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2022.12.10
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Canon EOS R5レビュー× 宇佐見 健|小三元系ズームレンズで試す高画素番長EOS R5の真の実力

続々登場するCanon(キヤノン)EOS Rシリーズ。そのフラッグシップモデルEOS R5をフォトグラファー宇佐見 健氏が実写レビューします。

発売から2年が経過し、レンズのラインナップも充実してきたEOS R5を豊富なレンズの中からワンランク下のレンズや標準ズームレンズ、テレコンバーターを使用した作例も紹介しながら、改めてEOS R5の魅力に迫ります。


ライター宇佐見 健(KEN USAMI)イメージ
■レビュアー紹介

宇佐見 健(KEN USAMI)

1966年、東京都出身。日本大学芸術学部写真学科卒業後、専門誌、広告代理店を経て独立。水中から陸上のあらゆる被写体、天空のオーロラまで幅広いフィールド・分野を撮影。全天球360度カメラからハイエンドデジタルカメラと守備範囲が広くカメラ雑誌・Web媒体等で新製品機材インプレやHow to記事等も執筆。カメラグランプリ2022外部選考員。

キヤノンEOS R5の商品画像
キヤノンEOS R5

はじめに

Canon(キヤノン)のミラーレス一眼にEOS Rシリーズには昨年末以降、高速連写仕様のEOS R3や初のAPS-Cセンサー搭載モデルのEOS R7が登場し、EOS R5と同じ2020年発売のEOS R6には早くも2世代目マークⅡの発売が間近に迫るなど賑やかだ(2022年12月中旬発売予定)。となれば当然気になるのがEOS Rシリーズの最高画質モデルにして旗艦機EOS R5の立ち位置。しかしこちらに関しては目立つ動きはないばかりか、現在もコンスタントに販売台数を伸ばしているという。つい新機種に目が移りがちな昨今だが、改めて現状におけるEOS R5の魅力を探ってみたい。

EOS R5概要

新製品ではないので今さら細かく紹介する必要もないだろう。しかし最低限抑えておきたい基本性能のポイントをいくつか挙げる。さらなる仕様の詳細はメーカーウェブサイトで確認されたし。( https://cweb.canon.jp/eos/lineup/r5/

◉約4500万画素 35mmフルサイズCMOSセンサー×映像エンジンDIGIC XによるEOSシリーズ中の最高解像性能
◉常用ISO感度:ISO100~51200(1/3、1段ステップ)拡張LおよびH設定が可能
◉ボディ内5軸手ブレ補正搭載と一部IS機構搭載RFレンズにおいて8.0段の補正効果を発揮
◉画面を100%カバーするデュアルピクセルCMOS AFⅡがもたらす高速・高精度AF
◉高精度被写体認識能力EOS iTR AF Xにより人物は顔・瞳・頭部を検出。動物は(犬、猫、鳥)の全身・顔・瞳の検出が可能
◉電子シャッター使用時に最高約20コマ/秒、電子先幕シャッターおよびメカシャッター時は約12コマ秒での撮影が可能な高速連続撮影性能

各社が凌ぎを削る進化競争の最重要テーマともいえる被写体検出機能に関しては確かに自社後続機を含め、多くの最新カメラに追い越された感もある。また高速連写コマ数だけをみればもの足りなくも感じるかもしれないが、フルサイズ4500万画素であることを考えればじゅうぶんなスペックではある。また撮像素子や画像処理エンジンなど画質に関わる基本性能は見劣りするようなことはない。

高画素機には最高級レンズが絶対条件か?

同社一眼レフも含めたEOSの最高画質モデルの旗艦機として2020年に発売開始されたEOS R5(それ以前は5060万画素のEOS 5Ds/EOS 5Ds R:共に生産終了)。最高画質を追求する高画素機には高描写性能の高級レンズを組み合わせるのが最良なことは紛れもない事実。

下位クラスレンズではせっかくの高画素を活かしきれないし、レンズの粗が目についてしまうとの考えも理解はできる。しかし2年経過した現在は発売当時よりレンズのラインアップが充実し、中堅クラスのLレンズや、赤帯ではないまでもそこそこ写りに定評のあるレンズの選択肢も増えている。
銀塩時代のレンズならまだしもRFマウントであればデジタル前提の光学設計なわけだし、カメラ側での各種補正もしっかり働く。

