からプリントまでの写真表現をあらためて考えるようになった。昨今はプラチナパラジウムプリントを用いて、水と人間の関係をテーマとした作品を制作。また、プラチナプリントの魅力を探求し、発信にも取り組んでいる。

WEB:https://xf1lux.com/
X:https://x.com/xf1lux
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IG :https://www.instagram.com/xf1lux/

はじめに

数年前より気がつけば、写真を撮ることよりも「重い機材を持ち歩くこと」に疲れを感じるようになっていました。なんでも対応したいと思い、ついついいろんなレンズを持ち歩き、帰ってきたらどっと疲れる。そんな日々が年々嫌になるようになりました。

複数の単焦点レンズをリュックに詰め込んで出かけたり、場合によっては広角ズームや望遠ズームなども持っていったり、車でロケに向かう時はペリカンケースに詰められるだけ詰めて出かけたり...。「備えあれば憂いなし」の精神が、いつの間にか「重荷あれば楽しさ半減」の現実に変わっていたのです。

でも、本当にこんなに必要なのでしょうか?

実際に撮影を振り返ってみると、レンズ交換をする余裕は意外と少なく、結局は慣れ親しんだ50mmで大半を撮影していることが多いのです。

家族旅行の慌ただしさ、友人との食事の和やかな雰囲気、街角での一期一会の瞬間―そんな時にレンズをガチャガチャと交換している暇はありません。

「50mmで撮れない構図は撮らない」―そんな潔い姿勢で臨みたいところですが、現実はそう簡単ではありません。

カフェの狭いテーブル席で「もう少し引いて料理全体を写したい」と思っても、これ以上後ろに下がれない。逆に、公園で子どもの表情をもっと大きく捉えたいけれど、近づきすぎると不自然になってしまう。そんな「あと少し」という場面で、ズームレンズの柔軟性ほど頼りになるものはありません。

ただし、F2.8通しのズームレンズといえば、「重い」「大きい」「高い」の三重苦が定番でした。「一眼レフからミラーレスに変えたら軽くなる」と期待していたのに、なぜかレンズは大型化の一途を辿り、結局カメラバッグの重さは変わらない...そんな経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

先日発売された、Leicaの「バリオ・エルマリートSL f2.8/28-70mm ASPH.」を見て、最初に思ったのは「サイズが少し小さい?」でした。そうなんです。似たようなレンズがすでに発売されていましたが、今回のレンズは少し小さくなって軽くなっていました。それでいてF2.8通しのズームレンズで、魅力的なレンズです。

これは、写真を楽しむすべての人が抱える「機材の重さ問題」に対する、一つの答えかもしれません。

Leica バリオ・エルマリートSL f2.8/28-70mm ASPH.とLeica SL3-Sの本体画像

特徴・操作性 | 手に取った瞬間の「軽っ!」

Leica バリオ・エルマリートSL f2.8/28-70mm ASPH.の最大の特徴は、なんといってもそのコンパクトさです。全長約102mm、重量約572gという数値は、F2.8通しのズームレンズとしては驚異的な軽さといえるでしょう。

ズームリングとフォーカスリングの操作感は、さすがLeicaという印象です。適度な抵抗感があり、意図しない操作を防ぎながらも、スムーズな調整が可能です。特にマニュアルフォーカス時の繊細なピント合わせは、Leicaの光学技術の粋を感じさせます。

ズーム全域でのシャープネスと色収差の抑制を実現しています。また、最短撮影距離は0.32mと、テーブルフォトや商品撮影にも対応できる汎用性を備えています。

実写レビュー | Leica SL3-Sとの最高の組み合わせ

今回お借りしたレンズをLeica SL3-Sに取り付け、プライベートと仕事の両方で使用してみました。

期間中で最も多用した焦点距離は望遠側の70mm近辺と50mm。この距離感で撮影しているのがとても心地よいレンズだと思いました。特に望遠側で被写体に寄ってファインダーを覗いていると、ボケがとても素直で綺麗だと感じました。

またコンパクトで軽量なので、じっくり構えていても重さが負担になることもなく、手が疲れてこないのも印象的でした。

Leica バリオ・エルマリートSL f2.8/28-70mm ASPH.作例:キラキラと輝くカチューシャ

Leica SL3-S・Leica バリオ・エルマリートSL f2.8/28-70mm ASPH.
絞りF5.0・1/20秒・ISO320

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ファインダーを覗きながら、マニュアルフォーカスでピントを合わせていた時に、キラキラとボケが輝いていたので思わず撮影してしまったカチューシャ

F2.8のレンズは大口径で明るいレンズと思われていましたが、昨今のズームレンズや単焦点レンズの明るさには及びません。しかし、今回撮影したシーンは暗い場所が多く、SL3-Sの高感度帯で撮影したRAWデータを現像してみると、思っていた以上に常用できる組み合わせだと思いました。

このレンズを使用していて「自身の子供たちが今より小さかった時に、このレンズに出会っていればよかった」と思いました。それは子供たちを連れて出かけた時の公園や、家族旅行など、このコンパクトで軽量なレンズがお供であれば、もっともっと子供たちの写真を残してあげることができたのではないか?そう思いながら、今を生きる子供たちの手元をファインダー越しに見ていました。

