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2022.07.31
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富士フイルム GFX50S II レビュー × 佐藤 尚 |最高峰ミラーレスカメラで撮る絶景の風景写真

富士フイルム GFX50S II レビュー × 佐藤 尚 |最高峰ミラーレスカメラで撮る絶景の風景写真

FUJIFILM(富士フイルム) GFX50S IIは、高画素である事は勿論、優れた諧調表現やフィルムシミュレーションを持ち、風景写真にぴったりのカメラです。

今回のプロフェッショナルレビューでは、実際に佐藤 尚カメラマンにFUJIFILM GFX50S IIを使って美しい風景写真を撮影していただき、特徴や魅力をレビューしていただきます。

高い解像力と諧調表現を持つミラーレスカメラの最高峰は、フィルム時代の中~大判カメラに迫る最高クラスの描写力を持ったカメラです。

佐藤 尚(さとう・たかし)
■ライター紹介

佐藤 尚(さとう・たかし)

1963年福井県生まれ。山岳写真家・風見武秀氏に師事。47都道府県を車中泊旅しながら、農村や自然や軽トラックのある風景を撮り続けている。作品を発表する傍ら、写真ワークショップ「里ほっと」を地元埼玉県で主宰し、オンラインサロン「47里ほっと」を運営。風景写真集『47サトタビ』『こころの故郷-魚沼の風景を撮る』『japan』。日本風景写真家協会(JSPA)会員、FUJIFILMアカデミーX講師、日本学生写真部連盟指導会員。 http://www.satophoto.net/

FUJIFILM(富士フイルム) GFX50S II
FUJIFILM(富士フイルム) GFX50S II
FUJIFILM(富士フイルム) GFX50S II 作例1

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カメラが作り出す“色”が好きで富士フイルムのデジタルカメラをずっと使っている。自分好みの“色”をそのままカメラが表現してくれるのでうれしくて仕方ないのだ。

富士フイルムのミラーレスデジタルカメラのGFXシリーズはラージフォーマットの高画素センサーで緻密な描写が特徴の一つだ。ラージフォーマットは光や質感を諧調豊かに表現してくれるので風景写真の表現に適したカメラだと思っている。

FUJIFILM(富士フイルム) GFX50S II を持って夏の新潟県魚沼を旅してみた。カメラにはボディ内手ぶれ補正機構が搭載されている。ようは手持ちでも撮影がブレにくい機能がカメラにあるということだ。ある時、手持ち撮影を試みてシャッターを押してみた。胸が高鳴った。なんだろうこの感覚は。理由はシャッターである。軽いタッチのフェザータッチシャッターボタン機能が加わっていたのだ。この感覚は撮影が楽しいぞ!楽しくなれるカメラは魅力的だ!

FUJIFILM GFX50S IIは風景写真の撮影にオススメのカメラ

FUJIFILM GFX50S II はちょっと大きめのカメラだ。大きいセンサーサイズのラージフォーマットなのでボディが大きくなることは仕方ないと理解できる。でも、実は、決してバカでかいといったイメージではないことは知っていていただきたい。それは、実際に目にしたり手にしたりするとわかる。しかも、出っ張ったグリップが手に馴染んで楽に持てるので余計にカメラの大きさを感じさせない。ちょっと大きいけど、そうでもないことを最初に知っておいていただきたい。

ラージフォーマットのカメラから作り出される画は最高である。それは、高画素なカメラだということで想像はできよう。そして、最高画質で手持ち撮影を可能にしたのが FUJIFILM GFX50S II だ。

手持ち撮影のために、ボディ内手ぶれ補正機構だけでなくフェザータッチシャッターボタン機能が備わり機動力が強化されている。三脚に固定してしっかり写すのもいい、動き回って手で持って写すのもいい。風景写真の幅を広げてくれるカメラなのだ。

それでは、FUJIFILM GFX50S II での風景写真撮影について、色のこと、高画素の描写力のこと、ボディ内手ぶれ補正機構などについて、ゆっくり解説していこう。

FUJIFILM(富士フイルム) GFX50S II 本体

富士フイルムのカメラが作り出す「色」

風景写真で大切な“色”を富士フイルムのデジタルカメラを使うことで簡単に出してくれる。フィルム製品開発の歴史ある色再現技術がデジタルカメラにも搭載されていて、濁りの無い透き通るような色調が美しい。人間がイメージする記憶色の表現が心地よく表現されて、風景写真においての青空や緑の発色が私は特に好きだ。

