宇佐見 健 カメラマンによるCanon(キヤノン)EOS R7 の実写レビューです。
基本機能の解説、オートフォーカス性能、RF-Sレンズの描写性能など、APS-Cサイズセンサーを搭載したハイエンドカメラのメリットや高速性能などについて、プロカメラマンならではの視点で解説していただきました。
又、同じくAPS-Cサイズセンサーを搭載したデジタル一眼レフカメラEOS 90Dとの描写性能の比較から、ミラーレス機の優位性をひも解きます。
新マウントシステムとともに登場したEOS Rシステム待望のAPS-Cモデル
APS-Cサイズセンサー機のメリットをいま一度考える
ハイエンド機として備えられた諸機能をチェック
APS-Cセンサー搭載EOSにおける最高画質を実現
EOS Rシリーズ最速の連写性能を実現したシャッター
EOS R3譲りのAF性能は人物の顔・瞳、動物優先・乗り物優先の高精度な被写体検出でターゲットを捕捉しトラッキングAFが可能
AFエリア自動選択時は最大651分割の広いエリアでAF測距
0.5秒遡れる30コマ/秒のRAWバースト連写
フォーカスブラケット機能に被写界深度合成機能を新搭載
約5コマ/秒でパーンしながら撮影した画像から高解像パノラマ写真の生成が可能
センサー駆動の5軸ボディ内手ブレ補正機構を搭載
高性能EOS R7を使いこなすための新操作性
実写レビュー
動き回ってじっとしないダチョウの顔をポートレート的に撮る
なかなか顔を上げない羊にはローポジション撮影
APS-Cサイズが威力を発揮する野鳥撮影
デジタル一眼レフとの描写力の差を比較(EOS R7とEOS 90Dで撮り比べ)
遠距離 100mm(35mm判換算160mm)で比較
遠距離 300mm(35mm判換算480mm)で比較
近距離 200mm(35mm判換算320mm)で比較
まとめ
Canon(キヤノン)のミラーレス一眼EOS Rシリーズにとって初のAPS-C サイズCMOSセンサー搭載ハイエンドモデルEOS R7とエントリークラス機EOS R10が加わった。今回は最上位機EOS R3譲りのAF性能を有するEOS R7について実写作例を交えその魅力に迫る。
Canon(キヤノン)EOS R7とキットズームRF-S18-150mmF3.5-6.3 IS STM 発売=2022年6月23日
これまでキヤノンのミラーレス一眼は、小径のEF-MマウントレンズでAPS-CサイズCMOSセンサーを搭載した小型軽量なEOS Mシリーズと、フルサイズCMOSセンサーを搭載し、大口径マウントによる光学設計の自由度の高さで描写性能を追求したRFマウントを採用のEOS Rシリーズとの2本立てだった。
どちらもマウントアダプターを使用すれば、一眼レフEOS用の豊富なEFレンズ群を装着可能な点は共通。しかし、2012年登場のEOS Mシステムは2020年にEOS Kiss M2を発売以降、新機種の追加がない。現行機種として販売は継続しているがシステムの存在感は正直薄い。
一方、EOS Rシステムは2018年の初号機EOS R発売以降、着実に新型ボディとRFマウント交換レンズを追加。昨年11月には7機種目のボディに最上位機EOS R3を発売。同社一眼カメラの主力システムに成長している。
デジタル写真へのエントリー層開拓が役目で、小型軽量・簡単がコンセプトのEOS Mシステムと、作品レベルの撮影を趣味とする人やプロユーザーもターゲットにするEOS Rシステムではそもそも方向性が異なる。しかしそれを置いても、ライバルメーカーのミラーレスシステムが撮像素子サイズの違いにもマウントアダプターを介さずにレンズを共用可能なシステムとして充実させているのに対して、キヤノンは遅れを取っていた感は否めない。EOS R7の登場でAPS-Cサイズセンサー仕様のEOS Rシステムを待望するユーザーの願いがようやく叶ったというわけだ。
一眼レフEOSシリーズの撮像素子にはフルサイズ機とAPS-Cサイズ機の2種類があり、交換レンズはどちらにも共用可能で豊富な種類が揃うEFレンズ群とAPS-Cサイズのセンサー専用のEF-Sレンズ群がある。
今回のAPS-Cセンサー搭載ボディ2機種と専用RF-Sレンズの登場により、今後はミラーレスカテゴリーでもEF/EF-Sレンズ同様の拡充がされていくこととなる。現時点ではRF-Sマウントレンズはまだ2本のみだが、今後EOS Rシステムではボディだけでなくレンズの選択肢も増えていくわけでワクワクさせてくれそうだ。
