目次
特徴・操作性
待望のF1.8通しフルサイズ対応ズームレンズ
デクリック対応の絞りリング
動画を見越したインナーズーム
実写レビュー
単焦点レンズ4本を1本に
8K撮影にも耐える高画質設計
高速なAFと少ないフォーカスブリージング
ボケを大きく活かせる近接撮影能力
映像作例
画質
中心解像度
周辺解像度
フリンジ
フレア・ゴースト
SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM | Artとの比較
解像度対決
動画性能比較
この価格でこのスペックが!?
フィルター窓があれば...
使用したカメラ
使用したレンズ
まとめ
SIGMA 28-45mm F1.8 DG DN | Artは世界初のフルサイズ対応F1.8大口径ズームレンズです。
2013年に発売されたSIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM | Artから約10年の時を経て、実質的な後継モデルとなります。SIGMAの会津工場の技術を結集し、フルサイズ対応に進化させるなど、現代のニーズに応えるために改良されました。
SIGMA 28-45mm F1.8 DG DN | Artは、ここ最近のSIGMAレンズ同様に絞り環のデクリック(クリック音を消す機能)を搭載しています。
デクリック状態にすると、絞りリングを回してもクリック感がなく、動画撮影時に絞りを調整してもカメラに音が入らず、滑らかに露出を変えられます。
絞り環の操作感も非常によく、シネレンズのようなしっとりとした質感となっており、特に動画撮影を重視するユーザーにとって非常に便利です。
SIGMA 28-45mm F1.8 DG DN | Artは、インナーズームを採用しています。ズーム時にレンズのサイズが変わらないため、フォーカスリングやズームリングの位置が一定のまま使用できます。
特に動画撮影時には、操作感が一貫しており、スムーズなズーム操作が可能です。
作例1:α7R V F1.8 1/8000秒 ISO100
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28mm-45mmのズームレンズですが、F値が明るくノイズを落とした撮影やボケを用いた印象的な表現も得意なので28mm・35mm・40mm・45mmの各F1.8単焦点レンズを1本にしたような使い方もできるレンズです。
扱いやすい焦点距離であること、F値が明るいため、ノイズを落とした撮影やボケを用いて印象的な表現が可能なので特に動画撮影に使用しやすいレンズといえるでしょう。
作例2:α7R V F1.8 1/2500秒 ISO100
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内部に空気を含んだナノサイズの穴を形成するナノポーラスコーティングやSLDガラス(特殊低分散ガラス)を5枚、非球面ガラスを3枚使用する設計により高画素センサーにも耐える描写性能となっています。
現状サポートしているカメラは数少ないですが8Kでの動画撮影にも対応します。
サイズが非常に大きくなりますが、開放からの高い描写性能には非常に驚かされました。
作例3:α7R V F1.8 1/1600秒 ISO100
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SIGMA 28-45mm F1.8 DG DN | Artには最新のフォーカスモーターであるリニアモーター HLA(High-response Linear Actuator)を搭載しています。
HLAは高い精度と高速なAF性能をもつリニアモーターで、静粛性が高いため、動画時に動作によって発生する揺れやノイズなどの心配が不要になります。
しかし、高速すぎるあまり被写体認識に合わせて細かく前後にピントが揺らいでしまうため、動画撮影時には適切に動作速度などを設定する必要があります。
作例のカットでは入線してくるモノレールを被写体認識:鉄道に設定し撮影しましたが、
しっかりと認識し、合計40カットほど連写しましたが、1枚も迷うことはありませんでした。
作例4:α7R V F1.8 1/8000秒 ISO100
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SIGMA 28-45mm F1.8 DG DN | Artはズーム全域で最短30cmの最短撮影距離性能を備えています。
このため、F1.8の明るさと併せてズームレンズとは思えないほどの非常に大きなボケを生み出すことが可能となっています。
また、全域で最短30cmのため動画撮影時の商品の物撮りなどでも非常に扱いやすく、効率的に撮影が可能でした。
1点気をつけなければならないポイントとして、最短撮影距離が30cmという短い距離と大きなレンズサイズと相まって近接撮影時はレンズーフードを外さないと影が映り込んでしまうという点です。
28mm中心部拡大
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35mm中心部拡大
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45mm中心部拡大
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開放値F1.8という大口径かつ被写界深度が浅い状況でも全域で非常に高いシャープネスを持っています。
35mmで最も高い解像度となりそれ以降若干シャープネスが失われていく傾向となっていますが、一段絞ることにより全域で気にならないレベルへ改善します。
広角側では樽形の収差が大きめに発生し、望遠側では糸巻き型の収差へ変化します。
また、軸上色収差は良好に補正されているため発生は見られませんでした。
28mm周辺部拡大
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35mm周辺部拡大
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45mm周辺部拡大
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周辺部についても、滲みや像の流れなど見られることなくF1.8の大口径ズームとは思えないほどの描写をしています。
むしろ解像度が高く、周辺でもモアレが発生しています。
また若干の倍率色収差が発生しています。
これらは一段絞ることで解消するため、気になる場合はお試しください。
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強い光線を画面内に配置した際に若干のフリンジが見られましたが、等倍表示でないと気にならない程度となっています。
どうしても気になるという場合には画像編集ソフト等での修正が必要かと思われますが、基本的には気にせずに撮影を行えます。
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光源を画面内に入れた場合、ゴーストはかなり控えめな発生をしますが、
フレアは大口径レンズのため、大きく発生しコントラストが低下する場面が見られました。
このフレアはフードによって若干の抑制が可能ですが、NDフィルターなどを装着する場合にはフードが干渉し使用できないため、どうしても気になる場合はサードパーティーのネジ込み式のフード、映像の場合はマットボックスの使用などを検討した方がよさそうです。
SIGMA 28-45mm F1.8 DG DN | Art
F1.8 1/2000秒 ISO100
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SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM | Art
F1.8 1/2000秒 ISO100
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全く同じ条件下での比較ですが、SIGMA 28-45mm F1.8 DG DN | Artのほうがシャープネスが高いことがわかります。
また、フルサイズ対応のためα7R Vの6100万画素センサーをフルに生かしきれる点も非常に大きいです。
先代と比較すると望遠端が若干ながら短くなりましたが、フルサイズなのでクロップで対応できます。そのため、望遠端が短いことは気になりませんでした。
SIGMA 28-45mm F1.8 DG DN | Artは、20万円台とは思えないほどの高い描写性能を持つ大口径ズームレンズとなっています。
このレンズが発表された時、フルサイズ化と高画素への対応で正直30万円は超えるだろうと思っていたのですが良い意味で度肝をぬかれました。
使用していてもほとんど不満はなく、使っていて非常に楽しめるレンズです。
動画もスチルもこなせるこのレンズですが、動画撮影時にF1.8の大口径でVNDフィルターを使用する場面が多くなります。SIGMA 28-45mm F1.8 DG DN | Art は、VNDフィルターを操作するための窓がないため、82mm径のフィルターを装着した場合にはフードを取り付けできなくなるという点については困ってしまう場面がありました。
これについては、フィルター窓付きフードの販売を待ちたいところです。
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