そこで敢えてワンランク下のレンズやテレコンバーターの使用、さらに撮影時のクロップや撮影後のトリミング、高感度設定にした場合の高画素機EOS R5の画質とその耐性などを実写作例で見てみたい。

撮影時のクロップやトリミング編集で高画素を活かすという考え

EOS R5のフルサイズ4500万画素はAPS-Cセンサー相当の1.6×クロップモードで撮影しても1720万画素超の画質をキープできる。
もちろんカメラ機能のクロップではなく画像を事後トリミングしても同じことであるし、その場合は1.6倍に縛られることもない。
しかし撮影のプロセスとして撮影時に丁寧に構図を決めてシャッターを切ることは大切なこと。撮れた写真から安易にどこでも好きに切り出せば良いという安っぽい話ではない。

まずお見せする作例は野鳥の中では比較的身近で撮影できるチャンスも多いカワセミ。

公園の池のほとりからの撮影距離は18メートル程度で、これ以上は近寄ることが不可能な撮影位置からの手持ち撮影。

キヤノンEOS R5+ RF100-400mm F5.6-8 IS USM+ EXTENDER RF1.4×の商品画像
キヤノンEOS R5+ RF100-400mm F5.6-8 IS USM+ EXTENDER RF1.4×
RF100-400mm F5.6-8 IS USM・EXTENDER RF1.4×・560mmで撮影したカワセミの画像

作例① カワセミ 100-400+エクステンダー望遠端
RF100-400mm F5.6-8 IS USM・EXTENDER RF1.4×・560mmで撮影
シャッター優先AE(1/125秒・絞りF11)・ISO800・WBオート・JPEG

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RF100-400mm F5.6-8 IS USMにEXTENDER RF1.4×を装着したテレ端の560mm相当で撮影。500mm超の焦点距離でもかなり小さくしか写らずモノ足りなさは否めない。それでもピクセル等倍にまで拡大再生すると円らな瞳にキャッチライトとして入った空や羽根の細部もしっかり描写されているのはさすがに4500万画素機の実力といったところ。

カメラメニュー画面の画像
カメラメニュー画面

撮影メニュー『静止画クロップ/アスペクト』の『1.6倍(クロップ)』を選択すると、フルサイズ撮像素子の中心部分でAPS-C撮像素子サイズ同等のエリアを使い撮影をする。最大画像サイズは5088×3392ピクセル。この時、レンズ焦点距離は35mm判換算で1.6倍の計算になる。

人気のコスパ最強望遠ズームとの組み合わせ

RF100-400mm F5.6-8 IS USM・EXTENDER RF 1.4×・896mmで撮影した近距離のカワセミの画像

作例② カワセミ 100-400+エクステンダー望遠端(1.6倍クロップ)
RF100-400mm F5.6-8 IS USM・EXTENDER RF 1.4×・896mm(35mm判換算)で撮影
シャッター優先AE(1/125秒・絞りF11)・1.6×クロップ・ISO800・WBオート・JPEG

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レンズは既に1.4倍のエクステンダーを装着してテレ端は560mmだが、さらに1.6倍クロップにより900mm(35mm判換算)相当での撮影。
カワセミもこのくらい大きく写せると満足度も上がるのではなかろうか?1720万画素あるので全紙サイズ程度は耐えうる画質を有している。

RF100-400mm F5.6-8 IS USM・EXTENDER RF1.4×・560mmで撮影した補食しているカワセミの画像のトリミング

作例③  カワセミ(捕食)100-400mm+エクステンダー(1.6倍クロップ)から任意トリミング
RF100-400mm F5.6-8 IS USM・EXTENDER RF1.4×・560mmで撮影
シャッター優先AE(1/125秒・絞りF11)・1.6×クロップ・ISO800 ・WBオート・JPEG

画像にマウスを合わせるとトリミング前の画像を表示します

画像をスワイプするとトリミング前の画像を表示します

WebやSNSなど画面上での公開を前提に、獲物のエビがはっきり確認できるように大胆にトリミングをしてみた。ここまでトリミングしても画として成立する。高画素データだからこその余裕がなせること。