APS-Cサイズセンサー機はフルサイズセンサー機よりもレンズのイメージサークル内の狭い範囲を画像として取り込むため、狭い画角となる。焦点距離に換算して約1.6倍の計算で、望遠側の焦点距離を稼げることがメリット。またRF-SレンズではRFレンズよりも小型の鏡筒にする設計が可能。これは製造コストにも直結し、RFレンズよりもリーズナブルな価格帯のラインナップにも期待ができる。
Canon(キヤノン)EOS R7とRF-S18-150mmF3.5-6.3 IS STM。RF-Sマウントは樹脂パーツを多用するなど低価格帯のエントリークラスの位置づけだ。
Canon(キヤノン)EOS R10 発売=2022年6月23日
キヤノンRF-S18-45mmF4.5-6.3 IS STM 発売=2022年6月23日
キヤノンRF-S18-150mmF3.5-6.3 IS STM 発売=2022年6月23日
キヤノン初のAPS-Cセンサーミラーレスのハイエンド機として位置づけられたEOS R7の仕様をチェックしよう。
新開発のセンサーは有効画素最大3250万画素で数値上はEOS 90DやEOS M6 MarkIIと同じ。しかし映像エンジンDIGIC Xとの組み合わせで、それらを凌ぐ解像性能を実現したとしている。
メカシャッター/電子先幕でEOS Rシリーズ最速のAF/AE追従・約15コマ/秒の高速連続撮影が可能。またメカシャッター/電子先幕では最高1/8000秒、電子シャッターでは最高1/16000秒の高速シャッターで一瞬の光景を捉える。超高速シャッターは明るい屋外でも大口径レンズの浅い被写界深度を活かした表現にも有効だ。
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トラッキングにも対応したAFエリア
向かってくる車両をメカシャッター 高速+で撮影。ミラーレス機の弱点ともいえる撮影中のズーム操作をあえて2回行った。ズーム操作直後のカットはピントがやや甘くなってしまったが、その次のカット以降は再度のAF合焦と追従はまったく問題なくシャープな画を得られた。
AFエリアを651分割に細密化。広範囲なAFエリアを使って、撮影者の意図した通りのポイントでピント合わせが可能となった。
深度合成OFF
深度合成ON
共通データ:RF-S18-150mmF3.5-6.3 IS STM・138mm(35mm判換算221mm)で撮影
ISO200・WBオート・JPEG
ピントを自動で少しずつずらしながら連続撮影した画像をカメラ内で合成処理して手前から奥までピントが合った1枚の画像を生成する機能。他社で既に数年前から搭載している例もあったがキヤノンにもついに搭載された。
EOSカメラ初となる「パノラマショット」機能を搭載。ボディ内5軸手ブレ補正機構を使ったスイングブレ補正により、高解像で鮮明なパノラマ写真の生成が可能となった。
装着するレンズのIS機構有無にかかわらずすべてのRF/RF-Sレンズで手ブレを補正。キットレンズRF-S18-150mmF3.5-6.3 IS STM装着時は約7.0段、RF24-105mmF4L IS USMの105mm時には約8.0段の高い補正効果を発揮。
右肩に移動し即座に操作可能なメイン電源スイッチ。動画モードの切替えを兼ねた電源スイッチ。カメラを右手でグリップしたまま親指で素早く操作可能。ただし慣れないとONのつもりが勢い余って動画モードに入れるミスを起こしがち。
バリアングル液晶モニター採用。約162万ドット・タッチパネル採用の3.0型液晶モニターは動画ユーザーに好まれるバリアングルタイプ。好みが分れる部分だが自撮りにも使える条件のクリアにはこの選択しかないのだろう。
ボディグリップ側の前面にAF/MF切替レバー(フォーカスモードスイッチ)を新設
鏡筒にAF/MF切替レバー(フォーカスモードスイッチ)がないRF-Sレンズでのみ機能する専用スイッチで、右手はグリップしたまま薬指で簡単にAFのON/OFFが可能。ファインダーを覗いたまま操作できることが使いやすく、ぶっちゃけRFレンズでも使いたいくらい。また、同軸のボタンを押せば被写界深度をプレビューできる。