Leica バリオ・エルマリートSL f2.8/28-70mm ASPH.作例:ピアノを弾く手

Leica SL3-S・Leica バリオ・エルマリートSL f2.8/28-70mm ASPH.
絞りF2.8・1/100秒・ISO1000

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Leica バリオ・エルマリートSL f2.8/28-70mm ASPH.作例:蝋燭が灯る誕生日ケーキを見つめる女の子

Leica SL3-S・Leica バリオ・エルマリートSL f2.8/28-70mm ASPH.
絞りF2.8・1/60秒・ISO800

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Leica バリオ・エルマリートSL f2.8/28-70mm ASPH.作例:細長い花瓶に活けられた紫の花

Leica SL3-S・Leica バリオ・エルマリートSL f2.8/28-70mm ASPH.
絞りF2.8・1/15秒・ISO100

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Leica バリオ・エルマリートSL f2.8/28-70mm ASPH.作例:紫色のダリア

Leica SL3-S・Leica バリオ・エルマリートSL f2.8/28-70mm ASPH.
絞りF5.6・1/40秒・ISO250

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Leica バリオ・エルマリートSL f2.8/28-70mm ASPH.作例:テーブルに置かれたアイスコーヒー

Leica SL3-S・Leica バリオ・エルマリートSL f2.8/28-70mm ASPH.
絞りF4.5・1/80秒・ISO500

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Leica バリオ・エルマリートSL f2.8/28-70mm ASPH.作例:フライパンで葉物を炒める人

Leica SL3-S・Leica バリオ・エルマリートSL f2.8/28-70mm ASPH.
絞りF4.5・1/80秒・ISO500

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東京・恵比寿にあるレストラン「Baru Comodo」にて、店舗のイメージ撮影をさせていただきました。自宅から本レンズとSummilux-M 50mmf1.4の2本、三脚、その他撮影備品を持って電車移動で撮影に向かいました。電車移動において、荷物を少しでも減らし、コンパクトにまとめられることは、この暑い夏の時期に大変助かりました。それでいて、撮影に支障をきたすことはなく、むしろこれくらいの装備で十分なのだと、あらためて機材選びについて考えさせられました。

カウンター12席、テーブル1席の細長い店内での撮影では、物理的に下がって撮ることができないため、ズームレンズの威力が十分に発揮されました。パスタのオイル感や食材の明太子の素材感、そして調理器具の金属感など、どれもバランスよく表現できていると思います。

また、手の表情も拡大してみると非常に細かく記録されている点には少し驚きました。後からクロップして写真を使用することも可能であることを考えると、SL3などの高画素機との組み合わせも視野に入れたいレンズです。

Leica バリオ・エルマリートSL f2.8/28-70mm ASPH.作例:ボールで食材を混ぜようとする手元

Leica SL3-S・Leica バリオ・エルマリートSL f2.8/28-70mm ASPH.
絞りF2.8・1/250秒・ISO3200

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Leica バリオ・エルマリートSL f2.8/28-70mm ASPH.作例:厨房のコンロの上にあるフライパン

Leica SL3-S・Leica バリオ・エルマリートSL f2.8/28-70mm ASPH.
絞りF2.8・1/30秒・ISO500

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Leica バリオ・エルマリートSL f2.8/28-70mm ASPH.作例:手渡しされるタラコスパゲティ

Leica SL3-S・Leica バリオ・エルマリートSL f2.8/28-70mm ASPH.
絞りF5.6・1/40秒・ISO800

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Leica バリオ・エルマリートSL f2.8/28-70mm ASPH.作例:イカと葉物の和風パスタをフォークに巻き付けた手元

Leica SL3-S・Leica バリオ・エルマリートSL f2.8/28-70mm ASPH.
絞りF4.5・1/125秒・ISO800

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製品比較 | 軽さは正義!

同社や他社の類似レンズと比較すると、このLeica バリオ・エルマリートSL f2.8/28-70mm ASPH.の優位性が明確になります。

一般的な24-70mm F2.8レンズと比較すると、焦点域が若干短いものの、その分コンパクトさと軽量性を獲得しています。実際の使用において、28mmと24mmの差はそれほど大きくなく、むしろ携帯性のメリットの方が勝ると感じました。

バリオ・エルマリートSL f2.8/24-70mm ASPH.やSigma ART 24-70mm F2.8 DG DN II といった競合レンズと比較すると、重量差は150g以上あり、これは一日中持ち歩く際には非常に大きな差となります。

左:Sigma ART 24-70mm F2.8 DG DN II  右:Leica バリオ・エルマリートSL f2.8/28-70mm ASPH.
左:Sigma ART 24-70mm F2.8 DG DN II  右:Leica バリオ・エルマリートSL f2.8/28-70mm ASPH.
左:Sigma ART 24-70mm F2.8 DG DN II  右:Leica バリオ・エルマリートSL f2.8/28-70mm ASPH.