この3点の作例は、なるべく低感度で撮影した画を見てもらいたかったので、カワセミの挙動や僅かな枝の揺れがあっても慎重にタイミングを見計らえば被写体ブレは防げるシャッター速度1/125秒で撮影した。
しかし本来はもう少しシャッター速度を上げたいところ。そこで超高感度域での描写やノイズの影響を確認すべくISO感度設定を上げて撮影したのが次の2点。

RF100-400mm F5.6-8 IS USM・EXTENDER RF1.4×・560mmで撮影した自然の中のカワセミの画像

作例④  カワセミ ISO3200で撮影
RF100-400mm F5.6-8 IS USM・EXTENDER RF1.4×・890mm相当で撮影
シャッター優先AE(1/320秒・絞りF16)・1.6×クロップ・ISO3200・WBオート・JPEG

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風やカワセミの挙動で揺れる枝が原因の被写体ブレもタイミングを見計らえば防げるであろうシャッター速度。

RF100-400mm F5.6-8 IS USM・EXTENDER RF1.4×・560mmで撮影した横を向くカワセミの画像

作例⑤  カワセミ ISO8000で撮影
RF100-400mm F5.6-8 IS USM・EXTENDER RF1.4×・560mmで撮影
シャッター優先AE(1/1000秒・絞りF13)・ISO8000・1.6×クロップ・WBオート・JPEG

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軽い羽ばたきや餌を枝に打ち付けたりする動作くらいなら写しとめる1/1000秒が稼げる想定のISO感度。もちろん天候など周囲の明るさにもよるが、エクステンダー使用で開放F値が暗くなった分を補うにはこのくらいの感度設定が必要になる。

設定ISO感度が高くなると羽毛の細かなディテールは損なわれていくのがわかる。また全体にザラついた印象も増すが、それでも思いのほかノイズ感が少ない印象だ。高画素機はノイズや粗(あら)も大きく拡大して見えてしまうので余計に目に付きやすいが、実際の鑑賞サイズ次第ではそれほどでもないことも多い。

EOS R5の場合、個人的には5桁未満のISO感度まではじゅうぶん実用と感じている。このへんは個人差もあるのでISOオートを利用する場合は上限設定をして自分自身の許容範囲内の感度を上手に使いこなしたいところだ。

被写体に近づくことができず焦点距離のもの足りなさを感じることは航空機などの撮影でも多いはず。飛行機が機体を傾けて旋回するタイミングは、短時間だが機体上面(俗にいう背中))を捉えるシャッターチャンス。その際、仰角(見上げる角度)が少ないほうが撮りやすいため機体からは敢えて距離をとり、望遠レンズで引き寄せるというジレンマを感じながらの撮影にはなるが、断然カッコいい写真をものできる。ここで頼りになるのがカメラの画質とレンズの解像力だ。

RF100-400mm F5.6-8 IS USM・1.6×クロップ・640mmで撮影した右旋回するオスプレイの画像

作例⑥ オスプレイ
RF100-400mm F5.6-8 IS USM・1.6×クロップ・640mm相当で撮影
シャッター優先AE(1/160秒・絞りF9.0)・ISO160・WBオート・JPEG

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作例は固定翼モードで右旋回するオスプレイ。プロペラ機と同じ飛び方なのでそこそこ速い機体を1.6倍クロップの640mm相当で追従しながらの連写。軽量なレンズのおかげでラクに追えた。

RF100-400mm F5.6-8 IS USM・EXTENDER RF1.4×・1.6×クロップ・900mmで撮影した着陸間際のオスプレイの画像

作例⑦ オスプレイ
RF100-400mm F5.6-8 IS USM・EXTENDER RF1.4×・1.6×クロップ・900mm相当で撮影
シャッター優先AE(1/160秒・絞りF9.0)・ISO100・WBオート・JPEG

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こちらはプロペラが上方を向いた回転翼モードで着陸間際の機体をテレコンバーターと1.6倍クロップの併用で900mm相当にして撮影。

どちらの作例もプロペラの回転を止めたくないため1/160秒で撮影しているが手ブレ補正のおかげもあり、拡大するとパイロットの存在感もあるし機体にプリントされた小さな文字もはっきり読み取れるほどシャープに写せた。

