スナップシューターとして名高いRICOH GR III。今回のプロフェッショナルレビューではGR IIIの標準レンズ搭載モデルとなる「GR IIIx」をハービー・山口さんにレビューしていただきました。
カメラの特性を理解する事はいい写真を撮る上での第一歩。いつでも気軽に取り出して撮れるGR IIIxによって紡ぎだされた作品が、写真が一瞬を写しとめる芸術である事を再度思い出させてくれます。
ハービー・山口さんの写真家としての鋭い視点と、人間としての暖かい人柄がにじみ出る作例は必見です!
・写真家人生の新たな伴侶、GR IIIx
・私の常用する50mmの画角と違和感なく安心して携行できる
・チェコ出身の女性写真家との出会い ~ 呼吸をするようにシャッターを切る。そんな彼女がGR IIIxを使ったら… ~
・渋谷~新宿~神保町~恵比寿。東京の街をスナップ
・画角は年齢に比例する!?私も50代以降は50mmを多用するように…
・旅先や移動中に出会う人々や光景を取り逃がすことなくシャッターに収める。その積み重ねが写真家の実績になっていく
・出合い頭の新鮮さを捉えることが何よりリアリティーに繋がりテーマとなる
・自分の撮りたい作風やシチュエーションを吟味したうえで、GR IIIxを作品作りに活かしてほしい
・まとめ
住み慣れた自分の部屋の隅には金属製の防湿庫が置いてあって、中には所有のカメラが整然と並んでいる。ガラス扉越しに見えるその姿に時に感動を覚えることがある。数としては10台のボディと10数本のレンズであるが、彼らは自分が歩んできた写真家人生のかけがえのない伴侶だった。
彼らと書いたが、カメラは女性名詞だそうだから、彼女というのが正しいのだろうか。最近すっかり使わなくなった一眼レフが2台あるが処分する気にはなれない。
この一眼レフは写真を始めた頃に買ったものだから、もう50年以上も所有していることになる。最近この中にGR IIIxが入居してきた。小柄な姿ゆえに他のカメラ群の無骨な形や、上品に佇む2〜3台のライカの横では異色の存在感だ。
[2022.9.11.16:45]岩手県盛岡市で写真の審査を行った。審査会場の近くにはゆったりと流れる川があり、陽が傾き始めた頃、知り合いのりえさんに立ってもらった。
[2022.9.11.17:08]りえさんに盛岡駅近くの洒落たカフェに連れて行って頂いた。若者たちがコーヒーを飲みながらくつろいでいる。コロナ禍の中、彼らの会話は小さく店内に響いていた。
[2022.9.11.23:04]盛岡からの帰り、新幹線「はやぶさ」が間もなく東京駅に到着する。窓の外に向けてシャッターを切ると、ビルの明かりと車内の様子が重なった不思議なカットが撮れた。
普段出かける時は、ライカを1台とこのGR IIIxをサブ機として持ち出すことが多くなった。GR IIIxになってからこうした組み合わせを選ぶ人が多くなったのでないかと想像している。
以前GRと言えば、画角は35mm判換算28mm相当だったから、私のように9割を50mm相当で撮影する者にとっては、少々の持て余した感があったが、GR IIIx の40mm相当だと、その違和感がまったくなくなり、安心して携行できるようになった。
[2022.9.13.13:19]毎月一回、第二火曜日の午後1時〜1時30分に、私はこの番組に出演している。放送が始まる数秒前、少し緊張気味のフリーアナウンサーの山田かれんさん。私との放送は、いつも物語の中にいるようです、との感想を頂いた。
つい先日、アメリカで活躍しているMarie Tomanova(マリー・トマノヴァ)さんというチェコ出身の写真家にあった。9月22日、神田にあるスーパーラボストアトーキョーで、彼女の新しい写真集の発表とそれに合わせた写真展のオープニングパーティーがあったので、会場に赴いた私は初対面であったが知己を得た。
とてもフレンドリーな人柄でアメリカに8年住んでいるというが、チェコの田舎町育ちという彼女には、その素朴さが人格の中に失われずに残っていた。それが人々に伝わるのだろう。
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ニューヨークでブレイクしたということで、スノビッシュな一面があるのかと想像していたが、垣根なしで、次から次へとパーティーに来る人と自然に交わっていた姿には大いに好感を持った。
すると彼女は、私にカメラを向け数回のシャッターを切り、この画角は使いやすいわね!とさらなる笑顔を見せた。
彼女の作品の傾向は呼吸するようにシャッターを切ることから生まれる。大型カメラの描写も。情緒あるオールドレンズがもたらす描写も彼女の場合は求めてはいない。いかに自分の隣にある空気を呼吸するように写真に取り込めるか、そのためにフィルムでもデジタルでも、自分に適したカメラを常に探しているのだと想像した。
もし彼女がGR IIIxを使い始めたら、どのように彼女の写真世界に貢献するのだろうか。
[2022.9.13.15:22]新宿御苑近くのここには、もうすぐ新しい道路が開通するのだろう。この工事中の風景は今しかないと思うとちょっと切ない。街の変化は止まることを知らない。
[2022.9.13.15:25]これも御苑の近くの風景だ。かつてバーが連なって夜中、明かりが灯って人が出入りしていたのだろう。そんな賑やかだった通りは、現在ではその面影はまったく消え果て、ビルの谷間に埋もれてしまった。
