SIGMA 20-200mm F3.5-6.3 DG | Contemporary × 写真家 小城崇史 | 10倍ズームと小型軽量化を両立したオールラウンドなレンズ

目次
はじめに
特長、操作性
今までになかった小型軽量さ
快適なズームリングのトルク感
作例
低照度下でも安心して撮影できる
高い被写体認識能力
SIGMA 200mm F2 DG OS|Sportsと比較
おすすめユーザー
この1本でオールラウンドに撮影が可能
まとめ
これから写真を始めたい人からベテランまでおすすめ
作例に使用したレンズ
作例に使用したカメラ
はじめに
コロナ禍を起因とする長い停滞期から完全に脱出した2025年は、メーカー各社からの新製品リリースも爆発的に増えました。立場上、新製品が極めて少ない数年前の状況を憂いていた者としては、驚きと喜びに満ちあふれた一年でもありました。
特にレンズの新製品はカメラの新旧を問わずそのメリットを広く享受できるだけに、新製品のリリースは未知の世界に臨むドキドキ・ワクワク感をより強く感じさせてくれます。
2025年に数多くの新製品をリリースしたSIGMAですが、中でもより身近に感じられたのが、超広角から望遠まで広い範囲をカバーするこのレンズではないでしょうか。
SONY α1IIに装着した状態。レンズ筐体の直径は80mmを切っているため長時間持ち続けても疲れることのないサイズ感です。
【商品情報】SIGMA 20-200mm F3.5-6.3 DG | Contemporary
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特長、操作性
今までになかった小型軽量さ
このレンズの情報を最初に聞いたとき、想像したのは「きっと大きく重いレンズなんだろうな」ということでした。しかしその心配は驚くべきスペックによって覆されることになります。広角端20mmを実現したこのレンズは、ズーム比10倍を実現することで使い手に今までなかった自由を、今までになかった小型軽量化(最大径77.2mm、質量550g・Lマウントの場合)により、もたらしてくれるからです。
今までにも高倍率ズームレンズは多々ありましたが、広角側の制約が大きかったり、あるいはイメージサークルを小さく設定された製品はあってもフルサイズ機には適合しなかったりなど、使い手にささやかなストレスを感じさせる製品しかありませんでした。それを考えるとこのレンズが持つポテンシャルが、今までのレンズとは一線を画すものであることがよくわかります。
大口径レンズの多い中、フィルター径も72mmとなっているため、フィルターワークを楽しみたいユーザーにもありがたいサイズとなっています。
快適なズームリングのトルク感
焦点距離変更は回転式リングで行うのが昨今のズームレンズの常道ですが、特筆すべきはズームリングの適度なトルク感です。重すぎず軽すぎず、自分が狙った焦点距離に的確に合わせることができます。そして自重落下もないためカメラに装着した状態で肩から提げて持ち歩いても、レンズの不要な動きを心配する必要がありません。
ちなみにレンズに備わるスイッチは、AF-MF切り替えスイッチとズームリングのロックスイッチの二つだけです。ズームリングのトルク感が程良く、このスイッチを使うことはありませんでした。
倍率の大きなズームレンズは、今まで重量バランスやその大きさ、そして操作性に苦労させられることが多かったですが、小型軽量にまとめられたこのレンズはそんな過去の経験を全て忘れさせてくれます。
作例
低照度下でも安心して撮影できる
年末年始は街がイルミネーションに彩られる時期だけに夜景撮影の機会も多いですが、かといって人混みの中をたくさんのレンズを持って移動するのはつらい状況でもあります。また、一般的に開放F値の暗いレンズはAF動作の面において不利な状況となる場面が多いのですが、AFの各種機能(被写体認識や予測駆動)が問題なく使えるため、極端に暗い状況でない限りは開放F値の暗さが不利に働く場面はありませんでした。
高い被写体認識能力
動く被写体に対する対応能力も必要十分な性能を備えており、不意に訪れるシャッターチャンスへの対応力が上がったことには軽い驚きを感じました。SIGMAの製品ラインとしてはContemporaryに属するレンズですが、動く被写体に対するAFのポテンシャルも高く、むしろ小型軽量に作られていることが有利に働き、思わぬシャッターチャンスにも余裕を持って対応することができました。
そしてレンズ内面の反射も抑制されているため、太陽や強い光源が写り込む構図にも積極的に挑戦することができます。
SONY α1 II・SIGMA 20-200mm F3.5-5.6 DG | Contemporary・20mmで撮影
絞りF8・1/2000秒・ISO400
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隅田川橋梁を渡る総武線の姿をテラス左岸側から狙った一枚。最広角側に設定しての撮影ですが、F8まで絞ると周辺光量落ちも気にすることなく撮影できました。