このボタンにもメニューから別機能をアサイン可能。個人的には「ワンショットAF⇔サーボAF」か「トラックングON/OFF」あたりを登録しても使いやすいと思う。またはメニューのトップ画面呼び出しをアサインすれば、すべてのメニュー設定操作が右手だけでオペレーション可能。
マルチコントローラーと同軸になった新サブ電子ダイヤル
従来機では背面液晶モニター右側にQボタンを挟んで縦に並んでいたマルチコントローラーとサブ電子ダイヤルが合体しファインダー右へ移動。
シャッターボタンに指を乗せたまま親指が自然なポジションでマルチコントローラーと電子ダイヤル回転操作が行える。どちらを操作するにもファインダーを覗いたままで指の移動も僅かなのが好印象。
ボタンカスタマイズメニュー画面
そのマルチコントローラー操作ではAFエリアをダイレクトかつスムーズに希望のポジションへ移動でき、操作に対する敏感度(移動のスピード)をカスタマイズすることも可能。また、コントローラーを押し込む操作でAFフレームホームポジションに戻したり、トラッキングのON/OFFを切り替えを行うなどの動作がボタンカスタマイズで7通りの使い方から選択可能。
ここからは実際に撮影した作例をご覧に入れながらEOS R7の操作性や使用したレンズとの相性など、感じたことを記したい。
まずはEOS R7と同時に登場し、キットレンズとしても設定されているRF-S18-150mmF3.5-6.3 IS STMレンズで動物検出のAF撮影を試してみた。
AF性能はフルサイズミラーレスEOSの最上位機EOS R3と同等としているEOS R7。デフォルトのAF設定はAFモード=ONE SHOT、AFエリア=全域AF、被写体追尾(トラッキング)=ON、検出する被写体=人物、瞳検出=する、追尾する被写体の乗り移り=1(緩やか)になっている。
実はこのワンショットAF設定のままではトラッキングがONであっても機能しない。サーボAF(コンティニュアスAF)を選択することで初めてトラッキングが有効になり、シャッターボタン半押し状態であれば被写体の移動だけでなく、撮影者自身が移動したことによる距離や構図の変化にもAF追随するようになる。つまりピントの合わせ直し操作が不要なので自分の好きなタイミングでシャッターが切れる。いまどきのミラーレスカメラに標準装備となりつつあるトラッキング機能のなせる業なので使わない手はないだろう。
もちろんONE SHOT(シングル)AFが不要になることはないが、被写体検出とトラッキングの精度が向上した現代のカメラでは出番は極端に少なくなるだろう。ただしサーボ(コンティニュアス)AFではピントの状態にかかわらずシャッターボタン深押しで即座にシャッターが切れることを理解しておく必要がある。今回のレビューでは基本的にAFモードはサーボAF設定で撮影している。
被写体検出「動物」を試すため動物園に行ってみた。ここのダチョウは人影を見つけるとすぐに駆け寄ってきて、親愛なのか威嚇なのか頭を前後に大きく振るように首を動かして静止しない。ズームの広角側では画面内に雑多な要素が入り込むため望遠側の切り取り効果とボケ味で背景をスッキリさせたくなる。どんなにAF測距が速くてもAFフレームを的確に瞳に重ねること自体が至難の業。こういう時こそ被写体検出とトラッキングAFの出番だ。
RF-S18-150mmF3.5-6.3 IS STM・129mm(35mm判換算206mm)で撮影
絞り優先AE(絞りF6.3・1/320秒)・+1.3EV補正・ISO500(オート)・WBオート・JPEG
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ダチョウの頭を全域AFで被写検出&トラッキングさせつつ動きの少ないタイミングを見計らいシャッターを切った。横顔はまず問題ないだろうと思っていたが、正面顔も左右方向に出っ張った瞳の合わせたい部位にしっかりピントを合わせてくれた。硬そうな毛一本一本の質感も忠実かつシャープに描写し、さらにこのボケ味。手頃な価格帯のキットズームではあるが、けっして廉価レンズだからと侮れない実力を備えている。
普通に遠目からEVFで撮影すると被写体検出が働くのは確認できるが撮っても平凡な写真に。これなら被写体検出もトラッキングAFもなくて撮影ができるシチュエーション。
毛を刈り込まれ、スッキリした羊たちは、一心不乱に食事中。なかなか顔を上げないのでカメラ位置を低くして狙うためバリアングルモニターを展開。地面レベルの低い位置から撮影をすることに。