[2022.9.13.16:30]廊下を行き来する人々が、すりガラス越しに現れては消えていく。足元しか見えないので、人々が近くて遠い存在に思えた。
[2022.9.13.21:41]このお店には若者で溢れていた。なるほど料理のクオリティーがとても高い。オーナーシェフの引き締まった表情に、美味しい料理をお客さんに提供したいという使命感のようなものを感じた。
撮影分野にもよるだろうが、身の回りのものをメインの被写体としている写真家にとって画角とは、ごく自然に周囲の中から心に迫ってくるものを探し出す、あえて昆虫にたとえれば、触角の働く範囲に近い感覚があるのだろう。写真家の傾向として、若い頃には24mmとか28mmの広角を好み、年齢が重ねると徐々に35mmとか50mmに移行する傾向があるという説がある。画角は年齢に比例するという説だ。私も10代から30代までの頃は24mmとか28mmが標準レンズだった。それが50代以降は50mmを多用するようになっていった。
[2022.9.14.19:00]カッコ良いバーテンとすれ違った。彼の爽やかな笑顔がこの場所の健全さを物語っていた。
さて、先月だが写真展の審査や講演を依頼されて地方に出掛けることが多くあった。
私のようなスナップ写真家にとって、旅先や移動中に出会う人々とか光景は、またとない貴重な被写体になる。それを撮り逃してしまうことは実に残念なことだ。撮り逃さないようにするには、荷物はコンパクトにするのがコツだ。
胸元に下げたカメラ、またはカメラバッグから咄嗟にカメラを出し、一枚のシャッターを切る。これがいかに大切かを忘れてはならない。その小さな行為の末に作品が生まれる。そしてその積み重ねが写真家の実績になっていくのだ。
[2022.9.15.13:25]このキャンパスには小さな竹林があって、かつてもここに学生さんを連れてきてポートレイトを撮らせて頂いた。夏の暑さはピークを過ぎたようだった。
先日の旅の途中で、知り合いが洒落たパブに連れて行ってくれた。そこに常連客だろうか若いカップルが入ってきた。「あー、やっぱり来てたんだ!!」と偶然の再会を喜ぶ彼らの表情が実に活き活きとしていた。
絶好のスナップの瞬間だった。これを撮り逃してはいけないのだ。この日で一番の場面だった。バッグの中にはライカM10PとGR IIIxが入っていたが,手軽なGRをつかみ出し、彼らの歓喜が続く2〜3秒の内に一枚のシャッターを切ることができた。こうしたシチュエーションでは、出合い頭の新鮮さを捉えることが何よりもリアリティーにつながりテーマとなる。中判カメラの精密な描写でもなく、オールドレンスが描く情緒でもなく、あくまでも瞬間を捉えることが必要だった。
暗い店内にもかかわらず、画面左にカウンターにいた先客の横顔が、そして画面右にはお店に入って来た直後のカップルが写っていて、3人の表情がピークに達した瞬間をGRが見事に記録してくれたのだった。
[2022.9.14.20:42]お客さんが入ってきて、知り合い同士が盛り上がった一瞬。こうしたチャンスを撮り逃さないのがGRの強みだ。
[2022.9.14.22:04]カウンターの中に私が入ってオーナーと並んだ。するとお店にいたお客の皆さんが一斉にスマートフォンで私たち二人の撮影を始めた。
多くの写真家が要求する様々な要求をすべて1台のカメラが担うことはまずできない。それぞれのカメラには、性能の特徴があって、それに見合った使用範囲がある。自分の撮りたい写真のスタイル、撮るシチュエーションなどを考慮して的確な機材を選べば、作品の撮れ高の向上につながり、より充実感が持てるようになる。
ぜひ、GRを連れて作品作りに活かして頂きたいと願うのである。
[2022.9.21.19:02]俳優の安藤政信さんが原宿のBOOKMARCで個展を開催。そのオープニングパーティーがあった夜の一枚。
入場を待つ人々の列を撮影していたら、パーティーとは関係にない男性が真っ直ぐに歩いてきた。
[2022.9.21.20:24]お店のスタッフとして働いていたが、この日がお勤めの最後の日ということで撮らせて頂いた。将来何をしようかはまだ決めていないという。良い青春を過ごして欲しいと願う私だった。
[2022.9.21.20:32]特に若者が集まる街で見かけるユニークなヘアスタイルに圧倒されることがある。かつてはヘアーにこれほどのメッセージはなかった。時代と共に主張する方法は変化していくのだろう。
塗装をメタリックグレーの特別仕様に変更し、ネイビーブルーのリングキャップをセットにした限定モデル。
・50mm相当で撮影する事を好む者にも、GR IIIx の40mm相当だと違和感が無い
・写真家にとって画角とは、ごく自然に周囲の中から心に迫ってくるものを探し出す、昆虫の触角の働く範囲に近い感覚がある
・写真家の傾向として、若い頃には広角を好み、年齢が重ねると徐々に35mmとか50mmに移行する傾向があるという説がある
・スナップ写真家にとって、旅先や移動中に出会う人々とか光景はまたとない貴重な被写体
・バッグから咄嗟にカメラを出し、一枚のシャッターを切る。これがいかに大切かを忘れてはならない
・出合い頭の新鮮さを捉えることが何よりもリアリティーにつながりテーマとなる
・撮りたい写真のスタイル、シチュエーションを考慮して的確な機材を選べば、撮れ高の向上につながりより充実感が持てる
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