SONY α1 II・SIGMA 20-200mm F3.5-5.6 DG | Contemporary・200mmで撮影
絞りF8・1/2000秒・ISO400
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電車が来るのを待っていると橋の上を飛ぶ鳥を発見。被写体認識を「鳥」に切り替え急いでズームし追ったところ、見事に合焦しています。カメラのファームウェアにもよりますが、画面内で小さな状態でも追いかけてくれるようになったので、このレンズのメリットがより活かされる環境が整いました。
撮影データ:200mm時 絞りF29 1/10秒 ISO50
SONY α1 II・SIGMA 20-200mm F3.5-5.6 DG | Contemporary・200mmで撮影
絞りF29・1/10秒・ISO50
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大晦日、交差点の向こうから風雷神門(通称:雷門)の姿を200mmで切り取ると、人々で賑わう門前の様子から浅草寺へと続く参道の雰囲気までを一枚に収めることができました。
SONY α1 II・SIGMA 20-200mm F3.5-5.6 DG | Contemporary・200mmで撮影
絞りF6.3・1/1250秒・ISO400
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仲見世通りを彩る正月飾りと宝蔵門の様子を一枚に収めるべく、カメラのバリアングルモニターを使って撮影。冬晴れの一日らしく、正月飾りの彩りが華やぐ門前町の様子を伝えてくれます。
SONY α1 II・SIGMA 20-200mm F3.5-5.6 DG | Contemporary・20mmで撮影
絞りF8・1/320秒・ISO1250
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関東大震災の復興計画によって整備された蔵前橋。石川島造船所(現在のIHI)によって建造された橋の下部構造物を見上げると、リベット止めされた鋼鉄が幾重にも連なる構造をよく観察することができます。最広角側で撮影していますが、像の乱れもなく隅々まで描写されていることが分かります。
撮影データ:20mm時 絞りF8 4秒 ISO100
SONY α1 II・SIGMA 20-200mm F3.5-5.6 DG | Contemporary・20mmで撮影
絞りF8・4秒・ISO100
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街を彩るイルミネーションも、最近は11月頃から2月中旬まで続けるところが増えてきているようです。クリスマスシーズンとはひと味違う賑わいを、地上から3mの位置に構えた三脚からスローシャッターで狙う。垂れた枝先を彩るイルミネーションが星のように見えました。
SONY α1 II・SIGMA 20-200mm F3.5-5.6 DG | Contemporary・200mmで撮影
絞りF6.3・1/3200秒・ISO800
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朝日に照らされきらめく水面を行くユリカモメ。レンズの内面反射が適切に抑制されているため、破綻ない描写が楽しめるのは現代のレンズならでは。
SONY α1 II・SIGMA 20-200mm F3.5-5.6 DG | Contemporary・89mmで撮影
絞りF6.3・1/1600秒・ISO1250
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鳥や電車など、このレンズが動体撮影にも十分な性能を有していることを確信し、駅伝復路の撮影に持ち出してみました。先頭集団よりも先にやってきた規制予告車の一団にいたのは、警視庁が現在テスト中の電動白バイ。モーター音すらしないその姿に近未来を見た気がしました。
SONY α1 II・SIGMA 20-200mm F3.5-5.6 DG | Contemporary・20mmで撮影
絞りF6.3・1/1600秒・ISO800
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第102回東京箱根間往復大学駅伝競走(通称:箱根駅伝)復路。普段は多くの車で埋め尽くされる中央通りも、このときは完全封鎖され異次元の空間が現れます。トップから遅れること約6分50秒でこの場所に現れたランナーに、沿道から大声援が飛ぶ瞬間を20mmの画角に収めてみました。
SIGMA 200mm F2 DG OS|Sportsと比較