LアライアンスのSigma Art 24-70mm F2.8 DG DN IIとサイズ比較をしてみました。価格はSigmaの方が10万円ほど安いですが、フィルターサイズはSigmaが82mm、Leicaが67mmとなっており、レンズフードを装着してもLeicaの方がコンパクトです。重量差は163g(Sigma:約735g、Leica:約572g)あり、コンパクトさと軽さではLeicaに軍配が上がります。

動画撮影にも意外といい感じ

Leica SL3-SはSL3シリーズの中でも動画性能が強化されているため、手持ち撮影においても、三脚を伴ったフィックス撮影、ジンバルに載せた時の重量バランスも良いので、本レンズは動画撮影時にもアドバンテージがあるのではないでしょうか。

ジンバルで運用する際のバランスもコンパクトで取り回しが良く、軽量レンズによる長時間手持ち撮影でのアドバンテージはかなり大きいといえます。

ただし、使用していて唯一の不満点は、繰り出しズームである点。昨今のミラーレス対応レンズが発表されると、ズームレンズは決まって繰り出し式であるので、時代の流れとしては致し方ない点であり、その分コストダウンが測られているのも理解できる。しかし、ジンバルを使った動画撮影時や三脚に据えた状態での写真・動画撮影時にはズームを使用すると、カメラバランスが崩れてしまう点がどうも気になります。また、いくら防塵防滴だとはいえ、レンズの伸縮時には空気を吸い込み埃を集めてしまうし、レンズ内部への埃の侵入はインナーズームと比べると不安が残ります。また、耐衝撃体制も繰り出し式レンズの弱点であると思うので、インナーズームレンズが同価格帯で販売されることを個人的には期待したい。

もう一点、他社レンズにあって本レンズにないものがあります。それはズームリングのロックスイッチ。これは、レンズが軽いために必要ない機構なのかもしれませんが、意外に重宝される機構です。先ほども記載した通り、運搬時にレンズが不意に伸びてしまうことをで、レンズを装着した状態で運搬する時の安心材料であることから、ロック機構がある方が安心感が増すのではないでしょうか。

ジンバルに取り付けたLeica バリオ・エルマリートSL f2.8/28-70mm ASPH.とLeica SL3-Sの本体画像

ジンバルで運用する際のバランスもコンパクトで取り回しが良く、軽いレンズでの長時間手持ち撮影する際のアドバンテージはかなり大きい。

どのようなユーザーにおすすめ?

このレンズは、以下のような方々に特におすすめできます。

メリット

・F2.8通しながら軽量コンパクト
・Leicaらしい美しい色彩表現
・優秀な光学性能
・静粛なAF動作

こんな方におすすめ

・機動性を重視するプロフェッショナル
・旅行やストリートスナップを愛する方
・Leicaの色彩表現にこだわりを持つ方
・動画撮影も行う方

特に、私のように50mm中心の撮影スタイルで、時折ズームの柔軟性も必要とする方には、理想的な選択肢となるでしょう。

まとめ

Leica バリオ・エルマリートSL f2.8/28-70mm ASPH.は期待以上の性能を見せてくれました。

「荷物を軽くしたい」という単純な願いから始まった検討でしたが、実際に使用してみると、軽量性以上の価値を提供してくれるレンズでした。全長102mm、重量572gという数値が示す以上に、撮影に対する取り組み方そのものを変えてくれる存在です。

何より印象的だったのは、「今日もカメラを持っていこう」という気持ちにさせてくれることです。重い機材による疲労感から解放されることで、撮影への集中力が高まり、結果として作品のクオリティ向上にもつながっています。これは、写真を愛するすべての人にとって、最も重要な要素ではないでしょうか。

私なら、家族旅行やインタビュー撮影など、瞬間瞬間を逃してはいけない時に使いたいと思います。レンズ交換の余裕がない状況でも、28-70mmの焦点域があれば幅広いシーンに対応できますし、常に持ち歩くにもコンパクトで軽量であるメリットは非常に有効だと考えます。

確かに価格は決して安くありませんが、重いレンズで撮った完璧な写真1枚より、軽いレンズで気兼ねなく撮った写真10枚の方が、人生を豊かにしてくれるという考え方もあります。現代のフォトグラファーが求める機動性と描写性能を高次元で両立したこのレンズは、投資に見合う価値を十分に提供してくれます。

Leicaらしい美しい色彩表現を楽しみながら、同時に撮影の機動性も手に入れる。バリオ・エルマリートSL f2.8/28-70mm ASPH.は、重い機材に疲れを感じているすべてのフォトグラファーにとって、新しい撮影スタイルの扉を開いてくれる存在となるでしょう。

軽さという新しい正義を体験し、写真を撮る喜びを再発見してみませんか?

作例に使用したレンズ

【商品情報】Leica ライカ バリオ・エルマリートSL f2.8/28-70mm ASPH. 11196

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Leica ライカ バリオ・エルマリートSL f2.8/28-70mm ASPH. 11196バナー画像

作例に使用したカメラ

【商品情報】Leica ライカ SL3-S 10644

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Leica ライカ SL3-S 10644バナー画像

Photo & Text by 木下大輔(きのした・だいすけ)

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