RF100-400mm F5.6-8 IS USM・EXTENDER RF2.0×・1.6×クロップ・800㎜で撮影した満月の画像

作例⑧ 月
RF100-400mm F5.6-8 IS USM・EXTENDER RF2.0×・1.6×クロップ・800mm(35mm判換算1280mm)で撮影
マニュアル露出(1/40秒・絞りF16)・ISO100・WBオート・JPEG・三脚使用

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RFレンズ用のテレコンバーターは2倍仕様もあるが、絞り開放F値が2段落ちるため、元から暗いRF100-400mm F5.6-8 IS USMでは望遠端の開放がF16となるため少々使いづらい。それでもEOS R5の1.6倍クロップとの併用で最大1280mm相当を稼ぎ、満月なら画面に対してこの大きさで捉えることが可能となる。AF測距エリアは狭くなるがAFでのピント合わせも行えた。

超望遠レンズの魅力は被写体を大きく写すだけでなく、超望遠レンズならではの圧縮効果を活かした作画が可能なこと。もちろん100-400mm単体でも圧縮効果は得られるが、テレコンバーターの使用やクロップ機能でさらに強調できる。特に1.6倍クロップはメニュー操作だけでレンズ着脱の煩わしさが無いのもよい。

キヤノンEOS R5+ RF100-400mm F5.6-8 IS USMの商品画像
キヤノンEOS R5+ RF100-400mm F5.6-8 IS USM
RF100-400mm F5.6-8 IS USM・260mmで撮影した行き交う船の画像

作例⑨ 望遠レンズの圧縮効果
RF100-400mm F5.6-8 IS USM・260mmで撮影
シャッター優先AE(1/320秒・絞りF8.0)・ISO100・WBオート・JPEG

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行き交う船がフレーム内に収まるように100-400mmレンズをズーミングして260mmで撮影した。対岸の工場地帯までは約4キロ、接岸中の大型輸送船まで約2キロ、左端の作業船までは約1キロ、手前の青い船までは300メートル程度の距離。大気のヘイズがやや残念だが、絞り開放近辺でも遠景から近景まで良好に解像し、レンズとカメラ双方のポテンシャルの高さがわかる。

RF100-400mm F5.6-8 IS USM・236mmで撮影した鳥の群れの画像

作例⑩ 鳥の群れ
RF100-400mm F5.6-8 IS USM・236mmで撮影
シャッター優先AE(1/1600秒・絞りF11)・ISO100・WBオート・JPEG

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旋回する鳥の群れを太陽光を入れ込んだシルエットで捉えた。鳥の大きさに差があるのと飛ぶ向きがバラバラなのは2グループ飛んでいた群れが手前と奥で重なったタイミングで撮影しているため。これも望遠レンズの圧縮効果のもたらす面白さ。

RF100-400mm F5.6-8 IS USM・1.6×クロップ・400mmで撮影したセセリチョウの画像

作例⑪ セセリチョウ
RF100-400mm F5.6-8 IS USM・1.6×クロップ・400mm(640mm相当)で撮影
シャッター優先AE(1/500秒・絞りF9.0)・ISO320・WBオート・JPEG

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望遠レンズの近接撮影で1.6倍クロップを使用するとマクロ的な雰囲気が増す。近寄ると逃げやすい被写体の場合、ワーキングディスタンスを保てるので撮影しやすくなる。高画素の威力もあり肉眼では到底見えない世界を鮮明にとらえることができた。

常用レンズならやはり定番の標準ズームが最良の相棒

キヤノンEOS R5+RF24-105mm F4 L IS USMの商品画像
キヤノンEOS R5+RF24-105mm F4 L IS USM

ここからはRF24-105mm F4 L IS USMの作例をご覧いただこう。
絞り開放F4.0とはいえ、標準ズームといえば今はRF24-70mm F2.8L IS USMよりも人気が高い看板レンズと言って良いだろう。テレ端で1.6倍クロップを使うと170mm相当まで焦点距離を稼げる。秋から冬の季節は特に日照時間は短くなるが、斜光線がドラマチックに浮かび上がらせた被写体を探しながらこのズーム1本だけぶらさげて撮り歩くのが楽しかった。微妙なトーンまで余さず再現できる画力に長けたフルサイズEOS R5と広角から望遠域まで1本でカバーするレンズの組み合わせは軽快な機動力も嬉しい良きパートナーだ。