開放F値可変式ズームレンズは「ボケ味がイマイチだよね」と思っておられる方が多いかもしれません。過去の製品から「ボケ味の作り込みこそがSIGMAの特徴」であることを知っている私としては、このレンズがどんな描写を見せてくれるのかがとても気になります。そこで200mm F2 DG OS|Sportsと撮り比べたので、その結果をご覧ください。
【商品情報】SIGMA 200mm F2 DG OS | Sports
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全く同じボケ味にはならなくても、アウトフォーカスした像がナチュラルに溶けていく描写は非常に似通っていることがわかります。それはつまり「撮影意図に応じた絞りとシャッタースピードのコントロール」をすれば、自分が意図した表現ができる可能性が高いということです。一方そのコントロールを怠り、惰性でシャッターを切るとつまらない写真を量産してしまうので注意が必要です。
ズームレンズはとても便利な機材ですが、撮影時に画角と遠近感を意識するかしないかで、その結果は大きく変わります。そう、このレンズを使いこなす鍵は、惰性に流されることなく「自分は何を撮りたいのか」を事前にどれだけイメージできるかにかかっているのです。
SONY α1 II・SIGMA 20-200mm F3.5-5.6 DG | Contemporary・200mmで撮影
絞りF6.3・1/800秒・ISO400
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SONY α1 II・SIGMA 200mm F2 DG OS | Sports
絞りF2・1/3200秒・ISO200
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20-200mm F3.5-5.6 DG | Contemporaryの絞り開放で撮影した画像(上)と、200mm F2 DG OS | Sportsの絞り開放で撮影した画像(下)を並べてみました。ボケ方は絞りの数値分だけ差が出ますが、ボケ感は20-200mmも見劣りないことがわかります。
APS-Cフォーマットの高倍率ズームレンズは各社から発売されていますが、フルサイズ対応モデルは数が限られています。そしてほとんどのレンズがワイド端24mmまでとなっているようです。ワイド側の焦点距離差(たかが4mmされど4mm)の差、そして製品重量の差(他社で一番軽いレンズでもまだ25g重い)は大きいです。
そして高倍率ズームレンズに開放F値を期待しないけど、描写のシャープネスと背景のボケ味にこだわりたい私としては、何を選ぶかと問われたらこのレンズを選ぶと思います。
おすすめユーザー
この1本でオールラウンドに撮影が可能
交換レンズを複数持ち、交換しながら撮影している方も多いと思いますが、イベントなどで「オールラウンドに撮らなければいけない」状況ではレンズ選択に悩む方は多いと思います。そんな方には迷わずこのレンズをおすすめします。このレンズ1本で被写体と対峙することで、シャッターチャンスを逃すリスクは確実に減ります。
そしてもしあなたが2台以上のカメラをお持ちなら、このレンズを付けたボディと他の焦点距離のレンズを付けたボディの組み合わせで撮影に臨むことで、撮れる絵柄は格段に増えるはずです。様々な画角を経験することで、次なるレンズ導入の参考になるかもしれません。
また他の超望遠ズームレンズと組み合わせることで、20mmから600mmまでの画角を手に入れることも可能になります。航空機や船舶など被写体との位置関係調整に苦労する場面には、必須のレンズかもしれません。
まとめ
これから写真を始めたい人からベテランまでおすすめ
スマートフォンの性能向上、特に複数レンズを持つ高級タイプのスマホによって代替された撮影領域が多い中、単焦点レンズ約8本分の焦点距離を持つこのレンズの登場が持つ意味は大きいです。
現代のレンズらしく小型軽量にまとめられているため、装備の重量・容量に制約がある状況で威力を発揮するレンズであることは疑いようがありません。
またシンプルでありながら確実な操作性が担保されていることで、レンズワークを知り抜いたベテランだけでなく、これから写真を始めたい人にもおすすめしたいレンズです。
作例に使用したレンズ
【商品情報】SIGMA 20-200mm F3.5-6.3 DG | Contemporary
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【商品情報】SIGMA 200mm F2 DG OS | Sports
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作例に使用したカメラ
【商品情報】SONY α1 II
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Photo & Text by 小城崇史(こじょう・たかふみ)

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