バリアングル液晶モニターで地面レベルからの撮影。草を食み前進する羊に合わせて移動しAF捕捉状態を確認しながら撮影。動物優先の被写体検出とトラッキングAFのお陰でピントに問題はない。少しだけ前髪を残して毛を刈られた羊の様子がよくわかる横顔ショットが撮れた。
しゃがんでいる人間に興味を持ったのか1頭が近づいてきた。正面顔を抑えるチャンスだが、強い日差しがダイレクトに当たっているせいで、液晶モニター表示がほとんど見えなくなってしまった。ズームをW端にしてピントは被写体検出のAFに任せ、構図はヤマ勘のノールック撮影で行ったが、狙い通りのピントは得られている。開放絞りで背景が僅かにボケたことで、ピンクの耳や瞳などシャープなピント部が際立ち臨場感あるユーモラスな写真になった。
折しも繁殖・子育てシーズンということでセイタカシギが営巣中の蓮田を訪れた。むやみに近づいてストレスを与えないよう距離を保つのが絶対だが、可能な限り大きく写したいと思うのも当然。そんな時にRF800mmF11 IS STMとAPS-CセンサーのEOS R7との組み合わせではエクステンダ―を使わずに35mm判換算で1280㎜相当の超望遠レンズとして使用できる。
RF800mmF11 IS STM・絞り優先AE(絞りF11・1/640秒)・35mm判換算1280mmで撮影
+1/3EV補正・ISO1250(オート)・WBオート・JPEG
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親鳥はハスの葉に埋もれるように佇んでいても白い羽毛で大きさがあるため、被写体検出でまったく問題なく捕捉ができる。このレンズは軽量で手持ちで撮影も余裕なうえ、5段分の手ブレ補正効果が頼もしい。輝度差の大きなエッジ部分に僅かに色収差が見うけられるものの、思いのほかシャープでしっかり描写できていて感心させられる。
RF800mmF11 IS STM・35mm判換算1280mmで撮影
絞り優先AE(絞りF11・1/640秒)・+0.3EV補正・ISO1600(オート)・WBオート・JPEG
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このレンズの使用時はAFエリアが撮像面約40%×60%の範囲に限定されてしまう。ようやく姿を見せてくれた雛たちと親鳥をこのAFエリアで同時に捉えると動物検出は大きな親鳥を優先してしまう。そこで小さなAFエリアに変更し画面内の少し低い位置で雛を捕捉させることでトラッキングAFが追随する。あいにく雛たちはすぐに隠れてしまい撮影できたのは短時間だったが、35mm判換算1280mm相当のおかげでとりあえずフワフワな姿を捉えることができた。
次にEOS R7とRF800mmF11 IS STMの1280mmコンビで撮影したのはダイサギの巣。キットズームのテレ端で撮影した状況写真からわかる通り、この巣だけ遮る枝葉が少なく見通せるのだが、少々高い位置ある上に距離が遠い。撮影には不利な環境だが1280mmで画面いっぱいに引き寄せることができた。
地上から見上げるようにキットズームの150mm(35mm判換算240㎜相当)で撮影した巣の様子。画面中央に白い雛の姿がろかうじて確認できるがトリミングして使うには小さすぎる。
Canon(キヤノン)EOS R7に装着したRF800mmF11 IS STM
Canon(キヤノン)RF800mmF11 IS STM 発売=2022年7月30日
当日は強風で、巣の作られている木も大きく揺れ続ける状態。三脚を使用し揺れが小さい瞬間を見計らいシャッターを切った。ピントは少々不安だったがサーボAFとトラッキングのお陰で、巣に5羽の雛がいる様子とボタンのような瞳とひな鳥の冠羽もシャープに撮影できた。空はまだ明るいとはいえ17時に近い時間帯の木陰は思いのほか暗い。被写体ブレを防ぐシャッター速度を稼ぐためにISO6400までISO感度を上げているがこの程度では高感度ノイズは気にならない。エクステンダ―とは違い、開放絞り値F11のまま焦点距離を稼げるAPS-Cのセンサー機であることも満足いく撮影結果を得られた要因だ。
同時に撮影した動画をごらんいただけば、いかに鳥にも撮影にも過酷な状況でも結果を残したEOS R7の凄さがおわかりいただけるはず。
