フルサイズ換算で16-29mm相当の超広角ズーム
広角端で11.6cm、望遠端でも19.1cmまで寄れる
全長62mm、重量は260gと小型軽量
描写でわかる、高いレベルの光学設計
まとめ
作例に使用したレンズ
作例に使用したカメラ
鹿野貴司(しかの・たかし)
1974年東京都生まれ。多摩美術大学卒業後、さまざまな職業を経て写真家に。広告や雑誌などを手掛けるかたわら、スナップやドキュメンタリーの作品を精力的に発表している。近年の写真展に「#shibuyacrossing」(ソニーイメージングギャラリー)、「煩悩の欠片を燃やして菩提の山へ走れ」(ナインギャラリー)など。昨年9月には『いい写真を撮る100の方法』(玄光社)を出版。日本写真家協会会員。
Instagram:@shikanotakashi
Twitter:@shikanotakashi
CanonのRFマウントは長くフルマニュアルのいわゆる「中華レンズ」は存在したものの、AFやAEが効くレンズは純正しかなかった。そこに今年7月、サードパーティから初めてお目見えしたフルスペックのレンズがシグマの18-50mmF2.8 DC DN | Contemporary。すでにLマウント・SONY Eマウント・FUJIFILM Xマウントが発売されていたAPS-C機向けの標準ズームだ。それに続くCanon RFマウント第2弾が、今回紹介する10-18mmF2.8 DC DN | Contemporaryとなる。Canon EOS RシリーズのAPS-C機では、フルサイズ換算で16-29mm相当の超広角ズームだ。
純正ではRF-S 10-18mm F4.5-6.3 IS STMという超広角ズームがすでに存在するが、表記の通りF値はかなり暗い。ただし手ブレ補正が入っており、さらにいえばフジヤカメラで5万円を切るというリーズナブルなレンズだ。本レンズはそれとまったくレンジが被っているが、F値はズーム全域でF2.8。常にボケを求める焦点域ではないが、強い遠近感を生かして被写体に寄ったときなどは、大きなボケが欲しくなる。被写界深度が浅いことで、遠近感をより感じさせることができるのだ。広角端で11.6cm(最大撮影倍率1:4)、望遠端でも19.1cm(同1:6.9)まで寄れるので、自然や花をダイナミックに写し込めるのもいい。
Canon EOS R50・SIGMA 10-18mmF2.8 DC DN | Contemporary
10mmで撮影・絞りF2.8・1/2500秒・ISO100・+1補正・WBオート
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
フルサイズ対応の超広角ズームでは、F2.8というとフィルターも装着できないほど前玉が巨大になりがち。しかし本レンズはAPS-C機専用ということもあり、フィルターサイズは67mmに抑えられている。全長も62mm、重量は260gと小型軽量。しかもフードまで小径化すべく、脱着に独特なプッシュオン式を開発したこだわりようだ。約150gという純正の驚異的な軽さには及ばないが、剛性感やズームリングの滑らかさを考えれば、このサイズと重量に収まっていることには十分納得がいく。
Canon EOS R50・SIGMA 10-18mmF2.8 DC DN | Contemporary
10mmで撮影・絞りF2.8・1/100秒・ISO100・+1.3補正・WBオート
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
Canon EOS R50・SIGMA 10-18mmF2.8 DC DN | Contemporary
10mmで撮影・絞りF5.6・1/320秒・ISO100・WBオート
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
描写については作例をご覧いただければわかる通り、何ら不満は感じない。逆光でもゴーストやフレアが見られないのは、超広角ズームとしては小さな前玉が効いているのかもしれない。この前玉がかなり屈折率の高い非球面レンズで、解像力と小型軽量化の両立に寄与しているという。ミラーレス用なのでカメラ側の電子補正も活用しているはずだが、4種類のマウントに対応しているのを考えると、もともとの光学設計も高いレベルにあるのだと思う。
Canon EOS R50・SIGMA 10-18mmF2.8 DC DN | Contemporary
10mmで撮影・絞りF8・1/160秒・ISO100・WBオート
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
Canon EOS R50・SIGMA 10-18mmF2.8 DC DN | Contemporary
16mmで撮影・絞りF2.8・1/80秒・ISO160・+1補正・WBオート
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
Canon EOS R50・SIGMA 10-18mmF2.8 DC DN | Contemporary
11mmで撮影・絞りF5.6・1/100秒・ISO100・WBオート
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
Canon EOS R50・SIGMA 10-18mmF2.8 DC DN | Contemporary
14mmで撮影・絞りF4・1/60秒・ISO1000・-0.7補正・WBオート
画像にマウスを合わせると拡大表示します
画像をスワイプすると拡大表示します
今回は僕の私物(実は妻&息子用カメラ)であるCanon EOS R50に装着して実写したが、バランスがとても良好だった。このスペックのレンズを必要とするのは、Canon EOS R8やCanon EOS R10のユーザーが多いとは思うが、操作性はともかく描写はクラスによる差が少ないのがEOSシリーズ。フルサイズのEOS Rシリーズを使っている人でも、サブとしてCanon EOS R50やCanon EOS R100にこのレンズを組み合わせるのはアリかもしれない。
ともあれレンズの選択肢が増えるのは、既存のユーザーにも、これからカメラを買おうかという人にもうれしい話。シグマはさらにEOS RシリーズのAPS-C機向けに、16mm・23mm・30mm・56mmのそれぞれF1.4レンズを発売するとアナウンスしている。そこまで揃えば、純正と合わせてAPS-C機でも十分なレンズシステムが組めるだろう。
» 詳細を見る
» 詳細を見る
Photo & Text by 鹿野貴司(しかの・たかし)