RF24-105mm F4 L IS USM・1.6×クロップ・105mmで撮影したコスモスの画像

作例⑫ コスモス
RF24-105mm F4 L IS USM・1.6×クロップ・105mm(168mm相当)で撮影
絞り優先AE(絞りF8.0・1/50秒)・+2/3EV補正・ISO100・WBオート・JPEG

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マクロ的な使い方という点では中堅クラスの標準ズームとして定番のRF24-105mm F4 L IS USMは最短撮影距離が0.45mと寄れるLレンズ。1.6倍クロップをオンにした状態で少し絞って最短撮影距離近くまで寄るとピント位置はLレンズのシャープな写りがさらに際立つ。

RF24-105mm F4 L IS USM・1.6×クロップ・105mmで撮影したコスモスとてんとう虫の画像

作例⑬  コスモスとてんとうむし
RF24-105mm F4 L IS USM・1.6×クロップ・105mmで撮影
絞り優先AE(絞りF5.0・1/200秒)・ISO100・WBオート・JPEG

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こちらもRF24-105mm F4 L IS USMだが絞り開放近くなので少し描写の甘さが出ているが、ふわっとした雰囲気も悪くはない。花の位置が少し左寄りなのは風で揺れているからなのだが、EOS R5のAF追尾とAiサーボAFがしっかりピント追従してくれた。

RF24-105mm F4 L IS USM・83mmで撮影した紅葉した葉がつたうトタンの画像

作例⑭ トタンと紅葉
RF24-105mm F4 L IS USM・83mmで撮影
絞り優先AE(絞りF11・1/125秒)・ISO100・WBオート・JPEG

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街中で感じる紅葉シーズン。葉の色づきや塗装のはがれかけたペンキの質感など、少し絞り気味にしたことで隅までシャープかつリアルに。平面的な作画なのに陰影の効果もあり立体感ある写真になった。
秋の斜光はふだん気にもしないような地面の凹凸にも表情をつけてくれる。人通りが枯れた寂しいアーケードでもそんな光を意識しながら歩くと画になるシーンは多いが、ドラマチックな時間は数分で終わってしまうことも多いので直感で拾い集めるように歩く。

>RF24-105mm F4 L IS USM・98mmで撮影したタイルの画像

作例⑮ タイルの照り返し
RF24-105mm F4 L IS USM・98mmで撮影
絞り優先AE(絞りF4・1/1600秒)・ISO100・WBオート・JPEG

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RF24-105mm F4 L IS USM・100mmで撮影した路面標識の画像

作例⑯ 光る路面標識
RF24-105mm F4 L IS USM・100mmで撮影
絞り優先AE(絞りF7.1・1/250秒)・ISO100・WB オート・JPEG

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RF24-105mm F4 L IS USM・105mmで撮影したカフェの窓の画像

作例⑰ カフェの窓
RF24-105mm F4 L IS USM・105mmで撮影
絞り優先AE(絞りF8.0・1/80秒)・+1EV補正・ ISO100・WBオート・JPEG

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RF24-105mm F4 L IS USM・77mmで撮影した水引飾りの画像

作例⑱ 水引飾り
RF24-105mm F4 L IS USM・77mmで撮影
絞り優先AE(絞りF4.0・1/125秒)・+1/3EV補正・ISO100・WBオート・JPEG

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神社の境内で目にした美しい水引飾りは神職による手作りとのこと。その繊細な造作や淡い色彩も忠実に再現できている。フルサイズセンサー機は大きなボケ味も得やすい。背景の樹木がつくる玉ボケを意識しながらシャッターを切った。

RF24-105mm F4 L IS USM・92mmで撮影した釣り人の画像

作例⑲ 釣り人
RF24-105mm F4 L IS USM・92mmで撮影
絞り優先AE(絞りF4.0・1/4000秒)・-2/3EV補正・ISO100・WBオート・JPEG

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日没時間が迫り、ずいぶん傾いた逆光線気味の日差しと露出マイナス補正でシルエット的に釣り人をスナップ。重なるように並んで係留された作業船だが僅かにまわり込んだ光でそれぞれの輪郭が浮かび上がり、手前の船はシャドウ部の喫水表示も読み取れる。EOS R5のダイナミックレンジの広さがうかがえる。