朝から動物ばかり撮影していたが、この日の撮影は東京湾アクアライン絡みの夕景撮影で締め括ることにした。風景撮影のためトラッキングAFもサーボAFも必要ないシチュエーションだが、あえて鷺の巣を撮影したAF設定のまま撮影をしている。というのも、海辺の夕景撮影では予期せず飛来した野鳥でシャッターチャンスが訪れることもあり、そんな場面に設定を変えているとチャンスを逸しかねない。残念ながら野鳥は登場しなかったが、わざわざワンショットAFや風景向きのAF設定に変えずとも何ら問題なく夕景撮影はできた。被写体検出で優先に設定されている「動物」がそこにいなければ、AFは当然のごとく構造物や雲を被写体としてAFを合わせるからだ。
RF-S18-150mmF3.5-6.3 IS STM・50mm(35mm判換算80mm)で撮影
絞り優先AE(絞りF5.6開放・1/100秒)・-0.6EV補正・ISO200・WBオート・JPEG
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3枚目の画像は、先の2枚から約20分後の空。日没後もしばらく空や雲は明るく写せるが、実際にはだいぶ薄暗い。全域AFが測距する対象を迷いサーチするようになってきたため、小さなAFエリアに切替えて画面中央付近の橋脚部分にピントを合わせて撮影。結局この日は一度もワンショットAFを使うことがなかった。
次は電子シャッターの連続撮影性能を見てみよう。
メカシャッター/電子先幕時にはAF/AE追従で最高約15コマ/秒を実現しており、記録画素数を無視してコマ速だけを見ればこれはフルサイズ機の最上位機EOS R3をも凌ぎEOS Rシステムでは最速の連写速度だ。一方、電子シャッターではEOS M6 MarkIIにも搭載されていたAF・AE追従30コマ/秒のRAW記録連写が可能なRAWバーストモードが進化し、シャッターボタン押下0.5秒前まで遡って記録できるプリ撮影機能が追加された。
通常の撮影モードでは昆虫の動くタイミングがつかめず止まった写真になりがち。
RAWバースト撮影モードで連写した画像の中から、飛び立ったハナアブが向きを変えた瞬間を選びカメラ内でJPEGへ変換した。電子シャッターで撮影するため被写体の動き方によってはローリングシャッター歪みが生じるケースもあるが、生物などの生態撮影やスポーツシーンで難しかった撮影が可能になる。
今回の撮り比べを行った(右)EOS R7+RF100-400mmF5.6-8 IS USMと、一眼レフ代表の(左)EOS 90D+EF70-300mmF4-5.6 IS II USM。
EOS R7に搭載された新開発3250万画素CMOSセンサーはEOS-1D X MarkIIIにも搭載されている映像エンジンDIGIC Xとの組み合わせでAPS-C機EOS史上最高の解像性能を謳う。
APS-Cセンサーということでは一眼レフのEOS 90DとミラーレスEOS M6 MarkIIが同じく有効画素数3250万画素CMOSセンサーだが映像エンジンはともに1世代前のDIGIC 8である。
この時点で画質に差が出るであろうことは想像できるが、実際にはどの程度の差があるのかをEOS R7とEOS 90Dで撮り比べてみた。ただし、チャートなどを利用した検証ではないし、回折現象の補正や解像感・質感・立体感を向上させる映像エンジンDIGIC 8とDIGIC Xがその都度どのような画像処理を施しているかまで厳密な確認のしようもない。あくまでデフォルトの画質設定で記録された画像を主観で判断した結果を述べている。
使用したレンズはEOS R7にはRF100-400mmF5.6-8 IS USM、EOS 90DはEF70-300mmF4-5.6 IS II USM を選択。掲載する作例画像は遠景・近景ともに同じ焦点距離と同じ絞り値、同じピント位置で撮影した画像である。
EOS R7【遠距離・100mm(35mm判換算160mm)で撮影】
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EOS 90D【遠距離・100mm(35mm判換算160mm)で撮影】
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共通データ:絞り優先AE(絞りF5.6・1/1000秒)・ISO100・WBオート・JPEG