フィルムの種類を入れ替えて写すようなフィルムシミュレーション機能がカメラに備わっている。デジタルカメラでいろいろなフィルムを使って写せるイメージだ。その種類をいくつか挙げてみる。風景写真をフィルムで撮る方には馴染みがあるだろうが、“ベルビア”は鮮やかな色調で、桜や新緑、紅葉、海などの風景写真に向いている。私は、青空が広がっている時はほぼ“ベルビア”で写している。“プロビア”は見たままの自然な色調で、霧や雨など雰囲気がある風景写真に多用している。他に“アスティア”や“プロネガハイ”なども風景写真に利用する場面は多い。“エテルナ”はコントラストが弱く映画のワンシーンのような時空が現れるので最近のお気に入りになっている。

これら、様々なフィルムシミュレーションを撮影意図によってボタンやダイヤルなどで設定を瞬時に変えられるのだからありがたい。Q(クイックメニュー)ボタンに自分オリジナルをカスタム登録するとより便利に使える。あとからRAW現像するから現場では適当に撮影するという考えではなく、現場でしっかり写す考え方が大切だ。

FUJIFILM(富士フイルム) GFX50S II 作例2

GF32-64mmF4 R LM WR|f16AE(1/75秒) |ISO400|WB:晴れ|Velvia|RAW|【新潟県魚沼市|7月|11時】

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◇鮮やかなユリ畑をフィルムシミュレーションのベルビアで撮影する

FUJIFILM(富士フイルム) GFX50S II フィルムシミュレーション比較
<フィルムシュミレーションいろいろ> GF100-200mmF5.6 R LM OIS WR|手持ち

ピントが合う楽しさは撮影リズムにつながる

風景写真の醍醐味に手前から奥までしっかりピントを合わせるパンフォーカスな表現がある。ラージフォーマットはフルサイズやAPA-Cサイズに比べると被写界深度が浅いからこそ、ピントの合焦位置に気を配り全体にピントがくるようにする。私は主にマニュアルで合わせているのだが、丁寧な撮影はとても楽しく、また、撮影技術力アップにつながる感じを抱いている。ピントを合わせる際も撮影画像の確認の際もファインダーや背面モニターを部分拡大してピントを確認している。ジョグダイヤルを押すだけで拡大でき、カリっとしたピントを作れるととてもうれしい。これは、ファインダーや背面モニターの解像度が良くないと得られない感覚だ。ファインダーや背面モニターが見やすいことはとても重要で、現場できれいに写っていることをわかりながら撮影が進められると、楽しくて撮影リズムが良くなる。

FUJIFILM(富士フイルム) GFX50S II 作例3

GF100-200mmF5.6 R LM OIS WR|f16AE(0.6秒・-0.7EV)|ISO100|WB:晴れ|プロビア|RAW|三脚【 新潟県湯沢町|6月|5時】

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◇柔らかい光を捉えて立体感を出し手前から奥までしっかりとピントを合せる

FUJIFILM(富士フイルム) GFX50S II 作例4

GF35-70mmF4.5-5.6 WR|f22AE(1/50秒)|ISO400|WB:晴れ|ベルビア|RAW|三脚【 新潟県魚沼市|6月|7時】

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◇草から山までピントを合せるにはその間の空気中の神社寄りにピントを置く

フルサイズと比較しても約1.7倍となるラージフォーマットセンサーならではの広いダイナミックレンジ

風景写真では朝夕の光を撮ることが多い。劇的なシーンに出会える確率も上がるので多くの人が同じような気持ちで撮影に臨まれていると思う。GFX50S II はフルサイズの約1.7倍となるラージフォーマットセンサーを持っている。それはどういうことか。緻密な描写だけでなく、ダイナミックレンジの広さで明暗差のあるシーンの表現に有利なのだ。ダイナミックレンジとは明るいところと暗いところの両方の質感が出ることである。陰影のコントラストを撮影時により抑えたい時はQ(クイックメニュー)ボタンから“ハイライト”や“シャドー”の調整を行えばよい。ダイナミックレンジの広さに明暗調整が安易に行えるから現場で作品を追い込んで作って行くことが可能になる。

FUJIFILM(富士フイルム) GFX50S II 作例5

GF32-64mmF4 R LM WR f13AE(1/8秒・-1EV)|ISO320|WB:晴れ|Velvia|RAW|三脚【 新潟県南魚沼市|6月|19時】

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◇夕方の陰影表現は暗部を明るめに調整することで全体のバランスをとる

FUJIFILM(富士フイルム) GFX50S II 作例6

GF100-200mmF5.6 R LM OIS WR|f13AE(1/160秒・-0.3EV)|ISO200|WB:晴れ|PROVIA|RAW|三脚【 新潟県南魚沼市|6月|6時】