RF24-105mm F4 L IS USM・67mmで撮影した富士山夕景の画像

作例⑳ 富士山夕景
RF24-105mm F4 L IS USM・67mmで撮影
絞り優先AE(絞りF8.0・1/50秒)・-1 2/3EV補正・ISO100・WB太陽光・JPEG

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太陽が隠れてからも暫くの間は強い残照が雲を照らし、それがまた海面に反射するドラマチックな夕景。JPEG撮って出しだが自然が織りなすグラデーションをしっかり描き切れている。

テレコンが使えない70-200mmなら高画素からクロップできるEOS R5が有利

キヤノンEOS R5+ RF70-200mm F4 L IS USMの商品画像
キヤノンEOS R5+ RF70-200mm F4 L IS USM

望遠ズームレンズRF70-200mm F4 L IS USMはサイズ的には魅力が大きいだけにテレコンバーター使用不可という仕様が不満という声もよく聞かれる。しかしEOS R5の1.6倍クロップという使い方に抵抗を感じ無ければ実用的な組み合わせだと思う。

大口径仕様のRF70-200mm F2.8L IS USMは確かにキレキレの描写力を有する優秀なレンズだが約1キロと重い。その点、RF70-200mm F4 L IS USMはコンパクトで三脚座も無いからバッグへの収まりも良い。EOS R5ではレンズのIS機構とボディ内の5軸手ブレ補正機構により7.5段という補正効果も得られる。

(左)RF70-200mm F4 L IS USM・200mmで撮影した銀杏の画像、(右)RF70-200mm F4 L IS USM・191mmで撮影した銀杏の画像

作例㉑ 銀杏(1.6×クロップオン/オフ・PLフィルター効果の比較)

(左)フルサイズ・PLフィルターなし
RF70-200mm F4 L IS USM・200mm
絞り優先AE(絞りF6.3・1/160秒)・-2/3EV補正・ISO100・WBオート・JPEG

(右)1.6×クロップ・PLフィルター使用
RF70-200mm F4 L IS USM・191mm
絞り優先AE(絞りF8.0・1/125秒)・-2/3EV補正・1.6倍クロップ・ISO100・WBオート・JPEG
 

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池のほとりに立つ銀杏を対岸から撮影。横位置では画面左右に余分な要素が入ってしまうし、縦位置にしても中途半端なので1.6倍クロップをオン。ズームテレ端ではもう少し大きく写せるが手前を横切ろうとする鴨がいたため、ズーム倍率をほんの少し下げて構図内に入れた。水面に青空が反射して銀杏の黄色い反射を弱めていたため、サーキュラーPLフィルターを使い、陸上の銀杏の水面に映る黄葉の調子を整えている。

RF70-200mm F4 L IS USM・179mmで撮影した滝の画像

作例㉒ 滝 望遠スローシャッターの手持ち撮影(PLフイルター効果の比較)

(左)PLフィルターなし
(右)PLフィルターあり

2点共通:RF70-200mm F4 L IS USM・179mmで撮影
絞り優先AE(絞りF5.6・1/8秒)・-1/3EV補正・ISO100・WBオート・JPEG

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展望エリアから直線距離で230メートルほど離れた瀧を紅葉越しに見下ろしている。前ボケに入れ込んだ葉は直射日光があたり明るすぎるためサーキュラーPLフィルターで反射を除去した。フィルター径は77mmなのでRF24-105mm F4 L IS USMやRF14-35mmF4L IS USMと共用できるのが良い。水の流れも表現したいのでボトム感度のISO100に固定。手ブレ補正の効果を信じ1/8秒の手持ち撮影をしてみた。

ケンコー・トキナー Zéta Quint C-PL 77mm径の商品画像

今回使用したサーキュラーPLフィルターは、ケンコー・トキナー Zéta Quint C-PL 77mm径 価格=31,900円(税込)

ISレンズとボディ側5軸補正協調制御の高い効果を実感

キヤノンEOS R5+ RF14-35mm F4L IS USMの商品画像
キヤノンEOS R5+ RF14-35mm F4L IS USM
RF14-35mm F4L IS USM・14mmで撮影した焼きそば屋の画像