EOS R7【遠距離・300mm(35mm判換算480mm)で撮影】
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EOS 90D【遠距離・300mm(35mm判換算480mm)で撮影】
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共通データ:絞り優先AE(絞りF8.0・1/500秒)・ISO100・WBオート・JPEG
EOS R7【近距離・200mm(35mm判換算320mm)で撮影】
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EOS 90D【近距離・200mm(35mm判換算320mm)で撮影】
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共通データ:絞り優先AE(絞りF8.0・1/160秒)・ISO100・WBオート・JPEG
Canon(キヤノン)RF100-400mmF5.6-8 IS USM 発売=2021年10月28日
Canon(キヤノン)EOS 90D 発売=2019年9月20日
Canon(キヤノン)EF70-300mmF4-5.6 IS II USM 発売=2016年12月22日
遠景100mmおよび300mmの撮影結果は画像を拡大して確認するまでもなくEOS R7のほうが高コントラストで抜けが良く、ピント面もシャープで解像感も高く感じられる。色味に関してもEOS R7のほうが自然でEOS 90Dは僅かにY(黄)が強いようだ。
テーブルフォト程度の近景の焦点距離200mmでの比較は、一見大差ないが拡大してみるとやはりEOS R7のほうが僅かに解像感が高くシャープ。しかしボケ味はやや硬い印象だ。ボケがはじまるレンズ先端部分のフィルターネジ山部分などを見るとその差がわかりやすい。
現行機種の一眼レフとミラーレス一眼の撮り比べとは言え、撮影結果には勿論それそれのレンズの光学性能も影響する。また掲載画像も単純に同一の絞り値での比較であり、両機種のベスト画像ということでもない。そうしたことも踏まえた上で敢えてどちらかを選べと言われれば画質はEOS R7とRF100-400mmF5.6-8 IS USMのコンビに軍配が上がる。APS-C EOS史上最高の解像性能を実現というフレーズにも納得だ。なお、絞りF11で撮影した比較では解像感やシャープネスなどほぼ互角な描写力の印象だったことを記しておきたい。
昼寝中の猫もサーボAF設定のままカメラを縦に構えて撮影。AF測距可能エリアが広いEOS R7なので、画面の端など大胆な位置に主役を配するのも簡単。これを一眼レフで撮ろうとすると顔部分でAFロックして構図修正という煩わしいお作法が必須。また仮に猫が目覚めた場合にもEOS R7ではそのまま動体に対応ができるはず。
・キヤノン初となるAPS-CセンサーEOS Rシリーズの最上位機種として登場のEOS R7。かつて一眼レフEOSでそうだったように「7」の名を受け継ぐ機種としては申し分ない動体撮影適応力を備えたカメラだ
・ミラーレス機の広いAFエリアと被写体検出・AF追従のおかげてピント合わせに煩わされない撮影スタイルが楽しめるようになった
・新デザインのサブ電子ダイヤル搭載による操作性の飛躍的向上で軽快かつテンポ良い撮影フィーリングを得られる
・フルサイズ最上位機EOS R3を凌ぐRシリーズ最速の約15コマ/秒の高速連写、電子シャッター時30コマ/秒を実現で動体撮影に対応
・EOS R3譲りのAIによる被写体検出技術と捕捉した被写体を追尾しつづけるトラッキング機能EOS iTR AF Xは写真の撮り方を大きく変える
・超望遠レンズの魅力がさらに増すAPS-Cセンサーならではの焦点距離1.6倍効果
・0.5秒遡れるプリ撮影追加の30コマ/秒のRAWバーストで決定的瞬間が撮れる
・被写界深度合成や合成パノラマショットなどEOS初の機能を搭載
・今まで動体撮影の経験が無い人も機能の一端に触れたら取り組んでみたくなる気にさせるカメラである
【商品情報】Canon(キヤノン)EOS R7
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