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◇朝の空気感は光の具合を見ながら画面構成する

FUJIFILM(富士フイルム) GFX50S II 作例7

GF32-64mmF4 R LM WR|f16AE(0.5秒)|ISO50|WB:晴れ|PROVIA|RAW|三脚【 新潟県南魚沼市|6月|12時]】

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◇水流と霧のディテールをダイナミックに表現する

レンズの大きさを懸念も、キットレンズの35-70mmはとてもコンパクト

GFX50S IIのボディはそれほど大きくないけれどレンズは大きい。これは、最高画質を作るために仕方ないので許容範囲だ。求めるのは、色と描写力。何から何まで全てを求めない気持ちが大切。最高の描写力を追及する考えだ。

ところが、GFX50S IIのキットレンズはとてもコンパクトだ。GFX50S IIの最初の導入にはちょうどいいのではないだろうか。私にとっての GFXシリーズ最初の導入はズームレンズ2本からだった。全画角を網羅する必要は無い考えだ。撮れるものを撮り、撮れないものは撮らない潔さを持って撮影に臨んでいた。

GFX50S IIは高価なカメラだ。だからこそ、手にしたら頻繁に買い替える物でないし、レンズをゆっくり揃えていく気持ちでいると、コストパフォーマンスは良いと考えられる。

FUJIFILM(富士フイルム) GFX50S II 作例8

GF35-70mmF4.5-5.6 WR|f13AE(1/10秒・-1.7EV)|ISO200|WB:晴れ|PROVIA|RAW|三脚【 新潟県南魚沼市|6月|7時】

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◇キットレンズはコンパクトで逆光にも強い

GFX50S IIはしっかり写すことと機動力を兼ね備える

風景写真の撮影では三脚を構え写すことを基本としている。場面によっては手持ち撮影を行う。ラージフォーマットのGFXシリーズでは風景の細部までしっかり表したいのでより丁寧に三脚を構えることが必要だと思っている。

でも、GFX50S IIにはボディ内手ぶれ補正機構を備えて5軸6.5段の防振性能があるので、それならば、場面によっては手持ち撮影を行いたい。さらに撮影の幅が広がる可能性に期待したい。

今回、初めて手持ち撮影を試した。そして、驚いた。シャッターボタンに指が触れた時にビックリしたのだ。優しいのだ。シャッターを押した。柔らかい。押し込む感じじゃない。フェザータッチシャッターボタンが採用されていたことを知った。カメラの防振性能にこのシャッターの機能が加わればブレ防止効果が増すことは間違いない。カメラの機能を知ると益々手持ちでの撮影が楽しくなりそうだ。

FUJIFILM(富士フイルム) GFX50S II 作例9

GF32-64mmF4 R LM WR|f13AE(1/20秒)|ISO200|WB:晴れ|Velvia|RAW|手持ち【 新潟県南魚沼市|6月|9時】

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◇脚立に乗り高い位置から手持ちで撮影する

FUJIFILM(富士フイルム) GFX50S II 作例10

GF100-200mmF5.6 R LM OIS WR|f14AE(1/90秒・-0.7EV)|ISO200|WB:晴れ|Velvia|RAW|三脚【 新潟県魚沼市|7月|5時】

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◇朝の繊細なディテールが画面に現れる

FUJIFILM(富士フイルム) GFX50S II 作例11

GF32-64mmF4 R LM WR|f14AE(1/50秒・-0.7EV)|ISO200|WB:晴れ|PROVIA|JPEG|三脚【 新潟県十日町市|6月|17時】

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◇明暗差が活きて遠近感が表現される

FUJIFILM GFX50S IIは撮影者の気持ちを高めてくれるカメラ

FUJIFILM GFX50S II は撮影者の気持ちを高めてくれるカメラである。色や質感などの描写力といった性能は最も重要だが、ピント合わせや露出設定などの操作性も安易で、外見的な美しさや手に持った時の感触にも魅力がある。要するに、正確に写すことができて手に馴染むカメラなのだ。

だから、やばいぞ、欲しくなってしまったぞ!

まとめ

  • ・FUJIFILM GFX50S II なら最高画質で手持ち撮影が可能

  • ・富士フイルムのデジタルカメラが、風景写真で大切な“色”を簡単に出してくれる

  • ・風景写真では、ファインダーや背面モニターが見やすいことはとても重要

  • ・ラージフォーマットセンサーは、明暗差のあるシーンの表現に有利

  • ・キットレンズの GF35-70mmF4.5-5.6 WR は、コンパクトで最初に導入するレンズとしておすすめ

  • ・ボディ内手ぶれ補正機構とフェザータッチシャッターを備え、手持ちでの撮影も楽しい

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FUJIFILM GFX50S II GF35-70mmレンズキット
Photo & Text by 佐藤 尚
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