作例㉓ 店舗 暗い室内の手持ち撮影
RF14-35mm F4L IS USM・14mmで撮影
絞り優先AE(絞りF16・1/5秒)・ISO100・WBオート・JPEG

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古い銭湯を利用した焼きそば店の不思議な空間を撮らせてもらった。脱衣室が食堂で浴場はイベントやライブ演奏などで使用しているという。RF14-35mm F4L IS USMはRFレンズの中では最も広い画角の撮影が可能な超広角ズーム。少々絞り気味の設定で撮影してみたが、中心部分だけでなくフルサイズ画面の隅々までシャープな描写は圧巻。手持ちで1/5秒だが、ダブルの補正効果のおかげで手ブレはなく、画面中央にあるカレンダーだけが風で僅かにゆれて被写体ブレしている。

RF14-35mm F4L IS USM・35mmで撮影した滝のライトアップの画像

作例㉔ 滝のライトアップを手持ち撮影
RF14-35mm F4L IS USM・35mmで撮影
フレキシブルAE(絞りF5.6・4秒・ISO800)・WBオート・RAW

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RF14-35mm F4L IS USMもカメラとの協調制御により最大7.0段分の手ブレ補正を発揮する。養老の滝の夜間ライトアップを手持ち撮影してみた。秒の域になるスローシャッターでも補正できるなんて話は個人的にはあまり信用していなかったし、実際私のスキルでは予想通り百発百中とはならなかったが、露光時間4秒でもブレを効果的に補正できているカットが複数あったのには正直驚かされた。

まとめ

今回最も多用したRF100-400mm F5.6-8 IS USMは高価なLレンズではない。実勢価格10万円を切る普及クラスだが、いかにも廉価レンズという描写ではけっしてないだけでなく、EOS R5の高画素センサーでもじゅうぶん満足感を得られ1.6倍クロップ機能の有効性も存分に体感できた。このクラスで上位の白鏡筒Lレンズ用のテレコンバーターが使用できるのもありがたい。1.6倍クロップ機能を使っていて少々不満に感じたのはオンにしている際の表示が控えめなため見落としてしまうことがあること。

また、切り替えの最短アクションはマイメニューに登録して呼び出すことだが、直接ファンクションボタンに割り当てができれば良いと感じた。しかし、キヤノンのカメラは比較的ファンクション割り当て可能なボタンが少ない傾向(よく言えばシンプルな操作系)を今までも継承しているので今後も大きく変わることは無いのだろう。

そういう意味では操作系レイアウトやメニューのGUIも一眼レフEOSを含め踏襲されている部分が多く、既存のキヤノン一眼レフユーザーならEOS R5でミラーレス機に乗り換えたとしても操作に戸惑うことは少ないだろう。もちろん他メーカーユーザーが触っても基本的には直感的に扱いやすいカメラである。

冒頭でも述べたが、最新機種では検出できる被写体種類が増え、瞳以外にも特定部位を検出してAF追従する機能などが搭載され進化を続けている。
EOS R5も人物、犬、猫、鳥に対応しているのでこれらのカバーでじゅうぶんと感じるユーザーまたは同機能を必要としない被写体撮影がメインのユーザーであれば周辺の機種が世代交代してもさほど陳腐化は感じないはずだ。

画質に関しても名実共にEOS Rシリーズの旗艦機としての立ち位置は不動。5000万画素を余裕で超える他社機もあるが、業務用途でもなければ4000万画素周辺でも十分な高画質は得られるし、画像の管理や編集のワークフローを考えても扱いやすいファイル容量でトータルバランスも良いと思う。

手ブレ補正については、カメラの保持や身体をしっかり固定させるなど撮影者のスキルによるところも大きいが、レンズとボディの協調制御の効果は絶大だ。

EOS R5にもいずれ世代交代の時が来るのは確実だが、現在は全くの未知数。間もなく追加されるEOS R6 MarkⅡも含めたラインアップで考えるとEOS R5は息の長い機種になるのかもしれない。

作例に使用したカメラ

Canon EOS R5

作例に使用したレンズ

RF14-35mm F4 L IS USM/RF24-105mm F4 L IS USM/RF70-200mm F4 L IS USM/RF100-400mm F5.6-8 IS USM/EXTENDER EF1.4×III/EF2×III

Photo & Text by 宇佐見 健(KEN USAMI)

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